英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『20連覇ならず、王座失冠』のコメントの返答②

2011-09-30 23:15:32 | 将棋
 9月28日記事『20連覇ならず、王座失冠』に、コメントをいただきましたが、その返答が長くなりそうなので、新たに記事を立てることにしました。その2です。

 ★五目醤油あんかけラーメンさん、コメント、ありがとうございます
【以下、五目醤油あんかけラーメンさんのコメント】
こんにちは。
私は渡辺さんが羽生さんより強い。
もうそれだけではないでしょうか?
どこかできいたことありますが、渡辺さんには羽生マジックが効かない。そこではないでしょうか?昔大山さんと中原さん名人戦などで大山さんの盤外戦術が中原さんには効かなかったと聞きます。
そこに原因があるのではと思います。今回の森内さんと羽生さんの名人戦の3局目に金を引いた羽生マジックありましたが、森内さんが勝ちました。羽生マジックが効かなくなってると思います。
確かに渡辺さんは終盤の華やかさはないかもしれませんね。大山さんっぽいでいすね。

きついこと書いてしまいますが申し訳ありません。私の予想はここ数年で羽生さん無冠になるのではと思います。渡辺さんを筆頭に若手の底上げがすごいですからね。菅井さんなんかは近々タイトル奪取するかもしれません。
疲れとか、研究する時間がないと言うひとがいますが、タイトル保持者がそんなことを言ってはいけません。久保さんもタイトルを羽生さんと同等に保持してます。久保さんは疲れがありますか?久保さんは竜王戦決定戦まで進んでます。忙しいと思います。渡辺さん、森内さんに疲れがありますか?タイトル保持者は皆つかれます。そのなかで戦ってます。大山さんは最後癌のなかで戦ってました。疲れました、研究不足を理由にするなら無冠になれば時間はできます。それを言い訳にするのは卑怯です。

きついことを書いてしまいましたが、もう一度羽生さん、森内さん、佐藤さんの復活をみたいものです。

【コメント、了】

>渡辺さんが羽生さんより強い。
>もうそれだけではないでしょうか?

 ま、まあ、それを認めたくないので、あれこれ書いた……往生際の悪いファンの遠吠えとご了解ください。

>渡辺さんには羽生マジックが効かない

 ええ、そう思います。
 「羽生マジック」というと、主に終盤、通常の棋士が思いつかない発想から、つまり、死角から飛んでくるような不思議な手という印象があります。しかし、私はそういった個々の手に限らず、羽生二冠が長年積み上げてきた信用、その信用による「羽生効果」が大きく勝敗に影響を及ぼしていると考えています。
 羽生二冠が寄せの手を見せれば、それを信用して受けに回る、羽生名人が受けなければ、自分の攻めは無理があると考え自重する。そういった少しずつの譲歩が形勢に影響を受けてしまう。あるいは、譲歩しなくても、迷いが生じ肝心なところで誤ったり、時間切迫に追い込まれてしまう。何しろ、約26年間で1156勝447敗、勝率.721。44.5勝17敗のペースで26年間積み重ねた信用は絶大なものではないでしょうか。
 羽生二冠のネット中継の解説を観ていると、そういう感触が強くなります。形勢判断が羽生二冠寄りになっていると良く感じます(これは私の主観によるところが大きいので、信憑性は高くないかもしれません)。 第三者、しかも、複数人による検討が「羽生効果」によって歪むことがあるのですから、当事者の対局者は大きく「羽生効果」に浸食されているのではないでしょうか。
 しかし、そんな羽生効果を信用していないのが、渡辺竜王・王座。羽生二冠が「寄せますよ」と寄せを見せた手に対し、「私は寄らないと思うので受けません。寄せてみてください」と羽生二冠の寄せの手を無視し、逆に寄せに出ることが多いのです。渡辺竜王・王座は受けが強いのですが、特に自玉に寄りがあるのか、何手の余裕があるのか、上部に逃げだすことが可能かどうかの見切りが、非常に優れていると思います。「羽生二冠も、時々間違えるんだよなあ」などと思って指しているのかもしれません。(渡辺竜王も羽生二冠の強さを認めたうえです)

 他の棋士にも「羽生マジック」が効かなくなってきていると思います。この場合の「羽生マジック」とは、一般的に捉えられている羽生二冠独特の間合いの取り方や、一局を通しての指し方にこだわらない局面を断片的に考えるコンピュータ的思考による多方向的指し手のことで、この「羽生マジック」が研究され、予想の範囲となり、取り込まれつつあると思われます。


>私の予想はここ数年で羽生さん無冠になるのではと思います。渡辺さんを筆頭に若手の底上げがすごいですからね

 「ここ数年」が何年なのかが分かりかねますが、「ここ」という語が付いているので「2~4年」ぐらいのニュアンスでしょうか。
 私は、少なくとも5年は羽生二冠が踏みとどまると見ています。渡辺竜王・王座に続く若手が台頭しつつあり、彼らの実力も認めますが、あとどこまで伸びシロがあるか不確定だからです。あ、でも、広瀬前王位、豊島六段は既にタイトル奪取したり挑戦していますし、戸辺六段、佐藤(天)六段、村山五段、糸谷五段、菅井五段などなど層が厚いので、羽生世代を突き破ってタイトル挑戦してくる可能性も充分あります。


>久保さんは疲れがありますか?久保さんは竜王戦決定戦まで進んでます。忙しいと思います。渡辺さん、森内さんに疲れがありますか?タイトル保持者は皆つかれます。そのなかで戦ってます。それを言い訳にするのは卑怯です。

