英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

竜王戦第七局⑦

2009-01-31 20:55:59 | 将棋
 え、まだ続いていたの?と思われるかもしれませんが、続きます。

 第17図の絶好の一手▲6六角に渡辺竜王はよろけるように△5九飛成。もともと▲6六角には△5五歩▲同玉△6五歩が予定だったと思われる。しかし、そこで▲4八角と金を取る手があり、△5九飛成と予定変更。
 △5九飛成▲5七桂△5五歩▲同玉△6五歩(第18図)と進む。

 △5九飛成▲5七桂を入れたことによって、第18図で▲4八角がなくなっている。なので角取りを受けつつ角筋を通して▲6五同玉。そこで△7三金と先手玉に圧力をかける。後手玉は危ないようだが詰みはない。このあたり(先の△5九飛成やこの△7三金)は渡辺竜王のしぶとさと言うか強さというべきか。
 詰むや詰まざるやの局面。中継を観ていてドキドキ、羽生ファンの私も後手玉の詰みを必死で探すが詰まない。先手玉も危ないぞ。どうする?
 ▲2二角!…これで詰むの?と思っていると、
「先手玉は詰まないと見て△3二玉に▲1一角成(第19図)とするのでしょう」
という解説。

 実戦もそう進む。ようやく勝ちになった。と思ったところへ△5五歩!(第20図)

 何これ?詰めろ逃れではあるが、詰めろになっているの?…なっていないような
…だいいち、△5五歩以下▲2二歩成△同銀▲同馬△同玉に▲5五角の王手金取りもありそうだ。
 先手勝ちの局面のようだが、なんとも怪しい手。いろいろ勝ち筋が見えるが、どれも読み切るのは大変。

 この△5五歩の周辺は本局最大の分岐点。△5五歩では△7四銀の方がよかったらしいが、渡辺竜王の将棋哲学を如実に表した一手だと思えてならない。
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寒桜②と日本海

2009-01-28 23:48:15 | 歳時
 今日は本当にいい天気でした。

 ちょうど昨日アップした桜の前を通りました。

 わずかに花弁が残っています。


 海も綺麗でした。

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寒桜と雪灯り

2009-01-27 23:58:50 | 歳時
 ちょっとアップが遅れてしまいましたが、例の桜です。1月16日撮影です。

 雲が厚くて暗いので分かりにくいですが、わずかですがまだ咲いています。四角く囲んだ辺りを拡大したのが下の写真です。

 もう一枚写真を撮ってみました。雪が積もっていて近づけないのが残念です(拡大写真です)。


 ついでに1月13日の夜の様子です。

 発光ありで撮った写真です。そのせいか、肉眼とは随分違う感じがします。それで、発光なしで撮りました。

 シャッタースピードが遅いので、若干、手ぶれがあります。
 手前が明るいのは自動販売機の光です。そのほかの光源は奥に見える電灯ぐらいです。
 雪がたくさん降っていると、けっこう明るいものなのです。
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『L チェンジ・ザ・ワールド』

2009-01-26 19:58:31 | ドラマ・映画
 録画しておいた『L チェンジ・ザ・ワールド』を観る。
 『デスノート』のスピンオフ作品で、夜神 月(キラ)の事件解決後のLの生き方を描き、Lの魅力満開の一作。

 頭脳明晰で超人的なLの活躍はもちろん、自己犠牲をいとわず、自己を律する聖人君子的な一面、それに反する奇妙な風体や動作や甘い物好きという変人的な個性、それにタイの村で生き残った少年やウィルス研究者の娘真希(福田麻由子)・らと心を通わせていく過程など、Lの魅力という点では満足。
 また緊張感と程よい謎解きとアクションもあり、面白い作品だと思う。


