英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

手品 ……中田七段作詰将棋 『将棋世界』2016年3月号

2016-03-31 21:27:59 | 詰将棋
『将棋世界』2016年3月号掲載、中田七段詰将棋コーナー(第3問)です。

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2016選抜高校野球 残念な敦賀気比の2回戦敗退

2016-03-30 21:36:26 | スポーツ
熱戦が続くセンバツ(選抜高校野球)も、いよいよ明日が決勝戦「智弁学園×高松商業」。

 今年の福井県は敦賀気比と福井工大福井が出場。
 福井工大福井は開会式直後の試合で、智弁学園に0-4で敗れた。≪あと1本が出ていたら≫という場面が何度もあり、充分に勝機があった試合だった。
 敦賀気比は1回戦は青森山田に1-0で勝利。エース山崎が力のあるストレートと、沈むボールで青森山田打線を抑えての勝利。ヒットは気比が3本、青森山田は4本、投手戦だった。

 敦賀気比の2回戦は海星(長崎県)。
 途中からしか見られなかったので、正確な評価はできないが、いろいろと残念に思うことが多かった。
 まず、打てなかった(1回戦を含めて)。振りがそれほど鋭くはない。その割には“振り回す”。“振り切る”のではなく、“振り回す”。「ぶぅぅん」と擬音をつけたくなるようなスイングだった。
 敦賀気比は県外から入学してきた球児が多い。そんな彼らは才能あふれ中学時代から強打者であったと思われる。そういう選手がひしめくチームでレギュラーを勝ち取った選手なので、もちろん強打者であるのは間違いない。
 実際、2年前の夏の甲子園大会での気比は超強力打線だった(準決勝で大阪桐蔭に打ち負けた)。昨年もエース平沼と、強力打線で選抜優勝を勝ち取った。昨秋も北信越で優勝、神宮大会も高松商業に敗れたものの準優勝。
 確かに、昨秋の時点では、“強力打線”並だったと思われる(県大会の高打率なんて全く当てにならない)。しかし、昨秋から各チームのエースたちは球速を上げ、制球力を増してきている。
 過去の実績や昨秋の感触を過信して、今大会の各チームのエースを簡単に打てると勘違いしていたのだろう。今大会を振り返って、≪打線の調子が悪かった≫とか≪相手チームのエースの出来が良かった≫と思って欲しくはない。

 それでも、エース山崎が復調していたので、上位進出の可能性はかなりあった。
 しかし、残念ながら、伯仲するゲームを勝ち抜くだけの細かいセオリーが身に付いていなかった。

 例えば、5回表のサードの守備。ワンアウトランナーなしで、サードへ高いバウンドのゴロ。バウンドに合わせてグラブにボールを収めるのはなかなか難しい。それができたとしても、ファーストに送球してアウトにできるかどうかも微妙なところだった。この時のサードは、好プレーの映像が見えていたのだろう。グラブを当てずっぽうで差し出し、全く捕球できずに、ボールはレフト前にコロコロ転がってしまい2塁打にしてしまった。
 次打者が1、2塁間を抜けるライト前ヒット。2塁からランナーが生還して、大きい2点目を与えてしまった。
 もう1点もやれないとか、ピッチャーがアップアップ状態であったなら、一か八かでグラブを差し出すのもあり得たが、ワンナウとランナーなしでピッチャーの山崎も悪くなかった。なので、無理してアウトを取らなくても、きっちりと捕球することを優先で対処すれば、少なくとも2塁を与えることはなかった。

