英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

将棋初級講座⑪ 「~だったらいいのになあ」の巻

2011-10-13 16:14:40 | 初心・初級将棋
 「講座」と銘打っていますが、脈絡がなくなってきていますね。

 今回のテーマは「~だったらいいのになあ」です。
 ないものねだりのワガママは困りモノですが、理想や夢というと大げさですが、希望をえがき(目標を立て)それの実現に努力することは大切なことですが、将棋において、この考え方はとても有効なのです。

 では、問題図をご覧ください。

 5一の龍を5二に引いた王手に対し後手が△3二歩と受けたところです。
 既に先手が勝ちの局面ですが、一番簡明に勝つ次の一手をお考えください。

【この問題は、玉さんに出しています。ご迷惑でしょうが、頑張ってください。分からなかったら、「わからない」で結構ですよ。その時は、ヒントを出します。
 大変勝手なのですが、他の方は答の書き込みはご遠慮ください。もちろん、それ以外のコメントは歓迎です。】
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将棋初級講座⑩ ~「次の一手」の次の一手Ⅱ~【解答編】

2011-09-23 09:43:05 | 初心・初級将棋
9月18日記事将棋初級講座⑨ ~「次の一手」の次の一手Ⅱ~
の解答です。



前回は問題2図から、▲2三歩△同飛▲4一角△2二飛(初級者2図)

まで考えました。

 放っておくと、2筋を突破されそうですし、打った角も危なそうです。
 しかし、大駒(本問の場合は飛車)同士が向かい合い、その間に駒がある場合は、技を掛けるチャンス(技を掛けられるピンチ)なのです。
 後手の2五の銀は2二の飛車の紐がついていますが、飛車が動くと取られてしまうことに気づくと、正解の一歩手前です。
 次を読む前にちょっと考えて見ましょう。





 正解は▲3二角成です。
 以下△同飛の一手に▲2五飛(成功図)で大成功です。

 角は後手に渡りましたが、先手は金と銀の2枚を手に入れ、飛車も捌けました。
 場合にもよりますが、大駒1枚と小駒(金、銀、桂、香)2枚の交換は、小駒2枚の方が得です。角と金銀ならば小駒2枚の方がかなり得、角と銀桂でも小駒が有利です。角と桂2まいだと、さすがに角の方が良さそうです。
 大駒1枚と小駒(金~歩)2枚を交換するのを「2枚換え」と言い、「2枚換えなら歩ともせよ」という格言さえあります。この格言は少し大げさで、歩2枚では全然大駒1枚には足りませんが、それだけ「2枚換え」は得だという教えなのでしょう。
 補足しますと、銀(金)と「桂と歩」の交換の場合も「2枚換え」と言うことも多いようです。

 今回は
「大駒のふすま越しのにらめっこは、危険がいっぱい」
「2枚換えなら、歩ともせよ」
が、テーマでした。
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将棋初級講座⑨ ~「次の一手」の次の一手Ⅱ~

2011-09-18 19:42:16 | 初心・初級将棋

 将棋世界2011年7月号、級位コース第2問です。有段者なら、ひと目かもしれません。
 問題図のように大駒の間に歩以外の駒がある場合、技が掛かることが多いです。どちらかと言うと、自駒のある方が不自由です。
 本問も、後手の2五の銀が焦点となっています。一見、飛車、角、銀が協力して先手陣の突破が目前のようですが、実は2五の銀が弱点で、先手にそこを突かれてしまうのです。





 正解は▲2三歩です。飛車取りなので、当然、、対処しなければなりませんが、△2三同金だと飛車の利きが途切れて、2五の銀が只になってしまいます。なので、△2三同飛としますが、ここで▲4一角(正解2の2図)が継続手。

 飛車を移動させた効果で、3二の金取りになります。
 金取りを受けるには、金を4二などにかわすのも手段の一つですが、この場合、2三に飛車を取られてしまいます。
 なので、後手は△2二飛(初級者2図)と引いて金取りを受けるしかありません。


 さて、先手にここで手がなければ、角を打った意味がありません。2筋を突破されそうな上、打った角も風前の灯。
 継続手をお考えください。
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将棋初級講座⑧ ~「次の一手」の次の一手の解答~

