英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『ガリレオ2』 #10 #11「聖女の救済(前・後編)」

2013-06-25 16:18:59 | ドラマ・映画
不可能に近い可能
1年間の執行猶予のため、1年間、一度も浄水器を使わない(使わせない)とは……
       ………………何という忍耐力、精神力

 ここだけに着目して、満足すればいいのだろうが、前シリーズを知っているとどうしても不満を感じてしまう。

原因Ⅰ……………
 トリックや犯行が浅く、しかも、物理があまり関係せず湯川でなくても解ける謎が多かった。この最終話は、その犯行(トリック)はあり得ないほどの精神力のなせる業であり、単純で物理とは関係なかった(もちろん、絶対に物理がらみのトリックでないとダメと言うわけでない)。湯川でなければ解けなかったという点では及第点であろう。
 今回のトリックで不満だったのは、「立証不可能な完全犯罪」と湯川も認めたが、残っている可能性のあるヒ素を現場に戻って回収、処分しなければならなかったこと。
 しかも、完全犯罪が破たんする可能性(ヒ素の残留)というのは、盲点でも何でもなく、普通に考えられることであったことが大いに不満。
 しかも、犯行の露見が鉢植えのバラが枯れてしまったというあまりにストレートな現象。植え替えても再び枯れてしまうほどヒ素が残留するとは、とても「立証不可能な完全犯罪」とは言えない。
 ヒ素の回収にしても、遺体が発見の連絡を受けて北海道から帰宅するまでの間に、鑑識に検出されてしまう可能性も大きい。

 それに、バラが枯れてしまったことを強調したため、犯行のトリックがある程度、見当がついてしまったのもマイナス。
 どうせなら、浄水器に仕掛けがあったと匂わせておいて、埃のたまり具合から、1年間、その元栓付近をいじった形跡がないことをもっと強調して、犯行が不可能と思わせる。
 そして、悩んだ挙げ句、1年間という時間がトリックになったと解明するべきだった。


原因Ⅱ……………
 うざい女、美砂。
 時折、無垢な魅力が垣間見られるが、基本的には、図々しく礼儀知らずで、学歴もプライドも高いが、それに見合う知性を感じさせない。そのうえ、ろくに捜査もせず湯川に頼る。
 今回は靴の底が減るくらい捜査をしたみたい(湯川が唐突に美砂の靴底をチェックする演出も変)だが、湯川に立証できないと告げられて、ただ悔しがり涙を流し、太田川刑事に八つ当たりするだけ……魅力、感じないよね。

ドラマの魅力
・事件の見せ方がうまく引き込まれる
・湯川の研究室で見られる実験や、湯川の講義内容が面白かった
「現象には必ず理由がある」「再現性が高い現象は必ず科学的に実証できるはずだ」などの論理的な考え方に惹かれ、湯川が語る実証論(今回の場合は恐竜の化石で不要と思われていた土が、実は心臓だったという話)が面白い

 湯川本人の魅力がドラマを成り立たせていたように思う。


【ストーリー】番組サイトより
≪前編≫--------------------
帝都大学の湯川学(福山雅治)を訪ねた岸谷美砂(吉高由里子)は、会社社長が毒殺された事件について話し始めた。

被害者はエムシステムズの社長・真柴義之(堀部圭亮)。事件当日、自宅で仕事をしていた義之は、朝10時のテレビ会議までは元気だったが、夕方4時の会議の際に連絡が取れなくなり、自宅のダイニングで倒れているところをかけつけたホームセキュリティー会社の社員に発見されていた。義之が飲んでいたコーヒーから猛毒の亜ヒ酸ナトリウムが検出されたことから、計画殺人の可能性が高かった。朝10時の会議の際にも義之がコーヒーを飲んでいたこと、セキュリティー会社の在宅警備システムがセットされており義之が外出していないことから、犯人は、義之が自分で入れていたコーヒーの1杯目と2杯目の間に家に侵入し、毒物を仕込んだというのだ。そして、午後2時過ぎに、ひとりの訪問者があったこともわかっていた。しかし、その日は昼過ぎから雨が降っており、女性と思われるその訪問者の顔は傘で隠れてわからなかった。

話を聞いていた湯川は、傘の女性を探せばいいだけだ、と美砂に告げた。すると美砂は、事件当日は北海道に里帰りしていた義之の妻が、湯川の中学時代のクラスメイトだった三田綾音(天海祐希)であることを打ち明ける。

義之の葬儀会場を訪れた湯川は、綾音と20数年ぶりの再会を果たす。そこで湯川は、警察の捜査に協力することを綾音に告げ…。

≪後編≫--------------------
湯川学(福山雅治)は、会社社長の真柴義之(堀部圭亮)毒殺事件を通じて、義之の妻で、中学時代の同級生でもある綾音(天海祐希)と再会する。綾音は妊娠をきっかけに義之と結婚した。が、何者かに自転車で衝突され流産していた。

湯川は、綾音が営んでいる幼児教室で、子どもたちにある実験を見せた。それは、電気ポットを使って、次々とお湯の色を変えてみせるというものだった。その話を知った貝塚北署の岸谷美砂(吉高由里子)は、その実験が事件に関係あるものだと考え、湯川を訪ねる。そこで湯川は、犯人は義之が自宅にいる時間に侵入してヤカンの水にヒ素を仕込んだのではなく、あらかじめ何らかの方法で仕込んだのではないか、と美砂に告げる。もしそうならば事件当日北海道にいた綾音にも犯行は可能だ、と続ける湯川。美砂は、その可能性を否定し、勝手に綾音に接触しないよう、釘をさす。

