『将棋世界』2015年3月号、「公式棋戦の動き」(記・編集部)
女流王位戦リーグで里見女流名人の復帰戦が取り上げられていた。
その解説が、どうにも納得できない。
【以下、引用】
第1図は2二の角を逃げた局面だ。ここで里見の▲4二歩(第2図)が疑問手で、形勢の針は一気に傾いた。▲4六角(参考図1)と角を逃げるべきだったのだ。
だが、勝負は終わらない。中井の△4二同金が自然のようで敗着。▲3五角(第3図)で取られるはずの角が息を吹き返した。
以下は里見が怒涛の攻めで押し切った。
△4二同金では△5七と(参考図2)と角を取り、▲4一歩成に△1三角で後手が勝勢だった。
【引用終】
「4二同金が自然のようで敗着。▲3五角(第3図)で取られるはずの角が息を吹き返した。 △4二同金では△5七と(参考図2)と角を取り、▲4一歩成に△1三角で後手が勝勢だった」という分析には驚いた。
確かに、角を取りながら先手陣にと金で攻める△5七とは大きい手だ。先手の角は攻めにも働いているし、後手の龍を抑え込んでいる7九の歩にも紐をつけている。しかし、後手玉の直近の4一の金を直接取らせるのは、もっと大きいように思える。
解説にある▲4一歩成の他に、直接手であるが王手の▲4一飛成で金を取り、△4三玉に▲3一龍(参考図3)と一気に角金を手にするのも魅力的だ。
この局面、4二の歩が邪魔駒になっているのは気になるが、後手玉はしのぎがなさそうだ。例えば、△6四銀と脱出を図っても、▲3二角△5二玉▲4一角成△6二玉▲7四馬(参考図4)ぐらいで寄っている。
後手の龍が7九の歩によってほぼ無力になっており、5七のと金だけでは先手玉に早い寄せがないの辛い。
それに、「△4二同金では△5七と(参考図2)と角を取り、▲4一歩成に△1三角で後手が勝勢だった」という解説も怪しい。
▲4一歩成に△1三角には、▲5一飛成(参考図5)がぴったりで受けなし。
何を根拠に勝勢と言うのだろうか?
また、「ここで里見の▲4二歩(第2図)が疑問手で、形勢の針は一気に傾いた。▲4六角(参考図1)と角を逃げるべきだったのだ」もおかしい。▲4六角と▲4二歩の2手に、形勢が傾くか否かの差はない。
参考図1で「先手良し」という訳でもなく、▲4二歩が悪手とも思えない(一気に形勢が傾く手を「疑問手」と呼ぶこともおかしい)。
さらに、「△4二同金が自然のようで敗着」とあるが、△4二同金の方が△5七とより優っているように思える。
第3図は、4二歩を利かされたうえ、角を逃げられて先手の言い分が通ったように思えるが、持ち駒がない先手が後手を一気に寄せ切るのは難しく、先手玉も狭いので、3五の角の利きが消え、△7九龍の手が回る展開になれば後手勝ちになり、まだまだの局面であろう。
実戦では、里見女流名人が怒涛の攻めを見せたとあるが、どう寄せたのだろうか?(里見女流名人は、こういったギリギリの寄せは本当に強い)
ともあれ、この解説、穴だらけに思えるが、私の目が節穴だらけなのだろうか?
女流王位戦リーグで里見女流名人の復帰戦が取り上げられていた。
その解説が、どうにも納得できない。
【以下、引用】
第1図は2二の角を逃げた局面だ。ここで里見の▲4二歩(第2図)が疑問手で、形勢の針は一気に傾いた。▲4六角(参考図1)と角を逃げるべきだったのだ。
だが、勝負は終わらない。中井の△4二同金が自然のようで敗着。▲3五角(第3図)で取られるはずの角が息を吹き返した。
以下は里見が怒涛の攻めで押し切った。
△4二同金では△5七と(参考図2)と角を取り、▲4一歩成に△1三角で後手が勝勢だった。
【引用終】
「4二同金が自然のようで敗着。▲3五角(第3図)で取られるはずの角が息を吹き返した。 △4二同金では△5七と(参考図2)と角を取り、▲4一歩成に△1三角で後手が勝勢だった」という分析には驚いた。
確かに、角を取りながら先手陣にと金で攻める△5七とは大きい手だ。先手の角は攻めにも働いているし、後手の龍を抑え込んでいる7九の歩にも紐をつけている。しかし、後手玉の直近の4一の金を直接取らせるのは、もっと大きいように思える。
解説にある▲4一歩成の他に、直接手であるが王手の▲4一飛成で金を取り、△4三玉に▲3一龍(参考図3)と一気に角金を手にするのも魅力的だ。
この局面、4二の歩が邪魔駒になっているのは気になるが、後手玉はしのぎがなさそうだ。例えば、△6四銀と脱出を図っても、▲3二角△5二玉▲4一角成△6二玉▲7四馬(参考図4)ぐらいで寄っている。
後手の龍が7九の歩によってほぼ無力になっており、5七のと金だけでは先手玉に早い寄せがないの辛い。
それに、「△4二同金では△5七と(参考図2)と角を取り、▲4一歩成に△1三角で後手が勝勢だった」という解説も怪しい。
▲4一歩成に△1三角には、▲5一飛成(参考図5)がぴったりで受けなし。
何を根拠に勝勢と言うのだろうか?
また、「ここで里見の▲4二歩(第2図)が疑問手で、形勢の針は一気に傾いた。▲4六角(参考図1)と角を逃げるべきだったのだ」もおかしい。▲4六角と▲4二歩の2手に、形勢が傾くか否かの差はない。
参考図1で「先手良し」という訳でもなく、▲4二歩が悪手とも思えない(一気に形勢が傾く手を「疑問手」と呼ぶこともおかしい)。
さらに、「△4二同金が自然のようで敗着」とあるが、△4二同金の方が△5七とより優っているように思える。
第3図は、4二歩を利かされたうえ、角を逃げられて先手の言い分が通ったように思えるが、持ち駒がない先手が後手を一気に寄せ切るのは難しく、先手玉も狭いので、3五の角の利きが消え、△7九龍の手が回る展開になれば後手勝ちになり、まだまだの局面であろう。
実戦では、里見女流名人が怒涛の攻めを見せたとあるが、どう寄せたのだろうか?(里見女流名人は、こういったギリギリの寄せは本当に強い)
ともあれ、この解説、穴だらけに思えるが、私の目が節穴だらけなのだろうか?