英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

バンクーバー五輪雑感③ クロスカントリー スプリント その2

2010-02-21 00:52:50 | スポーツ
 クロスカントリー スプリント その2です。

 男子の注目選手はノルウェーのペタシェン。
 この選手、とにかく陽気。カメラにはポーズを決める。



 会場の声援にも応える。


 (写真は決勝レース直前のものだが、準決勝も同様)



 よし、彼を応援だ。


 ところが、とんでもないアクシデントが彼を襲う。
 レース中盤、3番手でロシア勢を追っていたペタシェンの横でポルタラニン(カザフスタン)が転倒。それに巻き込まれてしまったのだ。



 あっけなくメダル争いから脱落、不運としか言いようがない。



 ここからが彼らしい。



 ゴール地点にに戻ってきた彼をはげます声援に、手を振って応え、



 指で「涙涙のポーズ」で、心情を表現!


 彼のファンになりました。
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バンクーバー五輪雑感② クロスカントリー スプリント

2010-02-19 17:13:01 | スポーツ
 クロスカントリーのスプリントというのは、女子1.4キロ、男子1.6キロメートルを6人(大会によって人数は異なるが、一般的には6人)で競う競技。距離が短いが、起伏に富んだコースで、しかも、数人で先着を争うので、相当激しい競技だ。先着2名が次のラウンドに進めるが、3位以下でタイム上位者も拾われる。
 予選(タイムレース)があり、上位30名が決勝トーナメントに進出するシステム。予選、準々決勝、準決勝、決勝と優勝するには4レースを短いインターバルでこなさなければならないので、瞬発力のほかに、スタミナも必要。


 さて、そんな過酷なレースを戦った全選手に賞賛の言葉を掛けたいが、特に賞賛したい選手が2人いる。

 ひとりは、女子のスロベニアのマジッチ選手。優勝候補の筆頭にも上げられる有力選手だが、予選直前に、とんでもないアクシデントが彼女を襲った。



 急なカーブを曲がり損ね、コースから転落。崖の底、数メートル下まで転落、腰か脇腹を強打した。



 苦痛に顔をゆがめる彼女だが、予選開始は数分後。
 大会本部の配慮で、出走3番目だったが、最終走者の後に滑走することになった(約15分出走を遅らすことができた)。この当たりの対応は、おおらかな冬季五輪らしい。

 予選は19位で、何とか予選通過。しかし、レース直後も倒れこみ、非常に苦しそう。



 準々決勝は滑走することができるか心配。



 準々決勝は夏見円(予選22位)と同組で、1位で勝ち抜く。夏見選手は残念ながら6位で敗退。
 続く準々決勝は4位と苦戦。しかし、3位以下のタイムが2位で、何とか決勝進出。


 (準決勝のレース後も倒れこむマジッチ)

 決勝はノルウェーのビョルゲンとポーランドのコワルチクが抜け出す。必死に追うマジッチ。



 ビョルゲンもコワルチクも優勝候補。10キロフリーでビョルゲンが銅メダル、コワルチクは5位。過去の五輪、世界選手権でもメダルの常連。特に、この日のビョルゲンは絶好調。予選、準々決勝はトップのタイム。準決勝も2組のコワルチクにタイムでは劣ったが、1組を1位で通過している。
 マジッチの前を3位で滑るのは、スウェーデンのオルソン。


 必死の競り合いは、続く。↓



 ついに、オルソンをかわし、



 トップ二人に迫る。



 最後の直線に入り、上位二人には突き放され、



 オルソンに迫られる。



 ゴール直前、最後のスパート。

 

 あと少し。……そして、ゴールイン!銅メダルでした。





 ゴール直後、意識朦朧のマジッチ。



 抱えられ救護室に向かった。




 壮絶でした。

 優勝はビョルゲン。やけに喜ぶなと思ったら、五輪の金メダルは初めてで、確か銀メダルは5つとか。(世界選手権では何個も金メダル)
 おめでとう、ビョルゲン!

