英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

天気予報(気象情報)の欠点

2011-02-25 21:52:04 | 気象
 かなり以前に、NHKでは『天気予報』という名称を『気象情報』に改称しました。「予報」(未来)から「情報」(現在)に視点が変わったのかというと、基本的にはあまり変わっていないように思います。
 情報の分析から予測するのですから、まあ、同じと言えば同じですが、タイトルから「予報」という言葉をはずし、予報が外れた時の風当たりを少しでも弱めようとしたのかなと、勘ぐりたくなるような、日ごろの予報です。(それでも、感心するほど正確な予報が出ることも増えました)
 これは、ひどいのではと思うような予報がありました。




 一日違いですが、まるで様変わりしています。
 気をつけてチェックすると、このようにがらりと変わることが時々あります。下手をすると、3日連続乱高下することもあります。
 寒気の南下具合、高気圧の張り出し具合、前線の北上具合などの微妙な変化で、がらりと予報が変わってしまうので、致し方ないと言えば、そうなのですが、予報官は、昨日の予報などなかったように平然と語っています。
 「視聴者は昨日の予報など覚えていない」とでも思っているかのようです。いえ、もしかすると、彼らも覚えていないのかもしれません。(言い過ぎました)

 この間の、関東地方の大雪でも、当初は関東北部のみの雪と予報していたようですが、都心を含む広範囲で降ったようです。
 翌日、気象予報士(民放)は、「思いのほか関東北部の降雪が多くて寒気が溜まり、その寒気があふれて南下し都心の方まで流れ込んだからです」
と、得々と語っていました。
 ≪いや、そこは申し訳なさそうに釈明するところだろう≫
と突っ込みたくなりました。

 気象予報は難しく、外れても仕方ないところはあります。また、限られた時間で、しかも、いちいち釈明していては番組になりませんし、権威も落ちてしまいます。
 しかし、予報が外れて、仕事や行事などの予定が大きく狂ってしまう方もいます。「謝れ、釈明しろ」とは言いませんが、もう少し、予報の精度を自ら分析し、それを今後の予報に生かして欲しいなあと切に思います。
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女流名人位戦④ ~タイトル戦として考える~

2011-02-24 21:55:24 | 将棋
 過去3回(①“ゴキゲン中飛車はずし”返し②4手目の岐路③逡巡)と、くどいほど、3手目~5手目のゴキゲン中飛車はずし周辺を考えてきたが、タイトル戦での指し方として考えた場合、どうしても引っかかりを感じてしまう。

 もちろん、3手目、清水女流六段の▲6八玉自体は、後手に居飛車で来られるとやや損になるというリスクを覚悟の上の牽制で、卑怯と言うわけではない。また、5手目の▲2六歩も逡巡による作戦変更とも考えられるが、自重して通常の常道の手順に戻すのも、妥当な選択肢の一つである。
 しかし、タイトル戦、つまり、女流棋界の第一人者を争う舞台で、3手目に▲6八玉をを着手したからには、それ相応の研究と覚悟を持ってのことであるべきだと思う。
 それ相応の研究とは、過去にも書いたが、Ⅰ居飛車で来られた場合の指し方(先手がやや損)、Ⅱゴキゲン中飛車以外の振り飛車(後手が妥協)、Ⅲかまわずゴキゲン中飛車に対する研究をしなければならないが、タイトル戦で着手するからには、当然、それらを網羅した上で、指すべきだ。
 それ相応の覚悟とは、Ⅰの場合のリスク、Ⅲの場合の相手の研究上の乱戦で、特にⅢの場合は▲6八玉の“ゴキゲン中飛車はずし”を無視(否定)する指し手で、否定されたのに、「ああそうですか、では取りやめます」では、タイトル戦の舞台での指し手としては不満を感じる。第一人者を目指す指し手ではないのではないか。
 「ゴキゲン中飛車を止めてくれたら儲けもの。突っ張ってこられたら、普通に戻せばいい」では、気概は感じられない。
 この考えに対しては異論を持つ方も多いと思う。少しでも優位を求めるための牽制、そして、負けない為の冷静な判断とも言える。もちろん、それを否定するつもりもない。あくまで私の持論である。
 私が里見女流名人の立場だったら、「気合勝ち」「その程度の研究の▲6八玉だったのか」と思うし、もし縁台将棋で先手が仲間や後輩相手だったら、「へなちょこめ」とからかうところである。
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愛の反対語は憎しみではなく……『CONTROL ~犯罪心理捜査~』 第7話

2011-02-23 15:52:47 | ドラマ・映画
 「愛」の反対語は「憎しみ」ではないとマザー・テレサは言っている。
 では、反対語は?………

        ………………………「無関心」だそうです。同感!