 疲れの可能性を考慮したのは私で、もちろん、羽生二冠はそれを言い訳にしていません。羽生ファンのたわごとだとお考えください。
 ただ、多少思うことがあるので述べさせてください。

 久保さんには疲れがあるのではないかと考えられます。私も、棋王・王将のダブルタイトル戦を乗り切った久保二冠は凄いなあと思いました。ハードスケジュールの中、渡辺竜王、豊島六段の挑戦を退けたのですから。その前年も、ダブルタイトル戦。羽生四冠から王将を奪取し、佐藤九段のリベンジを退けています。
 ただ、その久保二冠も竜王位挑戦者決定戦に進出しましたが丸山九段に敗れ、順位戦も3連敗です。もちろん、竜王位挑戦者決定戦進出は評価できますが、その内容(順位戦も)が優勢になっても勝ち切れない将棋が多いように思います。終盤の正確さがよれてきている感じがするのです。ちなみに、今期は13勝9敗。

 森内名人に至っては、9勝8敗(直近は4連勝)です。疲れ云々と言うより不満を感じる成績です。以前、「名人戦だけ強いのは納得がいかない」と書いた時、「特有の棋戦に強くていけないものでしょうか?」という意見をいただきましたが、やはり、「棋界の最高位にある名人が、ボロボロ負けては困る」という主張は譲れないです。
 ちょっと、話がそれましたが、森内名人の場合、疲れ以前の問題だと思います。
 最近の渡辺竜王・王座の成績は前記事でも書きましたが素晴らしいと思います。
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歳時メモ……彼岸花、コスモス、蕎麦、セイタカアワダチソウ

2011-09-30 16:47:08 | 歳時メモ
2、3日前から堤防などで、いっせいに彼岸花が咲き始めた。
蕎麦はほぼ満開。
コスモスは今が満開。
セイタカアワダチソウは色づき始めている部分が増えた。
今年は去年より多いような気がする。
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『20連覇ならず、王座失冠』のコメントの返答①

2011-09-29 17:24:30 | 将棋
 9月28日記事『20連覇ならず、王座失冠』に、コメントをいただきましたが、その返答が長くなりそうなので、新たに記事を立てることにしました。

 ★勝手さん、いつもありがとうございます。
【以下、勝手さんのコメント】
アマ的には、第2局の相掛りは羽生前王座が勝つもの(事実、勝ちの局面もあったよう)と思っていて、英さんが言うほど悪い将棋の造りとも思えませんでした。第3局は終盤猛烈に追い込んだものの、やはり飛車2枚の攻めが細く、受け切られた感が強いです。あの竜王戦の激闘以来、確かに攻め合いではまずいという印象があるのかも知れません。しかしながら、あの大逆転の竜王戦も出だしは3連勝でしたから、それまでの戦略は間違っていなかったようにも思えます。確かに、どこかで方向転換を余儀なくされた印象ですね~。
個人的には、渡辺竜王の将棋は狭い・局地戦での強さが際立っていて、全体的な構想力という点では羽生2冠にはまだ及ばない気がしていますし、その辺が、渡辺将棋が今少し人気を博さない原因ではないかと思っています。(谷川九段の将棋は、明らかに華があった)

ただ、終盤の競り合い・見切りは確かに強いですね~。これは認めざるを得ないですね。

【コメント 了】

 第2局についてですが、「英さんが言うほど悪い将棋の造りとも思えませんでした」……ええ、将棋自体の形勢については、羽生二冠のほうが有利な別れだったというのが大方の見方です。
 ただ、『週刊将棋』によると、渡辺竜王は「桂得してまずまずと思ったが、その後の指し方がまずかった」と述べています(具体的にどうまずかったのかは分かりません)。
 図面を省いて申し訳ありませんが、渡辺竜王が△6二飛と大捌きを狙った手に対し、▲7四歩△同歩と突き捨て、後手角の8五への飛び出しを防ぎ、▲8四角に△6一歩と飛角交換やむなしと受けさせた辺りでは羽生二冠優勢と見られていたようです。
 ただ、桂損を相手の歩切れでバランスを取るのが通常なのに、突き捨てたことにより歩を与え、後手は歩に関しては一歩損であるものの歩を2枚手駒にさせたことは、気分的に嫌なものを感じます。
 さらに、後手が6二に飛、6三に角、先手は6四に飛、6五に桂と駒が接近しており、一触即発状態であるので、桂損を模様の良さでバランスを取る意図の先手にとっては、かなりのプレッシャーになったと考えます。その結果、飛車角交換に踏み切って決めに行ったものの、実際は決まらず苦境に陥ってしまった。
 ただ、正着を指したとしても、かなり難しい変化を読み切らなければならなかったようで、微差だったように思います。△3七歩と金頭を叩く手に対し、玉とは逆方向に2八にかわすのが正解。この手を飛車切りの段階で読めずに本譜の順を選んだようです。ただ、プレッシャーを感じていなければ、飛車切りに危惧を感じ、逆に2八に金をかわす手を読み切っていたような気がします。
 意欲的に動いて先行したものの、ぎりぎりの差を維持するのにぎりぎりの攻めをつないでいかなければならなくなった。このような将棋のつくりを選択したことに不安を感じたのです。それが、渡辺竜王に対する苦手意識によるものなのか、積極的な棋風に転換していこうとしているものなのかは分かりません。
 勝手さんも「竜王戦の激闘以来、確かに攻め合いではまずいという印象があるのかも」「どこかで方向転換を余儀なくされた印象です」とおっしゃっているので、対渡辺竜王戦の戦略の変化は私の気のせいではないようです。
 あと、渡辺竜王の将棋については、局地的な強さ(受け・詰みや受けなしの見切り)もありますが、「この傷を抱えたままでは勝てない」とか「この駒を働かせないと勝てない」といった戦略的方向性に基づいた定理や公式による読みの効率の良さと深さが、竜王の強さだと考えています。
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20連覇ならず、王座失冠