 ここで終わってもいいのですが、生来の天邪鬼ゆえ、余計なことも書いてしまいます。
 
 まず、一番のマイナス点はLの設定が変わってしまったこと。この作品では、Lは運動が苦手で、それでも何とかしようと猫背ながらも奮闘しています。でも、原作ではテニスがプロ並の八神(キラ)と互角に渡り合っている。主人公の設定をゆがめている。スピンオフ作品は後から設定を付け足す事が多いが、さすがにこれは反則だろう。
 次に、こういうアクションモノとかSF・冒険モノにおいては、ライバルや悪役も強くて魅力がないとダメ。(魅力がない場合は、徹底的に凶悪か、強大)
 【ここからはネタバレを含みますので気をつけてください】
 この作品では、はっきり言って、敵がショボかった。思想もなく、金儲けと殺人狂というだけ。唯一、思想と頭脳的に歯ごたえがあったのは、「K」こと工藤夕貴だけ。組織のトップであった石橋蓮司も「人間が増えすぎたので撲滅すべし」という狂信者であったが、登場まもなくあっけなく殺されてしまう。
 とにかく、構成メンバーも少人数であるのと描写が不足しているので、単に「悪い奴ら」でしかなかった。

 ウィルス研究機関を襲ってウィルスを奪取したのだが、その際研究書院を皆殺ししたと思われるが、これが全く表ざたになっていない。悪の組織にもみ消すだけの力があるとは思えないし、日本政府が混乱を避けるため動いたという気配もない。
謎である(ストーリーが甘い)。

 クライマックスも理解不能。映画では危機感や迫力を高めるのにうってつけの舞台としてジェット旅客機が使われる。本作もそれに倣ったようである。
 で、Lに追い込まれた工藤が、何を思ったか細菌をばらまく。離陸前に!
 細菌兵器として開発されたので、感染力は強く、潜伏期間も短く(潜伏期間は長いほうが感染の範囲は広くなる)、進行も早い。感染を広めて人類撲滅を狙ったとしか思えないが、密閉性の高い旅客機でしかも離陸前に自分たちも乗客も乗務員も全滅してしまう可能性が高い。意味なしである。
 クライマックスで盛り上げるためだけの演出としか考えようがない。金の無駄である。

 南原清隆(ナンチャン)が助っ人として登場するが、不要かもしれない(ナンチャンが嫌いというわけではありません)。

 さて、ここからが肝心。私が今日の記事で一番書きたいことです。
 ウィルス研究者の鶴見辰吾がウィルスが持ち出されるのを阻止するため、自ら体内にウィルスを注入したあと、死ぬ直前に工藤らに語りかけるシーンがある。瀕死の中、必死に言葉を発するシーンは迫真の演技だった。しかし、鶴見さん、あまりに迫真の演技のため、何を言ってるのか聞き取れなかったよ。
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役員多すぎ【補足】

2009-01-22 20:56:15 | スポーツ
 比較のため、他の中継所の様子も挙げておきます。

第1中継点(1区→2区)。選手が短い間隔でやってくるので、待つ選手で混雑していますが、見晴らしはよさそうです。


第2中継点(2区→3区)。第1中継所と同様です。


第3中継所(3区→4区)。ロータリーになっているので、前走者の様子がよく分かり、スムーズにタスキの受け渡しができたようです。


第4中継所(4区→5区)。やはり、すっきりしています。


第6中継点(6区→7区)。やや混雑していますが、トラブルはなかったです。


 やはり、第5中継点(5区→6区)だけ見晴らしが悪く、役員も機能していなかったようです。
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役員多すぎ?(都道府県対抗男子駅伝)

2009-01-20 21:28:03 | スポーツ
 先週の日曜日、広島で都道府県対抗男子駅伝が行われました。4区までの接戦から、長野県が高校生を中心に充実した走りで終盤抜け出し、2年連続5度目の王座に輝きました(女子は11日に京都で行われ京都府が5連覇を果たしています)。