 今回のテーマは「目撃証言の不確定さ」
 刑事ドラマを観ていると、≪みんな良く覚えているな≫と思います。
 容疑者の人相や服装、自分の行動、時刻、それも数日前のもの。感心します。

 南雲教授(藤木直人)も実験していましたし、実際は思い込みなどで、不確実なものが多いんでしょうね。でも、刑事ドラマでそれを毎回考えると、話が進みませんね。

 まあ、それはともかく、今回のツボは、ラストの里央(松下奈緒)、南雲、寺西刑事(横山裕)の屋台のラーメン屋での会話。

寺西「好きな人を思う一途な気持ちは、分かるけどな。そばに居るのに、ちっとも振り向いてくれない」
里央「(ビール?お茶?をゴクゴク飲み)あ~~うまっ」
寺西「は~ぁ(ため息)」
(略)
南雲「愛の反対語は何だと思う?」
寺西「さあ?」
里央「あっ、無関心」
南雲「正解!」
里央「あたし、教授のおかげで人間の心理っていうものが、だいぶ分るようになってきたんですよね。いるんですよね、そういう人の心理をまったく分らないやつって(かなり得意げ)」
 その言葉に、南雲、思わずふたりの様子を見る。
 げんなりする寺西にまったく気がつかず、ラーメンにがっつく里央。
 にやりと笑う南雲。
里央「う~ん、おいしい。チャーシュー、おかわり」

 パシリ度がだんだん増してきた寺西君、ちょっと気の毒。
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微妙?

2011-02-22 11:16:55 | 日記
 テレビの「今日の占い」を見ていたら、ふたご座の運勢の良さは10番目だった。
 う~ん、あんまり良くないなあと思っていたら、娘(ふたご座)が、
「ビミョウ…」
と、つぶやいた。
 え?12番中10位で微妙なの?6、7ならともかく…

 なんてポジティブ(自分に甘い)やつ……
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女流名人位戦③ ~逡巡~

2011-02-21 11:11:07 | 将棋
清水女流六段の「ゴキゲン中飛車はずし」の▲6八玉に対し、
里見女流名人は8分の考慮で△5四歩(第2図)


 △5四歩は「ゴキゲン中飛車はずし」の▲6八玉を無視、否定した手である。つまり、「▲6八玉はゴキゲン中飛車封じになっていない」と言っているのである。

 さて、これに対し清水女流六段は▲2六歩と自重。
 3手目▲6八玉、4手目△5四歩の周辺については、『女流名人位戦① ~“ゴキゲン中飛車はずし”返し』『女流名人位戦② ~4手目の岐路~』でくどいほど述べたが、今一度、手の意味を会話風に再現しよう。

▲6八玉「△8四歩と来られたらちょっと損だけど、あなたには居飛車が出来ないでしょ!とにかく、これであなたの得意なゴキゲン中飛車は防いだわよ」
△5四歩「いいえ、そんな手(▲6八玉)では私のゴキゲン中飛車は封じることは出来ないわ。さあ、馬を作ってみなさいよ。退治してあげる」
 簡単に言えば、清水女流六段が喧嘩を売り、それを里見女流名人が買ったわけである。……しかし、清水女流が喧嘩(乱戦)を回避してしまった。

 もちろん、これも勝負の駆け引きのひとつで、外野がとやかく言うことではない。
 それに、5手目の▲2六歩を「あら、“ゴキゲン中飛車はずし”の対策は万全のようね。じゃあ、止めておくことにするわ。あなたの態度(研究)を訊いてみただけなの」
 「里見女流名人がゴキゲン中飛車を回避すれば儲けもの。プラス気合勝ち」と里見女流名人の出方を打診してみただけとも受け取れる。
しかし、、▲2六歩の考慮時間が13分だったことを考えると、違う推測をしてしまう。
 「えっ、△5四歩?馬を作られても大丈夫だというの?久保二冠が指したのは知っていたけれど、あなたが△5四歩と応じてくる思わなかったわ。
 もしかしたら、研究十分……な、何も、危ない橋を渡ることはないわ。こ…今回は、み、見逃してあげる」

