英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

14-15 Wリーグ プレイオフ/セミファイナル JX×トヨタ 第2戦

2015-03-31 22:21:52 | スポーツ
……JXの底力を感じさせた試合
……ベンチワークに疑問、いや、怒りさえ感じさせた采配だった
   (と書いたが、こういう試合、今まで何度も……だから、底力が上積みされていく?……)


―第1Q―
 JXの吉田→渡嘉敷のホットラインが繋がり、順調な立ち上がりと思えたが、このプレーで渡嘉敷が右足の太もも辺りを痛める。重症ではないようだが、足を引きずり気味の動き。この影響か、若干、JXオフェンスがぎこちなくなった。オフェンスの形は悪くはなかった(シュートセレクトは悪くなかった)が、宮澤、間宮のジャンプシュートが外れ、宮澤のドライブ、そのリバウンドから間宮のゴール下のシュートが連続して外れてしまう。
 この間に富士通は、栗原がこの渡嘉敷を抜いてドライブを決める。さらに、栗原がジャンプシュート、鈴木が3Pシュートを決めJX2-7トヨタ(1分57秒)とペースを握る。この後も、栗原、鈴木が要所でシュートを決める。
 このクォーター、栗原、鈴木とも8得点(鈴木は3Pシュート2本)。その他、近藤2点、川原2点得点バランスも良く、各オフェンスがよく機能していた
 JXの外郭シュート不調は、岡本にも伝染。3Pシュート3本を含む4本のシュートを放ったが、すべて外れた。それでも、渡嘉敷6点、間宮6点、宮澤4点とペイント陣が踏ん張り、JX16-20トヨタと4点差で第1Qを終えた

 22-12ぐらいでトヨタが10点差をつけていても不思議ではない印象だ。
 その印象が強いのは、トヨタのトラップデイフェンスが効果的だったことによる。ボール保持者に対し素早くディフェンダー2人が寄りつきプレッシャーを掛け、ターンオーバーを引き出すシーンが4度あった(内1回はアウトオブバウンドで逃れた)。

 このプレーに対し、JX・佐藤HCが激怒、
「なぜ、挟まれるのを待っているんだ。挟み込まれる前に動け。2人が自分のところに来たら、あとディフェンダーは3人しかいない。チャンスなんだぞ」
 これは、尤もの事のように聞こえるが、JXのオフェンスの場合、そうではない。JXはタッチダウンパスのようなパスも吉田は狙うことも多いが、「大きなパスを前線に送り、パスを受けたプレーヤーは駆け込んでくるプレーヤーにパスを出す」というシステムをしばしば使う。この場合、最初の前線に走ってパスを受けるプレーヤーは、直接ゴールを狙う意思は薄く、サイド近く寄って味方プレーヤーの到着を待つのが通常。しかし、この状況は、ボール保持者がサイドで孤立するという、トラップディフェンスの格好の餌食になりやすい。
 狙われたのが宮澤3回、間宮1回。ガード陣ならディフェンダーをかわすことも可能だが、サイドで孤立した状況で宮澤や間宮が突破するのは困難である(パスを出すつもりでボールを受けているし)。
 そもそも、そのリスクのある大きなパスを出すことに問題があると私は考える。

 タイムアウト時、佐藤HCの説教を、宮澤と間宮はうなずいて聞いていたが、≪なかなか難しいんだよなぁ≫という表情に見えたのは、私の考え過ぎか。


―第2Q―
 このクォーター、トヨタはドライブからのレイアップやフックシュートなどで得点を重ね(森4点、近藤4点、川原2点)、JXは吉田→宮澤のタッチダウンパス(2本)などゴール下を中心に得点を上げる(宮澤4点、渡嘉敷2点、間宮2点、大沼2点)。多少点差が上下するが、約4分で互いに10得点、JX26-30トヨタ
 均衡を破ったのはトヨタ。近藤、鈴木が連続で3Pシュートを沈め、JX26-36トヨタ、トヨタ10点リード(5分12秒)JX、タイムアウト
 この時、吉田に代え新原を起用。点差が開いてから吉田を下げるのは珍しいが、出場時間は20分が目途と言われており、第1Qからここまで15分以上フル出場なので、遅いくらいだ。(「30分ぐらいなら何とか」という本人の弁の情報もあり、それを考慮しても限界か)
 10点差に開き、吉田がベンチ、JXピンチと思われたが、渡嘉敷のドライブシュート、ディフェンスでのブロックショット、さらに間宮がオフェンスリバウンドからのシュートと踏ん張り、JX30-36トヨタ(6分21秒)
 さらにトヨタ・久手堅のシュートが外れ、JXのオフェンスで、“さあこれから”という時に、ドリブルでボールを運ぶ新原が背後から忍び寄る久手堅に気づかずスティールされてしまう。それでも、渡嘉敷が近藤の3Pシュートをブロックショットと敢闘し、宮澤のドライブシュートに繋げる。JX32-36トヨタ(7分23秒)と4点差に詰め寄る。渡嘉敷はブロックショット後のルーズボール争いで顔面を強打するものの、その数プレー後のオフェンスリバウンドを奪い宮澤にアシストパスを出している。まさに大車輪の活躍だ。
 しかし、宮澤がスクリーンプレーに掛かり、近藤をフリーにして3Pシュートを決められ。次のオフェンスで新原がドリブルをチップされターンオーバー。その直後、意思の疎通ミスで川原をフリーにして3Pシュートを決められ、瞬く間に10点差(JX32-42トヨタ、8分16秒)。
 JXは新原がオフェンスを組み立てられず、渡嘉敷がオフェンスリバウンドを頑張りファールをもらってフリースロー2本を決めるのがやっと。対照的にトヨタは、久手堅がゴール下に切れ込んでから外で待つ鈴木にパスアウト、これを鈴木が3Pシュートを決める。さらに前半終了間際に、久手堅が難なく新原を振り切ってドライブシュートのブザービーター。JX34-47トヨタで前半終了
 前半の残り2分30秒、JXはオフェンスが機能せずディフェンスも集中力を欠いてしまい、この間、2-11。点差は13点に広がった。


 富士通は、スクリーンを利用して3Pシュートがほぼフリーで打てていた(15-7、鈴木4本、近藤2本、川原1本)。外だけでなく、ドライブでの得点も多く、オフェンスのバランスが良かった。ディフェンスも集中力がよく、サイドライン付近のトラップディフェンスだけでなく、エンドライン付近でもボール保持者への寄り付きが素早かった。近藤のアグレッシブな動きと鈴木の的確なシュートが光った。
 JXは吉田のアシストパス(6本)以外は、個人技による得点がほとんどだった。吉田を消耗させてのこの点差は、後半の苦戦も免れそうもない。


 前半の得点
JX……渡嘉敷12点、間宮10点、宮澤10点、大沼2点
トヨタ…鈴木14点、近藤12点、栗原8点、川原7点、森4点、久手堅2点



―第3Q―
 後半立ち上がり、トヨタは集中力を欠いた。オフェンスでは2連続ターンオーバー。ディフェンスも甘く、JXに悠々3本のフィールドゴールを許した。吉田がハーフライン付近から宮澤にパス。宮澤がゴール下で待っている間宮にパスを通して、間宮が楽々シュート。間宮のこんなシュート、あまり見た記憶がない。JX40-47トヨタ(1分6秒)、後半開始1分で、一気に7点差に詰まった。
 しかし、この後、トヨタも森がオフェンスリバウンドを2本と、ゴール下のシュートと間宮のブロックショットを掻い潜ってのレイアップシュート、栗原がブロックショットするなど粘り強いプレーをして踏ん張る。
 JXは後半に入って、ディフェンスの圧力を強め、オフェンスも立て直してきている。インサイドアウトで岡本の3Pシュートをお膳立てする。しかし、ノーマークで良いタイミングだったが2本ともリングに弾かれてしまう。岡本はここまで5本3Pシュートを放つがすべてミス。それでもJXは何とかリバウンドを拾って得点を上げる。
 4分6秒、栗原がこのゲーム初の3Pシュートを決め、JX44ー54トヨタと10点差に戻す。栗原は3Pは初の試投だが、ドライブなどで8得点しており、これで11得点。このゲーム、トヨタのオフェンスはバランスが良い
 この後は、JXが吉田が3本のアシストパスを通せば、トヨタは近藤が3本のフィールドゴールを決めるなど拮抗した10点差の攻防が続く。7分2秒、JX50-60トヨタ。
 この間のプレーで、吉田が背中に手を回してゴール下の間宮に通すキラーパスが飛び出す。まるでNBAのプレーである。これに触発されたのか、トヨタの鈴木がフックシュートのようなトリッキーなパスを試みるが、あえなく失敗。このプレーにトヨタ・後藤HCが怒ったのか、呆れたのか、≪鈴木は疲労困憊している≫と考えたのか、鈴木はベンチに下げられてしまった。
 また、先の2本の3Pシュート失敗後、さらに岡本が3Pを放つが失敗。シュートセレクトやタイミングやタッチも悪くない。1本でも決まればビシビシ決めてきそうなのだが。
 岡本の不調に加え、JXに更なるピンチが。JXの50点目を決めた渡嘉敷が、シュートの着地でバランスを崩し、あおむけに転倒し後頭部を強打。しばらく動けず、ベンチに下がる。意識がもうろうとしている感じだ。この試合の渡嘉敷、太もも、顔面、後頭部と踏んだり蹴ったりである。これで、吉田を休ませられなくなってしまった。

