英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

将棋初級講座① ~寄せの基本「頭金」~

2011-06-07 11:07:17 | 初心・初級将棋
 今までも気まぐれに試みて、頓挫、中断している初級(初心者)向けの講座みたいなものを、凝りもせずにトライします。
 過去をたどれば『将棋5級講座①』(3月30日記事)(未だに①だけ)、『気まぐれ初心者将棋講座①~④』(2009年)、その他、簡単な詰将棋など初心者向けのものをかいてきたつもりです。

 今回、ある方のコメントを新たな動機(やる気)を得て、がんばってみようと思いました。カテゴリーも「初心・初級将棋」を設けました。興味のある方はお付き合いください。
 序盤の考え方(指し手の方向性など)や、中盤のコツや法則などもテーマにすべきなのですが、やはり、詰む詰まない(良い悪い)がはっきり分かる詰将棋、寄せ方を取り上げることが多くなりそうな気もします。その場合も、詰ますための読む力の鍛錬もありますが、寄せるコツをできるだけ解説していきたいと思っています。

 詰めの基本「頭金」
 将棋のゴールは開いて玉を詰ますことです。その基本と言うべき「頭金」を身につけておかないと、勝つことは困難です。(相手もこの「頭金」を避けようとがんばるので、いつも「頭金」で詰むわけではありませんが、必ず寄せる時のベースは「頭金」にあると言って良いと思います)


 このように玉の頭を金で押さえつけて玉の動きを制すること「頭金」と言います。
 玉は攻められると逃げなければならない宿命にあり、弱い印象がありますが、その機動性は前後左右斜めと八方自在に動け、機動力は飛車角に次ぐものがあり、捕まえるのはなかなか難しいのです。
 しかし、このように金で頭から押さえつけるのは、金の特性(前横斜め前の可動範囲は玉と互角)を最大限に生かしているといえます。こうされると、玉といえども柔道の上四方固めで押さえ込まれたように身動きが取れないのです。
 ちなみに玉の頭の駒が銀だとするりと横に逃げられてしまいますね。

 次に、玉が一路ずれている「一路違う図」をご覧ください。

 頭金を実現しようとすると、▲3二金(将棋の記号(棋譜)は数学の座標に似ていて、数字と漢数字の交わる位置で指すコマの進む場所を表し、その後に進める駒を表記します。「▲」は先手、「△」は後手を表します。←本当は将棋の駒の形です)ですが、これは只ですね。
 そこで、玉を追うには▲2二金と打つしかありませんが、△4二玉(失敗図)

 と逃げられてみると、玉を捕まえられないことがはっきりします。
 もし、持駒にもう一枚金があったとして、▲3二金打としても△5三玉(最悪図)

 図を見ると、金を2枚使ったにもかかわらずその駒は取り残され(役立たず)、相手玉は全く広々と自由なのがお分かりいただけるでしょうか?これでは、官僚の天下り先の公益法人の無駄使いと同じになってしまいます。
 将棋の格言に「王手は追う手」があります。この意味は、「むやみに王手をするのは、玉を追い掛け回して逃がすだけで良くない」という意味で、上図の最悪図はその典型です。
 「一路違うと図」では、ジッと▲4三金や▲3三金と玉は下段に置いたまま逃がさないよう押さえておき、手駒が増えるのを待つのがコツです。

 さて、この基本の「頭金」を念頭に入れて、次の問題をお考えください。
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将棋5級講座①【補足(訂正)あり】

2011-03-30 17:53:29 | 初心・初級将棋
 将棋はテーブルゲームの中で認知度も高く、社会的・文化的信頼性(将棋は礼を重んじる、頭がよさそう)も高い。
 なので、「やってみたい」と興味を持たれる方も多いと思われる。私の少年時代は、男子の遊びと言えば、タスケ鬼ごっこ・ポコペンなど鬼ごっこ(かくれんぼの進化したもの)や野球(サッカーではない)、で室内ではボードゲーム(サイコロやルーレットを回すもの、人生ゲームが代表的)やトランプ、そしてたまに将棋が定番であった。
 将棋は時折流行るという程度ではあったが、ほとんどの男子は指すことができた。絶対数が多いので初心者から上級者まで満遍なく存在していたので、対局相手に困ることはなかった(同レベルのものがすぐ見つかった)。なので、それなりに楽しめ、指し込んでいけば自然と強くなっていける素地があった。
 私が子どもに将棋を教える時、常々感じていることがある。 駒の動きなどのルールを把握して、何とか反則を犯さずに指せるレベルが15級だと仮定し、標準的な3手詰が解け(3手の読みが出来る)、指し手を目的意識を持って指せる(飛車先を破ろう、相手玉の守りを崩そう)ようになるのが5~7級とすると、初心者から15級~13級までなるのは割りと簡単。ところが、その13級から7級までは細かに階段が刻まれているわけでなく、12~8級までの階段はなく、ひとつの高い壁となって立ちはだかっているように感じるのである。
 ルールは把握しても、将棋の感覚がないので、方針が分らない。ただ指しているだけの状態。自転車に乗るのと同じで、「どのような姿勢で乗ればいいのか」「ペダルを片方ずつ踏み込めばいい」などということは、乗れない人でも知っていても、前に進む感覚や平衡感覚が身についていないので、転ぶか足をついてしまう。初心者の将棋もそれと同じで、感覚が身についていないので指しようが分らないのである。
 「勝つ」というところたどり着くには、そういった感覚が身についた6級程度にならないと無理なのである。よって、初級者と5級者が10局対局すれば、5級者が全勝し、その内容も初級者のサンドバッグ状態。理論的には、10級~12級のもの同士が指せば根気良く指せばどちらかが勝利できる。
 ところが、実際には、なかなかそういう経験は出来ない。なぜなら、15級~8級レベルは稀有だから。そりゃそうだろう、負け続け、しかもサンドバッグ状態なのだから、将棋の面白さを体験する前にやめてしまうのだ。今の世の中、苦労はするが悔しさを味わえない面白いTVゲームがあふれているし。