 全然違っていたら、ごめんなさい。

 13分という考慮時間は「持ち時間3時間」を考えると、無視できない長さだ。これが、1、2分だったら、先の言葉(推測)のような軽い打診と考えられるが、13分の考慮時間には、清水女流六段に逡巡が感じられる。
 実際に逡巡があったかは不明だが、里見女流名人がそう感じたとしても不思議ではない。気合勝ちの展開と言えよう。

 私は清水将棋に対する引っかかりをずっと感じているが、この▲6八玉~▲2六歩の指し口は、それをさらに強くさせた(以下④へ)
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最近のマラソンが面白くない理由 + Wリーグなど

2011-02-20 21:19:22 | スポーツ
 この土日は、Wリーグ(女子バスケット)、千葉クロスカントリー、アルペン世界選手権、フィギュアスケート四大陸選手権、Vリーグ(女子バレー)、横浜国際女子マラソンと、スポーツ中継が盛りだくさん。その上、NHK杯将棋の準々決勝羽生-佐藤戦もありました。
 そのほとんどを録画して、夜に観るわけですが、ちょっと大変。NHK杯は、ほぼリアルタイムで観ることができました。

 Wリーグはナンバー1のJXと富士通(4位)の対戦。JXは田中と内海のシューター(カットインも得意)の二人を欠いているので、攻撃が単調になるのが弱点。
 この日は出だしに富士通の3ポンとシュートを含む外郭からシュートが決まり、それに気を取られマンツーマンディフェンスが甘くなり、第1クォーターで28-8と大きくリード。ディフェンスが悪いとオフェンスのリズムが崩れるという見本のような展開だった。
 しかし、第2クォーターでは見事に立て直す。まず、相手にシュートすらさせないというほどディフェンスのマークを厳しくし、オフェンスも落ち着きを取り戻した。逆にこのクォーターは26-5と大逆襲。前半で34-33と逆転した。
 結局、70-64でJXが勝利。両チームはプレーオフ・セミファイナルで対戦するが、やはりJXの優位は動きそうにない。ガードの大神、吉田、センター、フォワードの渡嘉敷、諏訪、間宮、木林と充実しているので、シューター不在でを補うほどの手厚さを感じる。ちなみに私は吉田亜沙美が好き。

 国際千葉クロスカントリーは、一般女子8kmの新谷仁美選手と女子ジュニア5kmの菅 華都紀選手の積極果敢の走り(好記録)がすごく良かった。

 フィギュアは土曜日放送の分だけ観ました。今夜のは深夜に観れるかどうか。
 アルペンは明日、Vリーグは明日以降です。

 さて、表題の女子マラソンですが、最近、「なんか、面白くないなあ」と感じていました。気象条件やレース展開に恵まれなかったこともあり、タイムも平凡でしたが、それだけでない原因があるような気がしていました。
 今日、ようやくそれが分かりました。


 レースは終盤抜け出した尾崎好美選手が2時間23分56秒で優勝した。「2時間26分を切って日本人トップ」という条件をクリアして、世界選手権の代表が内定した。終盤までトップグループ(3人)で頑張り、2位に入った中里麗美選手も2時間24分29秒で代表が有力。
 国内で2時間23分は久しぶりで、平坦なコースで、風も弱かったということもあるが、それぞれのランナーがベストパフォーマンスを発揮したと言える。
 トップグループから徐々に脱落していくサバイバルレースの趣が強く、私好みのレース展開だったが、何故か引きつけられるものを感じなかった。それは、このレースに限らず、ここ1、2年の国内マラソン中継に共通した感想だ。
 それが何故なのか、ずっと引っかかってきたが、今日、ようやく謎が解けた。