 渡嘉敷が下がったことにより、JXのオフェンスは単調になりミドルショットを放つのみ、また、パスミスも犯してしまう。ゴール下でも相手に続けてオフェンスリバウンドを捕られたうえ、森にファール、バスケットカウントの3点プレーを許してしまう。8分36秒、JX50-63トヨタ。
 堪らずJX、渡嘉敷をコートに戻す。
 ≪え?渡嘉敷を出すの?しばらく休ませた方がいいのでは?≫タイムアウトもあったので、渡嘉敷の休息時間は3分強。
 復帰後も渡嘉敷はリバウンド&シュートと活躍し、動きも平常通りだが、やはり頭部の強打は心配だ。

 第3Q終盤は、ディフェンスがオフェンスを抑えたと言って良いのか、オフェンスがディフェンスを上回れなかったと言ったほうが良いのかは微妙だが、トヨタは矢野の2P、JXは渡嘉敷と宮澤の2P各1本に留まり、JX54-65トヨタで第3Qが終了
 このクォーター、トヨタは森と近藤の精力的な動きが光った。JXは、やはり吉田のゲームメイクと渡嘉敷(10点)頼り(間宮6点、宮澤4点と活躍するが)。岡本の3Pがここまで7-0なのが痛い。岡本が当たり出せば、JXは楽になるのだが。


―第4Q―
 トヨタはペイントを攻めるが、JXの分厚いディフェンスに跳ね返される。JXは吉田がゴール下へ2本素早いパスを通し、58-65(1分3秒)
 トヨタは久手堅がゴール下に切れ込んで矢野にパスアウト。しかし、イージーなミドルショットに関わらず矢野がシュートミス。これに対し、JX、吉田がゴール下の渡嘉敷へループ気味のパスを通し、JX60-65トヨタ(1分34秒)、一気に5点差だ第3Qと言い、このクォーターと言い、トヨタの立ち上がりの集中力を欠いたプレーは、一体どういうことか?
 ここで、トヨタ・矢野が先ほどシュートミスの埋め合わせと、巧みなフェイントでディフェンダーを振り切り、また、栗原もこの矢野に合わせたパスを合わせ、矢野、ノーマークのレイアップシュート。JX60-67トヨタ(1分53秒)
 この後、両チームよく守り、膠着状態がつづくが、3分56秒、ペイントエリアトリオが渡嘉敷→宮澤→間宮と素早いパス回しで均衡を破る。JX62-67トヨタ
 トヨタも久手堅と鈴木のピック&ロールで譲らない。JX62-69トヨタ、4分13秒。
 JX、渡嘉敷のパワープレーで5点差に。JX64-69トヨタ、4分28秒
 次のプレーが、一つの山だった。トヨタがオフェンスリバウンドを2本拾い、しつこくオフェンスを継続しする。ここで吉田がファールを犯す。これで4ファール(トヨタでは森が4ファールになっている)。吉田のプレータイムは30分を超えた。吉田がファールアウトになるか、スタミナが切れるか?どちらにしても、吉田にすべてを託す(頼る?)JX。
 トヨタのスローイン。ゴール下の久手堅にボールが回る。マークは吉田。4ファールの吉田なので、厳しいディフェンスはできない。それでも久手堅に体を寄せて両手を広げる最善のディフェンス。これに対し久手堅、バックハンドのバンクショット。これがリングに嫌われ、トヨタ・森とJX・間宮がリバウンド争い。これが、ジャンプボールシチュエーションとなり、JXボール。このトヨタのオフェンスを44秒間、JXは耐えきった。
 トヨタのディフェンスは、ボールを運ぶ吉田にプレッシャーを掛け、センターライン付近でパスを受けた渡嘉敷にダブルチーム。しかし、さすが渡嘉敷、これに動ぜず、吉田にリターンパス。数秒後、吉田がゴール下の渡嘉敷にパス。トヨタ。栗原が、このパスを読み、カット、アウトオブバウンド。トヨタも必死のディフェンスだ。
 JX、エンドラインからのスローイン、ショットクロックは残り8秒。ここで、渡嘉敷がマークの鈴木をかわしてパスを受け、難なくシュート。JX66-69トヨタ、ついに3点差(5分29秒)。
 トヨタのオフェンス、近藤が3Pシュートを放つが入らず、JX・吉田がペイントまで運び、間宮にパス。間宮、素早くシュート。これを阻止しようとした森だが、ファール。ファールアウト。
 間宮のフリースロー、1本外れ、JX67-69トヨタ、5分52秒。完全にJXペースだが、まだトヨタが2点リード。
 ここで、森に代わってコートに入った矢野が、老練の技を見せる。間宮との1対1。ドライブと見せかけてターン。この時マークしていた間宮を、ターンの一連の動作の中で間宮を突き飛ばす。間宮のけぞるが、矢野のターンに振られただけと審判は判断。矢野、悠々、フェーダウェイシュート。JX67-71と4点差に戻す(6分12秒)。
 トヨタはゾーンディフェンス。JXはこのクォーター2本目となる岡本の3ポイントを試みるが、またもミス。これで9-0。ここまで岡本に3Pシュートを挑ませるとは……ちょっと感心、感動。そう言えば、タイムアウト時「岡本の3Pを狙え。外れても皆でリバウンド」という指示を出していた。指示通り、リバウンドはJXが確保。渡嘉敷がゴール斜め下に飛び込む。これに合わせて吉田がパス。渡嘉敷、ジャンプしたままシュート!再び、2点差。JX69-71トヨタ、6分26秒。
 トヨタのオフェンス、一度アウトオブバウンドになり、ショットクロック11秒でスローイン。
 残り9秒でボールを受けた久手堅は、トップの位置でドリブルしながらオフェンスを模索する。矢野がスクリナーとなって打開しようとするが、久手堅は始動しない。残り1秒で鈴木にパスしたが、24秒オーバータイム。久手堅、時間を勘違いしたか?
 残り3分8秒、JXのオフェンス。吉田、バックコートのシュートサークル付近からフロントコートのシュートサークル付近にいた間宮にロングパス。さすがにこれは雑で、間宮と鈴木が交錯。こぼれたボールを渡嘉敷が拾いゴールに切り込む。矢野が渡嘉敷に備えるが、コーナーで開いて待っていた岡本にパス。このクォーター、ここまで2度失敗している。……リングをかすめてとネットに吸い込まれる……
 10本目のトライでついに成功!残り3分0秒、JX72-71トヨタ、逆転!
 まだ1点差、トヨタ・近藤が岡本をかわしてドライブを試みるが、そこをすかさず吉田がスティール。バテバテの吉田だが、演技だったのではと思わせるスピードでドリブル、先を走る渡嘉敷にパス。渡嘉敷もトヨタのディフェンダーを追い抜く物凄いスピードでレイアップシュート。イージーシュートに思えたし、柔らかいタッチだったが、スピードがあり過ぎてバックボードのバウンドがほんの少し大きくなり、リングからこぼれる。このリバウンドを、吉田と矢野が競り、矢野がラストタッチでアウトオブバウンド。
 JXのスローイン。トヨタもここを凌げば、まだまだ勝機がある。トヨタも必死のディフェンス。JXも何とかペイントの高い位置の渡嘉敷にボールを入れる。渡嘉敷、ミドルシュート!
 しかし、力が入ったのか、大きい。そのリバウンドを間宮がキャッチ、そのままシュートに。鈴木のチェックが入るも(鈴木のファール)構わずシュート。バスケットカウントになり、JX75-71トヨタ、残り2分20秒。
 トヨタもあきらめない。鈴木が渡嘉敷の頭越しのフローターシュートを決め、2点差。JX75-73トヨタ、残り2分5秒。
 JXオフェンス。トヨタのゾーンディフェンスに攻めあぐみ、ショットクロック残り5秒でようやくペイントゾーンの渡嘉敷にボールが入る。この瞬間、ファールのコール。渡嘉敷とポジション争いをしていた栗原が、“肘を使った”と見なされファール(4ファール)。渡嘉敷がフリースローを2本とも決め、JX77-73トヨタ、残り1分44秒。
 トヨタ、タイムアウト。スクリーンを使って栗原か鈴木に3Pを打たせる指示だったと思われる。
 スローイン後、鈴木から栗原にボールが渡ったが、渡嘉敷が素早くチェックに行く。完全なフリーではないが、栗原、3Pシュート。これが外れ、大きくリバウンド。渡嘉敷と矢野が競り合う。テレビの画面では渡嘉敷が最終タッチだが、アウトオブバウンドの跳ねた方向が変わったことを考えると、その後、ふたりのどちらかに触れているはずだが、画面では二人の陰で判別できない。
 判定は「JXボール」。矢野は“こいつが出したんだ”と渡嘉敷を指差す。近くにいた栗原も≪そんなぁ≫という顔。さらに、目の前で見ていたトヨタのベンチも≪え~?トヨタボールのはず≫と残念がる。ただ、露骨な不平、不満顔にならないのは、流石である。
 残り1分38秒、JXのオフェンス。吉田→間宮→宮澤→間宮とボールを回すが、外を回すだけでトヨタのゾーンディフェンスを崩すには至らない。ここで渡嘉敷がスルスルとペイントゾーンに入り込む。栗原が渡嘉敷に注意していたが、マークに行かない。スペースを守るゾーンディフェンスの弱点か?(高い位置にいた久手堅がマークすべきだったのかもしれない)
 ほぼノーマーク状態の渡嘉敷にパスが入る。栗原がパスカットに入る間に合わず、悠々ゴール。もしかしたら、栗原は意識的に渡嘉敷をオープンにして、パスカットを狙ったのかもしれないが、それにしては、渡嘉敷をフリーにし過ぎた。JX79-73トヨタ、残り1分20秒。
 残り1分20秒で6点差、逆転は可能だが、何となく「JX勝利」の空気が充満。この試合の流れから言うと無理もないか。
 それでも、可能性を信じて川原3Pシュート、矢野リバウンド、久手堅3Pシュートと攻めるが、決まらない。さらに川原がリバウンドボールを手にするが、吉田との衝突を避けようとして転倒、アウトオブバウンド。
 残り55秒で6点差のJXボール。さすがに勝負あり。この後、久手堅スティール→川原ドライブシュート、川原の3PシュートでJX81-78トヨタと3点差に追いすがるが(残り34秒)、ファールゲームもうまくいかず残り9秒で渡嘉敷に3Pプレーを決められ(2Pシュート+フリースロー)、結局、JX84-78トヨタで試合終了。JXの逆転勝利。