そんな折、美砂は、事件当日義之の家を訪ねている紫の傘の女性を見つけるが…。
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『空飛ぶ広報室』 最終話「2年後の再会~二人で大空に描く未来 」

2013-06-24 19:53:58 | ドラマ・映画
 まず、最初に断わっておきますが、私は『空飛ぶ広報室』が今クールの中でベストドラマだと思っており、最終回も非常に良かったと思っています。
 今回、あれこれ書きますが、それは、ファンゆえの欲張りな我儘だとご理解ください。


 このドラマは、自衛隊を描くことと同時に、夢が破れた元パイロットと、ガツガツしすぎて弾かれてしまったテレビディレクターが、新たな夢と目標を見つけ成長していく物語であると言える。
 なので、東日本大震災を絡ませなくてもいいんじゃないか、前話で終わってもいいんじゃないか、と思った。もしかしたら、最終話は撮影協力した自衛隊の交換条件かと思ってしまった。
 しかし、原作者の有川氏は発刊を前に震災が起こり、松島基地の、そして航空自衛隊の広報室の3.11に触れないまま本を出すことは出来ないと判断し、「あの日の松島」を書き加えたとのことである。

 この最終話も、その有川氏の想いをしっかり汲み取り、丁寧な作りになっていた。

・津波警報が出てから津波到着まで30分あったのに、1機も退避することができなかった事情
・「自衛官は救助活動以外で私有地に入ることを禁じられている」ので、瓦礫の撤去や泥かきもしてはいけないなどの、自衛隊活動の不自由さ
・女性隊員は女性特有の生活必需品が不足して困っていたが、支援物資は被災者のためのものだからと手を付けなかったこと
・隊員の中にも被災者はいた

 自衛隊を語るうえで、震災を切り離すことはできない。取材で東北の現状を知ればなお、描かずにいられなかった有川氏や制作者の想いが感じられた内容だった。
 だから、最終話が震災の話になるのは共感できた。


 でも、震災と自衛隊を語るには、事象が大きすぎて10分延長くらいでは足りないと感じた。
 前話で「空井の思いを託したブルーインパルスの企画」「空井とリカの再会」「室長・鷺坂の退官」をひとまとめにしてしまい、詰め込み過ぎの感があり、今回の震災の話を考えると、前話を2つに分けて今クールは終了し、この最終話をスペシャル2時間(2時間半)でやって欲しかった。

 前回で半年後に飛び、今回、一気に2年経過してしまったので、時間経過に感覚が追いつけなかったのも、そう思う理由だ。

 さて、最終話のもう一つのテーマ、空井とリカの想いだが、お互いに深く相手のことを理解し、思いあう素晴らしいふたり、それ故、別々の道を歩もうとしてしまったふたり。
 ふたりの純な気持ちを知る登場人物、そして視聴者も、全員、二人は結ばれて欲しいと思ったにちがいない。ラストはそんな願いを成就させ、思わず「よかった」と思わせるラストだった。


 しかし、
「今まで、ありがとうございました。
 もう連絡しません。
 稲葉さん、どうか幸せになってください」
というメールが最後。

 というのでは、納得できないだろう。≪もしかしたら、向こうで彼女ができたのでは?≫、≪大けがしてしまったのでは≫とかいう想像もしてしまうのではないだろうか。
 非常事態で難しいかもしれないが、とにかく、一度会いに行くのではないだろうか。
 リカのことを思う空井の気持ちは理解できるが、お互いに近づかないというのは、あの二人の仲を知るだけに納得いかない。
 そこらあたりのふたりの気持ちを、スペシャル版で丁寧に描いてほしかった。


 2年後に広報室を尋ねた時、比嘉の顔が見られたときは、リカではないがホッとした。嬉しかった。
 そのあと、バラバラになった広報室のメンバー(空井と鷺坂以外)のメンバーが揃い、雰囲気が変わっていなかったのもうれしかった。
 エピローグで、難題な依頼を受け、早歩きで廊下を急ぐ比嘉さん、いいなあ。このドラマで、ムロツヨシさんのファンになっちゃったよ。

 サンドウィッチマンの富澤さんも出演していた。この方の芸風は「まじめな顔をしてボケる」なので、真面目に演技されるとボケているように見えてしまった(笑)
 相方の伊達さんは、人相が悪すぎて?不参加(笑)。あ、いえ、私ファンです、サンドウィッチマン。


 間違いなく、今クールのベストドラマである。 

【ストーリー】番組サイトより
 2013年4月 ―― 震災から2年、ブルーインパルスが松島基地へ帰還するニュースを 藤枝 (桐山漣) が伝えていたころ、リカ (新垣結衣) はこの2年間の仕事ぶりから、公正な目で取材できるだろうと松島基地へ震災の取材に行かないかと 阿久津 (生瀬勝久) に薦められる。
震災当時を思い出すリカ。松島で被災した 空井 (綾野剛) を心配し、メールでのやり取りがしばらく続いていたが、空井が志願して松島基地に異動したことをきっかけに、一切連絡をとっていなかった…。
 ある夜、藤枝と飲んでいたリカの元へ、柚木 (水野美紀) から呼び出しの電話が入る。いつもの居酒屋 「りん串」 に駆けつけると、元気そうな柚木・比嘉 (ムロツヨシ)、そして 片山 (要潤)・槙 (高橋努) まで昔の広報室のメンバーが集まった。
それぞれ新天地で勤務している面々だが、久しぶりに東京で集まりリカを呼んだのには訳があった。柚木たちは、リカ自身の目であの日の松島を見てきて欲しいと説得をしに来たのだが、リカの答えは…。
 広報室の面々はどのような人生を歩んでいくのか…
 リカと空井の選択は… !?
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『八重の桜』 第25話 「白虎隊出陣」

2013-06-23 22:26:57 | ドラマ・映画
タイトルは「白虎隊出陣」であったが、内容は八重の決起 &会津の魂」であった。(タイトルを白虎隊出陣にしたのは、視聴率のための大人の事情?)

