前後編ものなので、現段階で評価するのは早計かもしれないが……
(そもそも、サブタイトルの“2週連続スペシャル”は何がスペシャルなのだろう?)
season16 第7話「倫敦からの客人」、season17 第17話「倫敦からの刺客」に続いて、3度目の登場の南井(伊武雅刀)だが、個人的にはあまり好きではない。
過去の2話についてもレビューしておきながら、南井のキャラを掴めていない。「倫敦からの客人」では《法で裁くのには限界がある》と考え、自ら手を下す、所謂“行き過ぎた正義”の執行者と思われたが、「倫敦からの刺客」では殺人者(殺し屋)を陰で操るシャーロックホームズの宿敵・モリアーティーのような存在になっていた。
====以下は前回レビュー「ロンドンからの刺客」からの引用====
「倫敦からの客人」で 右京は南井(伊武雅刀)の信条を………
「影…犯罪者の中には贖罪の心を持つことができない者がいる。そんな犯罪者は自らの死でその罪を贖わせることが相応しい」
と言及している。番組サイトのストーリー欄にも「右京は、南井が歪んだ正義感から、更正不能と見なした犯罪者を死に追いやっているとの疑いを持つ」と記されている。南井本人が述べたことではないが、右京の推察なので間違いではないはずだ。
しかし、今回は立入に殺人を依頼しているおり、前回とは南井のキャラ設定が変わってしまっている。
=================================
番組サイトの第14話のストーリー(あらすじ)の項では、南井に《犯罪者に私刑を下している疑惑》、《この2年、南井が連続殺人や犯人の自殺に関与している疑惑》があると記されている。
もっともこれは、放映前のモノであるので、実は南井の行動にはもっと深い意味があるのかもしれないし、ないのかもしれない。
不安定な南井のキャラ設定と過去の事件のすっきりしない終結でモヤモヤ感が残った。
そんなわけで、南井の心情や心理を理解しがたい状態となっているのだが、そのことを考慮しても、今回のストーリーには不合理と思われることが散見された。
1.連続殺人事件の被害者の選定
売春まがいの行為又は窃盗まがいの行為をした女子高生、ネタ元を吐いたので執行猶予が付いた薬(ヤク)の売人、殺害されるほどの犯罪者なのだろうか?
2.逆五芒星をなぞった連続殺人と言うが…
ロンドンの事件現場をなぞった五芒星はかなり歪(いびつ)だった。しかも、逆五芒星というより順五芒星のような気がする。そもそも、5地点がほぼ円周上にありさえすれば、逆五芒星に準(なぞら)えることが出来る。(事件発生の順番に準えて、逆五芒星になるのなら納得できるが)
3.性急過ぎた今回の冠城
「首を絞めた凶器が布状のネクタイやスカーフ」「事件現場の原宿や日暮里に行った可能性が高い」という状況証拠だけで、短絡的にマリア(石田ニコル)が実行犯と決めつけ、結果的に不幸な結果に。
いつもの冠城なら、《殺人に何か関係している》ぐらいに留めるはず。
「南井にとって、あなたはたくさん代わりがいるひとりに過ぎないんです。あなたは利用されているんです」という言葉も酷い。さらに「これまで南井が使ってきた実行犯の中で、一番未熟」という言葉も酷い。
4.マリアの服毒
冠城と同様、マリアも性急だった。
少し前から南井に疑念を持っていたとはいえ、会ったばかりの冠城の言葉により、疑念を深め、毒を盛った。「なぜ、殺人を行うのか?」という問い詰めもなし。
恩や父親に似た愛情を感じていた南井が連続殺人を犯していたと知り、彼の犯行を止めるため毒を盛るというのは過激。
ずっと辛くて悲しい人生を送ってきたのならともかく、父親が負傷し自殺するまでは普通の人生だったと思われ、南井を殺害する代償として、自らも服毒するというのも理解しがたい。
5.親切過ぎる足跡
ひとつだけくっきりとした足跡が残り、ご丁寧に御用ツツジの葉まで添えてあるとは!
6.原宿の事件の検死
遺体に絞殺痕と吉川線(抵抗した痕)があるのに、事故死として処理
第1話、第2話、第3話、第4話、第5話、第6話、第7話、第8話、第9話、第10話、第11話(元日SP)、第12話、第13話
【ストーリー】番組サイトより
因縁深い“右京の元相棒”が再び東京に!!
時を同じくして発生した2件の変死事件との関係は…!?
原宿で身元不明の変死体が見つかり、伊丹(川原和久)たちが捜査に乗り出すが、その後、事故と断定される。
そんな中、スコットランドヤード時代の右京(水谷豊)の相棒で、犯罪者に私刑を下している疑惑がある南井(伊武雅刀)が、特命係に現れる。この2年、南井が連続殺人や犯人の自殺に関与していることを疑いながら、証拠をつかめずにいた右京は、今度こそ逮捕しようと周辺を調べ始める。
すると南井は、自身のルーツともいうべき場所をめぐっていることが分かるが、目的は見当がつかない。いっぽう亘(反町隆史)は、南井と共に来日したと思われるマリア(石田ニコル)という女性と接触。今回は、彼女が南井に操られて罪を犯すのではないかと危機感を募らせる。
そんな矢先、都内の下町で、女性の絞殺死体が発見される。右京は、原宿の変死体とその絞殺死体には、ある共通点が存在することに気づくが…!?
右京の元相棒は、裁きの賢者か悪辣な殺人者か…
都内で次々に発生する事件には驚きの共通点が!?
右京が最強の宿敵との“最終決戦”に臨む!