 トヨタは第1戦の惨敗からよく立ち直り、バランス良いオフェンスを組み立て、ディフェンスも頑張ったが、最後に力尽きた。(鈴木18点、近藤18点、川原12点、栗原11点、森11点、矢野6点、久手堅2点)
 惜しむらくは、第3Qと第4Qの立ち上がりに集中力を欠き点差を詰められたこと。あと、久手堅はよく引っ張ったが、3Pシュート7-0、2Pシュート9-1とシュートが不調だったのが痛かった。またチームとしても、前半15-7と決まっていた3Pシュートが、後半は12-2(第4Qは8-1)と入らなかったのもJんお追い上げを許した一因であろう。

 JXは渡嘉敷39得点、吉田14アシストと凄みを発揮、≪結局、このふたりか≫と今回も実感。
 もちろん、間宮も24点、宮澤16点とフォワード陣は活躍。しかし、その他の得点が岡本の3Pシュートと大沼のミドルシュートの5点のみという偏り、弱点と言えるが、それを通り越して、呆れてしまう。


 しかし、相変わらず“吉田に代わるポイントガードの不在”の弱点は抱えたまま。
 吉田に代わってコートに出る新原がほとんど使えない(能力的に)。この状況は数年続いており、何ら解消しないコーチスタッフは“能が無い”としか言えない。吉田が完調ならまだしも、開幕から故障が癒えない状況であったというのに。
 今回、ある程度回復してきていたとは言え、プレイタイムは20分が目途(最大30分)というのに、第3、第4Qはフル出場で35分のプレイ時間。≪吉田が潰れてもかまわない≫と考えているのだろうか?
 後頭部を強打した渡嘉敷の起用も同じことが言える。一時的に意識が朦朧としてプレイできない状態だった(痛みによるプレイ不能かもしれない)。渡嘉敷はJXの主力であるが、日本バスケット界の至宝である。いや、至宝でなくとも、目先の勝利の為に、頭部を強打して生命あるいは一生に関わる損傷につながる可能性を顧みず、コートに復帰させるのは、如何なものだろうか?
 第2戦を失っても第3戦に勝利すればよいと考えて、吉田と渡嘉敷をベンチに下げて、他のメンバーで戦う選択もあったはずだ。

 目先の10分、目先の1勝、目先の優勝しか目に入らない佐藤HC。
 選手の育成、健康管理にも無関心のようである。
 もしかすると、JXの将来なんて視野にないのかもしれない。

 JXが優勝して、佐藤HCが全日本の監督となって指揮を取るのは支持できない。
 作戦的にもチームマネージメントもマイナス。“むのう”どころか“ゆうがい”である。


 ファイナルでは、テーブスHC率いる富士通が、JXを破って欲しい。
 個々のポテンシャルも高く、戦術面に優れているので十分可能性がある。
 さらに吉田を封じることができれば、その可能性は高くなる。
 もっと勝負に徹するなら、第1、第2戦は吉田を消耗させることに重きを置く。

 でも、実際にファイナルを観戦するとJXを応援するんだろうなあ……
 
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14-15 Wリーグ プレイオフ/セミファイナル デンソー×富士通 第2戦

2015-03-25 23:35:17 | スポーツ
大波小波が寄せては返す……白熱の好ゲームだった。“ほぼ名勝負”と言って良いだろう(“名勝負”の条件は厳しい)

―第1Q―
  0分11秒……富士通4-0デンソー
  1分43秒……富士通4-4デンソー
  2分47秒……富士通9-4デンソー
  4分03秒……富士通9-10デンソー
  7分55秒……富士通20-10デンソー
 第1Q終了……富士通23-16デンソー

 序盤、富士通は篠崎が3Pシュートを決めるなど5得点、山本も4得点で9-4とリード。
 デンソーは、0-4とリードされた時点で、ガードを大庭→伊集にチェンジ。高田、伊藤を中心に(各4点)反撃、10-9と逆転。
 今度は、富士通が篠崎、山本の3Pシュートを含む一気に11連続得点。この間、デンソーは3連続ターンオーバー+2シュートミス。
 初戦を落としたデンソー、≪このまま、持っていかれるか?≫と思われたが、タイムアウト(7分5秒、19-10)後、オフェンスリバウンド3本など、粘りあるプレーで藤原の2本の3Pシュートにつなげた。
 第1Qの得点
富士通23点………山本12点(3Pシュート2本)、篠崎8点(3P2本)、町田2点、長岡1点
デンソー16点……藤原6点、高田真4点、伊藤4点、牛田2点

―第2Q―
 デンソーのディフェンスが本領を発揮し、そのプレッシャーに富士通は24秒オーバータイムとシュートが外れる。
この間、デンソーは高田のフリースロー2本と、伊集のジャンプシュートで差を詰める。
  0分45秒……富士通23-20デンソー
 ここで富士通はディフェンスで踏ん張る。マンツーマン、ゾーン、その中間と巧みにディフェンスを切り替える。デンソーはこのディフェンスに手を焼き攻めあぐむ。
 この辺り、互いにオフェンスミスが続くが、富士通はデンソーのディフェンスのプレッシャーに苦しみつつも、しつこく粘って山本の3Pシュート、オフェンスリバウンドをつないでの三谷のジャンプシュート、名木がオフェンスリバウンドからそのままゴール下でシュートを決める。
 富士通は苦しみながらもチームのオフェンスの形を作るので、オフェンスリバウンドも取れるのに対し、デンソーはオフェンスの形まで行かずオフェンスのリズムも乱れ、高田がフリースローを1本決めただけ。そして、やはりオフェンスを粘った富士通が町田の3Pシュートで差を11点に広げた。
  5分09秒……富士通33-21デンソー

 デンソーは6分2秒にようやく伊藤が2Pシュートを決める。約5分20秒振りのフィールドゴールだ。
 この後、富士通・町田のアシストパスをゴール下で受けた長岡が決めたが、デンソーも「吉田→渡嘉敷」を彷彿させる伊集がゴール下の高田にパスを通し、それを名木・篠原に挟まれつつも高田がゴールを決めた。篠原のファールもあったので3点プレーとなった。このプレーで流れが変わり、吉田の3Pシュート、高田のゴール下シュートとフリースローで点を重ね、前半は、富士通37-33デンソーの4点差で終えた。
 富士通・テーブスHCがハーフタイム時に「高田への寄り付きが遅れた」と反省の弁を述べていたが、ほんの一瞬の遅れを突く高田を褒めるべきであろう。

 ゲームの内容としては、富士通の方が自分たちのプレーができていてペースをつかんでいた。4点差というのは、デンソーが良く踏ん張ったと言えるが、ラッキーと言っても良い。
 高田(真)は前半14得点(フリースロー6点)。上述したように、前半終了間際に高田に点を重ねられてしまったが、「ダブルチームを早くする」とテーブスHCは述べていたが、高田にボールを入れさせない手もある(第1戦はそうだった)。

 第2Qの得点
富士通14点……山本3点、町田3点、長岡2点、篠原2点、三谷2点、名木2点、
デンソー17点…高田真10点、吉田3点、伊藤2点、伊集2点
 前半の得点富士通37-33デンソー
富士通……山本15点、篠崎8点、町田5点、長岡3点 
デンソー…高田真14点、藤原6点、伊藤6点、吉田3点