(竹子が戦に備え、女性たちによる薙刀隊を編成する様子を見て)
「薙刀では、薩長は倒せねえ」

(権八、尚之助の登城の際)
会津を守るためです。お城を、お殿様を守るためです」
「わたすは三郎の仇を討ちてえ!わたすは鉄砲で戦いやす!」
(母・佐久にビンタされ、諌められ、父・権八に「三郎の仇は儂が討つ」という言葉に、引き下がる)

(半鐘が鳴り、城へ集合する際)
「わたすは三郎と一緒にお城に上がりやす。今から私が三郎だ。
 逆賊呼ばわりして会津を滅ぼしに来るものたちを、わたすは許さねえ
 わたすは、戦う!」
(軍服に身をまとった八重の覚悟に、さすがの佐久も言葉を失う)

 会津のため、殿様のため、正義のため、仇を討つため……いろいろな思いから、八重は決起する。
 でも、八重の根底にあるのは、怒り、そして闘心のような気がする。
 
 

★会津の魂「徳川家、義のため、会津藩のために殉ずる」……「手柄は上げずとも良い。だけんじょ、命を惜しんで後れを取ってはいけません」(山川健次郎の母の言葉)
 家老や家臣、女子衆、斎藤一、白虎隊、会津藩の一人一人(使用人も)のそれぞれの決意、覚悟に感じることができたが、最も感じられたのは、
 出陣の儀であった。
 ……今回までに会津は出陣の儀を粛々と行ってきた。今回は大殿出陣(白虎隊随行)の際、そして藩士それぞれの家で古式に則った儀を行っていた。
 これには、会津の魂を感じる。おおむね泰平の世であった江戸時代ながら、そういった儀式を泰然と行うというのは、会津の魂が脈々と受け継がれてきた証しであろう。


★またしても容保は……
「此度こそ、儂は皆と共に戦わねばならぬ。城をを頼む。土佐、儂に続け!」
 と、自分の気持ちを優先させ、その結果、容保護衛の白虎隊が出陣することになった。
 そして、本陣(容保陣)に援軍要請が来て、白虎隊が戦場へ……

 秋田藩が降伏したことにより背後も守らねばならなくなったうえ、新政府軍を食い止めるため、峠すべてに兵を配備し、峠を破られた後も、城下への侵攻を防ぐため、なけなしの兵(白虎隊)を投入。
 いや、もう、兵力が乏しいのに、兵力分散させて勝てるわけがない。日光口の山川大蔵軍や、活躍が映されなかった官兵衛たちなど、全ての兵を会津に集約して、徹底抗戦して少しでも終戦の条件をよくするしかないのではないだろうか?


★鬼の官兵衛
 家老に昇進、活躍を期待されたが、見せ場は「はあぁっ!」という気合のこもった返事だけであった


【ストーリー】番組サイトより
 1868(慶応4)年8月、二本松を陥落させた新政府軍はついに会津領内へと陣を進めてきた。竹子(黒木メイサ)は戦に備え、女性たちによる薙刀隊を編成する。城下には触れが回り、権八(松重豊)と尚之助(長谷川博己)も登城することに。八重(綾瀬はるか)は、自分も一緒に出陣したいと懇願するが、権八に一蹴される。
 戦況はますます悪化し、会津藩士らは続々と出陣していく。ついに予備の部隊である白虎隊にも出陣命令が下り、八重は砲術を指南した隊士たちに最後の助言をして送り出す。そして、登城の触れはとうとう八重たちにも回ってくる。佐久(風吹ジュン)やうら(長谷川京子)も城に入る支度をするなか、弟・三郎(工藤阿須加)の形見の衣服をまとい、男装をする八重。その手には、覚馬(西島秀俊)から送られたスペンサー銃が握りしめられていた。
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LPSA、ようやく謝罪したが……

2013-06-23 13:06:54 | 将棋
 ようやく、「株式会社マイナビ様への謝罪」(6月19日付)の文が日本女子プロ将棋協会(LPSA)のホームページに掲載されました。
 同ホームページに掲載された「日本将棋連盟による女流棋戦からの排除行為について」が4月3日付で、それからだと2ヶ月半、マイナビ女子オープン準決勝の対局放棄(1月30日)から実に5カ月近く経過しています。

 当ブログでも『LPSA声明「日本将棋連盟による女流棋戦からの排除行為について」について』(5月17日記事)で取り上げました。この記事の1週間ほど前にLPSAに意見書のメールを送り、
「問題の件は将棋連盟会長をはじめいろいろな方と解決に向けて行動しており、ファンの皆さんにも良い報告ができると確信している。
 ファンの皆さんには大変なご心配をお掛けして申し訳ないと思っており、もう少し事態を見守ってほしい」

という回答をいただき、LPSAの善処を待っていました。

 時間がかかり過ぎであろう。この間、普通にLPSA所属の棋士が棋戦に参加、対局しているのが、私は不思議に思えた。(将棋界の緩やかさ、良いところなのだろう)
 謝罪の内容は、LPSAの非を認め、主張を取り下げ、謝罪しているものだった。いつもの変な主張(理屈)がなく、評価できるものだった(上から目線で申し訳ありません。うまい表現が見つかり次第、訂正します)。

