英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その3

2024-06-29 09:27:15 | 将棋
「その1」「その2」

 後手から角馬交換を迫られたところ。
 先手としては、せっかくの馬なので交換は避けたいが、▲6三馬や▲7二馬だと△6六とと引かれて後手が盤石となる(△6六とは銀取りであるが、それよりも次の△5六とが無茶苦茶大きい)
 なので、西山女流は▲4四同馬と応じ、△同銀に▲6七飛とと金を消去する。
 これで、中央の折衝は一応一段落。先手の主張点は3歩得と飛車の働きだが、7六の銀が遊び駒か標的になる可能性が大。さらに、後手の穴熊に対して先手の"桂なし高美濃”と玉の薄さが気になる。しかも、手番は後手。
 ここで後手に有効な手がなければいいのだが……

 △4五銀!▲同歩△5五桂!

 一瞬、駒損になるが、飛車金両取り!これが痛そう。藤井九段もこの両取りをずっと懸念していた。
 以下、▲5七飛△4七桂成▲同銀で第8図。

 いいように先手がやられたようだが、この図になってみると後手が良いのは間違いないが、思いのほか難しい。
 ▲4七同銀と銀で取ったのが、形は乱れるがしぶとい手だった。
 上記の手順で、厳密に言うと△4七桂成と金を取る前に△5九歩成を利かせておく方が良かった。これに▲同飛なら△7七角と打つ手が入りそう(ゼロ手で7七に角が設置)。▲5九同金と取るのは大きな利かされとなる(第8図で△5九歩成に▲同金としたのと同じ)
 とは言え、第8図以下、△3五歩と突いた手が急所にを突いたように見え(実際は"やや後手よし”程度)木村九段が勝ちそうな気配。
 対して西山女流三冠は▲4四桂。局後、西山女流は「▲4四桂と打てて手ごたえを感じた」旨の言葉を発していたが、おそらく、悪手(▲5三飛成または▲3五同歩が良かった)。
 ▲4四桂に木村九段は△3六歩と取り込み▲3八歩と西山女流三冠が受けた第9図。


 木村九段の次の一手が問題だった。(続く
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【追記】……国会欠席にも係わらず、ボーナスや給与(歳費)などを支給

2024-06-28 16:23:54 | 将棋
「事件で起訴され、国会欠席でもボーナス319万円……根本的な政治改革は?」の追記です)
国会に出席しなかったのに、議員給与(歳費)などが支給された議員と言えば……

①河井案里氏……2019年に参議院議員に初当選したが……
2020年7月8日、公職選挙法違反(買収)の罪で克行と共に東京地裁に起訴される。
2021年1月21日、東京地裁は懲役1年4か月、執行猶予5年の判決。
2021年2月3日、公選法違反の罪で有罪判決を受けたことを受け、案里は政策秘書を通して参議院に議員辞職願を提出。同日の本会議で辞職が許可される。
被告、検察ともに控訴しなかったため、翌日5日の0時に有罪が確定。当選無効となり、2026年2月まで5年間の公民権停止となった。

 議員活動中に河井氏に支払われた「歳費」「期末手当」「文書通信交通滞在費」は合計4942万円あまりであり、当選無効になってもこれを返納する義務はない

②ガーシー氏(東谷義和氏)……2022年、ガーシーはNHK党から参議院選挙に比例区で立候補。党名簿登載者第1位の得票数で当選したが……
当選以降も正当な理由なくドバイに滞在し続け、一度も日本に帰国せず登院することはなく、2023年3月15日、参議院はガーシー議員の「除名」処分を決定し、これにより、この日限りで参議院議員を失職。
2023年3月16日、3人の著名人を自身の動画で常習的に中傷、脅迫したとして暴力行為法違反(常習的脅迫)や名誉毀損などの疑いで、動画撮影に携わった知人の男性とともに警視庁捜査2課より逮捕状請求がなされる。
同年4月14日、国際刑事警察機構よりガーシーは国際手配された。
同年6月4日、ドバイから成田国際空港に帰国し逮捕。

 初当選のあと、一度も国会に登院しなかったガーシー氏には、議員の給与にあたる歳費やボーナスにあたる期末手当など、あわせて2013万円余りが支給されている
 除名され議員の資格を失ったことから、3月分の歳費と「調査研究広報滞在費」は在職日数に応じた日割りとなり、参議院はすでに支給された今月分のうち68万円余りを返納するようガーシー氏に求めたとされている。
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事件で起訴され、国会欠席でもボーナス319万円……根本的な政治改革は?