2011-09-14 17:35:29 | 初心・初級将棋
9月11日記事将棋初級講座⑦ ~「次の一手」の次の一手~
の解答です。

 問題は

 でした。
 正解は▲5三桂成で、この手は△5三同角(初心者1図)に▲○○○の厳しい一着を用意しています。

 中級者になれば、この▲5三桂成△5三同角▲○○○の3手を、「3手の読み」として一まとまりに見えてくるようになります。そして、▲○○○が決め手で瞬時に次の展開を把握して先手成功と判断します。
 ところが、初級者にとってはこの△5三同角(初級者1図)から、もうひと山、ふた山迎えなければなりません。
 さて、この初級者1図をご覧ください。先手は先に▲5三桂成と桂馬を只で捨てています。ですから、当然、それ以上の成果があるはずです。
 目の付け所は、先手の9七の角と後手の5三の角と6四の金。この位置関係が後手にとっては都合の悪い事になっています。

【ヒント】後手の金が動くと後手の角が先手の角に取られてしまいます。





 もうお分かりですね。▲6五歩(続正解図)が厳しい一着となります。

 残念ながら、正着にたどり着けなかった方も、今一度、下記の解説を読む前に続正解図を見て、この歩打ちで後手が困っていることを確認してください。


 ▲6五歩は金取りですが、金が逃げると角が取られてしまいます。
 先の▲5三桂成が後手の角を宙ぶらりんの位置におびき寄せ(角が4二に居れば金を7四にかわす事が出来る)、かつ、6五に歩を打つことを可能(桂が居て歩を打てなかった)にした妙手だったのです。

 初心者は、この解説を読んで、「おお、なるほど」と思うだけで十分です。
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将棋初級講座⑦ ~「次の一手」の次の一手~

2011-09-11 13:22:49 | 初心・初級将棋
 将棋は、初心者(ルールを把握して、駒の動きを間違えないで一局を指し通せる)から5級ぐらいまでに大きな壁があります。しかも、5級ぐらいにならないと将棋の面白さが実感できないのが悩みの種です。
 一番良い上達の方法は、もちろん実戦です。一日5局ほど、自分より少し強い人がベストですが、ずっと強い人でも良いですし、最近では将棋ソフトという便利なものもあります。それで、500回ぐらい「あっ」とが「ぎゃっ」と叫ぶ痛い目に会えば、嫌でも5級になります。
 王手や駒の利きの見逃しの初歩的なもの、初心者が犯しやすいミス(桂馬の高跳び歩のえじき等)を何度も咎められれば、嫌でも駒の利きには注意をするようになりますし、車の運転と同じように自然と3手の読み(こう指すと、ああきて、こう指す)ができるようになり、将棋の感覚も身につきます(車の運転のようなもの)。何度も痛い目に会えば、それが身に付き逆に相手に使うこともできるようになります。
 あとは、詰将棋です。これは、駒の利きを完全に掌握して読まないとダメなので、読みの力がつきます。正解が発見できれば非常に気持ちが良いのですが、出来ないと苦痛なだけです。余ほど簡単なものならといいのですが、通常の3手詰は5級ぐらいの棋力がないと難しいです。
 あとは「次の一手」を解くことです。これは「終盤は駒得より速度」とか「玉を下段に落とせ」とか「駒の特性を生かす」とか、将棋のコツを理解するのに役立ちます。しかし、これもある程度の棋力がないとなかなか解けません。
 で、もう少し何とかならないのかと考えたのが今回の講座です。


 将棋世界2011年7月号、級位コース第1問です。
(実際の問題は1筋の端歩は突き合っています。私のミスでした)
 互いの陣形が不自然です。特に後手の陣形、銀矢倉や飛車先が8四なのが不自然です。さらに直前に、多分▲6五桂に5三の金を6四にかわしたところと思われます。そもそも5三に金がいることが不自然ですし、△6四金と上がるのも危険の匂いがする手です。
 では、まず、この問題図から考えていただきましょう。
 △6四金に危険の匂いがすると書きましたが、それを咎める手があります。後手の金と角の位置関係を悪くして、その弱点を突くという手です。




 正解は


 です。

 しかし、初心者の方はこの手を見ても、ピンと来ないかもしれませんね。
 そこで、▲5三桂成△同角の初級者1図からもう一度、お考えください。
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将棋初級講座⑥ ~数の攻め(引き算の攻め)~

2011-08-07 19:09:50 | 初心・初級将棋
 「将棋初級講座⑤ ~数の攻め~」の続きです。

 
 前回、第4図では「引き算の攻め」があるというところで終わりました。
 「引き算の攻め」とは守備駒に働きかけ(守備駒を取ったり、移動させたり、利きを遮断する)て、守備駒の利きの数を減らすという手法です。