2011-09-28 23:16:30 | 将棋
 昨晩、全国300万人(←根拠なし)の羽生ファンが、よろめき、うなだれたことでしょう。
 いつか途切れると思っていた連覇なので、それ自体は残念ですが、それほど大きなショックはありません。
 渡辺竜王に敗れた、しかも3連敗で敗れたという事実が、大きくのしかかってきます。………もしかして、羽生王位・棋聖より渡辺竜王・王座の方が強い?……

 …………ま、と、とにかく、認めたくない事実ではありますが、「依然、羽生>渡辺」という根拠が見つかることを期待して、分析してみます。

①対戦成績
 一番実力を測るのに、分かりやすい指標です。
 14勝18敗と渡辺竜王・王座がリード。しかも、例の3連勝後4連敗を喫した第21期竜王戦(2008年)の第4局以降は5勝14敗(それ以前は9勝4敗)と相当やられている。特に、その第4局から1勝9敗と叩かれており、この時期に苦手意識が生じたとしても不思議ではない。
 この時期(1勝9敗)以後、4勝5敗と持ち直していて、拮抗状態に移行する希望的観測もできる。ただ、②タイトル戦で述べるが、脅威の連覇記録を樹立した王座戦で3連敗で敗れたのは、イメージはかなり悪い。

②タイトル戦
 第51期王座戦(2003年) 3勝2敗(防衛)
 第21期竜王戦(2008年) 3勝4敗(奪取ならず)
 第23期竜王戦(2010年) 2勝4敗(奪取ならず)
 第59期王座戦(2011年) 0勝3敗(失冠)

 タイトル戦としては1勝3敗で個々の対局で見ると、8勝13敗。しかも、内容も悪くなってきている。相当やばい状況だ。

③現状の地位
 2011年度当初、棋界最高位の竜王は渡辺竜王に譲っているものの、格式高い名人を含む王座、棋王を保持していたので、第一人者の地位は保っていた。それが森内九段に名人位を奪われ、席次を譲ることになったが、二冠対一冠、さらに、ここまでの戦歴や他棋士との対戦成績や勝率を考えると、第一人者と認識されていた。
 広瀬王位を破り、タイトル保持数を3とし、「やはり羽生は強い」と再認識させたのもつかの間、直接対決の王座戦で敗れ、タイトル保持数は共に2であるが、最高位の竜王を保持する渡辺竜王・王座がはっきり優位に立った。
 「竜王戦や羽生王位・棋聖にだけ強いのではないか」という疑惑もあったが、9月27日現在、16勝3敗、.842(全棋士中2位)と文句なしの成績。対する羽生王位・棋聖は23勝14敗、.642、勝数、対局数は1位だが、勝率は羽生王位・棋聖にしては物足りない。もちろん、勝率が低いのはタイトル戦の番勝負での10敗(9勝)が響いているだけで、私が重視する勝ち数は素晴らしい!
 さて、上記のように渡辺竜王の今年度上半期の成績は申し分なく、「竜王戦だけ、羽生二冠にだけ強い」という疑惑は一掃したかのように思える。しかし、まだここ半年の期間しか過ぎない。10月から始まる竜王戦に注目したい。
 現在の渡辺竜王・王座の勝ちっぷりを見ると、4勝0敗で防衛となるはずである。丸山九段もA級の安定勢力で実力者で手ごわい相手だが、羽生王座をストレートで破った竜王が、苦戦してもらっては羽生ファンとしては困るのである(はい、了見が狭いです)。

④今期の王座戦
 3局通して、難関な将棋を渡辺竜王が競り勝った印象が強い。勝ち方としても申し分がなかった。
 今回の王座戦に限らず、最近の二人の対局は、羽生王位・棋聖が新手や新構想を駆使し、積極的に動き、渡辺竜王それを受けとめるというパターンが多い。
 じっと上部に厚みを作ったり、攻め駒にプレッシャーを掛けて、羽生三冠(二冠)の緩みを許さない。今期の将棋では、第2局で飛車に紐を付けじっと耐える△6一歩、第3局の▲8二と~▲7二とと羽生陣にプレッシャーを掛けた手がそうである。
 逆に、羽生二冠は主導権を握っているようで、どこか急かされていて余裕がないように感じた。3局とも、観ていて勝つ気がしなかった。(『王座戦第2局の感想』とそのコメントでも感じた)
 そういう圧力の中、攻め急いで形勢を損じてしまう……これは、羽生二冠が他の棋士相手に追い込んでいくパターンではないのだろうか?こういう状況に陥ってしまうのは、やはり3連勝後4連敗から1勝9敗と負けが込んだ時期に苦手意識のようなモノが生じてしまったからなのかもしれない。
 もちろん、並の相手なら攻め急ぎ気味の羽生二冠の攻めを通してしまうが、渡辺竜王の受けは正確で、ギリギリのところを見切っていた。強い!