2024-06-28 09:41:39 | 時事
「秋本真利、池田佳隆両衆院議員にボーナス 国会欠席でも319万円 事件で起訴」
『産経ニュース』=============================
洋上風力発電事業を巡る汚職事件で起訴された秋本真利衆院議員=自民党離党=と、派閥のパーティー収入不記載事件で起訴された池田佳隆衆院議員=自民除名=に28日、夏のボーナスに当たる期末手当約319万円が支給される。衆院によると、両氏は23日に閉会した通常国会に出席していない。起訴された議員の期末手当などの支給を停止する規定は現行法になく、今後も職にとどまれば、支払われ続ける。

通常国会は1月26日に召集された。秋本氏は昨年9月に逮捕。保釈は今年6月20日で会期の大半は勾留されていた。池田氏は今年1月7日に逮捕、2月5日に保釈されたが、衆院によると、召集に応じられない場合に議長へ届け出る「応召延期届」を提出していた。

夏の期末手当は6月1日時点の在職議員に支給される。給与に当たる歳費約129万円、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)100万円も毎月支払われる。
==============================


(上記とは直接関係ないが)
 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との癒着の真相は有耶無耶のまま明らかにならなかった。かなりグレーであった盛山文部科学大臣はそのまま役職についている。旧統一教会との繋がりを確定されなかった(しなかった)が、旧統一教会を監督(監査)する担当大臣の職に就いたままでいるのは、相当問題だと考えられる。この時の文科相の国会答弁のあやふやぶりは重職を任せられないと思われるほどであった。
 特に、「推薦確認書については、署名したかどうか記憶にはございません。これについては、はっきりそう申し上げているつもりでございます」……《署名したかどうか記憶にはない》と”はっきり申し上げている”など、漫才ネタに出てきそうな文言だ。

 ……何が言いたいかと言うと、収支報告書への不記載など裏金問題の真相は明らかにせず、「再発防止」云々に話を持っていき、その規制法なども抜け道だらけで、全く政治改革にはなっていない。
 国会議員が犯罪や問題行為を行っても、議員辞職や給与停止など痛手を負うことは滅多にない。
 たとえ議員辞職に至っても、議員としての職務を全く果たしていなくも、その間の給与やボーナスは支給される。



 判決が確定するまでは罪人ではないので、罷免は難しいのかもしれないが、やむを得ない事情があるとは言え("やむを得ない”とは言えない場合も多いが)、国会に出席していないのだから少なくともボーナス支給はおかしい!

 不正を行った者は罰せられ、怠惰なモノは責められる(減給、クビ)は世間の常識。
 国民の範となるべき国会議員が緩々、甘々。
「政治改革」と謳うなら、まず、ここら辺りからきちんとすべきだ
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2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その2

2024-06-26 15:56:24 | 将棋
2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その1の続きです。


 前記事最終の第2図よろ、△4二角▲6六角と進むが、この2手は疑問手だったようで、後手角は3三に居た方が反撃しやすく、替えて△9二香と▲5五角と出られた時に当たりをかわしておく方が良く、また、▲6六角では▲5四歩△同飛▲5六銀△8四飛▲4五歩の方が良かったようだ。と言っても、おそらく評価値でマイナス100点ぐらいで、誤差の範囲。評価値より、自分の指向で指した方が良い場合も多い。現に、実戦の▲6六角ではなく、▲5四歩△同飛▲5六銀△8四飛▲4五歩と進んだ場合には後手角は3三の方が良いというだけで、実戦の▲6六角に△5五歩▲同角に△6四歩と受ける手を用意している。
 解説の藤井九段は、この▲5五角と進むのなら《振り飛車良し》と見ていた(私も同感だったが)。
 それは△6四歩には▲5四歩のいわゆる“筋の手”▲5四歩(第3図)があり、気持ちよく捌けそうだからだ。

 図から△5四同銀に▲4四角で、5八の飛車による銀取りと次の▲6二角成(飛車取りになる)の両狙いがあり、先手良しに見える。
 ところが、後手木村九段に堂々と△6五歩と歩を取りながら伸ばされてみると…