 駅伝の難しさ(面白さ)は、選手配置やペース配分の妙です。多人数を実力者を揃えるのも難しいですし、個々の選手の調子を見極めるのも難しいです。レース展開によって、また、区間によってもペース配分も適応させないといけません。
 さらに、駅伝にはもう一つ注意しなければならない点があります。それはタスキ渡し。タスキの渡し自体はそれほど難しくないのですが、自チームの前走者がどのくらいの位置でやってくるのか把握しないといけません。特に都道府県対抗は48チームと多いので、そのタスキ渡しは大変です。
 特に1区から2区は選手が一団のままで来ることが多いので、混乱することが多いのです。選手は自分(自チーム)の責任でタスキを受けます。もちろん、大会役員や補助員も中継点にやってくる選手を把握してそのゼッケンナンバーをコールします。

 選手、コーチ、役員のみなさん、トラブルが起こらないよう一生懸命です。ところが、どうしても中継ミスが起こってしまいます。大概の場合、2、3秒から5、6秒といったところで、全区間で1~3チームぐらいロスします。過去には20秒ぐらいロスしてしまったチームもあります。このシーンはすごく切ないです。
 今大会は5区から6区の中継点でトラブルが多発しました。4、5チームが、2~5秒ぐらいタイムロスしました。この原因として、タスキを受ける6区のランナーが中学生であったことが考えられます。しかし、この中継点においてはどうもそれだけではないように思えます。


 中央白く四角で囲んだ選手が渡すべき次走者がいません。オレンジ色で楕円で囲んだところに役員の方がたくさんいます。中央奥に背が高く見える役員が二人いますが、この二人は台に上っています。どういう役割なのかいまひとつ分かりません。その前に位置している女性二人は記録係、あるいは通過チームをチェックしているようです。その他の役員の方は、何をしているのか、何のためにいるのかよく分かりません。
 考えられる役割としては、通過順位や記録を計る(チェックする)係、それらを記録する係、受け渡しゾーン内でタスキ渡しを完了したかを判定する係、走ってくる選手をいち早く把握してそれを役員に知らせる係、それをハンドマイクで選手に知らせる係、中継点で待つ選手を誘導整理する係、走り終えた選手を他の走者の邪魔にならないところまで誘導する係、見物人の整理。
 相当の量の仕事があると考えられます。それでも、役員の数が多すぎるように思います。まず、先に揚げたお立ち台の二人と女性の記録係の立つ位置が選手や他の役員の視界を遮る位置にいます。邪魔です。もう少し歩道側に下がるべきです。
 他の中継点は、もっとすっきりしていて、ランナーの確認がしやすかったです。

 中央は渡すべき次走者がいない選手、右側黒の楕円で囲んだ役員はハンドマイクでゼッケンナンバーを呼んでいるようです。
 どうやら、ひとりで読み上げているようです。しかも緊迫感が全く感じられません。他の役員も次走者が見つからない状況を把握さえしていない様子です。このハンドマイクの役員は前の写真では他の役員の中に埋もれてしまっています。写真では分からないのですが、時折走ってくるほうを覗き込んでやって来る走者を自分で確認して、コールしています。その位置では確認は遅れますし、自分で確認してコールするのでは間に合うわけがありません。何を考えているのでしょうか?他の役員は何をしているのでしょうか?

 特に解説すべき点はないのですが、役員がたくさん映っていて、その位置関係が少し分かりやすいので載せておきました。


 この中継点でタスキ渡しのトラブルが多かったのは、やはり役員の配置や役割分担をしっかり指示しなかったと考えられます。それに、役員が多すぎると思います。そう思いませんか?
 必死で走ったことがロスしてしまう。そして、うまく受け渡しができなかった選手は心に傷を残してしまったことでしょう。
 大会運営は本当に大変でしょう。お疲れ様でした。それでも、こういったトラブルは起こさないで欲しいと思いました。
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女と男(最新科学が読み解く性)『惹かれあう二人、すれ違う二人』

2009-01-15 19:01:21 | ドキュメント
 NHKスペシャルで、『女と男』というテーマで3回シリーズで取り上げられていました。今回は特に男女の脳の働き方の違いなども解明されてきていて、それについて論じていました。