―第3Q―
 デンソーはスタメンの大庭、高田(汐)に代えて、伊集、藤原を起用。
 最初の攻撃、デンソーは2度、高田にボールを入れるが、強く攻める意志はなく藤原にパスを回し、藤原が3Pシュートを決め1点差。前試合は不調だった藤原だが、今日はシュートタッチが良く、このゲーム、3本目の3Pシュート。
 対する富士通も長岡が高田(真)のマークを振り切ってドライブシュート。前半、長岡や篠原の得点が少なかったが、この二人が働き出すと富士通のオフェンスは厚みを増す。
 デンソーは高田がゴール下3人が構えているのにも拘らず、ドライブ+フローターのシュートを試みるが、流石に強引でミス。これにつき合うように、富士通・山本が不用意なパスミス。
 伊集が巧みなフローターシュートを決めた後、またもや山本が安易なパス。パスカットされ、そのまま、ワイドオープンの伊藤に3Pシュートを決められ、富士通39-41デンソーと逆転を許す。この時間帯、富士通、エアポケットに入ったようなプレーだ。すかさず、富士通・テーブスHC、タイムアウト。
 「安易なプレーはするな。もっと動け」という指示だったが、ジャンプボールシチュエーションからのスローインの呼吸が合わない。町田が入れたボールを長岡が全く見ていなかったというボーンヘッド。
 この後、牛田がドライブを決めて、富士通39-43デンソー。前半残り5分から、デンソーが22-6と走る。
 嫌な流れの富士通だったが、ここでコートに入ったばかりの三谷がジャンプシュートを決める。
 しかし、デンソーもゴール下でボールを持った高田へのダブルチームに対して、ブラインドサイドに走り込んできた牛田がボールを受けシュート。デンソーが待ち望んでいたオフェンスが出た。
 ここから約2分間、藤原の3Pシュート1本(このゲーム4本目)以外、シュートが入らない。特に、富士通は長岡のターンオーバーも出て苦しい展開が続く。富士通41-48デンソー
 5分1秒、ドライブした山本からパスアウトされた町田が3Pシュートを決める。やや高い位置のプレーだったが、このプレーは大きかった。止まっていた足も蘇ったように感じる。
 デンソーは先ほどと同じパターンで高田→牛田のパスが通るが、チェックが厳しかった分だけ牛田のシュートがこぼれる。このこぼれ球を、町田が運び、そのままドリブルシュート。ドリブルに緩急をつけ、相手ディフェンスの高田までもスクリーナーのように利用して、マークしていた伊藤を振り切ってのゴールだった。
 さらに伊集のドライブを篠崎が厳しいマークで防ぎ、ペイントゾーンに切り込みパスを受けた町田が、ワンハンドのサイドスローでパスアウト。これを山本が3Pシュート!先ほどまでの沈滞はなんだったのかという、富士通だ。山本も4本目の3Pシュート。富士通49-48デンソーと逆転(6分11秒)
 この後、2ターン(シュート機会としては3回)、オフェンスミスを繰り返した後、藤原がまたも3Pシュート(5本目)を決める。富士通49-51デンソー(7分49秒)、逆転!
 8分26秒、山本が3Pシュートを入れ返し(5本目)、逆転!富士通52-51デンソー
 山本、藤原、意地の張り合いだ。先の藤原が3Pを決めた前も、互いに1本ずつ3Pを放っている(ミス)。
 今度は藤原からゴール下へのパスを受けた高田がシュートを決め、富士通52-53デンソー。この後も、富士通・山本のレイアップシュート、デンソー・伊藤のフェーダウェイシュート、山本のフリースロー2本、さらにデンソー・牛田のジャンプシュートが決まったところで、第3Q終了。富士通56-57デンソー
 第3Qの得点
富士通19点……山本10点、町田5点、長岡2点、三谷2点
デンソー24点…藤原9点、牛田6点、伊藤5点、高田真2点、伊集2点
 通算得点富士通37-33デンソー
富士通……山本25点、町田10点、篠崎8点、長岡5点、三谷4点 
デンソー…高田真16点、藤原15点、伊藤11点、牛田8点、伊集4点


―第4Q―
富士通・テーブスHC
「いいところで我慢できた。
 ファイナルに行きたいでしょ。
 逆サイドの選手の足が止まっている。
 ここからは体力勝負だよ」
富士通……町田、篠崎、山本、篠崎、三谷
デンソー…伊藤、伊集、藤原、高田真、牛田でスタート。

 最終クォーター、互いに2度オフェンスを決められない。まさに体力勝負、気力の勝負の様相を呈してきた。
 ここで、富士通篠崎が体を流しながらフロー他気味のジャンプシュートを決める。富士通58-57デンソー(1分43秒)。一体何度目の逆転だろうか?
 牛田、ターンオーバー。篠崎と長岡がチェンジ。
 長岡のシュートのリバウンドを牛田がこぼし、三谷が3Pシュートを放つも外れる。
 2分30秒間で決まったシュートは1本だけ、膠着状態。デンソーのオフェンスも突破口が見いだせず、外郭でパスを回すのみ。3ポイントラインの外側1m弱で藤原にボールが渡るが、パスの送り先が見つからず、ドライブもできず、ショットクロックが迫るなか、苦し紛れにシュート。ところが、これがネットに吸い込まれ、この日6本目の3Pシュートとなった。富士通58-60デンソー(2分55秒)
 この後、富士通・篠崎がトラベリングを取られたところで、デンソーがタイムアウト。

 オフェンスの確認の他、「体力(回復)のタイムアウトだよ」の意図であったが、これは逆転され,
しかも、ターンオーバーを犯した富士通にとってありがたいタイムアウトだったのではないだろうか?
 タイムアウト明けのデンソーのオフェンスは、指示が生かされず機能せず、伊藤の3Pシュートは失敗。その前のオフェンスも3Pシュートが決まったもののオフェンス内容は良くなかった。「体力回復」などと余裕を見せている場合ではなかったはずだ。
富士通、三谷に代わり篠原がコートイン。
 ディフェンス牛田のファールで、富士通はエンドラインからスローイン。スクリーンを使ってゴール下に切れ込んだ篠崎にパスが入り、難なくシュート。富士通60-60デンソー(5分47秒)
 デンソーのオフェンス、ペイントでボールをもらった高田がシュートを放つが外れる。これを牛田が飛び込みリバウンド。伊集が3Pシュートを狙うが外れる。少し安易なシュートだった。
 富士通のオフェンス45度の位置でボールをもらった長岡が、ドリブルでペイント内に持ち込みターンアラウンドシュート。長岡をマークしていた高田を見事に振り切ったシュート。富士通62-60デンソー(4分26秒)。
 長岡はシュートの直前まで、パスの送り先を模索していた。また、他の富士通の選手も、よく動いてディフェンダーを翻弄していた。ここ数プレーのオフェンスの質は、遥かに富士通が良い。
 デンソー・伊集が遠い位置からの2Pのジャンプシュート。これも漫然としたオフェンスで高田で攻める意志がない。高田も攻める意志がない。
 富士通のオフェンス、ペイント付近でパスを受けた長岡が、振り向きざまのフェーダウェイシュート。良い首都セレクトとは思えないが、これが成功。富士通64-60デンソー(5分8秒)。
 途中のプレーで「山本にダブルドリブルがあったのではないか」と小嶋HCは審判にアピールしていたが、一旦、デンソー・伊藤の足に当たっているので問題はない。第一、そんなことを文句を言う場合ではないだろう。
 タイムアウトを取って、プレイを立て直す指示を出すが、どうもポイントが絞れない。
 「鉄砲も数撃てば…」で、「牛田がハイポストで、ゴール下に高田」という指示が功を奏す。富士通64-62デンソー(5分21秒)
 タイムアウト時の富士通の指示は「高田にダブルチーム。藤原に3Pシュートを打たせない」と、ベンチレポート。
 富士通のオフェンス、トップの位置でボールをもらった長岡が、ドライブ。簡単に高田を抜いてシュート。富士通66-62デンソー(5分47秒)。≪どうしたんだ?高田≫とはてなマークが浮かぶディフェンスだった。
 デンソーのオフェンス、高田がペイントで待つも、篠原がしっかりマークしてパスをもらえない。我慢しきれず、外に出てパスを待つが、ショットクロックが残っておらず伊集が3Pシュートを放つが外れる。同様な漠然としたオフェンスが3度続いたデンソー。
 富士通・長岡がドリブルでエンドラインに切り込むが、ディフェンスの伊藤のヘルプが鋭く、ジャンプボールシチュエーション(デンソーボール)。長岡、少し調子に乗り過ぎたか?
 デンソーのオフェンス。伊藤がセットプレーのサインを出す。伊集がトップの位置でボールをもらい、すぐさまゴール下の高田にパスを出すが、伊集をマークしていた篠崎が必死に手を伸ばしパスに触れ、軌道が変わり、パスが通らず。
 篠原、ゴール下でシュートを試みるがトラベリング。たまたま、ターンオーバーになってしまったが、デンソーディフェンスは虚を突かれた感があった。
 デンソーのオフェンス、富士通・篠原にファールがあり、エンドラインからのスローイン。これに、伊集が合わせ、すぐさまジャンプシュートを決める。富士通66-64デンソー(残り3分2秒)
 富士通のオフェンス、オフェンスリバウンドを2度捕り、オフェンスを継続させる。今期からオフェンスリバウンド後のシュートクロックは14秒と短縮されたので、ゆっくりオフェンスを立て直すことはできないが、細かくパスを回す富士通。デンソーも必死にチェックに行く。この攻防が勝敗を分けるかもしれない……………………山本に…山本にボールが渡った。3ポイントラインの外側、右30度の位置、しかもノーマーク!
 弾むようにジャンプシュート。僅かに左にずれるが、ネットに沈んだ。富士通69-64デンソー、5点差!(残り2分14秒)
 このプレー、山本をマークしていた伊集が、何を思ったのかボールを追いかけ、山本をフリーにしてしまった!この3ポイントシュートは大きい!
 デンソーのオフェンス、高田がスクリナーになり、ボールをキープしていた伊藤をフリーに。これに応え、伊藤がトップの位置から3Pシュートを決める。富士通69-67デンソー、2点差!(残り1分49秒)。まだ分からない。
 富士通のオフェンス、シュートクロックぎりぎりで長岡がシュートを放つが外れる。ここはデンソーがよく守った。
 残り1分25秒、デンソーはペイントゾーンに誰も入らず、遠い位置でパスを待つ。トップの位置の伊藤が右45度の牛田にパス。高田も高い位置に移動し伊藤のマーカーの町田に近づく。先ほど伊藤をフリーにしたスクリーンプレーの再現だ。
 しかし、高田のマーカー篠原がこれを読み、伊藤に立ちふさがる。窮した伊藤は伊集にパス。さらに高田へパス。この時シュートクロックは1秒。高田もパスに備えており、即座にシュートを放つが、惜しくもリングに弾かれる。これを牛田が飛び込んで抑えたが、コーナーギリギリの位置。何とかパスを出すが、ボールは篠原の手に。
 残り54秒、富士通は無理せず時間一杯使って攻撃したい。ところが、篠原にパスが入った瞬間、藤原が猛ダッシュしてダブルチーム。苦しくなった篠原がパスを出すが、これは相手の伊集に出したかのようなパスだった。