 前回の足し算の攻めでは登場しませんでしたが、持ち駒に歩が一枚ありますね。歩は前に一歩しか動けない弱い駒ですが、その分、相手の手に渡ってもそれほど痛くないことが多いです。なので、歩を犠牲に相手陣を乱す時によく使われます。
 そこで、歩の使えそうな場所を探して見ましょう。

①▲2四歩

この手は2三の地点の利きを増やして、よい手段のように思えますが、以下△2四同歩▲同香△2三歩(失敗図1)で、

2三の地点の利き数は2対2のままなので先手の攻めは失敗です。

②▲2二歩

 桂取りですので、それより大きな手があれば別ですが、普通は△2二同金(失敗図2)と応じます。


 この▲2二歩のような手は敵陣を乱す(この場合、3二の金を2二のへき地に誘導する)に有効なので、覚えて損のない手です。
 しかし、この場合、2三の利き数は変わらないので、先手の2筋突破は敵いません。

③▲4二歩

 この手は角取りなので、後手もよほどのことがないと手抜きはできません。この場合、△4二同金(引き算成功図1)と取ることができますが、

 金が移動したことによって、2三の地点の利きが減り、先手の2筋突破が実現します。

 では、金で歩を取らず、角を逃げてみましょう。△5二角(引き算成功図2)。

 今度は角の利きが逸れたので、先手の2筋突破は実現します。

 というわけで、第4図での引き算の攻めは、▲4二歩でした。
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将棋初級講座⑤ ~数の攻め~

2011-08-01 22:29:39 | 初心・初級将棋
 将棋の勝利条件は「玉を詰めること」です。と言っても、玉を詰めるのは最終目標で、もう少し幅を広げて言うと、「玉を攻めることが勝つための手段」となります。
 しかし、戦型によっては例外もありますが、最初から玉を目指すのも難しい場合が多いです。なので、第一段階として、「敵陣を破る(敵陣に成り込む)」ということが目標になります。敵陣に成り込めば、それを足がかりとして玉に迫ることができます。特に、飛車が成り込めば、玉を射程距離に捉えたと言って良いです。

 とは言え、相手もそれは許さじと防衛してくるので、敵陣を破ることは容易ではありません。では、敵陣を破るにはどうしたらよいでしょうか?
 一番基本的な攻め(戦術)は「数の攻め」です。物量(攻撃力)にモノを言わせて突破するという単純明快な戦術です。ですが、初期の戦力は同等なので、なかなか実現できません。本格的に攻める前に、うまく駒得できれば、数の攻めが容易にできるようになるのですが、駒得することもなかなか簡単ではありません。
 が、ここは細かいことを抜きにして、駒得をして戦力的に優位に立っていると仮定して、数の攻めの実例を考えてみましょう。


 図で先手の手番だと、当然飛車を成り込みますよね。局面が終盤で、先手が飛車を成ることよりもっと価値のある手があれば(例えば相手の角が取れる)、手を抜くことも考えられますが、序盤なのでそういうことはまずないので、先手の飛車成りを防がねばなりません。
 というわけで、△3二金(第2図)と2三の地点をカバーします。

 この図で、2三の地点の互いの勢力は、先手1(2八の飛車)に対し、後手も1(3二の金)です。飛車は強い駒ですが、それは、駒の移動範囲が大きい(駒の利きが多い)ということで、攻撃力や耐久力は皆同じです。先に顔を差し出せば、殴られるだけです(後出しジャンケンのようなもの)。この場合、▲2三飛成とすると、おいしく△2三同金と飛車を取られてしまいます。

「足し算の攻め」
 その地点の勢力(駒の利き数)が同じなら、先に手を出した方が負けます。これが将棋の法則で、視点を変えれば「駒の利きが多ければ、先に手を出しても勝ち」とも言えます。2対1なら先に手を出しても勝ちです。そこで、2三の地点の勢力を増やします。▲2六香(第3図)。


後手が放置すれば、▲2三香成△同金▲同飛成となり、大成功です。
 そこで、後手もそれは許さじと△4一角(第4図)と2三の地点を増強します。


 これで、2三の地点の勢力は2対2となり、先手はこの地点を破ることはできません。そこで、▲2七香(足し算図)と勢力を増やします。

 これで、2三の地点の勢力は3対2と先手が優勢になりました。しかも、後手はこれ以上増強する手段がないので、先手の2筋突破は確定しました。これが、将棋の基本「数の攻め」です。