 手順に銀取りを受けられ、▲6二角成(飛車取り)には△6四飛と馬取り!で返される手がある。
 西山女流三冠は馬取りの返し技を避けて▲7一角成としたが、あまり良い手ではなかった。ここは、▲4五桂と跳ねる手が最善で、以下△5七歩▲同飛△7五角と進みほぼ互角だったようだ(第3図もほぼ互角)。
 また、第4図から▲5三歩と指し、△5一歩と受けるなら▲2二角成△同金▲7四金と変則飛車銀両取りを掛ける手もありそうだ。以下△7四同飛▲同歩△6六歩で難解。
 さらに、角を成るなら、相手の思惑に嵌まるようでも▲6二角成の方がよく、△6四飛に▲4四馬(銀取りの逆先)△5五歩▲6八飛と辛抱した方が優った。▲7一角成で先手の不利がはっきりしてしまった。
 と言っても、多分、“誤差”の範囲。実戦も△3三角(”誤差の範囲”の疑問手)だった(△7五角が正着)。
 △3三角以下、▲6二馬△7三歩▲6四歩△6六歩(第5図)と進む。

 △3三角が疑問手だったので、"やや先手不利”に形勢が戻ったが、第5図に至る▲6二馬△7三歩が余計な利かしだったようで、また"先手不利”になってしまった(理由は後述)。

 △6六歩(第5図)に対する応手が悩ましい。①▲7六銀、②▲7八銀、③▲5四飛、④▲6六同銀などが見えるが…
①▲7六銀は、西山女流三冠が着手した手(その後の指し手は後述)
②▲7八銀は、以下△6四飛▲5三馬△6七歩成▲5四飛△同飛▲同馬△7八との進展が考えられる。①▲7六銀に対して、この順で進めると、銀が7六にいるので取ることができない。
③▲5四飛と銀を取る手には、後手は△6七歩成と銀を取り返す。と金を作られたうえ、3三の角に成り込まれては先手陣が持たないので▲4四銀と押さえ込みを図るが、△4二角と引かれて今度は6四への飛び出しが残るので▲5三銀不成とそれを防ぐことになるが、飛車と馬の焦点にわざわざ銀を進めるのでは冴えない。
④▲6六同銀は△6六同角なら▲5四飛と銀を取り返す意図だが、△6六同角ではなく△6四飛とされると6二の馬当たりにもなっているので▲5三馬とするしかなく、以下△6六飛▲5四飛と銀を取り合うが、これは8四で遊びそうだった飛車に成り込まれてしまうので面白くない。
 これが先の"▲6二馬△7三歩”を入れた罪である。

 本譜は▲7六銀△5七歩▲同飛△5六歩▲同飛△5五銀▲5九飛△6七歩成と進む。この歩成に▲6七同銀とできないのがつらいところ(△6四飛の馬銀両取りがある)。
 西山女流三冠は▲4五桂と攻め合いに懸けるが、木村九段は飛車を歩で止め、△4四角と馬との交換を迫る。

続く
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2024年度NHK杯将棋トーナメント1回戦 西山女流三冠-木村九段 その1

2024-06-25 17:22:25 | 将棋
 木村九段は好きな棋士(しかも、かなり)で、西山女流三冠も応援したい棋士。
 どっちを応援しようか?……ここは木村九段に我慢していただこう………
 まあ、木村九段が勝っても嬉しいので、けっこう、気楽に観戦していた。

木村研究会と藤井研究会
 解説は藤井猛九段。
 振り飛車の研究、理論、経験を数値化して合計すれば、トップに位置するのではないだろうか?
 「居飛車に急戦の気配がなければ、こう指すところ」
 「急戦に対しては、こう備えておく方がよいです」
と解説(↑文言の再現は適当です)、研究、理論、経験による序盤の体系が染みついている。振り飛車等の西山女流の解説者にはうってつけの棋士だ。