⑤弁明
 羽生王位・棋聖の棋力が衰えたとは思えない。強くなっていると思うことさえある。
 では、なぜ、ストレートで敗れたのか?それは、④で挙げたどこか余裕のない指し方、攻めきれるかどうかの細い攻め(攻めが途切れたら負け)という将棋の造りにしてしまったことが要因ではないのか。
 もともと、羽生二冠が最も強みを発揮するのは、終盤の一手違いのギリギリの寄せ合いであろう。とは言え、そういう将棋になりながらも、2008年の竜王戦第4局、第7局で敗れているので、そういう将棋に持ち込んでも敗れる可能性はある。
 しかし、対渡辺竜王戦に限って言うと、どこか、バランスやスタンスを崩してしまっている気がする。
 さて、その原因は苦手意識にあると思われるが、それだけではないと考えたい。
 ズバリ、疲れである。
 名人戦の後半辺りから、名人戦、王位戦(リーグ、リーグ戦プレーオフ、挑戦者決定戦)、棋聖戦、王位戦と大きな対局が相次ぎ、この他にも竜王戦(トーナメント)、A級順位戦も間に挟んでいる。5月8局、6月8局、7月7局、8月7局と過密スケジュール。タイトル戦は2日制だと移動日・前夜祭を含めると4日間費やすので、局数以上に大変。さらに、JT日本シリーズも地方対局、非公式戦の達人戦や講演やイベントにも駆り出される。
 将棋に余裕がなかったのは、この疲労によるものかもしれない…と考えたい。

 今後はやや落ち着いた日程になるようなので、順位戦、棋王戦トーナメント、王将リーグを勝ち進み、タイトル奪取を果たして欲しい。正直言えば、順位戦を勝ち続け、来季、森内名人に雪辱をして欲しい。
 2003年から2004年にかけて、森内名人に竜王、王将、名人とタイトルを次々と奪われて、王座一冠のみになったことがあったではないか!

 王位を奪取できていて、本当によかった………
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穏やかな日本海と夕焼け 【9月15日撮影】

2011-09-25 13:16:31 | 歳時
 9月8日の日本海も穏やかでしたが(9月13日記事『煌めく日本海』)、9月15日も穏やかでした。


 前回(8日)は午後3時ごろ、この日はお昼前で光線の具合が少し違います。また、磯辺も違います(あまり離れてはいませんが)。キラキラ度は違いますが、とても穏やかで、車を停めてしまいました。



 とても水が澄んでいました。


 ん?何かいます。

 分かりにくいかもしれませんが、黒い小さい魚がたくさんいました。


 同じ日(9月15日)ですが、夕方です(見れば分かるよ)。

 いつものポイントです。6時25分ごろです。
 代り映えしませんが、おつきあい下さい。
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将棋初級講座⑩ ~「次の一手」の次の一手Ⅱ~【解答編】

2011-09-23 09:43:05 | 初心・初級将棋
9月18日記事将棋初級講座⑨ ~「次の一手」の次の一手Ⅱ~
の解答です。



前回は問題2図から、▲2三歩△同飛▲4一角△2二飛(初級者2図)

まで考えました。

 放っておくと、2筋を突破されそうですし、打った角も危なそうです。
 しかし、大駒(本問の場合は飛車)同士が向かい合い、その間に駒がある場合は、技を掛けるチャンス(技を掛けられるピンチ)なのです。
 後手の2五の銀は2二の飛車の紐がついていますが、飛車が動くと取られてしまうことに気づくと、正解の一歩手前です。
 次を読む前にちょっと考えて見ましょう。





 正解は▲3二角成です。
 以下△同飛の一手に▲2五飛(成功図)で大成功です。

 角は後手に渡りましたが、先手は金と銀の2枚を手に入れ、飛車も捌けました。
 場合にもよりますが、大駒1枚と小駒(金、銀、桂、香)2枚の交換は、小駒2枚の方が得です。角と金銀ならば小駒2枚の方がかなり得、角と銀桂でも小駒が有利です。角と桂2まいだと、さすがに角の方が良さそうです。
 大駒1枚と小駒(金~歩)2枚を交換するのを「2枚換え」と言い、「2枚換えなら歩ともせよ」という格言さえあります。この格言は少し大げさで、歩2枚では全然大駒1枚には足りませんが、それだけ「2枚換え」は得だという教えなのでしょう。
 補足しますと、銀(金)と「桂と歩」の交換の場合も「2枚換え」と言うことも多いようです。

 今回は
「大駒のふすま越しのにらめっこは、危険がいっぱい」
「2枚換えなら、歩ともせよ」
が、テーマでした。
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王座戦第2局 感想

2011-09-20 22:14:08 | 将棋
 「桂損対歩切れ」の分かれは、それなりだと思いますが、その後の指し手は前のめり気味。渡辺玉に迫っているが、攻めが細く、自陣への反動も大きい。渡辺竜王に正確に応じられて、攻めが途切れたところで勝負あり。ずっと苦しかった感じがします。(私の印象です。真理は感想戦待ちです)
 指し手自体の善悪は分かりませんが、指し手に余裕が感じられず、攻めを急いでいる印象が強いです。序盤の桂損を相手の歩切れで均衡を保ったのは、直前の順位戦の角を見捨てた大局観の確かさを思わせましたが、何か誤算があっての二次的処置だったような気がします。「やり損なった」という思いが、後の指し手に現れたのかもしれません。或いは、渡辺竜王への苦手意識のせいかも。順位戦の快勝で不安を一掃とまでは言えないまでも、不安を払えたと思ったのですが……
 そう言えば、第一局の時間の使い方も、「らしく」なかったです。新手を繰り出すまで、時間をほとんど使わずに進めたのは、違和感を感じました。事前研究通りに進んだとはいえ、読みの厚みを重視する羽生三冠らしくありません。
 渡辺竜王の終盤の強さを警戒しているのかもしれませんが、余裕がないように思われます。或いは、疲労が蓄積されていて、その影響かもしれません。
 第3局は1週間後ですか……羽生三冠の復元力に期待します。
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『アンフェア the movie 』 ……不覚だった。そして後悔、怒り