 これで、「めでたし、めでたし」と締めくくればいいのですが、実は、この数の攻め(足し算の攻め)にはデメリットがあるのです。
 それは……「攻めが重い」のです。「重い」というのは、効率が悪いという意味です。
 今一度、足し算図をご覧ください。
 先手の攻撃陣、飛車と香2枚を重ねたロケット砲は強力です。でも、一番働かせたい飛車の頭に香が2枚も乗っかっていて、飛車が成り込むのに手間がかかりそうです。なので、後手は放置して他の地点でポイントを稼ぐのが将棋の考え方ですが、先手の攻撃陣の重さを際立たせるため△4二金(肩透し図)としてみましょう。

 先手の攻撃陣が肩すかしを喰らっている感じがしませんか?
 「なんだ、『基本は数の攻め』と言っておきながら、「重い」だの「肩透し」だのいうのか?」
と、叱られそうですね。でも、「数の攻め」は基本で、頭に染み込ませるべき戦術であり、そのデメリットも頭に入れておくべき性質です。
 本来なら、重い攻めとそうでない攻めの境界線を述べるべきなのですが、今回は簡単に。一言で言うなら、「相手玉に近いか遠いか」です。今日は、肩透し図の先手の攻めが「重い」と何となく感じられればOKです。

 さて、「数の攻め」で「足し算の攻め」を紹介しましたが、「足し算」があるからには「引き算」があるのでは、と思いませんか?
 第4図に戻って、「引き算の攻め」をお考えください。

 【ヒント】 引き算の攻めというのは、2三への後手の利き数を減らす手立てです。
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将棋初級講座④ ~逃げ道封鎖の術~

2011-06-17 21:27:51 | 初心・初級将棋

 問題図は▲8二銀の「詰めろ」に対し、後手は「大丈夫、大丈夫」と受けないで他の手を指したところです。私の実戦の場合、「詰めろ」を掛けて、「勝った!」と詰ましにいったら、読み抜けがあって愕然としたことが多々あります。が、今回は大丈夫です。さあ詰ませましょう!
 まず、一番自然な、▲8一銀不成(いただきマウス図)。

この手は、王手をしながら、いただきますと桂馬も取れるので、一石二鳥で調子よく見えます。ところが……

△9三玉(さよなライオン2図)と逃げられてしまいます。桂馬が手に入ったので、あきらめずに▲8五桂と王手を掛けても、△8四玉(失敗図)で捕まりません。



 失敗してしまいました。では、もう一度問題図に戻りましょう。

 失敗の原因は9三に玉を逃がしたことです。
 こうなった理由は二つ考えられます。
①桂を取りながら王手という気持ちよさに釣られた
 もちろん、それでいい場合もあります。実際、桂馬の入手が大きいこともあります。本問の場合は、失敗図のように捕えられませんでしたが、もし、自陣の歩が7六と9六に伸びていれば、▲7五金(場合によっては図)で詰みます。

 ただ、通常は王手をして上部に逃がすのは、「さよなライオン」とぽぽぽぽ~んのあいさつをされることが多いと覚えておいてください。

 さて、▲8一銀を誘発した原因はもう一つあります。
②問題図の段階では、8二の銀が9三にも利いていた。
 「9三に玉を逃がしてはいけない」ということは分かっていて、桂馬を取るまでは、9三に利いているので逃げられないと思い桂馬を取るのですが、銀を8一に動かすと、9三への利きも消えてしまうことをうっかりしてしまうのです。
 整理すると、①「上部(9三)に追っては(逃がしては)いけない」という意識の弱さと、②「銀を動かすと9三に利きがなくなってしまう」という読みの欠如、が原因です。

 さて、ここで、読みと感覚の飛躍(一段階ステップアップ)が必要です。
「▲8一銀不成とすると9三に逃げられてしまう」
         ↓
「もし、9三に逃げられないようにしてから▲8一銀歩成とすれば詰む」
         ↓
「9三に逃げられないようにするにはどうしたらよいか?」

