スピードスケートは、文字通りの速度感、コーナーワーク、持久力など魅力的要素が多く、エキサイティングな競技である。特に500mにおいては、スタートダッシュ、スピードと遠心力を制御する高度なコーナーワーク、最後の直線では筋持久力を極限まで絞り切るなど、40秒弱の中にさまざまな要素が集約される。
また、腰をかがめ、足を外に向けて動かす運動パターンは人間本来の動きに比べて、“特異”な動作と言っていいだろう。想像であるが、「有酸素運動・無酸素運動」の括りで言うと、500mは陸上競技の200m~400m走、1000mは600~800m走に相当するのではないだろうか。
そして、もう一つの著しい特徴として、≪インコース・アウトコースの2レーン使用の「ダブルトラック」方式のタイムレースである≫ということ。
ウインタースポーツはタイムレース形式が多いが、ノルディック競技やスノーボードやフリースタイルスキーなどはマススタート方式(一斉スタート)が取り入れられている(ノルディックはタイムレースと混在)。しかし、スピードスケートは2人の競技者が同走するという点で、一般のタイムレースとも趣きを異にしている。
そんなエキサイティングな競技であるが、この「ダブルトラック」方式がレースの公平性に大きく関わっている。
その問題の事例として、≪イン・アウト各1回の2回滑るというレース形式で行われていた≫がある。500mではスピードが乗っている最終コーナーが緩やかなカーブになるイン・スタートの方が有利だとされ、公平性を保つためイン・アウトスタートの2回合計で競うことになった。
確かに2回レース方式に変更された頃は、インスタートの方が記録が速かった。2回レース方式が行われた五輪でも各選手の記録を検証すると、インスタート方が記録が良かった。
この2回レース形式には1998年長野五輪から変更されたが、2017年に国際スケート連盟はピョンチャン五輪では従来の1回方式で行うと決定した。スケート靴の進歩やコーナリング技術の進化、更にバックストレートでインスタートの選手を後ろから追え、心理的効果と風の抵抗の軽減という利点も生かされ、現在ではインスタートもアウトスタートの差がなくなってきたという現状を考慮しての決定だった。
しかし、1000mに於いては、その公平性に疑問があるようである。
その理由として
・アウトスタートは、スタート地点からコーナーまでの直線部分が短く、充分な加速ができない。
・インスタートは、苦しくなる700~800m付近のバックストレートで前の選手を追える(心理的効果+風よけ)
が主な理由。
NHK解説者の三宮氏は、「アウトスタートはインスタートに比べて0.3秒のハンデがある」と述べていた。
えっ!それなら競技としておかしいんじゃないの?
インスタートの方が0.3秒分有利なんて、競技として成立しないのではないか?
それが事実か気になったので、男子1000mの後半の9レースを検証してみた。
検証結果は、インスタート5勝、アウトスタート4勝とほぼ拮抗。
最初の200mでもインスタートが速かったのは5レース。ちなみに、200m地点でリードしていた選手がすべて同走の選手に先着してゴールしていた。(標本数が少なすぎるので、結論は出せません)
私見であるが、中距離要素が500mに比べ大きい1000mでは、スタートダッシュはそれほど重要ではない。むしろ、スタートで力を使いすぎると後半失速してしまう。特に、1500mを得意とするタイプなら、スタートでやや抑えた方がレースに適したペース配分に思える。
選手側もアウトスタートになった場合も想定して、スタートダッシュを押さえ、その分、効率よいカーブワークの熟練を目指すとかの対応策があるはずだ。
また、本論の考察とはやや離れるが、スピードスケートは組み合わせによる同窓の選手の当たり外れが大きい。同走選手が遅いと、本来バックストレートで目標にすべき位置におらず、既に後ろに居て、利を得ることができない。場合によっては、交錯してしまうことがある。
さらに、インコースの選手が転倒して、それに巻き込まれてしまう不運に見舞われることさえある。
それはともかく、三宮氏(他の解説者も述べていた気がする)の言う「アウトコーススタートが不利」が事実なら、競技として成立するかが危ぶまれる大問題であり、迂闊に口にすることではないであろう。
スケート連盟もしっかり検証する必要がある。
もし、有利不利があるのなら、「シングルレーンで行う」とか、「2回レース方式にする」とか、「スタート地点とゴール地点をずらす」などの改善策が求められる。(シングルレーンだと試合時間が長くなり、氷の状態に変化が生じ、公平でなくなる怖れもある。また、2回レース方式だと、日程や体力面に問題が生じそう)
その1「カーリングに関する疑問」
その2「競技成立への疑問・スピードスケート1000m」
その3「競技成立への疑問・スピードスケート マススタート」
その4「競技成立への疑問・ショートトラック」
その5「感動シーン①“メダル獲れて良かったね”」