 まず、恋をするとどうなるのか?
 恋人の顔を見ると、腹側被蓋野が活発に働き、ドーパミンが作られます。ドーパミンは喜びや快感を感じた時に発せられる物質です。さらに、脳はドーパミンが出たときの状況を学習し、次に同じ行動を起こしやすくするように働きかけるそうです。つまり、また相手に会いたくなる。
 ドーパミンが出ると、集中力が高まり、気力に満ちて、疲れを感じなくなる。恋の魔法ですね。
 逆に恋をすると、働きが鈍くなる脳の部位もあるそうです。それは、批判や判断をつかさどる部位です。恋は盲目という状態で、恋人を批判的に見ることができなくなり、相手を受け入れずにはいられなくなるそうです。

 また、恋をしている時に、活発な脳の部位に差があるところもあります。男性の場合、島皮質の一部で視覚に関係しているそうです。
 その理由は「相手が健康な自分の子どもを産んでくれるかどうか」を見極める必要があったからだそうです。で、どこを見るのかというと、「腰のくびれ」だそうです(笑)。細め、標準、ふくよか、の好みの差はありますが、どのタイプでも、ウエストとヒップの比率は、7:10が好まれるそうです。この比率は出産に大きく関係しているそうです。(一般に初潮時期から閉経期までは腰のくびれは大きくなるそうです)

 一方女性が恋をすると、帯状回と呼ばれる部位で、そこは記憶に関係するそうです。
 これは、相手が良い父親になるかは、見た目だけでは分からず、相手が何を約束し、それを果たしてくれたかが大事になるそうです。ああ、だから女性は「○○記念日」を大事にするんですね。

 さて、人間の進化の大きな分岐点は、二足歩行をするようになったことです。
 二足歩行になったことで、手が自由になり、道具を使うようになり、知能も発達しました。
 また、全体重を2本の足で支えるため、骨盤が変化しました。そのため、産道が狭くなり、大きな胎児を産めなくなり、やや未熟の状態で、産まなければならなくなりました。そのため、出産後は母親は子育てから離れられなくなりました。この間、パートナーが母子を守り、食料を確保する(狩猟)ことに特化するようになったそうです。

 この役割分担の蓄積が、恋のシステムが発達し、男女の脳に違いが生じることになったわけです。
 と、ここまでは、恋って素晴らしいなあっ思ったわけですが、この狩猟生活パターンが、「男女の仲は3年」というシステムを作ってしまったのです。未熟状態の子どもも、3歳になればある程度、親離れできます。この期間4年で恋は完了するのではないかという説が有力なのです。そして、新しいパートナーを見つけるようになるそうです。いろいろなタイプのDNAを取り込むほうが子孫を残せるという考え方です。
 この考えは、この番組で知ったわけではないのですが、これを知った時には、納得もしましたし、ショックも受けました。

 番組は、男女の思考や脳の特性を分析し、如何にその男女の違いによるすれ違いをなくせるかを論証しています。

 男女の思考の違いは何でしょう。
 率直に言うと、コミュニケーション能力においては、男性がかなり劣っています。
 口論などが生じてしまうような不都合な状態においては、男性は心拍数がすぐ100を越えてしまいます。女性は、内容や語調が厳しいものになっても70前後で留まっています。「女性は感情的だ」という通説は、心拍数から考えると誤りのようです。
 母乳を与え、子育てをする女性はホルモンの働きによって、気持ちを落ち着かせる能力が高いと考えられていて、一方、狩りが担当の男性は、常に警戒心を働かさなくてはいけないので、すぐに心拍数や血圧を上げて、攻撃態勢に入れるよう適応していったようです。
 しかも、批判を攻撃と捉えてしまうので、口論のあげく、会話を突然中断してしまうそうです。批判(攻撃)を受け、身に迫る危険を感じ、ストレスが限界に達します。理性的な対応ができなくなり、衝突を避けるために、本能的に会話を打ち切るのだそうです。

 さらに分析は進み、男女のすれ違いが生じる原因は2つあると指摘しています。


 一つ目は、男性が女性の気持ちを読み違い、余計なことをしてしまうことです。
 男性は女性に比べ、気持ちや感情を読み取る能力が劣っているという報告があるそうです。
 こういうテストがあるそうです。