と、いう発想になれば、もう少しです。
 通常、9三に逃がさないためには、9三の地点に自分の駒を利かせておけばよいのです。持ち駒に桂があれば▲8五桂、角があれば▲6六角と利かせておいて、それから▲8一銀不成と指せばいいのですが、本問の場合は角も桂もありません。
 しかし、実は、たとえ持ち駒に角や桂があっても、それらの手よりももっといい手があるのです。
 それが「逃げ道封鎖の手筋」です。
 上記のように、自分の駒の利きで逃げ道を封鎖するのが通常の手段ですが、相手の駒をそこに移動させて逃げ道に栓をさせてしまうのです。
 自分の駒を栓をしたい地点に移動、或いは打って、その駒を相手に取らせることによって逃げ道を封鎖するのです。
 もう、お分かりですね。▲9三金!(一閃図)

 このテクニックを知らないと、「問題図で8一の桂がなければ、▲9三金で簡単なのに、桂いるのでせっかく打った金を取られてしまう」と▲9三金は除外してしまいますね。
 ▲9三金には△同桂

の一手です。もし、実戦でこの手を指して、相手がこの技を知らなかったら、「しめしめ、桂馬が利いてるのをうっかりしているぞ」と喜んで金を取ることでしょう。そこで、▲8一銀不成!(解決図)

 相手は飛び上がるのではないでしょうか。
 問題図より▲9三金△同桂▲8一銀不成までの3手詰です。
 よくよく考えると、もともと8一の桂は王手でタダで取れるのですが、それは失敗してしまい、逆に▲9三金と金を献上して取れる桂を逃がしてしまってから▲8一銀不成とするのが正解なのです。
 良くできたパズルだと思いませんか?


 ちなみに、問題図で持ち駒が飛車だったらどうでしょうか?



 問題図と同じですね。飛車は勿体ないですが、同じように捨てれば、同じように詰みます。
 つまり、9三に捨てる駒は前に利く駒ならなんでもいいのです。
 歩でも成立します。
 だから、有段者はこういうことを見越して、あらかじめ9筋の歩を▲9五歩△同歩と突き捨てておくのです。

 こうしておけば、持ち駒は歩で済みます。(突き捨てておかないと「二歩」になります)

 今回は「逃げ道封鎖」のテクニックでした。
 前回の「引っ張り込み(おびき出し)」のテクニックもそうですが、詰将棋だけでなく、実戦の寄せでも役に立つ痛快なテクニックです。
 ただ、「逃げ道封鎖」は主に詰将棋で活躍し、「おびき出し」は実戦でも詰将棋でも活躍、「(下段に)引っ張り込み」は実戦で忘れてはならない基本です。
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将棋初級講座③ ~包むように寄せる~

2011-06-14 17:34:30 | 初心・初級将棋
 前回は「頭金」を決め技に、玉を下段に落とす(追いかけて上へ逃がさない)という基本の寄せ方がテーマでした。
 今回も、玉を逃がさないためのテクニックがテーマですが、具体的な名称はまだ明かしません(ヒントになってしまうので)。


 初形図をご覧ください。
 玉をかなり追い詰めています。実際には、金一枚(7二の金)だけで追い詰めているのは不自然で、6一に銀とか6二に金とかがいるべきなのですが、簡略化しています。
 また、玉方の持駒がたくさんありますが、詰将棋の場合、(持駒が表記されていなくても)盤面以外のすべての駒は玉方の持駒となります。
 雑誌や新聞などの詰将棋欄には、玉方の持ち駒は普通表記されていませんが、今使っているソフトは古いバージョンなので、鬱陶しいくらい表記されてしまいます。自室のノートパソコンでアップする場合は、表記されません。どちらの場合でも、詰将棋やそれに類する問題や局面の場合、残り駒全部とお考えください。

 補足説明が長くなってしまいましたが、初形図に戻ります。(再掲します)

 この図は詰将棋ではありません、実戦の局所図とお考えください。

 まず、▲8二金打と王手する手が目につきますね。(普通、持ち駒を打つ場合でも▲○○金」という風に「打」は省きます。でも、この場合は7二にいる金を8二に動かすことができ、それと区別がつかないので、「打」をつけて表記します)
 さて、この▲8二金打ですが、もしこの初形図で端の歩を突かれてなかったら(これなら簡単図)

 この王手(▲8二金打)で解決です。

 ちなみに、この金の形を「腹金」と言います。この腹金は正直言って、「頭金」ほど重要なテクニックではありません。追い込んでいったら、成り行きでこの形で詰むといった程度です。実際逃がすことが多い金(打ち)です。