 しかし、問題を起こした石橋氏(LPSAの代表でもある)の処分については触れておらず、将棋連盟や将棋ファンへの謝罪や言葉がないのは、どういうことなのだろう?
 何を措いても、マイナビ社への謝罪を優先させ、それから、連盟やファンに対してということなのだろうか?
 当の石橋氏の処分を下さなければ、LPSAが非を認め、謝罪しているように感じられない。謝罪文も形式的なものに思えてしまう。
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電王戦 第4局「Puella α VS 塚田九段」 その4

2013-06-21 22:47:01 | 将棋
『電王戦 第4局「Puella α VS 塚田九段」 その1』
『電王戦 第4局「Puella α VS 塚田九段」 その2』
『電王戦 第4局「Puella α VS 塚田九段」 その3』の続きです。

★『その3』の補足===========================

 この第9図で、△6二桂と打ち、角を逃げる手に△7四金と打てば大駒を1枚、手に入れることができる(入玉点数では「大駒5点-金・桂2点=3点」のプラス)。
 この筋は

第10図でも成り立ちそうだが、△6二桂▲4三角成(3二角成)、△7四金に、▲5三馬と王手で逃げられると空振りになってしまう。
==================================【補足・終】



 塚田九段が絶望感を味わったであろう局面。

 ▲7七玉!
提供されていたボンクラーズ(プエラαの前身)を研究(対局)して、塚田九段は「玉を追わなければ、入玉はしない」という感触を得ていたが、▲7七玉は塚田九段の思惑を打ち砕いた。

 この手を見て塚田九段は心が折れそうになったという。また、局後の会見での開発者の伊藤氏の「簡単ではあるが入玉対策も組み込んでいた」という言葉を聞き、「聞いていないよ~」とつぶやき、泣きそうな苦笑いを浮かべた。
 この対局に当たって、塚田九段は二つの方針を立てた。①「普通に構えて、プエラαの無理攻めをとがめる」、②「入玉将棋が苦手な弱点を突く」

 、確かに、コンピュータ将棋は成果を急ぐ傾向があり、タメを作らず即行で仕掛けてくることが多い。そのため、攻めが細く、無理攻めに陥りやすい。
 しかし、読みの射程距離が長くなり、形勢判断も正確さを増してきており、人間が切り捨てるような細い攻めであるが、実際はぎりぎり繋がっているという仕掛けを、見極めがしっかりできて、決行していることが多い。裏を返せば、無理な仕掛けは無理と判断できるので、無理攻めを仕掛けることも減ってきている。
 本局のプエラαも即決攻めのコンピュータ将棋の特性を残しつつ、無理攻めに陥らず攻めをつないでおり、進化を感じさせる

 の入玉将棋については、「玉を詰める(詰められない)」という目的に加え、「玉を敵陣に侵入し、駒数を確保する」という目的が加わり、どちらを優先させるかの切り替えも難しい。入玉将棋においては、駒の価値も変わってくるのも難易度を高めている。
 それに加え、コンピュータ将棋の進化が、棋士の棋譜を学習することに負うことが大きく、入玉将棋の実戦例が非常に少ないことも、コンピュータ将棋が入玉将棋が苦手である要因と言われている。
 しかし、入玉将棋においても、プエラαは塚田九段の見込み(期待)を打ち破る進歩を遂げていた。
 
 と、プエラα(コンピュータ将棋)の進化を讃えたが、私は塚田九段に大きな甘さを感じている
 ここ数年のコンピュータ将棋の実情をある程度知る者(棋士、将棋ソフト開発者、将棋界関係者、将棋ファン)ならば、1年間のコンピュータ将棋の進化が著しいことを把握しているだろう。旧ソフトのボンクラーズを以って対戦相手の棋力や棋風を想定したのは、甘すぎる。
 今回の電王戦、確か、デモンストレーション的趣向ではあるが、コンピュータ将棋協会が将棋連盟に挑戦状を叩きつけたと記憶している。つまり、コンピュータ将棋将棋連盟という図式のはず。それならば、連盟は参謀(アドバイザー)として勝又六段や飯田六段を起用してもよかったのではないだろうか。塚田九段はソフトの時間設定が自由に変更できることさえ知らなかったようだ。

 それはともかく、第12図(再掲載)の▲7七玉で塚田九段は「心が折れた(折れかかった)」と話しているが、
 
この局面で、▲7七玉と上部脱出を図らなかったとして、塚田九段は「先手玉を追いつめる、あるいは、駒数を挽回して持将棋に持ち込めることができる」と思っていたのだろうか?
 たとえ先手玉が自ら上部に逃げないという縛りがあったとしても、攻められれば当然先手玉も逃げるのだから、第12図の状況で、先手玉を捕らえるのは難しい。「その3」で、私は「(塚田九段は)なるべく遠巻きに後手の勢力を増していき、ゆっくり先手玉の右側から押していけば先手玉を捉えられるかもしれないと考えていた(のだろう)」と述べたが、先手玉の行く手を阻む後手の駒は皆無、中央から押していくにしても、駒不足である。

 塚田九段の心内を推測すると、
≪ボンクラーズでは、かなりの駒損でも入玉すればボンクラーズ玉は上部を目指さないので何とかなった(勝つことができた、持将棋に持ち込めた)ことがあった(その頻度は分からない)。プエラαでも、同じ戦い方が通用する(かもしれない)≫
 ここで問題になるのは、この指し方がプエラαに通用するかどうかは別にして、塚田九段がどのくらいのパーセントで「通用する」と考えていたかである。
 入玉するまでの塚田九段は、なりふり構わず入玉を最優先にする指し方だった。これをどう考えるか……
 5割近く「入玉さえすれば何とかなる」と考えていたのなら、塚田九段のなりふり構わない入玉志向の指し方は整合性が感じられる。3割の可能性と考えていたのなら、理解はできるが同意はできない。
 何とかなる可能性が3割5分以下、いや4割以下と考えていたのなら、木村八段らが示していた駒損を押さえる指し方、最善を尽くす指し方をすべきではなかったのか。