 実は、私も初級者~8級者を引き上げる術(すべ)が良く分らない。自転車や鉄棒の逆上がりと同じで、指し込むことで身につける感覚なのかもしれない。
 一番いいのは、ファミコン時代の『森田将棋』を相手にとにかく指しまくる。いつでも相手してくれるし、変な手を指しても馬鹿にされない。とにかく、対局を重ねて、駒の利きなどを身に染み込ませ、勝ち負け(勝っても負けても良い)の局面を目に焼き付けるのがいいと思う。

 例によって、非常に前置きが長くなってしまいました。
 気まぐれ的なモノになると思いますが、上述したレベルより少しだけ上の7級~5級ぐらいを対象にやっていけたらと思っています。
 「将棋の入門書」はたくさんあり、駒の動かし方などのルールは詳細に説明されてありますが、そのあと、いきなり囲いの崩し方や、序盤の駒組み講座とかになっているものがほとんどで、その間の7級レベル用の講座は皆無に近いです。力不足ではありますが、何とかフォローできればいいかなと思っています。

 とりあえず、その1です。

(7一の駒は成銀)
 「簡単じゃないか」と思われる方も多いでしょう。ところが、実戦で直面すると、特に我が教え子たちは間違えます。
 まず、失敗例。
 多分、根底に「強い駒で攻める」があるのでしょう。攻める時には惜しげもなく持駒を投入します。図の場合、持駒は金と歩ですが、おそらく、歩は視野に入っていません。最新言葉で言うと「アウトオブ眼中」です(古っ!)。
 歩など攻め駒にならないと思うのでしょう。とにかく、強い駒を使います。この場合は「とにかく金を使おう」ですね。
 そこで成銀、さらに、龍まで利いている8一の地点に目がいきます。この勢力が強いところに更に金を投入するのですから完璧です。しかも、王手です。
 同じ王手なら▲8一成銀の方がはるかに効率が良いのですが、まだこのレベルでは、「駒がダブる」とか「駒が重い」という感覚はありません。
 ためらいもなく▲8一金と打ちつけます。そして△8三玉(失敗図)

と逃げられ、首をかしげることになります。
 後手玉の前には大海原が広がり、自分の龍、金、成銀は空しく置いてけぼり状態。実戦だとそのまま流してしまうのですが、本当ならストップさせて、攻め駒が如何に悲しい状態で、金打ちの罪の重さを指摘したいのです。
 あと、失敗の例としては▲7二金。これは▲8一金よりは良いのですが、やはり重たく、△8三玉でやはり後手玉は太平洋です。
 その他に、▲3二龍とする手もありますが、△8三玉や△6二歩で効果がありません。格言の「王手は追う手」の良い例です。この場合の「追う手」というのは「逃がす手」と言い換えれば分りやすいでしょう。特に上部に逃がす手は最悪です。
 もちろん、有効な王手もあります。歩で王を上部から押さえる王手は有効な場合が多いです。
 あと、もともと働いている大駒での王手は合駒をされることによって、相手の勢力が増え、自分の大駒の利きが遮断されるだけという危険性もあります。
 とにかく、王手をする前に、慎重に考えるべきです。

 さて、正解は▲8四歩(正着図)

 アウトオブ眼中にされがちな歩ですが、この▲8四歩で後手玉は身動きが取れなくなってしまいます。放っておけば、もちろん▲8三金の1手詰。これを防いで△7二銀(抵抗図)

と受けても、▲8一成銀△同銀▲8三金(解決図)で詰みます(▲8一成銀に△9二玉は▲8二金まで)。

また、▲8一成銀の手で▲8三金と打っても良く、△8三同銀▲8一成銀以下詰みます。

【補足(訂正)】
 第1図より初手▲8四歩では▲8四金でも寄っているようです。
 △7二銀などの受けは▲8三歩で△同銀なら▲8一成銀以下の詰み。▲8三歩に△9二玉▲7二成銀で受けなし(必至)。△7二銀で△9四銀や△7四銀の受けも▲8三歩でほぼ同様。
 初手▲8四金に△6二金も▲8一成銀に△7二玉を見た涙ぐましいがんばりですが、これも△6二金▲8三歩△9二玉▲8一成銀で必至です。
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