2011-09-19 17:30:30 | ドラマ・映画
 テロリスト、ウィルス、占拠……番組欄にそういうフレーズがあったので、とにかく録画しました。ただ、頭の片隅に、「アンフェア……一度、観たような…確か、駄作だったような……いやそれはTV版スペシャルだったかも…いや、病院占拠は観た記憶が…まあ、とりあえず……

 ………嫌な予感はあったのです。不覚でした。あまりの映画の出来に、内容を記憶から抹消していたのを忘れていました(抹消したのだから、覚えていないのも当然?)。二度も観てしまうとは……
 バイオテロ、警察上層部の腐敗、占拠、母娘の愛、自動車爆破、そして裏切りと面白そうな要素をてんこ盛り……要素を盛り込みすぎて消化できずに空中分解した『ブルドクター』を先日まで批判し続けていましたが、映画なのでそれよりも規模が大きい空中分解でした。いえ、「分解」はもともとが一塊(ひとかたまり)だったものに使う表現でした。『ブルドクター』も一塊とは言えませんが、『アンフェア the movie』は本当に各要素を映画という枠にぶち込んだだけ、映画館に足を運んで、料金を取るだけ罪が重いです。
 私がこの映画館でこれを見たら、終了後、「金返せー」と叫ぶに違いない。映画のスポンサーだったら、監督、脚本家などスタッフはクビにしたいです。
 テレビ放送当日に続編映画が封切られたので、それの宣伝だったのでしょうが、確実に逆効果です。新作の出来は知りませんが、本作はTVシリーズが好評だったので、「映画化して面白そうな要素だけ並べておけば客が入る」という観客をなめた姿勢しか感じられませんでした。

 きっちりまとめる気力もないので、いつものように箇条書きで羅列します。
①最初の自動車爆破の意義は?
 爆破の目的は、雪平刑事(篠原涼子)を疎ましく思う(ドラマSPで、確か上層部の極秘情報を入手した?)警察上層部が雪平を亡き者にしようとしたらしい。
 らしいというのはその件を映画で追及しなかった。製作サイドが映画では黒幕と人生背景を同調させる材料にしたかったのと、雪平の娘を爆破に巻き込ませ、テロの舞台となる病院に入院させ、雪平を事件に引き込むのが、真の目的だったようだ。ストーリー上の都合というより、映画興行演出の為のエピソードに過ぎなかった。
 爆破に巻き込まれたベビーシッターは非常に気の毒で、しかもこの事件自体は全く解明されなかった。映像的には、車が炎上しているのだが、炎自体はCGっぽく見えた。
 そもそも、警察上層部って、ほとんどのドラマで腐敗しているが、テレビ局などに抗議はないのかな?それにしても、抹殺するために車を爆破するって、危なすぎ。

②意味不明な看護師の死
 占拠の際、派手に暴れまくったテロ集団だが、死亡した被害者は雪平の娘を逃がそうとした看護師ひとり。
 他の人は無事解放したので、無理に逃がそうとしない方が良かったのでは?逃がした娘はバイオテロに巻き込まれ感染してしまい、看護師本人もテロリストに射殺されてしまった。勇気ある行動が仇となってしまった。そもそも、「事件を目撃されたから、射殺した」と言っていたが、それだけの重要な場面を目撃したとは思えなかった

③意味不明の警察病院
 テロに備えたシェルター張りの要塞らしいが、下水道みたいなところから簡単に侵入できる。その上、細菌兵器を研究、或いは、保管している割には、研究員や警護員は全くいない。扉などのセキュリティーも甘過ぎた。
 さらに、警察庁長官も入院(手術)していた割には、まったく関係者(警護)も見当たらなかった。

④凄い偶然で感染してしまった雪平の娘
 看護師(加藤ローサ)の決死の行動のおかげで、病院に取り残された(ウィルス室の階まで降ろされてしまった)。目を負傷していたため、壁伝いに歩き、手で壁を触っている拍子に扉のスイッチを押してしまい、ウィルス室に入ってしまった。
 しかし、それからしばらくすると何故か視力は回復していた。
 凄い偶然の結果、しかし、製作サイドの都合により強引にウィルスに感染させられてしまった雪平の娘だった。

⑤まるでコント
 バイオテロのため、ウィルス保管室に侵入し、ウィルスと抗血清を手に入れるテロリスト。
 防護服にグローブで、危なっかしそうな動作で、ウィルスの瓶(試験管みたいなもの)を落とすんじゃないかという期待を見事に応えてくれた手下(成宮寛貴)。
 しかも、慌てて机の角で防護服を破いてしまう。ボスともう一人の手下、そして成宮の三人が慌てまくり、部屋の机からガムテープを取りだし、破け目をガムテープで補修しようとしていた。
 ………ドリフのコントかと思った。バイオ兵器とのウィルスの瓶がそんなに割れやすくていいの?それを、落として、防護服を破き、ガムテープで補修って………

⑥テロリストリーダー(椎名桔平)はどこから
 地下と思われる所から特殊車両に乗ってリーダー登場。偽装によって第1SAT隊が侵入したのは分かるが、彼はあれだけの車に乗ってどうやって極秘に侵入したのだろうか?