写真の女性は「喜び」「悲しみ」「怒り」「恐れ」のどの感情を持っているのか分かりますか?(答は文末です)
 このテストでは、女性のほうが正確に早く答を出すそうです。しかも、女性のほうが使用する脳の部位は小さいそうです。

 このコミュニケーション能力の差は、男女の生活習慣の差によって生じました。
男性が狩りに出ている間、部族の他の女性と行動をともにします。仲間の絆を深める必要があり、相手の気持ちを理解し、自分の気持ちを伝えることが重要になります。
 男性は、狩猟の中で、刻々と変わる状況の中で、狩猟の目的を果たしたり、危険を回避したりする、問題解決型の会話であったわけです。

 この男女それぞれの会話の意味が、男女のすれ違いを生むふたつ目の原因で、最大の原因だそうです。まあこれは、この番組に限らず、前々から言われていることですが。
 女性は会話をしてお互いの理解を深めたい。つまり会話が目的なのです。これに対して、男性は問題解決や分析するための手段に過ぎないのです。
 女性が男性に相談する場合、問題を解決して欲しいとか、良い解決策を教えて欲しいというのが目的ではないのです、多分。
 ところが、男性は分析したり解決策を導き出そうとしてしまいます。女性は自分の気持ちを話したいのです。そして聞いて欲しいのです。多分。結論は二の次なのです。

 ああぅ、思い当たることが数限りなくあります……。

 女性の皆さん、男性はコミュニケーション能力は劣っています。男性も努力はします。でも、分かってください、男性の未熟さを、愚かさを。そして、その大きな愛で、男性を包んで欲しいです。《表情テストの答え……恐れ》
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かるた名人戦、クイーン戦

2009-01-10 22:55:37 | スポーツ
 昼間は雪が舞う程度でしたが、午後7時くらいから積もり始めました。午後9時現在、5cm程度です。ちょっと、いえ、かなり憂鬱です。

 今日は、かるた名人戦(クイーン戦)がありました。現在、昼に録画したものを見ています。【クイーン戦の表記ですが、会場の幕には「クイン戦」とかかれていましたが、NHKの表記は「クイーン戦」となっています】
 放送は午後1時半から6時までです。名人戦は5回戦制、クイーン戦は3回戦制です。放送が始まった1時半は2回戦が始まる直前で、1回戦は5連覇を目指す楠木早紀クイーンが22枚残しで挑戦者の池上三千代五段を圧倒しました。名人戦は挑戦者の岸田諭五段が4枚残しで11連覇の新記録を目指す西郷直樹名人に競り勝ちました。
 かるたにも「永世」制があって、「永世名人」は連続5期、または、通算7期で獲得できます。過去に西郷名人を含めて4人いるそうです。「クイーン名人」は通産5期で獲得でき、過去に解説された渡辺令恵永世クイーンを含めて二人しかいません(クイーン戦は今年で53期)。
 私は、渡辺令恵永世クイーンが11連覇(通算14期)した2002年から中継を観ています。渡辺永世クイーンは鬼のように強かったです(笑)。

 初めて中継を観たときは、びっくりしました。
 まず、並べられた札やその配置を覚える暗記力。歌(句?首?)を読まれた瞬間に札に手を伸ばす反射神経と、手の瞬発力やスピード、そして、集中力。手札の配置や、どの札を渡すかなどの戦術。長時間を戦い抜く持久力と体力。そして、何より精神力。まさに、知力・体力・精神力(心技体)を兼ね備えた格闘技です。
 あと、かるた競技の特性を表すものに、「決まり字」というのがあります。以下は放送中の一口講座の受け売りです。
 例えば、百首の中で「ひ」の音で始まる歌は3首あります。「ひさかたの~」「ひとはいさ~」「ひともをし~」です。最初の段階は、「ひ」の音だけでは判別できません。「ひさ」「ひとは」「ひとも」まで読まれて、確定するわけです。
 これが、競技が進むにつれて、確定の仕方が変化します。「ひとはいさ~」の歌が出た後は、いままで「ひとも」まで読まれないと確定しなかったのですが、「ひと」で確定するわけです。さらに「ひともをし~」も出てしまった後は、「ひ」さえ読まれれば「ひさかたの~」歌と判断できるわけです。
 ですから、競技中、何が読まれたかを当然覚えていなければならないわけです。
 あと、「戻り手」とか「囲い手」という取り方のテクニックもあります。