 伊集、ドリブルで走るが、篠崎もピタリとマーク。2点差なので、味方の到着を待ってオフェンスを組み立てればよい。残り30秒
 高田、伊藤と渡り、残り27秒
 トップの位置でドリブルしながら機を窺う伊藤、残り24秒
 残り20秒(シュートクロック8秒)、伊藤がセットプレーのサインを出す。高田が伊藤のマーカー町田に近づき、スクリーンを掛けようとする。高田をマークしていた篠原も追随。
 予定通り、高田が町田にスクリーンを掛け、左サイドのオープンスペースに走り込む。伊藤は右にドリブル。町田と篠原が伊藤にダブルチーム。ゴール下にはフリー気味の牛田がいるが、パスコースに長岡がいる。近くには伊集がいるが篠崎がぴったりマーク。藤原は右サイドにややオープンで待っているが、パスコースに篠崎がいてパスは危険。シュートクロックは残り5秒。
 伊藤はパスコースを探してさらに右にドリブル。町田、篠原が追う。ボールをもらいに伊集が近づく。伊集をマークしていた篠崎は伊藤にプレッシャーを掛ける。篠原はゴール下に向かう。シュートクロック残り3秒。
 フリーになった藤原にパスを出そうとする伊藤、シュートクロック残り2秒。篠崎と町田が猛然と伊藤にプレッシャー。何とか、パスを出す伊藤。しかし、パスは藤原の1m右側に逸れる。
 藤原、体勢を伸ばして何とかキャッチ、シュートクロック残り1.2秒。体が右に流れながらジャンプシュート!シュートクロックは1秒残っていた。
 しかし、リングに当たり、左にこぼれる。リバウンドに備えてリング下に位置した篠原だったが、その篠原の右手も及ばず、後ろから飛び込んだ高田がキャッチ……したかに思えたが、着地時、不運にも篠原篠崎(再度確認したところ篠崎の足でした)の足に引っ掛かり、転倒。ボールは無情にも長岡の手に。残り10秒。
 町田に藤原がファールして、時計を止める。残り5秒。タイムアウト。
 2点ビハインド、残り5秒。ボールは富士通。奇跡が起きない限り、富士通の勝利は堅い。
 スローイン後、富士通は確実にボールを回して、試合終了。富士通69-67。富士通が2連勝でセミファイナルを制し、ファイナル進出を決めた。

 勝負を分けた、デンソーのセットプレイ。
 分岐点は2つあった。
 スクリーンを掛けた高田が左サイドのオープンスペースに走り込んだ。パスを通すのは簡単ではないが、“非常に困難”というほどでもなかった。ここで高田にボールが渡れば、完全にフリーだった。エースの高田に託すのがファーストオプションであるはずで、疑問の選択だった。
 もう一つの分岐点は、ボールをもらいに伊集が近づいた時。伊集をマークしていた篠崎は伊藤にダブルチームに行ったので、伊集にボールが渡れば、ゴールから遠かったが、藤原よりも楽に打てる可能性は充分あった。
 もちろん、サインプレーなので第1オプションが藤原だったのかもしれない。それに、瞬時で的確に判断するのは至難である。


 通算得点
富士通……山本28点、篠崎12点、長岡11点、町田10点、三谷4点、篠原2点、名木2点 
デンソー…高田真18点、藤原18点、伊藤14点、牛田8点、伊集6点、吉田3点


 大熱戦だった。
 第1Qの10点リード、第2Qの12点リードした時点で、富士通の快勝もあり得た。
 そこをよくデンソーも踏み止まり、第3Qはデンソーペースに持ち込んだ。
 ここで、町田が踏ん張ったのが大きかった。良いポイントガードだ。「JXに欲しい」と言ったら、エスカルゴさんに「贅沢を言わないで」と叱られるだろうなあ。
 富士通・山本、デンソー・藤原の3ポイント合戦も見応えがあった。


 試合全般を通して、富士通の方が意志のある質の高いプレーを貫いた。その意味では、富士通が勝つべき試合だったと言える。
 デンソーは高田を活かせなかった。今後のキーポイントは牛田。牛田はスピード、瞬発力もあり、ポテンシャルの高い選手である。ただ、あまりに、リバウンド(特にオフェンスリバウンド)に固執し過ぎているように感じる。しかも、ボールに集中するあまり、リバウンドを捕った後の処理に失敗することが多い。
 身体の線が細いので、ゴール下のポジション争いは苦しいが、飛び込んでオフェンスリバウンドを捕るより、高田のフォローに回った方が、高田も楽であるし、牛田もポテンシャルを生かせる。デンソーのオフェンスも幅が出る。この試合もそうだが、JXを倒すための必須条件だと思う。
 あと、疑問に思ったのは、大庭がコートに出たのは、試合開始時の1分だけだったこと。伊集の調子が良ければいいのだが、膝に故障を抱えているみたいだし、シュートタッチやガードとしての判断も今一つだった。流れが悪い時に大庭を投入すべきと思ったが、体調が悪かったのだろうか?
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14-15 Wリーグ プレイオフ/セミファイナル JX×トヨタ 第1戦

2015-03-22 17:58:15 | スポーツ
 鈴木の3Pシュートが決まり、上々のスタートを切ったトヨタであったが、開始3分19秒、岡本に3Pシュートを決められ5-6と逆転されて以降、トヨタペースになることはなかった。それどころか………
 ……試合はJXの一方的な展開になり、JXの楽勝、トヨタの惨敗だった。



 立ち上がり、トヨタのオフェンスは悪くなく、ほぼフリーでのシュートチャンスをつかむ。しかし、これが決まらず、徐々にオフェンスそのものも崩れていった。
 JXは吉田が完調ではなく、1月の全日本総合と同様、プレイタイムは20分が目安。そのせいか、出だしは不安定、ジャンプシュートを匂わせた吉田からのゴール下のパスは、当の渡嘉敷の虚を突いてしまい、慌てた渡嘉敷がシュートミス。ディフェンスも甘く、鈴木に3Pを決められ、その後も吉田のターンオーバーなど、今一つのオフェンス。
 しかし、まず、岡本が奮起。吉田のターンオーバー直後、スティールで流れを押しとどめ、その後、3Pシュートを決め逆転とムードを一変させる。岡本にパスを送った吉田(アシスト2本目)も気を良くし、自らドライブを決める。やはり、吉田が仕事をするとチームが落ち着く。渡嘉敷も2Pを決める。この間、トヨタのオフェンスは停滞し、10-5とJXリード。
 さらに、開始5分25秒で、久手堅が2度目のファール。スコアに余裕があるので、久手堅がベンチに下がるのに合わせて吉田も休ませる(吉田はここまで3得点、2アシスト)。

 新原が入り、オフェンスが多少停滞したが、余裕があるのでいつもよりアシストパスを捌けていた。何より、他のメンバーの動きもよかった。
 岡本はこのクォーター2本の3Pシュートを決め、渡嘉敷、間宮のツインタワーもきっちり役割を果たす。そして、何と言っても、宮澤が素晴らしかった。ミドルのジャンプショット、ドライブ、リバウンドと縦横無尽の活躍。さらに、ディフェンスでは栗原を完全に抑え込んだ。
 第1Qは21-11、10点差。第2Qは21-7とさらに一方的となり、前半は42-18とダブルスコア以上で24点差と開いた。しかも、渡嘉敷、間宮、宮澤も交代でベンチに下げる余裕の展開。吉田も3分でベンチに下げた。
 前半、岡本が放った3本の3Pシュートをすべて沈めたのも大きく、対照的にシュートが決まらないトヨタへの心理的ダメージも大きかった。

 第3Qも、渡嘉敷、間宮、宮澤が得点を重ね、2分25秒には50-20とついに30点差。5分過ぎには59-25と34点差まで広がった。
 ここで吉田をベンチに下げ(この試合の吉田のプレイタイムは14分)、渡嘉敷も6分00秒で、木林と交代したので、ややもたつきが見られたが、トヨタも精彩を欠き、第3Qは65-35で終了。

 第4Qは、ポイントガードに宮崎、シューティングガードに大沼を起用。この後も、この後も、徐々にスタメンをベンチに下げた。結局、83-55で試合終了。
 
 
 トヨタはいいところがなかった。オフェンスが崩れ、ジャンプシュートどころか、ゴール下のイージーショットも落としてしまうのでは、勝機はなかった。先発の近藤が10点、途中出場の水島が11点がわずかな光か。特に水島は奮闘した。
 栗原は3Q残り3分50秒でようやく3P(初フィールドゴール)で、2Pシュート0-7、3Pシュート1-3という惨状だった。
 途中出場から起爆剤となるべき3Pシューターの川原も不調で、フィールドゴール0-5と不発。矢野も存在感が全く感じられなかった(プレイタイム9分、得点0)。
 2ファールで、早々とベンチに下がった久手堅は、第2Qは出番なし。この試合だけでなく、時々感じるが、久手堅のプレイタイムが少ない。後藤HCと折り合いが悪いのだろうか?