 本局に限らず、解説の合間に、棋士の情報を語ることが多い。本局も面白かった。
「西山さんは、木村九段によく教わったと語っていましたね。
 弟子の方が強くなること自体は嬉しいことだが、それは自分関係ないところで活躍する場合で、自分と対局が当たって、それで勝たれてしまうと、(教えるんじゃなかったと)後悔します。
 で、木村九段の研究会は“鍛錬”で厳しいです。で、私はやさしいんですよ。
 西山さんが属していた研究会(木村研究会?)の奨励会員は3人全員居飛車党で、振り飛車党1人対居飛車党3人では(気分的に)苦しい。
 なので、優しい私は《振り飛車等だけの研究会》を作り、西山さんを誘ったんです」
「今度西山さんに、《どっちの研究会が役に立ったか?》訊いてみたい」

 木村九段は強くするため鍛え、藤井九段は将棋を指す環境(精神的なモノを含めて)を整えた。二人ともやさしい。

異形の戦い

 将棋は予想通り、西山振り飛車対木村居飛車となったが、通常とは違う構え。(最近では、居飛車対振り飛車を“対抗形”と呼ぶが、どうもしっくりこない)
 木村玉は居飛車穴熊だが、2三銀・2二金の位置が異形。これは、左美濃から居飛車に変形した為。
 西山女流三冠の8五桂・7六銀形も珍しい。これは、7五歩と伸ばした西山布陣に対し、△6四銀と歩を取る指向を見せた為、銀で7五の歩を支えた為。さらに、その銀を活かすため、桂を9七~8五と跳ねて、歩を取った。
 木村九段の2二金型穴熊は「▲3一銀と絡まれてあっと言う間に寄ってしまう弱点もあるが、そうならないケースもある」と藤井九段。

 ただ、本局は、やはり弱点が気になるのか、木村九段は先手の動きを見ながら穴熊の強化を果たした。
 対する西山女流三冠は、8五の桂を安定させ後手の飛車の捌きを抑え、▲5五歩と中央に動きを求めた。
 “先手の1歩得”対“後手玉の堅さ”だが、やや後手有利というのがAIの評価(多分、プロ棋士の評価もそうだろう)。ただし、振り飛車党にとっては、このくらいは許容範囲。
 ただし、先手は8筋に桂、7筋に銀があり、中央より右(玉側)が戦場になる可能性が高いので、その銀桂が取り残される危険性がある。

振り飛車の呼吸
藤井九段「先手は7六に銀をおいたままで、決戦になっては勝てません。銀は6七に引いておきたい」と再三解説。「銀が6七にあれば、5八で交換になった場合、▲5八同銀とするのが味が良い(▲5八同金となるのとは雲泥の差)」

 その藤井九段の解説が聴こえたのか、西山女流三冠は▲6七銀!(もちろん、解説が聴こえるはずはなく、振り飛車としては当然の一着)
続く
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岸田総理の答弁 2024年6月17日、6月18日

2024-06-22 17:13:05 | 時事
実は、この記事は
「安倍派会計責任者の証言【政治資金パーティーの収支報告書に虚偽記載に関する裁判での被告人質問】」
「抜け道だらけの“政治資金規正法改正案”」よりも、先に下書きを書いていましたが、タイムリー性を考えて、後回しにしました。


――衆議院決算行政監視委員会・6月17日――
【政治資金規正法改正案について】
「”トゥー・レイト”、゛トゥー・リトル”だった。
 この事態を矮小化させようとする総理の思いがあったのではないか?」(立憲民主党・野田元総理)
”矮小化しようとした”という指摘は、あたらない。
 完璧だという法律を一度に示すことは不可能である。
 政治家として結論を出していくということが重要である。
 (法改正後も)議論を続けていかなければならない」

【野党との協議について】
取引可能な野党と議論をし、巻き込んで、そして採決する。
 私は違うと思う。邪道だと思う。
 中身は“ザル法”でプロセスは“邪道”。認めることはできない。
 国民に信を問うべきである」(立憲民主党・野田元総理)
(立憲民主党とは)残念ながら建設的な意見交換することには至らなかった。
 決して、ある政党をスルーしたとか、議論の対象にしなかったものではない


【国会議員に支給されている”調査研究後方滞在費(旧文通法)”の使途公開などをめぐって】
「《旧文通費改革をやろう》と党首間の合意はした。
 これが先送りされれば、約束は履行されなかったと思わざるをえないし、大げんかだ
 会期延長してもやるべきだ(日本維新の会・藤田幹事長)
「今、衆参の議員運営委員会で取り組みが進められている。具体的な日程等に触れることは控えなければならない。
 党首間の合意であり、文書で取り交わした重みを受け止め、誠心誠意自民党として実行していく