 5回裏の攻撃、林中のソロホームランで1-2の1点差に迫り、イレギュラーヒットで出たランナーを犠打で2塁に進めていた。この場面で、センターの飛球。センターが後ろにバックして捕球するという割と大きなフライだったが、この時、2塁ランナーは三遊間で飛球の行方を見送り、捕球後2塁ベースに駆け戻った。
 タッチアップして3塁へ行けたように思えたが、まったくその気がない走塁であった。ここは、センターに大きな飛球が上がった段階で2塁に帰塁し、タッチアップを窺うのが基本ではないだろうか。大飛球なので、2塁ベースに戻っていても、センターが捕れなかったのを見てスタートを切っても、悠々ホームに帰れたはずだし、打球の上がり具合からセンターがキャッチすることは予測できたはずだ。
 あと、4回裏の攻撃、2アウトから海星のピッチャーが突然制球を乱し、2連続ストレートの四球。さらに次打者の1球目も明らかなボール。つまり、9球連続してストライクが入らなかった。しかし、打者は次の難しい球に手を出して、ファーストへのファールフライに倒れてしまった。

 結局、1-2で敗退。連覇の夢は潰えた。
 まあ、連覇は出来なくてもいいが、あの試合運びには相当疑問を感じた。

 非常に“言い過ぎた”今日の記事。偉そうに言う立場では全くないし、私が言わなくても、チームはしっかり把握していることと思う。
 夏の大会での活躍を願って書いたと解釈して、容赦していただきたい。
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雑感

2016-03-29 23:29:24 | 日記
 この時期、スポーツも一段落(私の好きな競技という意味で、選抜高校野球は佳境、プロ野球、ゴルフは開幕と野外スポーツは本格シーズン)。連続ドラマも切り替え時期……そんなわけで、将棋の記事が連続してしまった。
 昨年までなら草花をアップしたのだが、昨年5月にスマートフォンに切り替えたのを機に、写真はfacebookに移行。撮影するにはデジタルカメラの方が良いが、アップするのはスマートフォンの方が楽なので、そうなってしまった。

 寒いのが苦手なので、春になるのはうれしいが、この時期はあまり好きではない。
 年度が替わるので、何かと慌ただしい。でも、自営業なので4月になったからといって、環境が激変することはないし、PTAは終了しているので、ここ数年は割と緩やかに過ごさせてもらっている。(仕事自体は飲食関係なので、歓送迎会など割と忙しい)
 もちろん、周辺(我が子を含めて)、進学や就職などで、それなりに新年度を実感したり、お祝い金で“福沢さん”の移動も激しい。

 “別れの季節”でもあるが、それを私の周辺で感じることよりも、テレビ関係で感じることの方が多いというのは、問題かもしれない。
 NHKの地元局では、毎年2、3人のアナウンサーや女性キャスターが異動になり、毎年、少し寂しい思いをする。今年度はまだ分からないが、唐突に驚いたことがあった。
 土日祝日の全国の気象情報を担当していた渡辺博栄が27日の気象情報で「え~さて、24年間に亘って気象情報を担当してきましたが、今日が最後の放送となっています。長い間の応援、ありがとうございました」
 と、別れの挨拶。ちょっと感慨深げな表情だった。
 柔らかい口調で客観的で誠実な解説をされる方だった。口頭だけでなく、画面でもと一面ピンクの桜の花びらのバックに「24年間ありがとうございました」と表記されていた。最後というのも驚いたが、この画面にもびっくり。NHKで個人的なあいさつに使用するとは……粋な“はからい”だなあ。

 別れだけではなく、“出会いの季節”でもある。
 『ニュースウオッチ9』の「today's watch」のコーナーを担当する新リポーターが伊藤海彦アナウンサー。ん?佐藤天彦八段ならよく知っているが……

 将棋関係では、寂しい話題が2つ。
 ひとつは『週刊将棋』の休刊。32年間、数多くの情報を毎週提供してくれた。将棋は長時間かかるし、表面だけでは分からないことが多い。それを記事にして毎週、発刊するというのは、並大抵のことではない。
 ネット中継や情報にはない紙面の良さがあり、休刊は残念で寂しい。長い間、ありがとう(購入したのはここ4年くらいだが)

 もう一つは、名人戦のBS中継がなくなったこと
 「ニコニコ生放送があるから、(なくても)いいのでは」という声もあるが、あの静止画とも思える画像から感じられる対局者の読む姿の深遠さ……将棋の高尚さをしみじみ感じることができたのだけど。