(男子のレースは次回)
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バンクーバー五輪雑感①の補足

2010-02-18 18:29:30 | スポーツ
 昨日の記事で書き忘れたのですが、片足を蹴り上げるようにフィニッシュします。以前は片足を突き出すように氷上を滑らせるフィニッシュでした。しかし、蹴り上げるようにした方が0.01~0.05秒タイムが速くなるようです。
 計時用センサーは氷上の低い位置しか感知しないので、写真判定で正式計時をします。
 しかし、これは変だと思います。蹴り上げる動作は滑る動作と無関係で、それにもかかわらず、その行為によってタイムが短縮されます。スケート競技なのだから、その滑るという運動(動作)を競うべきだと思います。
 それに、あのフィニッシュ動作は転倒する危険性がありますし、腰や拝金を痛めるのではと心配です。

 1000mを観て、前記事で書いた疑問が大きくなりました。スタートから全力で滑り、その結果、2週目と3週目(最終周)のラップが2~3秒落ちます。最初を少しだけセーブ(1秒ほど遅くする)して、最後の落ち込みを減らした方が合理的だと思うのですが、どうなのでしょう。

 そんなことを、頭を揺らしながら観戦していました。
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バンクーバー五輪雑感① スピードスケート

2010-02-17 21:48:53 | スポーツ
 長島選手、加藤選手、おめでとうございます。及川選手、お疲れ様でした。

 金メダルは、韓国の4番手と見られていたモ・テボム選手でした。予想外でしたが、素晴らしい滑りでした。
 銀・銅の2選手は、小ミスが出て満足できる滑りではなかったかもしれませんが、そのミスを吹き飛ばす力走だったと思います。

 と、まあ、ここまで順当なことを書いてきましたが、私がそんな大人しいわけがなく、このシリーズ『五輪雑感』では、どうでもいい事や重箱の隅を突っつくような事を書いてしまう気がします。

 まず、解説の黒岩敏幸氏(アルベールビル五輪の銀メダリスト。サラエボ五輪で日本の期待を一身に背負って10位に終わり、次のカルガリー五輪で銅メダルを取った黒岩彰氏ではありません)。
 日本選手のレースでは解説というよりは単なる声援と化してしまいます。まあ、それはそれでいいと思います。
「いいです、いいです」「大丈夫です、大丈夫です」「速いです」「いける、いける」「ここからです」
 …で、ゴールして「タイムは…○○.△△」。
 解説の興奮度ほどはタイムがよくないんです。今回に限らず、前回の五輪でも同じように思いました(黒岩氏かどうかは不明)。最後の加藤選手の時なんか、金メダルかと思いました。

 
 極めつけは、「動いています、○○選手」。←「そりゃそうだろう」と、毎回突っ込んでいます。もちろん、氏は「動きに切れがある」という意味で使っているのですが、ついつい突っ込んでしまいます。

 スピードスケート(特に500m)を見ていて、いつも疑問に思うのですが、スタートからゴールまですべて全開で滑っています。
 男子500mだと約35秒ですが、ゴールするときはもう「いっぱいいっぱい」という状態です。陸上競技でいえば400mに当たるのでしょうか。
 トップスピード自体はスピードスケートの方が速く、100m長いのにタイムは10秒ほど短いです。しかし、スタートダッシュは陸上競技よりは大変そうで、体を思い切り動かしていて、相当負荷がかかりそうです。
 で、トップスピードに乗ったと思ったら、すぐカーブです。これも相当難しそうで、大変な技術と筋力が必要そうです。
 で、思うのですが、スタートダッシュは9割に抑えれば、その分カーブも回りやすいし、筋肉の負荷も少なくて済み、その分、後半のスピードのアップ、または、持続に回せないのかなと思うのです。

 さて、今回、500mで気がついたのですが、全競技終了直後、吹奏楽が会場に吹奏楽が流れます。これが、選手の慰労、称賛に聞こえ、協議の余韻を気持ち良く感じることができました。曲名は分かりませんが、女子500mはロシア民謡だったと思います。
 やるな!バンクーバー!
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『崖の上のポニョ』