――参議院特別委員会・6月17日――
【政治資金規正法改正案について】
「抜け穴だらけの法案になっている。
 なぜ、こんな欠陥だらけの法案の成立を、これほどまでに急がなければならないんでしょうか?(立憲民主党・小沼議員)
国民の政治資金に対する信頼を回復していかなければならない。
 大きな方向性については、しっかりと法律の中に明記をして議論を進めていく。
 そのために1日も早く法改正を行う


【”調査研究後方滞在費(旧文通法)”の使途公開について自民党が今の国会での実現に消極的なことについて】
「今決着をつけなければ、一体いつ、つけられるのか?
 ここで結論を先送りすることは、重大な国民に対する裏切りである」
国会日程が窮屈な中で細部まで含めて、各党各会派の理解を得て進めることは容易なことではない。
 《旧文通費(調査研究後方滞在費)の改革を進めたい》という思いは、全く偽りはない


維新の会
・調査研究後方滞在費をめぐる自民党の対応は合意に反したもので、容認できず。
 参議院では反対に回ることを確認
・岸田総理の政治改革に向けた姿勢が不十分だとして、総理に対する問責決議案を参議院に提出





(これまでも何度も述べてきたが)とにかく、総理の答弁は質問に対して正対せず、一般的な言葉で返す。
 その一般的な言葉自体は、妥当と考えられる。
 まあ、一般的な文言なので、当たり前。 例えば、「国民の政治資金に対する信頼を回復していかなければならない」なんてものは、そもそもそれが目的で改正案を練っているのだから、それを答弁として応えられても、何の答にもなっていない。
 さらに、「政治家として結論を出していくということが重要である」などは、何を言っているのかよく分からない。

 抜け道だらけの改正案について、抜け道についての議論をせずに、性急に成立させたが、
「国民の政治資金に対する信頼を回復していかなければならない。
 大きな方向性については、しっかりと法律の中に明記をして議論を進めていく」
と言うが、《改正したという事実と、改正案に抜け道を用意しておく》という大きな方向性を法律として明記したというだけである。

 その一方で、旧文通費については時間がないことを理由に、先延ばし。
  「会期延長してもやるべきだ」という言葉に対し
「今、衆参の議員運営委員会で取り組みが進められている」と言う言葉の後に、「具体的な日程等に触れることは控えなければならない」という言葉が続くのか、不可解だ。当然、「議院運営委員会で日程を調整して、早く結論を出したい」というべきである。
 上述した「政治家として結論を出していくということが重要である」は、こういう意味ではないのか?
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抜け道だらけの“政治資金規正法改正案”

2024-06-20 15:21:07 | 時事
“いわゆる連座制”って何?
 “いわゆる連座制”という言葉をよく耳にしたが、報道する際、補足として“いわゆる”という言葉を添えているのかと思ったら……
=========================================
《国会議員に対し会計責任者の監督と、政治資金収支報告書が規定通りに作成されたと認める「確認書」の交付を義務付けた。
 不記載や虚偽記載があった場合に、確認が不十分であれば公民権停止につながる50万円以下の罰金を科す》
この制度を自民党が“いわゆる連座制”と定義したという。
 確認書を交付している以上、「記載内容を全く知らなかった」と言い逃れができなくなるという理屈。

==========================【福井新聞:6月19日記事より引用】


 それにしても、“いわゆる連座制”とは、何と言えばいいのだろうか……図々しいネーミングだ。
 完全な連座制ではないが、《“連座制”と見なすことができるだろう》と主張している。……立憲民主党(野党)が良く表現する“なんちゃって連座制”である。
 法律的には“みなし連座制”と言えばいいのだろうか? “ほぼ連座制”とか“疑似連座制”……”連座制もどき”がいいか。

 名称はともかく、自民党が正式な“連座制”(政治資金収支報告書に署名・押印)ではなく、““いわゆる連座制”に拘るのはなぜか?
 《確認書を交付している以上、「記載内容を全く知らなかった」と言い逃れができなくなる》という理屈なら、正式な“連座制で良いのではないか?
 そのわけは……“確認”というワンクッションを置く意味を考えれば見えてくる。“いわゆる連座制”には抜け道を確保する“からくり”があるのである。