 女性のクイーン戦は男性の名人戦に比べると、動の趣が強いです。これは、西郷永世名人と渡辺永世クイーンの戦い方によるものかもしれません。
 渡辺永世クイーンは、闘志を表に出して札を取ります。また、感情の動きもカメラを通しても分かります。また、読みが始まる合間の動き(素振り)も激しいです。それに対して、西郷永世名人は、本当に静かです。

 実際の札の取り方は驚くほど速くて、豪快です。4、5枚根こそぎ払います。一瞬ですから、どちらが速かったか、分からないことは多いです。競技者同士でも主張しあうこともあります。この場合、どちらかが譲るか、審判の判定を仰ぐかになります。審判は、競技者に判定を求められて初めて判定を下します。
 渡辺永世クイーンの場合、特にこの主張の押しが強かったように思います。バチバチと火花が散ることもあり、女の戦いの様相になることもありました。
 もちろん、渡辺永世クイーンの強さはそれだけでなく、強靭な精神力はもちろん、暗記力、瞬発力を兼ね備えていました。すごいと思ったのは、読み手の第一声を発する前の息の吸い方で第一声を予測したと言います。

 現在のクイーンは2004年に15歳(中学生)でクイーン位を獲得した楠木早紀クイーンが3度防衛の4連覇中で、今年防衛すれば永世クイーン位を獲得します。

 これを書いている間に、2回戦が終わりました。クイーン戦は13枚残しで楠木クイーンが取り、永世クイーン位を獲得しました。圧倒的に速いです。
 永世クイーンを獲得したのに、19歳と若いのですが、その喜びを表情に出しません。さすが、永世クイーンと思いましたが、そうではなく、まだ競技モードから抜けきっていないからだそうです。ちょっと、ホッとしました。

 挑戦者の池上五段も終盤粘りましたが、及びませんでした。池上五段は、21歳からかるたを始めたそうです(現在36歳。35歳かも)。これは凄いことです。しかも主婦で育児の合間をぬってのクイーン決定戦進出ですから。(伯父(叔父?)に松川英夫永世名人がいらっしゃるそうです)

 名人戦は、西郷永世名人が8枚残しで取り、1-1のタイに持ち込みました。
 おっ、3回戦が始まりました。24-24から珍しくお手付きをして23-25とリードを許しています。(スコアは残り枚数ですので、少ないほうがリードです。0になると勝ちです)
 では、まだまだ時間がかかりそうなので、今日はこの辺で。
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竜王戦第七局⑥

2009-01-08 18:52:49 | 将棋

 第15図の△8七角では△6九銀と捨てて玉を下段に落としたほうが、より確実だったらしいが、本譜の王手龍取りでも後手の勝ちには変わりはなさそうだ。第15図より▲6七玉△6五角成▲同金△6九飛▲5六玉(第16図)と進む。

 第16図は先手玉の上部が厚くて開けているように見える。しかし、図で△7六銀と詰めろを掛けられると、適当な受けがない。6五の金取りを受けながら2二への打ち込みを見る▲6六角が利けばいいが、△6七飛成▲5五玉△6五銀以下打った角を取られてしまう。△7六銀に受けるとしたら▲6六銀だが、これでは勝ち味がない。
 しかし、第16図で渡辺竜王は△6四歩。この手は退路封鎖の手筋で、成銀で取っても金で取っても先手玉は詰んでしまう。なので先手玉はしびれているように見える。銀を打つより歩で済ませたほうが確実(攻めが切れない)なので、より△6四歩のほうがよいように見える。