その6「感動シーン②“格好良すぎるコメント”」
その7「バレリーナと女優」
その8「感動シーン③“ピョンチャン五輪でベストシーン”」
また、腰をかがめ、足を外に向けて動かす運動パターンは人間本来の動きに比べて、“特異”な動作と言っていいだろう。想像であるが、「有酸素運動・無酸素運動」の括りで言うと、500mは陸上競技の200m~400m走、1000mは600~800m走に相当するのではないだろうか。
そして、もう一つの著しい特徴として、≪インコース・アウトコースの2レーン使用の「ダブルトラック」方式のタイムレースである≫ということ。
ウインタースポーツはタイムレース形式が多いが、ノルディック競技やスノーボードやフリースタイルスキーなどはマススタート方式(一斉スタート)が取り入れられている(ノルディックはタイムレースと混在)。しかし、スピードスケートは2人の競技者が同走するという点で、一般のタイムレースとも趣きを異にしている。
そんなエキサイティングな競技であるが、この「ダブルトラック」方式がレースの公平性に大きく関わっている。
その問題の事例として、≪イン・アウト各1回の2回滑るというレース形式で行われていた≫がある。500mではスピードが乗っている最終コーナーが緩やかなカーブになるイン・スタートの方が有利だとされ、公平性を保つためイン・アウトスタートの2回合計で競うことになった。
確かに2回レース方式に変更された頃は、インスタートの方が記録が速かった。2回レース方式が行われた五輪でも各選手の記録を検証すると、インスタート方が記録が良かった。
この2回レース形式には1998年長野五輪から変更されたが、2017年に国際スケート連盟はピョンチャン五輪では従来の1回方式で行うと決定した。スケート靴の進歩やコーナリング技術の進化、更にバックストレートでインスタートの選手を後ろから追え、心理的効果と風の抵抗の軽減という利点も生かされ、現在ではインスタートもアウトスタートの差がなくなってきたという現状を考慮しての決定だった。
しかし、1000mに於いては、その公平性に疑問があるようである。
その理由として
・アウトスタートは、スタート地点からコーナーまでの直線部分が短く、充分な加速ができない。
・インスタートは、苦しくなる700~800m付近のバックストレートで前の選手を追える(心理的効果+風よけ)
が主な理由。
NHK解説者の三宮氏は、「アウトスタートはインスタートに比べて0.3秒のハンデがある」と述べていた。
えっ!それなら競技としておかしいんじゃないの?
インスタートの方が0.3秒分有利なんて、競技として成立しないのではないか?
それが事実か気になったので、男子1000mの後半の9レースを検証してみた。
検証結果は、インスタート5勝、アウトスタート4勝とほぼ拮抗。
最初の200mでもインスタートが速かったのは5レース。ちなみに、200m地点でリードしていた選手がすべて同走の選手に先着してゴールしていた。(標本数が少なすぎるので、結論は出せません)
私見であるが、中距離要素が500mに比べ大きい1000mでは、スタートダッシュはそれほど重要ではない。むしろ、スタートで力を使いすぎると後半失速してしまう。特に、1500mを得意とするタイプなら、スタートでやや抑えた方がレースに適したペース配分に思える。
選手側もアウトスタートになった場合も想定して、スタートダッシュを押さえ、その分、効率よいカーブワークの熟練を目指すとかの対応策があるはずだ。
また、本論の考察とはやや離れるが、スピードスケートは組み合わせによる同窓の選手の当たり外れが大きい。同走選手が遅いと、本来バックストレートで目標にすべき位置におらず、既に後ろに居て、利を得ることができない。場合によっては、交錯してしまうことがある。
さらに、インコースの選手が転倒して、それに巻き込まれてしまう不運に見舞われることさえある。
それはともかく、三宮氏(他の解説者も述べていた気がする)の言う「アウトコーススタートが不利」が事実なら、競技として成立するかが危ぶまれる大問題であり、迂闊に口にすることではないであろう。
スケート連盟もしっかり検証する必要がある。
もし、有利不利があるのなら、「シングルレーンで行う」とか、「2回レース方式にする」とか、「スタート地点とゴール地点をずらす」などの改善策が求められる。(シングルレーンだと試合時間が長くなり、氷の状態に変化が生じ、公平でなくなる怖れもある。また、2回レース方式だと、日程や体力面に問題が生じそう)
その1「カーリングに関する疑問」
その2「競技成立への疑問・スピードスケート1000m」
その3「競技成立への疑問・スピードスケート マススタート」
その4「競技成立への疑問・ショートトラック」
その5「感動シーン①“メダル獲れて良かったね”」
その6「感動シーン②“格好良すぎるコメント”」
その7「バレリーナと女優」
その8「感動シーン③“ピョンチャン五輪でベストシーン”」