 私はたとえ、5割の成算があっても、相手のミスを期待する指し方に、棋士の誇りを感じない。3割以下の成算なら論外である。
 第12図直前で、塚田九段はどのくらいの成算を持っていたのだろうか?
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『幽かな彼女』 最終話「さよなら、先生」

2013-06-19 23:27:37 | ドラマ・映画
深い言葉が多かったが、展開が撚(よ)れてしまった

 教師たちも、一言ずついいことを語った。
岩名先生
こんな大それたことを、団結してやってんですよ!
 今時のクラスメイトにだって心を開き合おうとしない生徒たちがです。
 しかも他人の為に……神山先生の為に。

 担任教師として、こんな羨ましいことはありません。

 あなた方は自分の子どもの意思を疑うのか?
 それとも、周りに流されて、(立て籠もりが)嫌々やらされていれば、言い訳が立つというのか」

大原先生
「子どもにも小さくまとまれっておっしゃるんですか?
 ま、未成年が何かしでかしたら、責任を取るは大人ですからね。
 みんな責任は取りたくないし、大人しくて何も問題を起こさない手のかからない子どもでいてくれた方が楽は楽なんでしょうけど

校長先生
 公園の遊具を全面撤去するのは、大人の都合。楽をしたいからという「事なかれ主義」を反省。
 (校長にもなっていて、何を今さらという気もするが。それに脇役なので、対して含蓄のある事を言わせてもらえない)

窪内先生

 親たちが、子どもが何を考えていて、どのようなことをしているか、知らないことを指摘

副校長
「責任や義務なんて関係なく、ただ真摯に向き合おうとしてくれた大人が、私にはいました。こんな大人になりたいと思える人が。
 私たちは、大人としてそういう姿を子供たちに見せるべきなんです」


親たちも先生の言葉で我が身の行いや考えを振り返り、反省した様子

生徒たち
 自分たちのしていることが間違っていること、暁の立場を悪化させることも理解していた。

「どうせ解ってくれないとか面倒くさいとか言って無視するから、子供のやることだって
軽く見られるの」
「自分たちで真剣に考えてやったことだって言い聞かせてやんないとね」
 非常に成長している
 

そして、
「甘ったれんな!
 理由があれば間違ったことしてもいいなんて理屈あるわけないだろ!
 それが誰かのためなんだって言えば、自分たちの行動が何でも正当化できるなんて思うなって。
 理不尽なことなんてこれからの人生山ほどあんだよ!
 お前ら、その度にこんなことすんのか?」

まず、いけないことをきっちり正す

「ぼくだって、自分の都合を優先したいし、大人だってみんな弱さを抱えているんです。
 いくら教師だって、すべてを皆さんの為に捧げる覚悟なんて僕にはありません」
と、大人の弱さ、教師の本音を吐露し、正面から向き合う

「相手に求める前に自分が動け、ってことです。
 自分のことを理解してほしいって甘える前に、相手のことを理解する強さを持つってことです。

 今日、学校出る前に言っただろ?
 皆さんはもう大丈夫です。クラスメートと心を1つにして、こんなとんでもない事しでかすぐらい、ちゃんと理解し合える強さ持ってんですから」


 伝えたいこと、教えたいことを言い、子どもたちを認めてあげた。


………と、ここまでは感動したが……

 暁が、唐突に生徒たちに最後の挨拶をして、無理やり「卒業」という言葉を発する
 そして、「卒業」の言葉を受けて、「合唱しよう」と、強引な展開。(アカネが合唱部の顧問という設定に無理やり繋げる)
 突っ込むところではないと思うが、選曲に大きな疑問が……。さらに、どう聴いても「練習不足」。涙で上手く歌えないというフォローもできるが、後半に行くほどグダグダ……


 さらに、教育委員会がバリケードをいきなり強行突破(これも強引)し、その落下物から京塚を庇い暁がこん睡状態に。
 この展開は、暁とアカネの仲の決着を付けるためで、強引さを感じるが、物語のテーマ的には妥当な展開とも言える。
 しかし、この後の暁のグタグタぶりはいったい何?
 とても、さっきまで生徒に説教していた人物の言葉(態度)とは思えない


「都合がいい上に訳のわからないこと言わないでください。
 正気ですか?神山先生!」


 これはアカネの言葉だけど、私も言いたくなったぞ!

以下は暁のグタグタぶり(かなり省略してあります)

「いや、だって、あれだろ?人間いつかは死ぬわけだしさ。
 ぶっちゃけ、今すげぇいい流れじゃなかった?
 あんなふうに生徒たちと合唱してありがとうございましたって。
 『京塚さん!』って……生徒のことを守ることもできたし。

「何言ってるんですか。
 先生がこのまま死んだら、りさちゃんも他の生徒たちも一生責任を感じながら、生きていくことになるんですよ!」

「それはそうかも知れないけど、それを乗り越えていくのが大人の階段を上ることっていうか…」

「都合がいい上に訳のわからないこと言わないでください。
 正気ですか?神山先生!」

「生きてるってことは可能性なんですよ。神山先生。
 先生が生きてることで先生自身も先生に関わる生徒たちも、それ以外のたくさんの人たちにも何かを与えられて与えられることができるんですから。

 人はいつか必ず死ぬんです。
 だから、お願いだからそれまで精いっぱい生きてください」

「私は、生きてるあなたが大好きです。
 あなたに出会えて良かった」


 暁が幽体離脱したことで、互いに触れ合うことができ、抱きしめることができ、喜ぶ。
 しかし、自らアカネへの思いを断ち切るか、多少の気の迷いを軽く出すが、上記のアカネの言葉ですんなり納得するかぐらいにして欲しかった。

 このグダグダの部分を短くして、京塚りさの父親を叩きのめしてほしかった(この父親、椅子の肘掛を叩いて「りさ」と言うだけのみの出番)。
 そもそも、権力者の要請とは言え、1個人の都合で非のない教師(襟首を掴んで凄んだのは「非」に当たるかも)を転任させる教育委員会もおかしい。
 教育委員会と言えば、轟木。強引にバリケードを突破して暁にけがを負わせたのに
「まっ、教育委員会としては、今後は変な騒ぎを起こさないよう留意していただきたい」
って、お前も責任取れ、反省しろ!