 確認書というのは、《会計責任者が作成した政治資金収支報告書を確認した》という事実を認めるモノで、自らが会計責任者と同等な立ち位置で報告書を作成したということではない。
 つまり、報告書を確認ししただけ……なので、収支報告書に虚偽があっても、“見抜けなかった(気がつかなかった)”、“不審に思ったが、会計責任者の説明に納得してしまった”。もっと言えば、“会計責任者が嘘をついた”と言えば、責任を逃れられる可能性が高い。


 国会の論戦を一部始終見ることは時間的に難しいので、報道が抜粋したやり取りしか観ていないので事実不確認だが、野党(立憲民主など)は「ざる法だ」と糾弾するだけでなく、こういった可能性を論理的に追及してほしい。

第三者機関は信用できるの?
 《制作活動費の支出に対する監査を担う》ことになっているが、「検討の結果に基づいて必要な措置が講じられる」とのみ明記されているだけで、具体的には何も決められていないようだ。
 《どういう基準でメンバーが構成されるのか?》《常設なのか?本当の中立・公正なのか?》《どこまで権限があるのか?》……人件費、会議・検討の設置運営費の無駄になるだけで、却って、世間からは見えにくくなってしまうだけなのではないだろうか?

 今後、各党と協議していくというが、税金の無駄遣いするだけで、有耶無耶にされてしまうのではないだろうか?

生活活動費の使途目的も濁り水のまま
=========================================
政策活動費は、主に政党から政治家個人に支給される資金を指す。
明確な根拠規定はなく、自民党は二階堂俊博・元幹事長に在任中の5年間で約47憶8千万円を渡した。
使途を明らかにする必要がないため、野党は「選挙工作に使ったのではないか」とただした。

==========================【福井新聞:6月19日記事より引用】


岸田総理は「個人のプライバシーや企業の営業秘密などの観点から使途を明らかにすることには慎重でなければならない」とか「政治活動の自由という観点」とか理由を挙げて、《使途の公開》や《支給そのものの禁止》を否定しているが、今回の修正案では、維新の要求を呑んで、《年間の支出上限を設ける》《10年後に領収書を公開》を付則した。

 しかし、10年後に領収書を公開されても、検証や責任追及は困難!
 立憲民主党は「タイムカプセルじゃあるまいし」と批判(珍しく、ナイスな表現だった)

 上記の、維新の主張に譲歩する前に
《項目別支出額と年月を報告》という規定を設けたが、これも、《透明性》というよりは《濁らす意図》しか感じられない。

 岸田総理は改正政治資金規正法が成立したことについて、
「今回の一連の事案を受けて、再発防止という観点、あるいは透明性の向上という観点から実効性のある制度となった。大きな一歩である」
と胸を張ったが、総理のコンパス(歩幅)は10cmぐらいしかないのだろうか?

パーティ券を巡るキックバックや収支報告書の誤魔化しなどをほとんど明らかにせず、秘書(会計責任者)に責任や罪を押し付け、再発防止のため透明性を確保(高める)とか言いながら、不透明な法案を成立させる……
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安倍派会計責任者の証言【政治資金パーティーの収支報告書に虚偽記載に関する裁判での被告人質問】

2024-06-19 08:29:01 | 時事
安倍派会計責任者 キックバック “ある幹部が再開求めた”(NHK NEWS WEB)
自民党安倍派の政治資金パーティーをめぐり、派閥の収支報告書に虚偽記載した罪に問われている会計責任者の裁判で被告人質問が行われ、一度は中止の方針が示されたキックバックが続けられた経緯について、会計責任者は「ある幹部から求められた」と述べた。
(↑概要を表した文で、詳細はリンク記事に)

 この件についてはNHKのニュースでも報じられていた(リンク記事の動画)が、1分20秒程度でその内容は…
==========================================
安倍派「清和政策研究会」の会計責任者、松本淳一郎被告(76)は、2022年までの5年間で、合わせておよそ6億7500万円のパーティー収入などを、派閥の政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反の虚偽記載の罪に問われていて、5月の初公判で起訴された内容を大筋で認めています。