 その後藤HCのベンチワークも疑問。
 「3アップ」と盛んに口にしていたが、対JXの秘策なのだろうか?どういうオフェンスシステムかは不明だが、それにこだわり過ぎているように感じた。久手堅を使わなかったのは、その戦術に従わなかったのかもしれないが、「3アップ」はともかく、久手堅不在ではトヨタのバスケットは機能しないと思う。
 そのオフェンスシステムより、打倒JXを目指すのなら、徹底的に吉田を攻めるべきであろう。特に、吉田は完調ではないのだから、十分突けいる隙があるはず。
 吉田が疲労すれば、代わって出てくる新原はもっと組しやすい。このゲームでは、点差がついたので、多少のミスも響かなかったし、他のメンバーも伸び伸びプレーできたので、ポイントガードがそれほど働かなくても得点はできていた。
 この試合において、新原がプレッシャーを受けたシーンは、ほとんどターンオーバーにつながっていた(新原は16分、得点3、アシスト5、4ターンオーバー。吉田は14分、得点3、10アシスト、ターンオーバー1)。

 JXの佐藤HCに関しては、吉田を早めにベンチを下げたこと、また、後半、主力も温存したことなど、評価できる。
 しかし、第4Qまで宮崎を起用しなかったのはどうなのだろうか?
 新原がまだ若くて伸びが期待できるのならまだしも、これまでの能力不足が今後変革される期待はほぼゼロ。これまでもずっと、「新たなポイントガードを育てる」が大きな課題だったはず。いや、ここまで、毎シーズン新原を起用し続けるのは、「新原は優れたポイントガード」という認識を、佐藤HCは持っているのかもしれない。
 それはさておき、新人のポイントガードを起用して、ゲームの流れが変わるという危惧はあるが、第2Q、せめて、第3Qのプレッシャーがかかる状況で起用しないと、経験を積んだことにならない。欲を言うなら、他の4人スタメンと一緒に使ってこそ、経験となるのである。
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14-15 Wリーグ プレイオフ/セミファイナル デンソー×富士通 第1戦

2015-03-21 23:39:58 | スポーツ
 チームのプレースタイルを貫いたチームが勝利した。ベンチワークの差が勝敗を分けたと言っても良いだろう

第1Q
 デンソーは大庭の3Pなどで得点を重ねる。牛田もシュートやリバウンドに積極的な動きを見せるが、第1Q途中2ファールでベンチ。また、高田(真)には良い位置でボールが入らない(高田の第1Qは4点、2-2)。
 富士通はパスの周りが良いが、シュートの確率がやや低い。第1Q後半からロングシュートが当たり出す。ただ、ペイント内の得点がほとんどない。
 デンソーが2~4点ほどリードしてゲームが推移したが、プレイ内容は富士通のほうが良いように思えた。第1Q終盤、長岡、山本の3Pシュートが決まったこともあり、17-17の同点で終了。

第2Q
 互いのディフェンスが上回り、オフェンスが停滞気味。その中でデンソーは吉田の3Pや伊集のミドルシュートが決まり5点リード。富士通は無得点で苦しんだが、町田が2度デイフェンスを突き破り、流れを押しとどめる。相変わらず高田は攻めさせてもらえないが、シュートブロックやリバウンドで頑張り、ペースを渡さない。(デンソー24-21富士通)
 この後も、富士通・篠原の難しいフックシュート、デンソー高田のイージージャンプシュートで拮抗したゲーム展開。

 残り2分までオフェンスが停滞したが、富士通はダブルチームを受けた篠原が篠崎にパスを通しゴール。すかさずデンソーも吉田が3Pを決める(29-25)。さらに伊集がブザービーターのジャンプシュートを決め、31-25。デンソーに流れが傾くかと思えたが、富士通も町田がドライブを決め31-27と踏みとどまる。
 このドライブは伊集の反応が1歩遅れた感がある。それを挽回しようとしたのか、最後のオフェンス(残り24秒)は、伊集がずっとボールをキープし、最後にシュートを放ったが外れる。町田に守られてしまった。伊集らしいと言えば伊集らしいが……


 デンソーが31-27とリードで前半を終えたが、富士通はよく守れており、デンソーのオフェンスの形は悪かった。 富士通のオフェンスは、第1Qはよくパスが回っていたが、第2Qに入り、45度から上でしかパスが回らなくなり、オフェンスが機能しなくなった。(“45度から上”という表現は解説の小畑亜章子氏の言葉。氏の解説はスコアだけに囚われず、プレーの質を捉えており、感心した)

 富士通・テーブスHC(ヘッドコーチ)
「高田を抑えるなどディフェンスは機能し、このまま維持したい。
 デンソーのプレッシャーディヘンスをどう崩していくかが課題で、1対1プレーに対してヘルプに来るので、その時、スクリーンプレーをうまく使うか、逆サイドにパスを送って打開したい。
 富士通の特長である3Pシュートを放てていないので、ワイドオープンを作って狙っていきたい」



第3Q
 デンソー・牛田がディフェンスを掻い潜ってシュートを決め6点差と開くが、富士通は前半の反省を活かして、山本が踏ん切りよく3Pを放ち決める。1分後、ワイドオープンの篠崎が3Pシュートを決め、一気に同点。
 デンソーも大庭の3Pシュートを決め、対抗するが、すかさず、長岡からペイントをまたぐ大きなパスを受けた町田が3Pシュートを沈め同点(36-36)。
 インサイドを攻めた富士通・長岡がファールをもらい、フリースローを2投決め38-36と逆転。
 デンソーも牛田がジャンプシュートを決め、同点とするが、山本が迷いなく3Pを決め、41-38と3点リード。さらに、高田へのパスをカットして得たオフェンスを、篠原がゴール下のパワープレーで43-38と5点リードを奪う。

 ここでデンソータイムアウト。
 小嶋HC
「オフェンスは悪くないが、高田にもっと早くパスを入れろ」と指示(ベンチレポート)。

 オフェンスが良いかは疑問だが、「高田に早くパスを入れろ」という指示は正しい。
 しかし、その直後の数プレーを見ると、確かに早めに高田にボールを入れたが、すぐ他のプレーヤーにパスを回し、高田はスクリナーに入った。ゴール近くはマークが厳しいと判断しての指示だが、結局、外郭でパスを回すだけになってしまい、オフェンスの停滞状態は打開できない。
 この間、富士通は篠崎のジャンプシュート、インサイドで篠原がうまいターンでディフェンスをかわしてシュートを決める。富士通はオフェンスのバランスも良くなってきた。
 一方、デンソーは結局、外郭のパスを回すだけで、牛田が2本ジャンプシュートを決めただけ。富士通47-デンソー42(残り2分39秒)
 この後はオフェンスは停滞し、互いに2本のフリースローを決めただけ。第3Q終了直前、高田のシュートを長岡が強烈なシュートブロック!第3Q終了。48-44と富士通4点のリード。

 4点差は充分逆転可能な点差だが、第3Qは高田が無得点とデンソーのオフェンスが機能していない。対照的に富士通はオフェンスのバランスも良く、直前のシュートブロックでムードは上々。第4Q立ち上がりに、デンソーが点を上げないと、このまま富士通に持って行かれそうだ。

 小嶋HC
「パスを回しているだけだ。ゾーンに対して、パスだけじゃなくペネトレイトを試みろ。(藤原に対して)シュートを狙っていけ」
 コーチの指示をすべて映さなかったので、高田に関する指示がどのようなものだったのかは不明。



第4Q
 最初のオフェンス、富士通・篠崎3Pシュート→オフェンスリバウンド→長岡2Pシュートが外れ、デンソーがようやく高田にペイントゾーンでパスを入れる。しかし、すかさず、山本がヘルプに入り、長岡とダブルチームで得点を阻止。高田を止めた富士通はしてやったりだが、デンソーも高田にボールを入れたことを“第1歩”と 考えるべきだろう。
 残り8分33秒、町田がフリースローを2本決め、50-44。
 デンソーは、ゴール下の高田にパスを送るが、三谷のマークが厳しく自由にさせない。結局、伊藤が3Pシュートを放ち、このリバウンドを高田が奪ったが、シュートをまたしても長岡がブロック!