 実際、初形図で▲8二金打とすると、△9三玉(サヨナライオン図)と逃げられて、

玉の前方には太平洋のように広大な前途が広がっています。攻め手の2枚の金がむなしく置き去りにされています。この「サヨナライオン図」という表現、かなり気に入っています。
 端歩が突いてあっても、持駒が豊富にあれば詰ますことも可能ですし、実戦では先手陣の歩が7六にあることが多いので、逃げ切るのは大変なのですが、端歩が突き不突きで、玉の危険度には大きな違いが生じます。

 王手に対しては、相手は手抜きすることはできず、逃げるか王手の駒を排除(取る)か、合駒が利く場合は合駒で王手を遮るなど、とにかく王手に対処しなければなりません。絶対に王手は無視されないので、気持ちいいので、「取り合えず王手」をしたくなりますが、先の見通しを立てないで、王手をすると、「追う手(逃がす手)」になってしまいかねません。
 そこで、ひとつのテクニック「玉は包むように寄せろ」を駆使します。このテクニックも、重要な技で、覚えておくと非常に役に立ちます。が、今回のテーマはこの先にあります(まだ秘密)。
 「玉を包むように寄せる」手は▲8二銀(基本図・問題図)。

 この手は王手でないので、一見緩そうですが、玉の脱出路(9三)を阻止しています。しかも、それだけでなく、この手が「詰めろ」になっています。この形は、必至ではありませんが、形によっては非常に受けにくく「必至」に近い決め技になることもあります。

 ここで、問題です。この問題図で、玉方(後手)が受けないで他の手を指し、手番が回ってきました。うまく、詰ましてください。

【用語の説明】
「詰めろ」……次に詰ますぞという手
「必至」……詰めろと同じで次に詰ます手だが、相手は受けが利かない。

ヒントの要望があれば、おっしゃって下さい。
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将棋初級講座② ~頭金 その2 ~

2011-06-12 19:24:43 | 初心・初級将棋
 6月7日記事『将棋初級講座①』の後編です。


 問題図で、普通に▲2二金と打っても△4二玉と逃げられて全く捕まりません。

 「受け方(後手)の玉が、もし2一に居たら、(下図のように)頭金の形にできるのになあ」

 と思いませんか?
 将棋では、「もし~だったらなあ」と思うことが解決の第一歩になることが多いのです。願望を実現させる工夫が、局面に埋まっていることが多いのです。
 今回の問題の解決法は、「餌をちらつかせて捕まえる」のに似ています。いえ、そんなギャンブル的な要素はなく、もっと強制力があって、「強引に引っ張り込んで抑え込む」と言った方が正確な表現ですね。
 それはともかく、玉を2一におびき寄せる(引っ張り込む)餌は何でしょうか?持ち駒の金?いえ、それでは逃げられるだけです。では……そうですね、1二の角が怪しいですね。これを餌にしてみましょう。

 ▲2一角成!(一閃図)……「只なのでは?」と思った方は正しい初級者です。(バカにしているのではなく、しっかり駒の利きをマスターしているという意味です)
 角の只捨てに限らず、将棋には駒を捨てる手がよく登場します。単に取られるのは、非常に痛いのですが、それより大きな収穫が得られれば、好手となります。今回の収穫は、もちろん玉です。

 2一の馬が只なので、取ってみましょう。(基本似図)

 そうすると、玉が一路移動したので、基本技の「頭金」が可能になっています。
 というわけで、ピシリと▲2二金!(解決図)

 頭金で解決です。

 さて、先ほどの説明で、「餌でおびき寄せるのではなく引っ張り込む」と言う表現をしましたが、単に餌でおびき寄せるのでは決定打にはなりません。例えば、2一に捨てる餌が金だったらどうでしょう?

 欲張りな玉なら、パクリと食いつき「頭金」が実現しますが、危険を察知する賢い玉は△4二玉と体をかわします(サヨナライオン図)。

 将棋の面倒くさ…いえ、素晴らしいところは、相手の応手をすべて想定し対応しなければならないということです。
 初手の2一角成(一閃図)の素晴らしい点は、△4二玉とかわされた場合でも、2一の馬の利きが4三まで利いていて、▲4三金(変化図)と、詰ますことができることです。


 あと、この図で気づいていただきたいことは、仮に4一の金や5一の銀がいなかったら詰まないということです。5一の銀がなかったら▲4三金と打たれても5一玉と逃げることができます。
 通常、金や銀が玉のそばに居れば、守りに役立つのですが、この場合は逆に邪魔になっています。このように、時と場合によって、逆効果になることもあるというのも、将棋の面白さの一つだと思います。

 最後に、この問題のバリエーション図を挙げておきます。
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