 ここからは、ひとりごと
「これを読んでくださっている方、“名人戦のBS中継がなくなって残念だ”という声をNHKに届けてほしいなあ”。特に、女性の方が言ってくれると、響きが違うんだけど」



 棋士活躍度ランキングの下準備(タイトル戦結果や棋戦の優勝者・準優勝者の確認と点数化)が終わりました。あとは、棋士毎の合計点の集計で、これがなかなか大変。ベスト10だけならそれほどではないのですが、ベスト20となると、要チェックの棋士は40~50名になります。
 このランキング、需要があるのでしょうか?
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「接近戦」(中田七段作詰将棋)の解答

2016-03-28 16:43:57 | 詰将棋
「接近戦 ……中田七段作詰将棋 2012年7月3日 中日新聞系新聞出題」の解答です。



 取りあえず一番目につく▲2五飛と打ってみましょう。
 3三に逃げれば▲4二角で詰みますが、△1四玉と逃げられると

 ▲1五歩が“打ち歩詰の禁”でうまくいきません。
 失敗図1で何とかならないかと、▲2三角と打ってみても何ともなりません。

 では、▲4二角はどうでしょうか?

 3三に合駒をしてくれると、▲2五龍で綺麗に詰みます。また、△1四玉にも▲2五龍で詰みます。
 しかし、△2三玉と逃げられると、

 1二への逃走が防げず、うまくいきません。

 正解は近づけて打つ▲3三角。

 離して打つ▲4二角が実戦では正しい感覚なのですが、近づけて打つ(取られやすい)のが正着になることが多いのです。
 これが詰将棋の面白さですが、あまり慣れ過ぎると実戦に悪影響が出るので困ったものです。
 ▲3三角に△同馬や△同香は、先の変化と同様に▲2五龍で詰み、また、△3三同玉には▲4三飛△2四玉▲2五龍で詰みます。


 そこで、初手▲3三角には△2三玉と逃げます。

 ここで、▲2五飛と打てば、今度は1二に逃げ込まれても、角が3三にいて2二に利いているので▲2二飛成(角成)で詰みます。
 しかし、これで一件落着かというと……残念ながら、△3三玉とされると“打ち歩詰の禁”で詰めることができません。


 第2図では、またしても▲2四飛と近づけて打つのが正解。

 △3三玉と逃げますが……


 今度は打ち歩詰にならず、▲3四歩と打てます。
 △2四玉と飛車は取られてしまいますが、▲2五龍で詰みます。


 長距離砲の飛車角を敢えて近づけて打ち、取らせることで敵玉を討ち取る……詰将棋の醍醐味を感じさせる作品でした。

詰手順……▲3三角△2三玉▲2四飛△3三玉▲3四歩△2四玉▲2五龍まで7手詰
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大相撲なんて、こんなもの

2016-03-27 22:42:32 | スポーツ
大相撲なんて、こんなもの。
白鵬なんて、こんなもの。
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2015~16 A級順位戦最終局 その6

2016-03-27 20:20:25 | 将棋
「その1」「その2」「その3」「その4」「その5」の続きです。


 上の2図は銀が9六か8六の違いだけだが、その差は大きかった。
 2つの銀打ちは共に後手玉の上部を押さえる手で、久保九段は9六の方が抜かれにくいと考えたからだが、7七に利いていないので、先手玉に△3九桂成▲同角△2八と▲同角△4八金▲同玉△2八飛成▲3八桂△5六桂▲同金△3九角▲4九玉△5八桂成▲同玉△3八竜▲6九玉△7七桂▲7九玉△8九成香の即詰めが生じていた。
 実戦は▲3八桂ではなく香車を合駒したが、桂合いの時と同様に進み△5八桂成で投了となった。

 投了図以下は、▲5八同玉△3八龍に▲6九玉なら、後手の持駒が香なので△7七桂はないが△6七香で詰み。また△3八龍に▲6七玉と逃げるのは、△7六金▲同玉△7八竜▲8六玉△7五角成で詰む。