 轟はともかく、京塚の父の件、過去に守れなかった生徒・広田かすみの件は、SPか続編で解決するのかなあ。アカネも成仏しなかったし。


★些細などうでもいい疑問
外からも入念にバリケードされていたが、それをした人物はどうやって中に入ったのだろう?



【ストーリー】番組サイトより
「ずっとそばにいてほしい」と暁(香取慎吾)に告白され、有頂天のアカネ(杏)。だが、急に顔を曇らせると、幽霊のアカネが生きている暁と一緒に暮らしてはいけないと言い出し…。

そんな中、暁を仰天させる知らせが入る。3年2組の生徒全員が千穂(前田敦子)を人質に取り、教室に立てこもったというのだ。その頃、小原南中では、我が子を心配して押しかけた保護者たちへの対応に和泉(真矢みき)ら教職員が追われていた。騒ぎを知った教育委員会の轟木(加藤虎ノ介)も現れ、校内は騒然となる。

教室の外から必死の説得を試みる岩名(嶋政宏)。まもなく、中にいる亮介(森本慎太郎)が電話で岩名に要求を伝えてきた。「俺らの要求は一つだよ。神山を学校に戻して、担任を続けてもらいたい」。続けて電話に出たりさ(山本舞香)も、父親の京塚(飯田基祐)に暁の転任を白紙にするよう伝えてほしいと懇願。暁を慕う生徒たちの真剣な訴えに、岩名は言葉をなくし…。

まもなく、暁が学校に駆けつけ、「生徒たちと直接、話します」と教室に向かおうとするが、これを轟木が阻止。暁が復職のために生徒たちを扇動しているのではないかとあらぬ疑いをかけ、暁を追い払おうとする。
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『空飛ぶ広報室』 第10話「君の隣で見えた景色」

2013-06-18 16:45:06 | ドラマ・映画
空井の思いを託したブルーインパルスの企画
空井とリカの再会
室長・鷺坂の退官

ブルーインパルスに乗ることができなかった空井がその思いを乗り越えて機体に向かって歩を踏み出すシーン、鷺坂の送別会でのリカが編集したDVDのシーン、ブルーインパルスの編隊飛行、鷺坂退官時の敬礼シーンなど、重い出来事が満載だったが、私が不感症なのか、感動はそれほど深くなかった。

原因1、盛り込み過ぎ
 順当にシーンが流れて行ったという印象。1時間では盛り込み過ぎ。これは、最終回の慟哭を考慮してのドラマ構成によるものかもしれない。(このことが、下記の他の要因を招いている)

原因2、空井とリカが距離を置いている決断やその経過が薄い
 帝都テレビの報道番組で航空自衛隊のPVがねつ造したのように批判された件がもとで、リカが空幕担当から外された前話の最後から、今回、いきなり半年が経過してしまった。
 前話で、リカの局内で「空自の隊員との男女の仲ゆえの抗議」という風評、また、リカ自身も空自寄りの視点を持っていたことへの戒め、空幕広報室の隊員の思いを踏みにじることになってしまったリカの無念さ、そういうリカの立場や想いを知った空井の気持ちなどによって、空井とリカが距離を置いているというのは、今までの積み重ねで理解できる。
 今回、そういう思いを語るとくどくなると考えたのかもしれないが、二人の現況や現在の想いがさり気なく表現するに留めている。
 ふたりの立場や状況がこじれてしまったが、二人の気持ちはこじれておらず、さらに深まったと思えるのに、そういう気持ちをうやむやにして距離を置いていることに、私としては何かすっきりしない。たとえば、二人が「今は自分の仕事をしっかり務め、自分を高めていくことが先決。そして、いつか二人で同じ景色を観よう」と誓い合うなどのシーンが欲しい。

 藤枝アナや後輩の珠輝と飲んでいるシーンで
「恋は当分いい」という当分はどのくらいかという問いに対して
「空を見ても何も思わなくなるくらい」

とリカは答えたが、この真意がよく分からない。これだと、空幕や空井のことをあきらめようとしているように思える。

 今回、たまたまキリーのブルーインパルスの企画が持ち上がって2人が再会を果たすが、もしこの企画がなかったら、2人は離れたままだったのだろうか?
 それに、企画が立ちあがった段階で空井はリカに知らせるのが流れではないのだろうか?