⑦第2SAT隊、弱過ぎ
 待ち伏せされていたとはいえ、音と光だけ(映像なし)で、数秒でせん滅させられる。シーンがないのは手抜き?それとも予算がない?

⑧内通者(裏切り者)の伏線だが
 雪平と一緒に侵入した検視官・三上(加藤雅也)、車爆破の直前、「車はやめた方が良い」と忠告。第2SATせん滅の直後、テロリスト達に見つかり、雪平を逃がすために囮になるが無事、雪平の安否を確かめるために雪平と連絡を取り、ロビーで落ち合う連絡を取るが、テロリストに待ち伏せされる。その時、テロリストの一味・蓮見(濱田マリ)が「薫ちゃん(三上)も使えないなあ」と呟く。
 結局、最後まで雪平と共に闘うが、疑惑が残る。次作に持ち越しか?

⑨けっこう間抜けな雪平
 テロリストを自分の携帯のアラームを鳴らして誘導し手刀で倒すが、ホッとしたところでもう一人に銃口を後頭部に当てられてしまう。二人いるのを確認しているのだから、アラーム音を鳴らしたら当然二人目にも気を張らないと。

⑩主人公の特権
 ⑨の大ピンチで、ぼこぼこに殴られるが、なぜすぐに殺さないのだろう。そうこうしているうちに、公安の上司・斉木(江口洋介)に救われる。まさに、主人公特権。

⑪超能力でバイオ爆弾を発見
 何の情報もなくバイオ爆弾の位置にたどり着く、凄いとしか言いようがない

⑫小賢しいカウントダウン
 バイオ爆弾解除の際、緑のコードを切った時、残り1分4秒でカウントダウン表示が消え、電源が切れたように見えた。一瞬ほっとする。しかし、再びカウントダウンが始まる。これって、単に視聴者をぬか喜びさせる演出?
 斉木も一本ずつコードを切っているだけのように思える。コードの色で切る順番があるのかもしれないが、淡々と、勿体ぶって切っているだけ。お約束通り残り3秒で解除。

⑬意外に痛みに弱い雪平
 雪平が腕を撃たれる。腕を撃たれただけなのに、瀕死の重傷のように歩くのがやっとという状態になる。しかも斉木も「この傷じゃ、感染病棟にたどり着く前に死ぬぞ」って、大げさ。
 斉木に傷口付近を縛ってもらうだけの治療で回復。意外と不死身?

⑭意味不明の裏切り
 蓮見が本性を表し、テロリストを裏切り金を奪って(口座操作)仲間を射殺、その蓮見の相棒の斉木が蓮見を射殺、さらに、斉木の真の協力者だったはずの後藤も撃つ。
 「正義に犠牲は付き物だ」という訳のわからない言葉を残す。
 いや、本当に訳の分からない斉木。
 蓮見が信用できないのは理解できるが、後藤を殺す理由が分からない。一応、奪った80億円を犯罪被害者団体に寄付したらしいが、後藤を殺す必要があったのか?
 それに、銃を向けたのを一旦降ろして、また撃つ。アンフェアと言えばアンフェアだが、⑫と同じ小賢しい演出。
 後藤と斉木が結託していたのなら、⑪のバイオ爆弾発見、⑫の斉木がバイオ爆弾を解除出来たのも一応納得がいく。バイオ爆弾は脅しのネタで、爆発させるつもりはなく、回収して切り札に使う。
 本来ならテロ側と警察側にそれぞれがいて、うまく金を奪う手筈で、脅しが上手くいかなくても、蓮見がハッカーの腕で裏金をゲット。それを斉木が回収。
 しかし、雪平の存在がイレギュラーで、斉木が現場に行かざるを得なくなったのだろうか?雪平に協力したのは、雪平が得ていた警察の情報を欲しかったからか?

 ここら辺の説明を是非して欲しい。

⑮おい、そこで撃っちゃあだめだろう!
 斉木に撃たれたものの絶命はしていなかった後藤は、警官隊に囲まれながら、ウィルス容器を振りかざす。しばしの間の後、一斉に発砲。容器を持ったまま倒れる後藤。うわ、割れると思った瞬間、三上がナイスキャッチ。
 ああいうシーンで発砲って、有り得んだろう。馬鹿としか言いようがない。
 ⑫、⑭に続いての小賢しい演出だ。

⑯最後の小賢しい演出
 命からがら娘のところにたどり着き、抗血清を打つ。しかし、その後、娘の意識が途切れ、「目をあけて、美央」と叫ぶシーンが1分30秒弱続く。
 ハラハラさせた後、美央が意識を取り戻す。最後まで、アンフェアな小賢しい演出だった。

⑰最後までアンフェア
 ビルの屋上で対峙する雪平と斉木。
 一応の心の内や目的を説明する斉木だが、お互い銃口を向け合うこととなり、最後の緊迫シーン。「私は撃てますよ」と言い、斉木が発砲する。しかし、雪平は「あなたのやり方は復讐の連鎖を生むだけ」と言って銃口を下ろす。その後、4発連続して斉木が発砲。しかし、倒れたのは斉木。
 斉木は雪平を撃つつもりがなかったのか、それとも、下手くそだったのか?敵を見つけて、発砲したのだろうか?
 斉木を撃ったのは誰なのか?謎を残して終了。
 キャッチコピーは、「雪平夏見、最後の事件」・「信じられるのは、自分だけ」だったはず。最後の事件じゃなかったのか!最後までアンフェア。
 そもそも、なぜ、雪平は撃たれないのか?