 ……それは、ペースメーカーが原因だったのだ。
 かなり以前から、ペースメーカーは存在していたが、主催者側、中継側は公にしたくない存在だった。しかし、好記録が求められる環境(要望)から、ペースメーカーは必須のものとなり、ここ10年ぐらい前から公に発表されるようになり、ナンバーカード(ゼッケン)も区別されるようにさえなった。どのくらいのペースで、何キロまでとかを設定・公表し、第2グループのペースメーカーまで用意されたレースもある。
 それにより、ペース配分(維持)で苦労することが減り、向かい風の時は風よけに利用でき、消耗を減少することができるようになった。
 しかし、それにより、レースも平坦なものになってしまった。
 30キロメートルまでペースメーカーがレースを引っ張ることが多いが、それまでは、淡々とレースが進み、それ以降、ようやく、レースが始まる感じとなる。しかも、それまで、ペースメーカー任せの走りをしていたので、ペースメーカーが抜けた後も、積極的にレースをリードしたり、作ることができないのだ。
 レース前は、30kmからが本当のレースとか、○○kmでスパートとか、思い浮かべているはずだが、30kmまで人任せのレースが続いていたので、なかなか、切り替えることができず、ペースメーカーが抜けた後も、なんとなく惰性で走ってしまうことが多いように思われる。
 以前は、スタート直後から「行けるところまで行ってしまえ作戦」とか、折り返し(レース中盤)で意表のスパートとか、飛ばし過ぎた先頭グループ全員がへばり、後方グループから一気にまくる展開とか、多彩で目が離せず、ドキドキしたものだった。
 今日のレースも、しっかりペースメーカーについて走り好タイムを刻み、その後、機を見てスパートし好記録でゴール。コースも平坦、レース展開も平坦で、つまらない。

 好記録が出るように、コースは平坦なものに変更、ペースメーカーも用意する(複数ある選考レースの条件を公平にする意味はある)。
 そんなレースで記録を出しても、世界に通用するとは思えない。だいいち、「2時間2時間26分を切る」という条件は緩すぎる。「最低2時間23分台」で良いのではないだろうか。
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女流名人位戦② ~4手目の岐路~

2011-02-19 11:44:19 | 将棋
 「ゴキゲン中飛車はずし」の▲6八玉

 この手に対し、後手に△8四歩と居飛車で来られるとやや損になり、振り飛車党に限り有効な手である。相手を選んだ手で、正道の手ではないと言える。(決して卑怯な行為と非難している訳でなく、勝負を争う立派な手段です)
 「あなたは居飛車ができないでしょ」と挑発し、自分の土俵に引っ張り込むのと、相手のゴキゲン中飛車を封じる両面の狙いがあった。ただし、最近、「ゴキゲン中飛車はずし」と言い切れない研究(実戦でも三浦八段-久保二冠戦で▲6八玉に△5四歩と進行している)が進められている。

 ▲6八玉に対し、後手は3つの手段が考えられる。
①△8四歩と居飛車を選択し、相手のリスクを突く
②△4四歩、△4二飛など△5四歩(ゴキゲン中飛車)以外の振り飛車を選択する
③△5四歩と突きゴキゲン中飛車を貫く

 ①は、▲6八玉を咎める手で、居飛車党なら迷わず着手する。ただし、振り飛車党にとっては、指し慣れない居飛車を指すというマイナスを伴う。この場合は、先手、後手共にリスクを背負って戦うことになるが、どちらのリスクが大きくなるかの勝負となる
 ②は苦手な居飛車を避け、ゴキゲン中飛車も危険と見て断念した無難な指し方。得意戦法を封じられ、気合負けの感が強い
 ③馬を作られて後手指しにくいと言われていたが、久保二冠がA級順位戦で指したことによって、評価が変わってきている。力将棋となり、事前の研究と将棋センスが必要。「ゴキゲン中飛車はずし」を無視、否定している手とも言える。

 先手の立場としては、
 ①はリスクを拡大させない苦労が伴うが、振り飛車党の居飛車は望むところか。
 ②は気合勝ちの上、ゴキゲン中飛車を封じたので、気分が良い。
 ③は上記のような実状から、簡単ではない覚悟が必要。ただし、△5四歩に対し踏み込まず(馬作りを目指さない)、ゴキゲン中飛車を容認する妥協も可能