原因3、総集編的味が濃かった
 送別会のシーン(片山のボケ振り)は面白かったが(他局の『ガリレオ』の効果音楽を使っちゃっていいの?)、リカが編集した空幕広報室のDVDはシーンを振り返るだけのものだったし、広報室でのリカを語るシーンも、過去シーンを振り返る目的のように感じた。

原因4、ブルーインパルスの編隊飛行を、ふたりが並んで観ているシーンで終わった方が良かった
 素晴らしいアクロバット飛行。それを二人で見つめながら、
「空井さんの夢が、たくさんの人に伝わりますね」
「はい。もうあの空には居られないけど、
 広報は飛ばすことができる、この景色を 世間の風に

「ありがとう、来てくれて。
 稲葉さんと一緒に見られて、ほんとに、ほんとによかった」
「私も空井さんの隣で見られて、よかった」


 このシーン(この会話)で終わった方が、すっきりしていた。
 「原因3」の総集編的意味合いが今回あったとして、このシーンで終われば、それは空井とリカのストーリーに対してのものとなる。しかし、今回の最後に鷺坂の退官シーンを持ってきたので、鷺坂主体の回想シーンとなってしまった。
 それに、せっかくのアクロバット飛行が、鷺坂の退官でやや霞んでしまったのも残念だ。


 と、今回、ケチばかりつけてしまったが、それぞれのシーンは良かったし、第10話全体で見ても面白かった。

アクロバット飛行について
 あのハートマークを射抜くような飛行は、『空飛ぶ広報室』のための業かと思ったら、もともとある「バーティカルキューピッド」という名のプログラム・アクロバット飛行だそうです。
 生半可の外来語知識だと「ハーティカルキューピッド」と言いたくなりますが、「バーティカル」は「垂直の」という意味。また、ウィキペディアによると、「キューピッド (Cupid) は、ローマ神話の神クピードー (Cupido) の英語読み。しばしばキューピットとも表記される」とのこと。俗に言うキューピットがハートを垂直に射抜く様子を表した名前だと推察。
 星型の軌跡を描いた飛行は「スタークロス」と言って、一番人気のあるアクロバット飛行だそうです。
 私が好きなのは、2機が絡み合う「コークスクリュー」。すごいと思ったのは、「ダイヤモンド・テイクオフ」。あの4機の密集度がすごい。それと、2機が逆方向からぎりぎりですれ違う飛行もすごいです。(「すごい」の連発ですね)


【ストーリー】番組サイトより
2011年2月 ――
リカ (新垣結衣) が空自担当を外れて半年が過ぎた。リカは今まで以上にガツガツと新企画の立ち上げなど仕事に打ち込み、空幕広報室のメンバーもそれぞれ頑張って仕事をしていた。

ある日、芸能事務所に企画の売り込みに行った 空井 (綾野剛) は、以前ドラマの撮影で出会った人気俳優・キリー (桐谷健太) と再会する。ドラマの撮影がきっかけで空自の大ファンになったというキリーから、ブルーインパルスに乗せてもらいたいと言われる。早速、鷺坂室長 (柴田恭兵) はじめ広報室メンバーが動き出した。一方で、リカは 阿久津 (生瀬勝久) から鷺坂が3月に退官することを知らされる…。

いよいよキリーが松島基地でブルーインパルスに乗る日がやってくる。そこには、鷺坂が… さらには、リカの姿も… !?
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『八重の桜』 第24話 「二本松少年隊の悲劇」

2013-06-16 22:24:57 | ドラマ・映画
 悲しい……悲し過ぎる少年たちの死…………

 相手が少年と知り、愕然とする新政府軍の兵士たち。
 少年と知り鉄砲や刀を降ろす者、気付かずに発砲してしまう者、こちらがやられると向かってくる少年を撃つ者……
 藩のため、命の重さ、命を失うこと、奪うことがどういうことか知らずに銃を構え、命を散らす少年たち……

頼母、白河口総督の任を解かれる
 彼我の戦力や戦術の力の差を感じ、再び恭順(降伏)を進言する頼母だが、総督を解任されてしまう。
 銃や大砲の性能の差、奥羽軍は寄せ集めで戦術面での意思統一ができないことを実感した頼母、戦略的には正しい判断。しかし、戦術面では有能だったか疑問。(後述)

 それはともかく、「今でしょう!」の林先生「負ける者の3大要因の一つは「情報の欠如」とおっしゃっていたが、今回の会津はまさにそれ。
 情報を集め、それをしっかり分析していたら、ここまでの悲劇にはならなかった。勝てるはずのない戦を挑み、被害を最小限に抑える手立ても取らない。
 せめて二本松の悲劇の情報(映像)を現代のように知り得たら、白虎隊の悲劇は起こらなかったはず。

 林先生は「思い込み」も敗因に挙げていたが、これももろに当てはまる。
 会津の場合の思い込みは、「ならぬものはならぬ」という会津武士道、会津気質と徳川家に忠義を尽くすという会津の御家訓、会津は強いという自惚れが挙げられる。
 重鎮たちは立派な武士だったかもしれないが、時代遅れだった。尚之助が軍師で、覚馬が政略参謀であったならと思う。その他、修理の死も惜しまれる。山川大蔵は頑張っているようだが。

 そして、やはり、一番の元凶は容保か……
 新選組の土方と斎藤は容保を持ち上げていたが、もはや愚君主としか思えない。 

ヒロイン・八重の心は……
 会津での戦が近いこと、戦力が決定的に劣っていることを認識しているのにも拘らず、強い決意(と推察される)で角馬で銃を撃つ八重。
 銃の性能アップのための試し撃ちという意味はあるかもしれないが、硝石不足というのに火薬の浪費にしか思えない。
 きれい事かもしれないが、弟・三郎を亡くし、兄・覚馬も行方不明、二本松の悲劇も目の当たりにしたのに、銃を撃ち、そして、涙を浮かべる。その心の内は?