⑱雪平の魅力
 この事件では、雪平の魅力が全く感じられなかった。人間性もそうだし、活躍もしなかったし。

⑲タイトルを免罪符にしている
 このタイトルが卑怯。これを免罪符に、何をしても許されると思っているらしい。
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将棋初級講座⑨ ~「次の一手」の次の一手Ⅱ~

2011-09-18 19:42:16 | 初心・初級将棋

 将棋世界2011年7月号、級位コース第2問です。有段者なら、ひと目かもしれません。
 問題図のように大駒の間に歩以外の駒がある場合、技が掛かることが多いです。どちらかと言うと、自駒のある方が不自由です。
 本問も、後手の2五の銀が焦点となっています。一見、飛車、角、銀が協力して先手陣の突破が目前のようですが、実は2五の銀が弱点で、先手にそこを突かれてしまうのです。





 正解は▲2三歩です。飛車取りなので、当然、、対処しなければなりませんが、△2三同金だと飛車の利きが途切れて、2五の銀が只になってしまいます。なので、△2三同飛としますが、ここで▲4一角(正解2の2図)が継続手。

 飛車を移動させた効果で、3二の金取りになります。
 金取りを受けるには、金を4二などにかわすのも手段の一つですが、この場合、2三に飛車を取られてしまいます。
 なので、後手は△2二飛(初級者2図)と引いて金取りを受けるしかありません。


 さて、先手にここで手がなければ、角を打った意味がありません。2筋を突破されそうな上、打った角も風前の灯。
 継続手をお考えください。
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羽生、王位奪取 通算タイトル最多タイ80期に

2011-09-17 19:15:37 | 将棋
 王位奪取から日が経ってしまいました。決着した直後に、記事をアップするのがファンとしての義務?だと思いますが、即行アップというのは、如何にも大喜びしていると思われてしまいそうで(余計な心配だ)、少し間を置きました。
 と、そうこうしている間に、私の敬愛するブログ棋友さんたちが、次々に記事をアップされていきました。shogitygooさん『羽生が王位奪還 2011王位戦第七局 広瀬vs羽生』で、戦術面から将棋の思想に至るまで掘り下げ、nanaponさんは、『羽生二冠、王位獲得で三冠へ、そして、通算80期に』で、多方向から立体的に分析し、せんすさんは、『羽生、三冠返り咲き』で、最終局の指し手を解析しています。
 そして、ssayさんが、『第52期王位戦七番勝負第7局は挑戦者の羽生二冠が勝ち、王位に復位、通算タイトル獲得数80期で大山十五世名人に並び歴代1位タイに。』という少し?長いタイトルで、素直な感想を述べています。

 ここで、ssayさんについて述べなければならない。彼の分析は鋭い。そして、彼は羽生ファンではない、こともあろうか渡辺竜王のファンなのである。羽生ファンではない渡辺竜王ファンである彼の鋭い眼で、ちょっと(ちょっとだよ)愚かな羽生ファンを斬られてしまうのではないかと心配していた時期もあった。断っておきますが、斬られると心配したのは「羽生ファン」であって、羽生二冠、おっと、三冠(笑)ではない。
 彼の存在は、nanaponさんを通じて意識していた。あとで判明したが、彼も私のことを意識していたらしい。私の場合、ファンの対象は違うが、時には辛辣、あるいは、余計なことをと思うような事を言ってしまう点で、似ていると思っていた。
 羽生ファンじゃない、鋭い、私と似ている……と言うわけで、「触らぬ神にたたりなし」で、チラ観するものの、正対したことはなかった。
 でも、彼の記事は、鋭くて、正直で、おもしろい。我慢しきれず、パンドラの小箱をあけるように、彼の記事にコメントをつけ…いい関係(笑)が続いている。う~ん、「盟友」と言えばいいのかな、ちょっと、くすぐったい関係。こういうことを書くと、某n氏により横から槍が飛んでくるかもしれない。
 それはともかく、羽生ファンではないssayさんが、即、記事をアップしたので、これは素通りできないと、コメントを付けたのが下の文章。(多少修正、加筆しています)



 名人を失冠し、無敵を誇った王座戦においても、最強の挑戦者に緒戦を落とし、暗雲が漂っていました。今回、王位に復位し、ホッとしています。本来なら「勝って当然」という顔をしたいのですが、広瀬王位は強く、今回の勝利も紙一重で、逆の目が出ても不思議ではないと思っています。
 広瀬王位の勝ち方は強さを感じさせます。羽生戦だけでなく、他の棋士との(特に順位戦)対局を見ていると、「彼にはどうやったら勝てるのだろうか」と思わせる内容です。
 今期王位戦では、斬り合った瞬間、大勢が決してしまった将棋が多かったです(押し切って勝ってしまうのは、両者が共に中終盤が強いから)。特に羽生二冠が完敗した第5局、昨年の王位挑戦者決定戦は、広瀬王位の独特な将棋観に羽生二冠の感覚が方角を狂わせてしまい、気がつくと、致命傷を負っていた、そういう印象です。終盤もつれた第2局もこれに類するかもしれません。
 また、広瀬王位の攻めを見切り優勢に進めていたにもかかわらず、終盤の入口で疑問手を連発したのも、不可解な負け方です。これも、広瀬将棋に方向感覚を狂わされていたのかもしれません。(新聞の観戦記には、「羽生二冠に疲労が蓄積されていたのではないか」と推測されていた)
 最終局は、その広瀬将棋を真正面から捕らえ、がっぷり四つに組み、引き付けて寄り切ったという横綱相撲でした。ここまで6局王位戦を戦い、将棋だけでなく、前夜祭、食事、相対した時の所作すべて広瀬王位を感じ取り、広瀬王位の将棋の本質を感じ取り、研究の裏づけをして、最終局に臨んだと考えられます。
 