 富士通が高田をよく抑えていると言えるのだが、この直前(町田のフリースロー時)に、牛田を吉田に代えたのがどうだったか?この試合、吉田は前半早めに2ファールとなった牛田に代わって出場し8点と活躍した。その得点力に期待しての起用だったが、この吉田、オフェンスリバウンドにほとんど絡まない。このプレーも、高田がオフェンスリバウンドを捕ったが、周りを富士通3選手に囲まれてしまっていた。
 牛田は高田以上にオフェンスリバウンドに積極的に絡むので、牛田にパスを回すことも可能だっただろう。富士通は忠実にボックスアウトして、リング付近を支配していたのも評価できる。それゆえ、牛田をベンチに下げたのは疑問に思える。


 この後、この試合を決定づけたプレーが出る。
 残り7分47秒、富士通・山本が3Pシュートを放つ。これが24秒ギリギリで判定はセーフ(厳密にはオーバーしていた)。このシュートが外れ、リバウンドは富士通が保持。バウンドの不運もあったが、一瞬、デンソーディフェンスが気を抜いたように見えた。
 このあと、シュート態勢の長岡に対し、吉田がファール。長岡がフリースローを2本とも決め、52-44、8点差。この一連のプレーの精神的ダメージが大きかったように思う。
 この後、ペイント外でパスを受けた高田のシュートが外れ、反転速攻で長岡にシュートを決められてしまった。54-44とついに10点差。

 タイムアウト、デンソー・小嶋HC
「(ゾーンディフェンスに)パスを回しているだけだ。ベースラインにペネトレイトしてみろ。上と下に(ディフェンダーが)来るんだから、その空いたところを高田、いい?。
 パス回しているだけなんだって、誰も破ってないの。ツースリーの外側から攻めているだけ。中へアタックしろ。
 もし、ハイポスト、アレだったら、外側にピックしてやって、ドライブ。
 コーナーの合わせと、ローポストの合わせ。わかる?
 ハイピックも当たっていいから。
 ディフェンスをもっと当たれ!なんで見ているんだ?」


 小嶋氏は、現状の不出来を何度も繰り返し注意する傾向がある。それよりも、“どうすべきか”の指示のほうが大事だが、この指示が分かりにくい。あれもこれも言って、指示が分散してしまう。

 それでも、指示通り、エンドラインにペネトレイトしてパスアウト、藤原がジャンプシュートを放つが、外れてしまう。ディフェンスも強く当たったが、それゆえ、マークがずれ、三谷がノーマーク。3Pシュートが決まり、57-44、13点差(残り5分30秒)。勝負あった。(本来なら、もう一山ありそうだが、この試合に限っては、そんな気がしなかった)

 この後、若干、富士通がもたつき、デンソーは高田が4点、伊集が怒りの3Pシュートを3本決め(最終的に15得点)、追いすがるが、富士通68-59デンソーで終了
 詳細を言うと、伊集がこのクォーター2本目の3Pシュートを決め、6点差(62-56・残り1分27秒)となり、前のフリースローを2本とも外した富士通・山本が更にフリースローを1本ミスし、次のフリースローも外していたら、“もしや”というシーンになったかもしれない。


 3Pシュートを積極的に放ち、攻撃的なオフェンスをするチームスタイルを貫き、ゾーンディフェンスを織り交ぜよく守り、高田真希を徹底的に抑えた富士通の快勝であった。
 得点バランスも良く、36歳ベテラン三谷もよく守り、要所で3Pシュートを2本決めたのはさすがである。それ以外の控え選手の薄さが弱点か。(中畑は0得点、プレータイム7分)

 デンソーは、富士通のゾーンディフェンスを破れなかったこと。さらに、高田を機能させる工夫がなかったことが敗因。
  高田汐織(0得点、プレータイム15分)、伊藤恭子(4点、34分)、藤原有沙 (0点、20分)が不調だった。
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土筆

2015-03-20 16:42:57 | 歳時
 冬の間は、いちごの散歩も中断していましたが、ようやく暖かくなり、数日前から再開しました。
 で、いつもの空き地です。

【3月18日撮影】
 土筆は目立たないので、よく見ないと気がつきません。
 でも、もう出ている頃だろうと、目を凝らすと……


 いました、いました。
 本当はもっとたくさん写真を撮ったのですが、土筆は小さくて細くて、その上、背丈が低いので、ピンボケばかりでした。
 少しマシなのを選んでアップしています。


 土筆には目もくれないいちご……


 あと、これは……

 咲いてはいませんが、タンポポですよね。(葉がタンポポに似ているだけかもしれません)
 ちょっとわかりにくいので、彩度を上げて強調してみます。


 蕾みたいのもあります(咲いた後かも)。これも分かりにくいので加工します。


 こちらにもいました。


【3月20日撮影】
 まあ、ほとんど変わり映えしませんが。
 今日の方が多かったです。


 枯草が邪魔でよくわかりませんが、密度は18日より高いです。


 最後にもう1枚。


 2、3日前からあちらこちらで梅も咲き始めました。
 ようやく春が来ました。(でも、週明けはまた冬に逆戻り)
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梅の開花など 【歳時メモ】

2015-03-20 16:05:32 | 歳時メモ
「歳時メモ」と勝手に銘打っていますが、このカテゴリーの意味は、植物の様子や気候などをメモして、翌年以降に現記事を振り返ると、季節の進み具合が分かりやすいかなと思い、記事にしています。

 3月10日~13日の最高気温は6.1℃、5.0℃、6.2℃、9.5℃と真冬の寒さ、
 3月15日~18日の最高気温は15.3℃、18.3℃、22.4℃、20.2℃と春の陽気でした。
 この暖かさで、2、3日前から梅の花があちこちで咲き始めました。気の早い菜の花も咲き出しました。よく見ると、桜の花芽も育ってきていました。土筆もいつの間にか顔を出しています。
 ただ、来週は強い寒の戻りがあるようなので、一気に春とはいかないようです。
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相棒 season13 第19話(最終話) 「ダークナイト」

2015-03-18 22:10:27 | ドラマ・映画
享は、3年間、右京の何を見ていたのか?
享のこれまでの行動をまったく無にする……無にするどころか、どぶに捨てる(マイナスにする)今回の顛末だった。


 ダークナイトの犯行の動機も、享の心境も、理解不能。
 ダークナイトとして犯行を重ねる傍ら、右京の相棒として捜査をしていた享……ドラマとして崩壊している。

いきなり示されるダークナイトの存在(犯行)
・右京もその犯行を熟知、興味を持っていたが、今回に至るまで捜査を行っていない
・悦子も今話になるまで、気づいていなかったのか?
  やたらダークナイトに関心を持っていたが、報道画面のダークナイトの歩く姿で気がついたようだった。


意味不明の峯秋
・運不運、宿命……
 「本人には変えられようがないモノ(運)。
  それによって、この世の中、勝負が決する。
  勝つ者が勝つべくして勝ち、負ける者は負けるべくして負けている」
   ……この訓示が、今回の話とどう関係があるのだろうか?
・「結果的に右京が享をダークナイトに追いやった」
 「君は自分が思っている以上に“危険な人物”かもしれないよ」
   ……八つ当たりもいいところだ。まさに「言いがかり」だ
  
 都議会議員の撲殺が模倣犯であるという推理と逮捕以後は、ダークナイトの正体が明かされていたので、模倣犯のイラつく態度や享の凶行の心理などが、ダラダラ見せられるだけ。観終った後も、上述したように納得できないことだらけ。


 この3シーズン、質の低下が顕著だったが、この最終回の最低さに、
「この3シーズンを抹消してほしい」と叫びたくなった。

芹沢「馬鹿野郎だな、あいつ」
伊丹「ああ、確かに馬鹿野郎だ」
角田「馬鹿野郎か」
米沢「馬鹿野郎ですな」

 …………馬鹿野郎だ


【ストーリー】番組関連記事より
 「ダークナイト」と呼ばれる人物が世間を騒がせていた。ここ2年半の間に暴力団をはじめとする社会的に話題となった事件の犯罪者たちを次々に独自の正義感で制裁する人物だ。殺すには至らないがそれなりの重傷を負わせ、闇のヒーローとして世間から喝采を浴びていた。右京はダークナイトを「間違った正義」だとして好感をもてない様子でいた。
 ある日、都議会議員の辻堂匡臣(岡崎宏)が殺害される事件が発生。鑑識課の米沢(六角精児)の話によると、殺された辻堂の死因は行き過ぎた暴行による内臓破裂だった。現場の警備員の目撃証言から、逃走犯の独特の服装からこの事件はダークナイトの犯行と思われた。
 「とうとうダークナイトが人を殺した」という捜査一課の伊丹(川原和久)や芹沢(山中崇史)らの見解に対し、今回の殺人事件はダークナイトの模倣犯の仕業だと主張する享。これまでのダークナイトの犯行が、最初の一撃で急所を捉え、ほどほどに痛めつけるというものであったのに対し、今回は執拗(しつよう)に殴る蹴るという行き過ぎた暴行の末、殺してしまったことから、人間を殴り慣れていない人物、つまりは別人ではないかと推測されるからだ。
 過剰な暴行で、恐らく本当の犯人自身も負傷していると推理した右京と享は、都内の医療機関を調べあげ、種村和真(瀧川英次)という人物にたどりつく。翌日、訪ねて行った特命係ふたりに種村は自分こそがダークナイトだと告白する。種村の自宅からダークナイトの服装が押収され、種村が自身こそがダークナイトであることを認めているにもかかわらず、納得のいかない享は、種村はやはり模倣犯ではないかと主張。それを証明するために独自に調査を始める。時おなじくしてその頃、身柄を拘束されていた種村が地検の支部から逃走。右京は種村の行方を追うが、その種村が何者かに襲われ、緊急病院に搬送される。