 それにしても、三郎の時の南天の刺繍、二本松少年隊の達磨………皮肉である

その他の動き
春嶽が岩倉具視と木戸孝允に嫌味を言う
「歪んでおる。あなた方の作る新しい国は、踏み出したその一歩から既に歪んでおる。
 誰のための国造りぞ。……とくと、お考えあれい」
 木戸孝允の小者ぶりが残念。

覚馬、獄中で管見を書き上げる
 管見……10年後、100年後の為に、考え抜いた新しい国の見取り図
「敗れても……滅んでも………まだ、残るものがある」


★言っても始まらない、戦術的なこと
 性能の劣る銃や大砲、経験のない少年隊で真っ向勝負を挑んでも勝てるはずがない。
 ダミーの砦を設け、そこを破らせ敵を誘い込み、伏兵が銃や剣で襲い掛かるなどと工夫が欲しい。
 白河城陥落も諸葛孔明かヤン・ウェンリーがいたら…、せめて庄之助が参謀でいれば……


【ストーリー】番組サイトより
 八重(綾瀬はるか)がかつて尚之助(長谷川博己)と共に訪ねた二本松領内が、新政府軍によって侵攻された。八重と交流をもった二本松少年隊も出陣したが、多くの少年兵が新政府軍の激しい銃撃にさらされ、敗走する。深手を負った少年兵たちは八重が救護にあたる会津の日新館へと運ばれる。
 その後も会津は苦戦を強いられていた。白河口の総督として尽力していた頼母(西田敏行)は、容保(綾野剛)に再び恭順を主張するが受け入れられず、白河口総督の任を解かれる。
 会津城下に戦火が迫るなか、京都では覚馬(西島秀俊)が新国家への意見書を書きあげていた。
コメント (2)
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いちごの散歩

2013-06-16 10:20:22 | いちご





暑いんですけど……





濡れるんですけど……





何か?
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電王戦 第4局「Puella α VS 塚田九段」 その3

2013-06-14 17:33:38 | 将棋
『電王戦 第4局「Puella α VS 塚田九段」 その1』
『電王戦 第4局「Puella α VS 塚田九段」 その2』の続きです。


 解説の木村八段が、塚田九段の指っぷりに「大盤ブルドーザー駒さらい」という大技(『巨人の星』の星一徹の「ちゃぶ台返し」に匹敵する技)を披露したのが上図。
 そして、そこから9手進んだのが第9図。

 第9図の2手前にプエラαは▲4四桂と銀取りに打ち、塚田九段はこれを放置して2五のと金で3六の歩を取った。▲3二桂成△同金と銀桂交換になっても、入玉将棋では銀も桂も同じ1点という判断であろう。
 そこで、プエラαは▲5四角と更なる駒の確保を目指したのだ。次に▲3二桂成△同金▲同角成と進めば先手は金銀を得るのに対し、後手は桂しか得られず、通常では先手の大きな駒得で、入玉将棋でも2対1で1点の得となる。

 実戦は、第9図より△2五桂▲3二桂成△2六玉▲4一成桂(第10図)と進んだ。

 最初、この手順には非常に疑問を感じた。
 △2五桂は桂を逃がす手で理解できるが、▲3二桂成に何故△同金とせず△2六玉としたのか?不可解に思えた。実際、▲4一成桂と金を取られ、塚田九段はみすみす1点を失ってしまった。
 今、改めて考えると、、▲3二桂成△同金とすると▲同角成とされた時、2三の歩取りになっている。この歩取りが受けにくい。助けるには1三か3三に金を打つぐらいしかないが、後々打った金(2三の歩も)が負担になりそうだ。
 それなら、まず入玉態勢を固めておこうというのだろう。ただ、あまりにもなりふり構わない後手玉の味方を置き去りにする遁走振りに、棋士のプライドも置き去りにしたように感じてしまう。

 第9図(再掲載)では、△6二桂と打つ手はなかったか?

 角を逃げる手に△7四金と打てば大駒を1枚、手に入れることができる。と言っても、金と桂を投資するのでプラス3点にしかならない。
 先手の5九の飛車を取れるとしてもプラス4点(小駒1枚と飛車の交換)なので、自陣に残っている駒の6枚のうち5枚を逃がせたとして20点。さらに、先手陣の駒を4枚さらえることができれば、持将棋に持ち込める。まあ、これはすべてがうまくいけばと仮定しての話ではある。


 120手目、塚田九段が飛車を召し捕った局面。この直前のプエラαの▲1四銀を木村八段は「駒を取りに来ている」と問題視していたが、着実に駒を確保しに来た手で、しかも、▲2三銀成と歩を取った手も2四の銀取りになっており、可能性は低いが後手玉に迫る手にもなっており、当然の一手のように思える。
 さて、「飛車を召し捕った」と言うと聞こえは良いが、後手としては他に有効な手がないので、飛車を取りに行ったという感がある。
 この飛車を取っても後手の駒数は15点で持将棋に持ち込むには9点足りない。後から入玉するほうが難しく、3、4枚駒を取られるとしても、先手の駒数は安全圏。また、先手の入玉を阻む足がかりとなる駒も皆無なので、先手玉の入玉もほぼ間違いない。ひたすら入玉を目指した塚田九段だが、その犠牲が大き過ぎた。
 しかし、塚田九段とてただ玉を詰められるのが嫌で、入玉を狙ったわけではない。一般にコンピュータ将棋は入玉将棋が苦手だと言われており、塚田九段も事前に提供されていたソフトとの対局経験でそれを実感していた。
 「こちらから先手玉を追わなければ、自ら上部脱出することはない」と踏んでいた。だから、なるべく遠巻きに後手の勢力を増していき、ゆっくり先手玉の右側から押していけば先手玉を捉えられるかもしれないと考えていた。先手の飛車を取りに行くのを急がなかったのも、こういう戦略だったのだろう。

 ところが、

▲7七玉!

 直接先手玉に迫られていないのにもかかわらず、自発的に上部を目指したのである。この手を見た塚田九段は絶望という深淵に沈んでいったのだろう。
コメント (2)
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