ゲスト:伊武雅刀 石田ニコル
脚本:徳永富彦
監督:内片輝
(そもそも、サブタイトルの“2週連続スペシャル”は何がスペシャルなのだろう?)
season16 第7話「倫敦からの客人」、season17 第17話「倫敦からの刺客」に続いて、3度目の登場の南井(伊武雅刀)だが、個人的にはあまり好きではない。
過去の2話についてもレビューしておきながら、南井のキャラを掴めていない。「倫敦からの客人」では《法で裁くのには限界がある》と考え、自ら手を下す、所謂“行き過ぎた正義”の執行者と思われたが、「倫敦からの刺客」では殺人者(殺し屋)を陰で操るシャーロックホームズの宿敵・モリアーティーのような存在になっていた。
====以下は前回レビュー「ロンドンからの刺客」からの引用====
「倫敦からの客人」で 右京は南井(伊武雅刀)の信条を………
「影…犯罪者の中には贖罪の心を持つことができない者がいる。そんな犯罪者は自らの死でその罪を贖わせることが相応しい」
と言及している。番組サイトのストーリー欄にも「右京は、南井が歪んだ正義感から、更正不能と見なした犯罪者を死に追いやっているとの疑いを持つ」と記されている。南井本人が述べたことではないが、右京の推察なので間違いではないはずだ。
しかし、今回は立入に殺人を依頼しているおり、前回とは南井のキャラ設定が変わってしまっている。
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番組サイトの第14話のストーリー(あらすじ)の項では、南井に《犯罪者に私刑を下している疑惑》、《この2年、南井が連続殺人や犯人の自殺に関与している疑惑》があると記されている。
もっともこれは、放映前のモノであるので、実は南井の行動にはもっと深い意味があるのかもしれないし、ないのかもしれない。
不安定な南井のキャラ設定と過去の事件のすっきりしない終結でモヤモヤ感が残った。
そんなわけで、南井の心情や心理を理解しがたい状態となっているのだが、そのことを考慮しても、今回のストーリーには不合理と思われることが散見された。
1.連続殺人事件の被害者の選定
売春まがいの行為又は窃盗まがいの行為をした女子高生、ネタ元を吐いたので執行猶予が付いた薬(ヤク)の売人、殺害されるほどの犯罪者なのだろうか?
2.逆五芒星をなぞった連続殺人と言うが…
ロンドンの事件現場をなぞった五芒星はかなり歪(いびつ)だった。しかも、逆五芒星というより順五芒星のような気がする。そもそも、5地点がほぼ円周上にありさえすれば、逆五芒星に準(なぞら)えることが出来る。(事件発生の順番に準えて、逆五芒星になるのなら納得できるが)
3.性急過ぎた今回の冠城
「首を絞めた凶器が布状のネクタイやスカーフ」「事件現場の原宿や日暮里に行った可能性が高い」という状況証拠だけで、短絡的にマリア(石田ニコル)が実行犯と決めつけ、結果的に不幸な結果に。
いつもの冠城なら、《殺人に何か関係している》ぐらいに留めるはず。
「南井にとって、あなたはたくさん代わりがいるひとりに過ぎないんです。あなたは利用されているんです」という言葉も酷い。さらに「これまで南井が使ってきた実行犯の中で、一番未熟」という言葉も酷い。
4.マリアの服毒
冠城と同様、マリアも性急だった。
少し前から南井に疑念を持っていたとはいえ、会ったばかりの冠城の言葉により、疑念を深め、毒を盛った。「なぜ、殺人を行うのか?」という問い詰めもなし。
恩や父親に似た愛情を感じていた南井が連続殺人を犯していたと知り、彼の犯行を止めるため毒を盛るというのは過激。
ずっと辛くて悲しい人生を送ってきたのならともかく、父親が負傷し自殺するまでは普通の人生だったと思われ、南井を殺害する代償として、自らも服毒するというのも理解しがたい。
5.親切過ぎる足跡
ひとつだけくっきりとした足跡が残り、ご丁寧に御用ツツジの葉まで添えてあるとは!
6.原宿の事件の検死
遺体に絞殺痕と吉川線(抵抗した痕)があるのに、事故死として処理
第1話、第2話、第3話、第4話、第5話、第6話、第7話、第8話、第9話、第10話、第11話(元日SP)、第12話、第13話
【ストーリー】番組サイトより
因縁深い“右京の元相棒”が再び東京に!!
時を同じくして発生した2件の変死事件との関係は…!?
原宿で身元不明の変死体が見つかり、伊丹(川原和久)たちが捜査に乗り出すが、その後、事故と断定される。
そんな中、スコットランドヤード時代の右京(水谷豊)の相棒で、犯罪者に私刑を下している疑惑がある南井(伊武雅刀)が、特命係に現れる。この2年、南井が連続殺人や犯人の自殺に関与していることを疑いながら、証拠をつかめずにいた右京は、今度こそ逮捕しようと周辺を調べ始める。
すると南井は、自身のルーツともいうべき場所をめぐっていることが分かるが、目的は見当がつかない。いっぽう亘(反町隆史)は、南井と共に来日したと思われるマリア(石田ニコル)という女性と接触。今回は、彼女が南井に操られて罪を犯すのではないかと危機感を募らせる。
そんな矢先、都内の下町で、女性の絞殺死体が発見される。右京は、原宿の変死体とその絞殺死体には、ある共通点が存在することに気づくが…!?
右京の元相棒は、裁きの賢者か悪辣な殺人者か…
都内で次々に発生する事件には驚きの共通点が!?
右京が最強の宿敵との“最終決戦”に臨む!
ゲスト:伊武雅刀 石田ニコル
脚本:徳永富彦
監督:内片輝