 さて、問題は9六ではなく8六に銀を打った場合。この銀打ちは“詰めろ逃れの詰めろ”になっている。
 これには△3九桂成▲同角△2八と▲同角△4八金▲同玉△2八飛成▲3八桂(限定合い)△5六桂▲同金△3七竜(変化図1)▲同玉(▲5九玉は△6八角)△5九角▲2八玉△8六角成(変化図2)が最善のようだ。

 久保九段が危惧した銀を抜かれる順で、8六の馬が手厚くて先手が勝てない局面に思われる。
 しかし、後手も飛車を犠牲にしているので先手の持駒も豊富になり、絡みつきが可能になっている。
 局後の研究では▲9七桂が奨励会員から指摘され(△同馬は▲9三飛から馬を抜かれる)、以下△9五玉に▲8七金(変化図3)とガンガン迫られ、訳が分からなくなってしまう。

以下、△1八成桂(△1八香成の方が良いのかもしれない)▲3九玉△8五歩▲9三飛△9四歩▲7三飛成△7五銀打▲6五金△8七馬▲7五竜(変化図4)まで進むと後手が勝てない将棋だと言う。
 しかし、変化図2での▲9七桂に△9五玉がおかしいように思う。▲8七金(変化図3)とさらにからまれて取れないのでは玉を上がった価値がない。△8七同馬だと▲8四飛成△同玉▲8五飛以下詰む。この変化は△9五玉が無駄になっている。
 なので、▲9七桂には△8三歩と下で堪えれば、まだ後手が優勢であろう。8二の飛車を活躍させないのが最重要だったのだ。先手も駒を渡すと自玉が危ないので過激なことはできないし、やはり、8六の馬の存在が大きい。緩い攻めだと△5六金と金を補充される手が攻防。それが嫌だと▲6五金と先手から取るのも普通に△同歩で困る。
 そんなわけで、▲8六銀(一路違いの銀図)でも後手が残しているようだが、実戦の流れ(森内九段が勝勢をもたつき、深夜にもつれ込む)からすると、実戦では波乱が起こったかもしれない。

 ところが、実は、変化図2では、▲9七桂では▲7七桂と打つ手があって、こちらの方が際どいようだ。

 △7七同馬には▲9七飛(王手馬取り)があり、△9五馬と受けても▲8六香で先手勝勢。
 ▲7七桂にも△8三歩が最善のようだが、今度は▲9七香と打つ余地があるので、これは相当な勝負形。

 ここで、▲9七香なのか▲9一飛なのか▲9二飛成なのか、どの手が最善なのかは分からないが、例えば▲9一飛△9三歩▲9七香に、うっかり9七同馬と取ると(△9五銀打が正解)、▲9三飛成(▲8五金でもよい)で頓死してしまう。


 
 午前0時56分、久保九段が投了。久保九段の降級が決定した(もう一人の降級者は郷田王将)。
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2015~16 A級順位戦最終局 その5

2016-03-26 21:36:51 | 将棋
「その1」「その2」「その3」「その4」の続きです。


 「その4」の第3図から50手ほど進んだ第4図、3八に歩を謝らされていたため、3五に桂馬を打たされたところ。この他、3九の金は△2九飛を防ぐため4九の金を寄ったモノ。1九の成桂、9九の成香も先手の苦戦を物語っている。後手、森内九段の勝勢に近い局面だ。

 森内九段は△1八飛▲2七玉を決めてから△2四銀▲3六馬△3五銀▲8一馬と先手玉への包囲網を狭める。
 ただ、△2四銀では一旦△3八香成▲同金と利かせてから△2四銀~▲8一馬と進めた方がよかったかもしれない(先手玉が上部に逃げた時に3八金を飛車で取れるが、金を上がらせたことで金の利きが守備に利いてくるので微妙なところだが、前者の利の方が大きいはず)。

 先手玉は風前の灯だが、先手も攻められながら手駒も増え、馬が8一に行き、後手玉を攻める楽しみも出来てきた。
 よって、決め手図1では変な手だが△7一金という奇手はなかったか?