18日に東京地方裁判所で開かれた2回目の裁判で、弁護士による被告人質問が行われました。

松本会計責任者は、2022年に当時の安倍会長からパーティー収入のキックバックを中止する方針が示されたあとの経緯について、「2022年7月末、ある幹部から『ある議員が還付をしてほしいと言っている』という話があった。私は塩谷会長代理に相談して、幹部を集めていただきたいとお願いし、下村さん、西村さん、世耕さん、塩谷さんが集まって話し合いが持たれた。いろいろな議論があったが、方向性として還付はしようということになった」と述べました。

ただ、「ある幹部」が、誰かについて弁護士は質問せず、松本会計責任者も名前を言いませんでした。(「ある幹部」(“ある議員”ではない)に関しては、裁判では触れられなかったが、共同通信によると、「下村議員が還流の再会を要求した」と派閥関係者が東京地検特捜部の事情聴取で供述しているらしい。下村氏議員は否定)
==========================================

というもの。

 これだけだと、会計責任者だった松本淳一郎は、《多くを語らず、肝心な部分もぼやかしている》という印象だが、リンク記事を読むと、かなり詳細を述べているようだ。
・松本会計責任者「ノルマをどれくらいにしたらいいか私が決めて、会長に説明した。会長から『これで行け』と指示が出てから、ノルマについて連絡した」
 安倍派では、ノルマを超えて集めた分については議員側にキックバックし、その分を派閥の収支報告書に記載していなかった……こうした運用について松本会計責任者は「パーティーが終わってある程度、時期がたつと入金状況がわかる。それをもとに資料を作成して会長に説明し、『これでいい』とゴーサインが出てから具体的な作業をした」と述べ、派閥の会長が最終的に決めていたと説明。

・キックバックをめぐっては一昨年、派閥の会長だった安倍元総理大臣がやめるよう指示
 松本会計責任者は「安倍氏から『今のやり方にいろいろ問題があるんじゃないか』と言われ、会長の指示で幹部が集まった。4月初めの会合に塩谷さん、下村さん、西村さん、世耕さん、それと私、安倍会長が出て、還付をやめるという結論が出た」と述べた

安倍元総理大臣が死去した翌月の2022年8月、幹部が集まった会合で最終的にキックバックが継続された
「2022年7月末にある幹部から、『ある議員が還付をしてほしいと言っている』という話があった。私は当時の塩谷会長代理に幹部を集めていただきたいとお願いした」
 その会合には松本会計責任者のほか、西村氏、塩谷氏、世耕氏、下村氏が出席したということで、「いろいろな議論があったが方向性として還付はしようということになった。還付してほしい会員がほかにもいるということでやむなしということで決まった」
………この要求をした「ある幹部」について、松本会計責任者は名前を明かさず、弁護士も尋ねなかった

・《“中抜き” の認識は2020年から》、《やめると考えればよかった》
~~松本会計責任者は5月の初公判で、起訴された内容を大筋で認めましたが、議員側が行ったいわゆる「中抜き」の一部については認識がないと主張した~~
 この点について、松本会計責任者は18日の裁判で、前任者からキックバックや収支報告書への不記載についておおまかな説明があった一方、「中抜き」については「前任者から説明はなかった。2020年からおぼろげに認識していた」
 また「中抜き」について、「こんなにあるものかなと正直びっくりした。私たちもそこまで踏み込んでいなかった。それを私たちが明らかにできなかったことは大きな反省です」
 今回の事件の責任や影響について尋ねられると、「会計責任者としての責任を十分果たしたとは言えず、おわびしたい。かねてこのやり方を踏襲してきたが、やめると考えればよかった」

 政治倫理審査会で安倍派の世耕・前参議院幹事長らは「各人、若干記憶があいまいで、食い違うところがあるのではないか。この時に何か確定的なことは決まっていない」

「誰が再開を決めたか、私が知りたいくらいだ」(世耕議員)などと述べ、はっきり否定していた。
 松本氏は幹部たちの指示に従って、運営などをしていただけで、当の幹部たちは罪に問われず、指示に従った自分たちだけが裁判を受けているのは納得がいかないであろう。



 気になったのは、NHKの報道と実際の裁判での証言とでは、《パーティ券の収支報告書虚偽記載事件やキックバック再開》や《会計責任者の証言の真意》の印象が大きく異なること。
 これは、党幹部に反抗した松本氏への配慮か、NHKが自民党や政府に忖度した印象操作なのか……どちらなのだろう?
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光る君へ 第21話「旅立ち」の訂正と第23話「雪の舞うころ」への突っ込みと感謝