 なんにせよ、今後も楽しみなカードで、広瀬王位も楽しみな棋士です。今後は、対森内、対渡辺、対佐藤、対久保などにその本領を発揮していただきたいです。



 この文章(コメント)で、記事を済ませてもいいのですが、少し芸がないので、羽生二冠の最終局に対する姿勢、そして、封じ手の考え方について考察してみます。

 自分で言うのもなんだが、伝家の宝刀・広瀬振り飛車穴熊を真っ向から受けて立った羽生二冠、格好いい!しかし、羽生二冠は格好良さを考えたわけでなく、ある程度、広瀬振り飛車穴熊を攻略できる、いえ、攻略とまでいかないが、対抗できる自信があったように思える。
 もともと、羽生二冠は居飛車穴熊の優秀性を認め、それを実際に実証している。
 振り飛車についてはどう考えているのだろうか?
 勝率は先手振り飛車0.766、後手振り飛車0.624、振り飛車採用勝率は0.661。通算勝率0.722と比べると苦戦している。しかし、振り飛車をダメな戦法とは思っておらず、振り飛車の採用率は11%で、矢倉26%、対振り飛車20%に比べると低いものの、角換わり14%、横歩取り13%、相掛かり9.6%とは大差ない。ただ、対振り飛車の勝率は先後合わせて0.774と高率で、戦法別では最も高い。(『玲瓏』さんの戦型別データを引用させていただいています
 これらから推測すると、羽生二冠は振り飛車は指せない戦法とは思っていない(最善を尽くせば容易に負けない)が、相対する戦法としては怖くないと思っているはずだ。
 では、振り飛車穴熊はどうなのだろうか?旧タイプの振り飛車穴熊を採用する棋士はごく限られている。これは、戦法としてはあまり優秀とは思われていない。羽生名人もあまり採用しないので(これは私の記憶のみなので、実際は違うかもしれない)、よい戦法とは思っていないと推測できる。
 相穴熊戦を理論的に見ても、玉の堅さは同じでも、飛車先が伸びている居飛車の方が攻勢を取れるし、破るべき方角に飛車、角両方利いていて、桂香を大駒2枚で効率よく手にすることができる可能性が高い。よって、相穴熊戦においては居飛車側が利があると考えられている。
 しかし、広瀬王位はこの戦法で勝ちまくり(他の戦法でも勝っている)、王位を獲得するに至っている。さらに、羽生自身も、今期、王位戦で相対してみて、一刀両断に近い負けを喫している。
 これはどういうことなのか?
①広瀬王位が戦法のハンデをもろともしないほど、手合い違いに強い
②振り飛車穴熊が実は非常に優れた戦法だった
③広瀬流振り飛車穴熊の弱点を見抜けていない

 他にも理由があるかもしれないが、これら3つと仮定しよう。
 このように書くと、この3つは独立した事柄のように感じるが、実際は絡みあっているように思える。広瀬王位がとても強くて、振り飛車穴熊は優れている。しかし、それと同時に広瀬将棋、広瀬流穴熊ともに、その弱点をつかめていない。
 羽生2冠も、常々、そう考え、そして、実際に対してみて、その感触を確かめていた。
 そして、最終局に向かい、広瀬穴熊への対抗法をある程度確立し、広瀬穴熊・広瀬将棋の感覚もほぼつかめたという手ごたえを得て、広瀬穴熊を受けて立った。
 羽生二冠の最終局の指し回しを見ると、歩を渡さない(8筋の飛先の歩を突き捨てなかった)、捌かせない(9二に飛車をかわしとにかく振り飛車の角の捌きを封じた)、具体的に点数を稼ぐ(あっさり飛車角交換をした、と金を作る)……実利を稼ぎ、しかも、勝ちを急がないことを心がけたように感じる。がっちり盤面全体、読み全体、大局観すべてを駆使し、広瀬将棋を抑え込んだ、そんな印象だ。


 封じ手についても考察してみます。
 羽生二冠は、この一手と思われる△4二銀引に時間を消費し、手を進めずに、封じ手にして一日目を終えている。
 これは誰でもそうだと思うが、一日目の段階で劣勢に陥ってしまうことは避けたい。しかし、優位に立つのは歓迎、そうでなくても、研究範囲の局面で互角以上の見通しがつくのなら指し手が進んで終盤になってもかまわない。局面が進むことより、持ち時間を消費するのを避けたいという棋士も多いようだ。
 しかし、羽生二冠は、若干違うような気がする。一日目はあまり局面を進めたくなく、いろいろな可能性のある局面で終え、その可能性を一晩かけて考え、検証したいのではないかという気がする。
 ただ、それだけでなく、1時間半ぐらいの持ち時間の差なら、2日目に指し手の可能性をたくさん残した方が、相手の方が間違える可能性が高い。そういう自信があるのである。


 昨日、順位戦で羽生-渡辺戦があった。羽生完勝と言ってもいい内容だった。
 王座戦20連覇が懸かる、通算タイトル獲得数新記録が懸かる王座戦、しかも、相手はあの渡辺竜王。その最中に、両者が順位戦で当たるのも凄い。渡辺竜王先勝、羽生三冠が順位戦で勝利、ますます盛り上がる王座戦、目が離せない。
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