 さらに、③の場合の事前研究での心理としては、後手はゴキゲン中飛車の成否にかかわる(初手▲7六歩に△5四歩とする手はある)ので、是が非でも△5四歩を成立させたい。さらに、先手に馬を作られたというデメリットに対し、如何に対応するかを考えればよいので研究の指針を立てやすい。
 逆に、先手は馬を作った後の後手の対抗策を絞りにくく、いざとなったら△5四歩に対し馬を作りに行かなければよいので、研究を進めにくい。

 とにかく、③の選択が生じたため、対局開始直後、いきなり一局を左右する岐路を迎えることになっている。
 8分後、里見女流名人は△5四歩!(第2図)

 おお、行った!
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夕焼け その4

2011-02-18 15:31:31 | 歳時
 昨年(2010年)10月29日に撮ったものです。

 個人的には、『夕焼けその3』(2月14日記事)のような、透明感のある夕焼けの方がすきですが、これはこれで印象的で、グッと迫ってくる感じに襲われます。
 ここまで原色っぽい色彩だったのか、撮ってから3ヶ月以上経っているので少しあやふやですが、かなり強烈だった印象が残っています。撮影時は「夕焼けモード」なので、肉眼よりは赤が濃くなるようなので、実際はもう少し赤が弱いのかもしれません。
 ちなみに、画像補正(オート)をすると

 随分違いますね。元の画像の方が実際に近いように思います。

 あと数枚、似たような写真ですが、載せておきます。



 5枚目の写真も、念のため画像補正してみました。
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女流名人位戦① ~“ゴキゲン中飛車はずし”返し~

2011-02-16 19:58:08 | 将棋
 決着がつく前に記事を書きあげようと思っていたのですが、もたもたしているうちに、里見女流名人が3連勝で防衛を果たしました。いずれの局も、清水女流六段にも勝味があり、惜敗と言っていい内容でした。それゆえ、却って、里見女流名人の強さを感じたシリーズでした。



 今回の女流名人位戦で、私が取り上げたい局面は二つ(第3局を含めると三つ)。奇しくも二つとも『週刊将棋』で取り上げられた局面だった。
 特に感じることが多かったのは、第二局の2手目▲6八玉(第1図)。

 この手は「ゴキゲン中飛車はずし」の手である。ところが、里見女流名人は構わず△5四歩(第2図)とゴキゲン中飛車を宣言。

 では、まず簡単に▲6八玉の意味を。
 この手に対し、ゴキゲン中飛車を目指すなら△5四歩と突く。この時、▲2二角成△同銀▲5三角と角交換から角を打ち込み馬を作ることが出来る。△4二角(A図)と角を合わせても

2六に成り返ることが出来る。
 これが3手目、通常の▲2六歩だと同じように進んだ時(B図)、

 2六に歩がいるので、成り返ることが出来ない。これが、ゴキゲン中飛車が後手番の戦法と言われる所以で、先手番で同じようにゴキゲン中飛車を目指すと、△8四歩と突いていない形なので、馬作りが成功してしまう。
 3手目▲6八玉(第1図)はゴキゲン中飛車を拒否した手なのである。
 ただ、この▲6八玉は形を決めてしまうという欠点があるので、△8四歩と居飛車で来られた時にはやや損になる一面もある。よって▲6八玉はゴキゲン中飛車の使い手の振り飛車党にだけ有効な手だと言える。

 この▲6八玉については、『将棋世界2月号』の「新・イメージと読みの将棋観」のテーマとして取り上げられている。
 各棋士の回答が、将棋観が垣間見られて面白かった。要約すると、
★渡辺竜王
 △8四歩と突かれたら先手の利はなくなるが、振り飛車党(居飛車を指さない)には積極的に採用すべき
★佐藤九段
 居飛車で来られると少し損(作戦の幅が狭くなる)なので、採用したことはない(指そうと思ったことは何度もある)
★森内九段
 居飛車で来られると少し損(▲6八玉が緩手になる恐れがある)なので、指さない
★谷川九段
 居飛車で来られると苦労するはず。実戦的には有効だが、相手を見ながら指し手を変えるというのはどうか?リスクのある手なので3手目に▲2六歩と突いてゴキゲン中飛車対策を考えた方がよい
★久保二冠
 本筋ではないが、対振り飛車党限定の一手として成立している。実際やられた経験はあるが怖い手ではない(△8四歩、△9四歩、△4四歩、△4二飛など多種の作戦を取り7勝2敗)
★広瀬王位
 先手が損なので先手番ではこの手は指さない。後手番ならありがたい(△8四歩と突く)