2024-06-18 09:33:11 | ドラマ・映画
第21話「旅立ち」についての記事
  《5月26日には越前篇が始まる》というふれこみだったが、最後の最後に到着しただけ。
 しかも、越前ではなく、まだ敦賀。

と書いてしまいましたが、《この時代、敦賀は越前に含まれていた》ようです。
昨夜、友人と会食した際、やんわりと指摘されました。………《昔の区分地図で敦賀がえちぜんにふくまれていたのを見た》記憶が蘇りました。


 その腹いせに(笑)、第23話「雪の舞うころ」で、まひろと周明(松下洸平)が砂浜を散歩していましたが、武生の国府があったと推定される地点から越前海岸までは20㎞強ありますし、その越前海岸はリアス式の岩浜(部分的に砂浜もありますが)、ドラマの光景は敦賀の気比の松原あたりで、40㎞程離れています。散歩は無理があります。
 そもそも、武生ではロケはなかったようです。(次話(25話)は和紙関連で、越前市の今立地区が出てくる可能性はありますが)

 でも、吉高由里子さんや岸谷五朗さんは何度も越前に訪れ、取材に応じたりやPRをされていたようです。(乙丸役の矢部太郎さんも)
 佐々木蔵之介さんも、「(越前)雲丹がおいしい、おいしい」という台詞を言ってくださいました。
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ネーションズリーグ2024女子 日本vsカナダ戦 第2セットの検証

2024-06-16 11:32:56 | スポーツ
「ネーションズリーグ2024女子 日本vsカナダ 疑問の眞鍋采配」という記事を書いた。

 この試合後の眞鍋監督の言「スパイク決定率、効果率…。数字が1番悪かったから代えました」について、もう少し掘り下げてみた。
 確かに、“数字が一番悪かった”というのは事実で、実際、石川はこのセット交代するまで、スパイクを6本打って、1本も決まらなかった。さらに、決まらなかった6本のうち、スパイクミスなどで即失点につながったのが3本もあった。
 この事実だけを見ると、交代はやむを得ないと思う。
 
ただし、
プレーの内容(石川がスパイクを打ったトスの状況)を考えると、《得点0というのは仕方がなかった》と考えられる。
 十分な力で打てるトスは1本か2本で、しかも、セッターに攻撃の選択肢が石川へのトスしかないような状況。当然、相手のブロックにマークされていた。
 さらに、6本のうち3本は、返すのが精一杯という状態のトスだった。

 そんな状況でも、ブロックアウトを誘うとか、リバウンドを取って攻撃をつなげるという手段はあり、何とかするのがエースなのかもしれない。
 しかし、素人の目ではあるが、石川の条件と同じ条件だったなら、古賀でも1本決められるかどうかだったように思う。

 石川が交代したのは、最後のスパイクミス(失点)して1プレー(1得点)あった後。おそらく分析者(コーチ)から、石川のスパイク決定率(決定数)を聞いて、判断したのだろう。
 この交代については、仕方がないというか、当然に近い判断だと思う。
 しかし、この後、ずっとベンチに下げたままだというのが納得できない。
 前記事で書いたように、石川は単にスパイクを打つだけではなく、サーブレシーブやスパイクレシーブなどの守備の貢献度が高い。バックアタックも打てるし、サーブも強力。
 井上のそつのないスパイクや、和田の強力なスパイクやサーブも評価に値するが、後衛に下がった時の、守備力や繋ぎが低下するので、チーム全体の攻撃の正確性やバリエーションが低下してしまう。


 石川を後退させるのは、《流れを変える》《ベンチから石川が相手のブロックや守備を分析する》効力はある。
 しかし、再起用しなかったことには大いに疑問を感じた。

 ちなみに、このセット、石川が交代した日本21-19カナダの時点では(テレビ中継映像で私が確認しただけなので、不正確です)
古賀 5/10 (スパイクミスの失点0)(サーブミス1)
山田 1/2 (失点1) サーブポイント1
宮部 3/4 ブロックポイント2 (サーブミス2)
林  3/3
岩崎 0/1
小島 サーブレシーブ失点2
コメント (2)
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