 ところが、今度は▲6六角(第17図)が成立した。

 今度は△6七飛成がないのと、△6五歩と金を取っても王手にならない。先手としては△6五飛成を防ぐだけでよいので、▲6六角がそれを防ぎながら2二の打ち込みを見せた攻防の一手となってしまったのだ。

 もちろん、渡辺竜王も▲6六角は見えていたはずで、▲6六角には△5五歩があって大丈夫という読んでいたのではないだろうか。△5五歩に▲同角は△6五龍があるので、▲同玉と取るしかない。手順に角道を遮断できたので、金を取ってさらに角取りの△6五歩(参考図)が気持ちよい。△6四歩、そして△5五歩と手筋の歩が連発するので、これは「もらった」と思うのは無理はない。

 しかし、参考図の△6五歩にはひらりと▲4八角と金を取る手があった。

 ▲6六角と打たれこの筋に気がついた渡辺竜王は眩暈がしたにちがいない。第17図の▲6六角に予定変更の△5九飛成は、竜王の心境と同じようによろめいているように思えた。
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竜王戦第七局⑤

2009-01-06 22:23:34 | 将棋

 第13図では、▲2二銀△同銀▲同歩成△同玉▲2三銀からの寄せがあったらしい。また、図より▲4八飛も有力で、以下△5七銀には▲5五角とかわす手が詰めろとなる。
 しかし、羽生名人は第13図以下▲6一飛と打ち△4一香▲5四銀成ともたれる手順を選ぶ。だが、これは明らかに変調で、△3五角(第14図)とぶつけられ、角交換が必須となってしまった。後手の遊んでいた角が先手の要の角と交換になるに至り、ついに逆転。

 羽生名人もBSの『囲碁将棋ジャーナル』で、▲6一飛以下の手順はおかしかったと認めている。ただ、▲2二銀や▲4八飛の方がよかったと言いつつも、まだまだ難しいと述べている。例えば、▲4八飛の場合、以下△5七銀▲5五角と進んだ時に△4四角と詰めろを防がれると、先手も忙しそうだ。

 羽生名人が誤った原因は2つあると私は考える。

 一つ目は、△4二金の受けの勝負手に▲6二金と飛車を取りにいっってからのやり取りが、先手の効率が悪すぎて流石の羽生名人の大局観に狂いが生じたのではないだろうか?
 実際は、最善手(▲6二金では▲6四角だった)を逃したものの、「後手の飛車を取ってしまえばよくなる」という方向性は間違っておらず、また、途中の▲6六金のしぶとい好手もあって、まだ先手に分のある形勢だったようだ。

 二つ目は、渡辺竜王の新手△3三銀以降、羽生名人がずっと将棋を作ってきていた。ジャングルやサバンナや砂漠などの未開の地を、羽生名人が切り開いていき、渡辺竜王は追従して割と自然に対応してきただけの感がある。
 全開で飛ばしてきて、リードを奪ったものの、その差は思いのほか開かず、ガソリンは減り足回りも傷み始めた。焦りと疲れ、それが羽生名人の大局観を狂わせたのだ。

 ここまで書いて、私は愕然とした。そう、いつもと反対なのだ。対佐藤棋王や久保八段戦などでは、佐藤棋王が新構想で挑んだり、久保八段が軽快に捌いたりするのに対して、羽生名人は素直に追従したり、相手の言い分を聞いたりしている。それでも、互角付近で踏みとどまり、最後は終盤の伸びで相手を差し切って勝つ。
 それが、本局では逆の立場ではないか。その理由として、渡辺竜王の新手△3三銀、そして、渡辺竜王の終盤の強さを肌で感じていたことが考えられる。

 第14図以下、▲6五飛成△4六角▲同歩△8七角(第15図)と進む。

△8七角では△6九銀と捨てて玉を下段に落としたほうが、より確実だったらしいが、本譜の王手龍取りでも後手の勝ちには変わりはなさそうだ。この辺り、私は相当哀れな顔をしていたはずだ。
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