 この手の評価はともかく、ゴキゲン中飛車封じには有効とされていたが、何とそれを否定するかのように、里見女流名人は△5四歩(第2図)と指したのだ。

 実は、この『将棋世界』の取材の後(と思われる)、2010年12月16日、A級順位戦三浦-久保戦で三浦八段の▲6八玉に対して、久保二冠は△5四歩と突いている。
 △5四歩以下、▲2二角成△同銀▲5三角△3三角▲6六歩△同角▲7七桂△4二金▲2六角成△7四歩(参考図)と進んでいる。

 三浦八段の▲6六歩は歩を捨てることによって6七への金の進出を可能にして7七桂の桂頭攻めへの緩和を図った手だが、単に▲7七桂と受ける手も有力で、これにも後手は桂頭を攻め、先手は8六に角を成り返る展開になるらしい。
 ゴキゲン中飛車の使い手の里見女流名人はゴキゲン中飛車はずしの▲6八玉対策も研究しているはずで、当然、三浦-久保戦も知っていたと考えられる。8分の考慮での着手だった。
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『CONTROL ~犯罪心理捜査~』 第6話

2011-02-16 10:46:48 | ドラマ・映画
 今回は上っ面だけの浅さを感じました。

 テーマは「殺人被害者遺族の深い悲しみ、やるせなさ、憤り」でした。
 家族を理不尽な殺人や事故で失った悲しみは深く、年月を経てもポッカリ空いた穴は容易に埋まらないものだと思います。
 しかし、「悲しみは被害者でないと分からない」と言われてしまうとなかなか返す言葉がなく、「それを言っちゃあおしまいよ」と否定したくなります。まあ、それはともかく、そういった同胞意識と、埋めきれない心の穴、憤りによって、つき合いはあると言え、復讐を勧めたり、代わりに殺人を犯すというのはどうかと思います。
 まして犯人は人の命に関与する医師なのですから。子どもを失ってから20年、なかなか悲しみは癒えず、憤りは却って大きくなっていくものなのかもしれませんが、その悲しみにとらわれず生きる価値や命の重さを大切にする生き方をして欲しいと願うのですが……
 「殺してやりたい」と言った父親を止めなきゃならないでしょう。そそのかした上、凶器(ヒ素)を渡すなんて!

 さて、ドラマの浅さを感じる要素として
①里央(松下奈緒)の父親が引ったくり現場を目撃し、犯人を追いかけて逆に刺されて命を落としていたという設定が、今回、唐突に語られたこと。脚本が一話ごとに違うという欠点と言える。
②実は、最初の殺人、いかにも怪しい容疑者、証拠もそろっていた(ネットで犯行を語る、被害者に噛まれた跡のDNAが一致など)が、実は、噛まれて退散した容疑者の後に、真犯人が来て…というありがちなパターン化と思いましたが、全然違いました
 しかし、容疑者(犯人)が怪我したうえ、毒殺されてしまうという事態に陥ったとはいえ、裏付け捜査なく犯人を確定してしまいました。証拠はそろっていましたが、自供はしていないようだった、さらに、死亡して反論が出来ないのだから、事件をあのまま決着してしまうのは、実際問題としては怖いです。
③復讐の手段が毒殺というのは、どうなんでしょうか?悲しみ、憤りの末の復讐なら、毒任せ、しかも、死に至る瞬間を見ないというのは、納得いかないです。
④被害者が里央たちによって語られるだけで、彼女の生きていた当時の父娘のやり取りや、第2の殺人の犯人の医師とのやり取りの映像がないというのも、感情移入できない要因。

 里央の刑事観を語るエピソードの回として捉えればいいのでしょうか。
 主人公タイプとしては「ハンチョウ」とどうタイプだと思っていましたが、今回はその感が強くなりました。しかし、心情ドラマにしては、掘り下げ不足を感じてしまいました。
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