▲7一馬と金を取れば、△3六銀の一手詰。逃げれば後手玉への脅威がなくなる。△7一金は馬取りと同時に8二にも利いていて▲8二飛を打たせないことも大きい。馬を追い払っておいてから△1五歩と突けば、久保九段の闘志も衰えたのではないだろうか。

 実戦は図から△1五歩▲2八桂と進む。

 ▲2八桂は懸命の頑張りだが、ここで△3六桂が決め手だったらしい。△2八桂成▲同金△1六飛成▲3七玉△2六龍までの詰めろとなっている。本譜と同様に▲3七歩と逃げ道を作るのは△4八桂成と角を取る手が詰めろとなり駄目。△3六同馬が最善だが、こうしておいてから△1六歩で一手一手の寄りであった(△1六歩では普通に△3六銀でもよさそう)



 本譜の△1六歩でも、先手玉は絶体絶命のようだが、▲3七歩と脱出口を開く手がしぶとかった。
 以下△2七桂の追撃が厳しいが、この時、中継サイトの解説欄には、次の記述が為されていた。
「控室の検討で▲8六銀が発見された。▲9五歩△同銀▲8五銀△9三玉▲9二馬の詰めろであり、7七の地点に銀を利かすことで、先手玉の詰めろも逃れている可能性がある」

 
 久保九段は8六ではなく、9六に銀を打った…………
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2015~16 A級順位戦最終局 その4

2016-03-25 20:50:05 | 将棋
「その1」「その2」「その3」の続きです。

▲久保利明九段-△森内俊之九段
 勝てば残留、敗れても広瀬八段と郷田王将がともに敗れれば残留できるという状況だったが、郷田王将が屋敷九段に勝った時点で負けると陥落となっていた(ちなみに広瀬九段も勝利、郷田王将の陥落も決まっていた)


 戦型は相振り飛車。森内九段は居飛車党だが、これは久保九段の初手▲5六歩に呼応したもので、両者の対戦では数局あるらしい。
 後手の森内九段が3、4筋に駒を集中したのに対し、久保九段はそこでは争わず、9筋に飛車を展開した両者らしい戦い。

 ▲8五桂と跳ねさせては端攻めが厄介と見た森内九段は△7四金とそれを阻止。
 ならばと、▲8五桂を実現させるべしと▲8六歩。
 それは許さじと、自らの玉頭の歩を突く△8四歩!。後手も怖いが、先手も8七に銀を打たれると飛車が頓死する危険な形だ。
 そこで久保九段は▲7六歩と突いて、次に▲7五歩で金を6筋に逸らす手を用意。
 これに対抗し、森内九段は△8三銀と増援(第2図)


 このままでは先手の飛車が圧死するので、▲7五歩△6五金▲6六歩△7五金▲6五歩△同金▲8五歩△同歩と歩を突き捨て、後手の金を6五に誘導するとともに角道を通すなど6~8筋をほぐす。
 ここから棋風が分かれるところで、剛腕タイプ(菅井七段が頭に浮かぶ)なら、▲8五同桂△8四歩▲9三桂成△同玉▲8五歩△8二玉▲8四歩△7四銀▲9四歩△9二歩と進めそうだが、久保九段は▲4五銀△同銀▲2六飛と今度はこちらに飛車を振り回した。


 直接の狙いは▲2三飛成。後手の玉頭や端攻めの絡みもあるので受けきるのは大変そうだが、先手は桂銀交換の上、歩切れ。どこかで攻めが一息がつくことを見越して、当分は受けに回るのが森内流かもしれない。(捌きの棋風なら、取りあえず△5五角と角の捌きをつけておき▲2三飛成には6筋に飛車を逃がすことを考えるだろう)

 実戦は、△3四銀と飛成を受け、以下▲8五桂△8四歩▲4六桂△4四角▲3四桂△2六角▲同歩△3四飛▲9三桂成△同香▲8五桂と久保九段が攻めるが、後手が手厚い感触。
 この後は、3四の飛車が浮き駒になっている弱点を突いて9四の香との両取りの▲6七角を打った手に対し、森内九段は飛車を取らせる代わりに、自玉の危険度を低下させた後、飛車を取った3四角を目標に香車で田楽刺しで3筋を逆襲するという激しい攻防が続いた。
 