ゲスト:鈴木裕樹、瀧川英次

脚本:輿水泰弘
監督:和泉聖治
コメント (10)
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A級順位戦 プレーオフ2回戦 久保九段×渡辺二冠 その3

2015-03-17 18:22:53 | 将棋
「A級順位戦 プレーオフ2回戦 久保九段×渡辺二冠 その1」
「A級順位戦 プレーオフ2回戦 久保九段×渡辺二冠 その2」の続きです。



 第9図より、▲8三銀△8四飛▲7四歩と絡みついたのに対し、△6四歩と受けたのが第10図。

 先手の攻めは後手の左美濃(天守閣美濃)の外堀を攻めるにとどまっていて、△6四歩と3七の角道を遮断されてみると、▲7三歩成には△同金で8三の銀取りが残る。また、後手の8八の角が後手陣にも利き、香取りにもなっており、先手が急かされている感がある。
 しかし、▲7三歩成△同金に銀を放置して、▲5五角△同角成▲同飛(第11図)と捌かれた局面は、後手の指し手が難しい。

 普通は△8三飛と銀を取る手だが、先に7三の桂を取られているので部分的には銀桂交換に過ぎない。確かに、全体では「金+歩3枚」対「桂」の後手の駒得ではあるが、後手の飛車金が取り残されているのが大きい。また、先手からは▲4四桂の両取りも残っている。

 そこで、△6六角と急所のラインに角を先着するが、久保九段が▲4四角と打ち返す。

 飛車を挟んで互いの角が対峙し、危険がいっぱいだ。
 渡辺二冠も△3三銀と強く応じ、久保九段も▲5三飛成と切り返す。


 これが問題の局面。
 図では△4四角と角を外す手も見えるが、▲7三龍と金を取られて後手が悪そう。なので、実戦は△5三同金▲6六角に△8三飛と手を戻したが、▲5四歩が厳しかった。


 △5四同金は▲4三角、また、△4三金とかわすのも▲6一角と打たれて手にされそう。
 そこで、△5二金と辛抱したが、5四に拠点を作られたのはあまりに大きかった。
 以下▲5三銀△5一歩▲3七桂△6九飛▲5五角打△4三金▲4五桂△6五歩▲3三桂成△同桂▲4四銀と浴びせ倒した。


 局後、問題になったのは第13図の局面。

 ここで△3九角成!(参考図1)という鬼手があった。▲同玉も▲同金も、△5三金▲同角成のときに王手馬取りの筋(参考図2)が生じる。よって△5三金に先手は▲3三角成と切るよりないが、それなら後手が大きく得をする。関係者から△3九角成を伝えられた渡辺は、「まったく気づかなかったです」と話し、頭の後ろに手を回して何度も「そうか」とつぶやいていた。久保も「全然見えてないです」と苦笑する。【中継解説より】


 しかし、△3九角成が必殺手であったかというと、そう簡単ではない。
 △3九角成(参考図1)▲同金△5三金に▲6二角(参考図3)と打つ手がある。

 以下の手順は一例だが、△5八飛▲4八桂△4四金▲7三角成△8三飛▲同馬△5五角▲3七銀△9九角成▲6一飛△3二銀▲7四馬△5一歩(参考図4)……

 もう訳が分からないが、若干先手がよさそう。

 となると、やはり久保九段がずっと微差を保っていたのかとなるが、そうとも言えない。
 第12図に戻って

 中央の飛車角を無視して、△8三飛(参考図5)と銀を取っておく手があった
かもしれないのである。

 (ニコニコ生放送で佐藤紳哉六段が指摘していたそうだ)


 8三の銀よりも▲1一角成と香を取る手が大きそうだが、△2二銀(参考図6)と受けられると意外に手が続かない。


 また、参考図5で▲5三飛成も有力だが、平凡に△5三同金▲6六角に△3三銀打(参考図7)と固めておけば後手が勝ちそうだ。


 棋力に乏しい私では真相は判らないが、第11図、第12図あたりでは渡辺二冠が逆転していたように思う。
 どうなんでしょう?ssayさん、九鬼さん。


 プレーオフ決勝、久保九段×行方八段は深夜(午前1時15分)に及ぶ激闘、150手の末、行方八段が勝利し、羽生名人への挑戦権を手にしている。3月5日、10日、16日と3局戦った久保九段、お疲れ様でした。
 
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A級順位戦 プレーオフ2回戦 久保九段×渡辺二冠 その2

2015-03-16 20:45:42 | 将棋
「A級順位戦 プレーオフ2回戦 久保九段×渡辺二冠 その1」の続きです。


 後手の渡辺二冠が△5五歩として先手の5四の歩の捕獲を確実にしたところ。
 金銀交換とやや駒得しているとはいえ、歩を取られてしまうと駒割は逆転するので、出来れば5四歩を取られる前に動いていきたいと思っていたら、▲5九飛とじっと飛車を引く。

確かに、△4九銀の割り打ちを消しており、5筋を押し込まれた際の飛車の当たりも弱くしている。しかし、攻めの要素は全くなく、“5四の歩が取られるのを指を咥えて見ている”という感がある。振飛車とはこう指すものなのか……
 そして、△5四飛に▲9五角。単純に6二への角成を見た手だが、渡辺二冠は△5二金と美濃囲いを崩して受けた。

 普通に△5二飛と防いでも大丈夫な気がするが、▲6三金と打たれて強引に角を成られる手を気にしたのかもしれない。渡辺二冠は「▲9五角がなければまだ……。金を上がらされるから踏んだり蹴ったり」(中継解説)と述べていたいたが、それなら△5四飛の前に△9四歩と角出を消しておく手はなかったのだろうか?
 渡辺二冠にとっては、不本意な左美濃(銀冠に比べて非常に薄いと感じているらしい)の上に、金まで離脱させられるのは、まさに“踏んだり蹴ったり”だったのだろう。

 この後、居飛車対振り飛車独特の丁々発止の技の掛け合いや、押したり引いたりの攻防が続く。

 指し手の解説は省くが、捻じり合いの雰囲気が漂っている。


 駒の振り替わりが行われた後、久保九段がじっと▲6四歩と突きだした局面。6三への銀の打ち込みを見た味の良い手だ。
 この手に対し、渡辺二冠は△7四飛と銀打ちをかわす。▲6三銀なら△6四飛▲5二銀成に△6八飛成の切り返しがある。しかし、▲6三歩成△同金と金をさらに上ずらされてしまった。
 

 このあとも捻じり合いが続くが、渡辺二冠が“らしい手”を繰り出す。

 何と、美濃囲いを再構築したのだ。薄い玉型による鬱積した不快感を霧散させる怒りをも感じさせる指し手だこれが功を奏し、渡辺ペースに思えた……
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A級順位戦 プレーオフ2回戦 久保九段×渡辺二冠 その1

2015-03-15 21:03:10 | 将棋
 A級順位戦・プレーオフ1回戦の広瀬八段×久保九段は、久保九段の快勝。2回戦は、久保九段×渡辺二冠の組み合わせとなった。

 久保九段の初手▲5六歩から始まったが、後手の渡辺二冠が角道を開けずに飛車先の歩を伸ばし▲7七角を決めたためか、久保九段は飛車を8八まで振り、角道を開けた向かい飛車に構える。
 その後も、角が睨み合ったまま、急戦を視野に入れつつ駒組みを進める駆け引きが交わされた。その中でも、久保九段の駒組みの進め方は、振り飛車の達人らしさが見られた。


 ▲7八金はやや早い気がするが、バランスを重視した手。自陣の隙をなくすことによって、▲8六歩や角交換の急戦をちらつかせ、後手の動き(特に△3三角)を牽制している。


 このタイミングで9筋の端歩突き?なんだか大勢に後れを取りそうな気がするが、素人には計り知れない振り飛車の呼吸なのだろう。この手に代えて▲4六銀は形を決め過ぎ、▲4六歩は後の▲4六銀がなくなる。また、▲6六歩と角道を止めるのは△3三角から穴熊が組みやすくなる。

 結局、

 渡辺二冠が△2四歩と左美濃で妥協し、穴熊がなくなったので久保九段が角道を止めた。


 ▲5五歩と動いたが、左翼の飛車と金が置いてきぼりになりそう。▲6七金と上がってから突くことを考えたいが、△
4四歩とされると、▲5五歩に△4五歩の突き返しがあるので▲5五歩を急いだのかもしれない。
【中継解説】
「持久戦はあまり(よくない)と思って、動けるなら動いていこうと思いました」と久保。渡辺は「玉が三段目のままで戦うとは思ってなくて。▲6八金~▲5八金と寄せてくれればこっちもどこかで△2二玉と引いて、と思っていたんですが」と話した。



 二番目に驚いた手。渡辺二冠らしい一手で、感心した。
 普通は△4四歩や▲5四歩を避けて▲6三金と上がるところだ。▲5四歩に強く△4四金と出る。▲5四歩を利かされるが、その歩を取ろうというのだ。
 実戦もその意図通り、▲5四歩△4四金▲同銀△同銀▲6七金△5二飛▲5八飛△5五歩と5四の歩の捕獲が確実となった。

 ここでの久保九段の次の一手には、この将棋で一番驚かされた。
コメント (2)
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