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2016年(2015年度)棋王戦第3局 

2016-03-24 23:15:12 | 将棋
棋王戦は渡辺棋王が3勝1敗で防衛を果たした。

 防衛を決めた第4局は、渡辺竜王・棋王が「自分の全公式戦の中でも3本の指に入る将棋だったと思います」(『渡辺明ブログ』「棋王戦五番勝負第4局。」より)というほどの名局だったらしい。
 「名局だったらしい」と言ったのは、中盤辺りまでしかリアルタイムで観戦できなかったのと、まだ詳細を調べておらず、終盤、渡辺棋王が放った▲7七桂の“うっちゃり”の一手の上っ面しか眺めていないからである。まあ、本人も仰っているし、巷でも評判なのだから、疑う必要は全くないだろう。

 今回取り上げるのは、その前の第3局。こちらはほぼリアルタイムで観戦し、驚愕と感動を十二分に味わった。


 第1図は、驚愕の一手前の局面。

 先手が▲2一飛成と桂を取り、飛車得となった局面。
 ここに至るまで、先手の佐藤天八段が局面をリードし、大駒取りに対し、駒損を甘受して2度も大駒の下から歩を打って辛抱を重ねていた。“先手が1手早く駒を取っていき、その差がついに飛車1枚となった”という印象があった。
 後手も△2八とと飛車を取り返せば駒損を回復できる。しかし、それだと直前に取った桂馬を8四に打たれ、後手の穴熊城に火の手が上がってしまう。駒損はなくなっても、既に飛車を打たれており、その上、▲8四桂と急所に手をつけられては、2手差くらいありそうだ。


 △8三銀打!


 飛車を取らずに自陣の強化。確かに、銀を打たれてみると、後手穴熊は見違えるほど堅固となった。(広瀬八段は△8三銀を予想していた)
 ≪いくらなんでも先手は飛車得。良くないはずはない!≫
 しかし、考えれば考えるほど、次の一手が難しい。
 先手が攻めの手を指したとして、飛車を取られて駒割は互角となり、後手の5七のと金が輝いてくる。後手はまだ飛車を打ち込んでいないので1手遅れている勘定なのだが、△8三銀打と自陣を1手早く補強しているので、差引ゼロ。
 となると、「指したと仮定した1手」プラス「飛車を取られた後の1手」で、後手の5七のと金を活用した攻めを上回る手段が必要となるのだが、うまく寄りつく手段が見当たらない。

 よって、“先手は飛車を逃がし、駒得を主張する方針”を採ったが、△5六角と好所に角を打たれ、“と金”と金の交換がほぼ間違いなくなり、駒割は飛車金交換と差が縮まった上、先手玉の弱体化と2九の飛車の働きの弱さが露呈してしまった。


 △5六角に対し、▲6三歩と攻めの足掛かりを作った局面だが、「楔(くさび)を打ちこんだ」と胸を張って言い切れないほどの弱い楔だ。

 以下、△6七と▲同金△同角成▲4三角△6六桂と進んだ。

 図の1手前の▲4三角はあまり利いていない角打ちに見えるが、△7六馬を防いでおり、場合によっては▲6一角成と先の▲6三歩と連動させた攻めも見た油断のならない手だ。(まあ、▲6一角成と来ても、渡辺棋王なら△同金▲同龍に△7一金打と喜んで打ちそうな気がするが)

 △6六桂と打った第4図、若干後手の攻め駒が少ないが、100人中98人は後手を持ちたいと言うのではないだろうか?
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接近戦 ……中田七段作詰将棋

2016-03-23 22:47:11 | 詰将棋

2012年7月3日 中日新聞系新聞出題、中田章道七段作。(5分で1級、10分で3級)

 久々の新聞出題作です(それもかなり前)
 新聞紙上でのヒントは、コメント欄にてご紹介します。
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