2010-02-11 21:20:08 | ドラマ・映画
 先日、テレビで放映されたのを見ました。
 「面白かった」と思います。そう、(子どもにとっては)「面白かったと思う」のです。

(この放送の前に、制作秘話みたいな解説番組があり、本編映画を見た後、その解説番組を見た上で、以後の文章を書いています)

 この作品は子供向けの「童話」なので、単純に子どもの気持ちで深く考えずに、ポニョが宗介を好きな気持ち、宗介の頑張る気持ち、魔法などのファンタジックな現象やその表現を楽しめばいいのでしょう。
 宮崎駿氏も「めまいがしそうな波を表現したかった」と述べています。氏は作品の根幹となるモチーフを1枚の絵で描くそうですが、今回は波の上に立つポニョの絵でタイトルは『ポニョ、来る』でした。
 あとは、鉛筆、つまり、手書きで描くことも目標だったようで、今回の作品は、柔らかみのある童話的な雰囲気にあふれていました。
今作品は、波が表現できてポニョと宗介の真っ直ぐな気持ちが書ければ、詳細なんてどうでもいいのです。

 しかし、ひねくれた私はあれこれ細かいことを考えてしまい、釈然としないものがたくさん残りました。

①ポニョが宗介に出会い、宗介に会いたくて人間になり、宗介の元に向かいます。これが作品の主題といっていいでしょう。
 私も「宗介、好き」とバケツの中(上?)で跳ね回るシーンが最も好きですし、ポニョが波の上を走るシーンも好きです。
 ただ、最初ポニョが宗介と出会って別れるまでは半日です。その半日だけで、人間になって今までいた世界を捨てるほど宗介への思いが強くなるとは思えません。人間になって宗介に会いたい。一緒にいたいという気持ちは痛いほど伝わってきますが、宗介のどういうところを好きになったかが分からないのです。
 それはともかく、再開シーンで宗介に飛びつくシーンはポニョの気持ちがストレートに伝わってきて、ジーンときましたが。

②宗介の母、リサなのですが、自立していて、物事に動じず、強くて、行動的です。しかし、こんなことを書くと、数少ない女性訪問者に嫌われてしまいそうですが、あまり好きではありません。
 おおざっぱに見えますが、宗介を見ていると、母親としても素晴らしいのでしょう。夫が帰ってこれなくなって、腹を立てて、モールス信号で「バカ」を連発するのも、わがままというより素直な感情表現で、いいと思いました。
 では、何が気に入らないかというと、強すぎるのです。結局、仕事も母親としても料理も発電機やアンテナの扱いや車の運転も何でもこなしてしまい、精神的にも強くて、海の女神?(ポニョの母)のグランマンマーレとも対等に話し合っているなんて、とんでもない強さです。
 この作品の対象が幼児で、当然、映画館には若い母親が多いと思われるので、彼女たちへの受けを良くしようと思ったのではないかとさえ、勘ぐってしまいました。
 とにかく、リサが強すぎて、父親の存在感は全くありません。ただ、海の上をうろつくだけでした。フジモトにしてもそうです。もう少し、幼児対象なのですから、父親の存在意義も示してほしかったです。

③荒れ狂う波と、その波の上を走るポニョと、それらに追いかけらてルパン三世『カリオストロの城』を彷彿させる車を爆走させるシーンは、ドキドキ感いっぱいで、この作品の一番の見せ場ですが、車を爆走させなければならなかったのでしょうか?
 朝の運転シーンでもわき見運転もあり、跳ね橋を強行突破もありました。安易な言い方ですが、教育上よくないです。
 そんなことにこだわっては、表現したいことが表現できないという考えを理解できます。しかし、本作品の場合、幼児をターゲットにしているのと舞台が瀬戸内海の街で現実ぽいので、もう少し考慮してもいいと思うのです。
 車を並行させることによって、描きたかった波の躍動感がより効果的に表現できるので、難しいところですが。

④老人ホームの方で何か光っているのを見て、「誰かいる?」と疑問を持ち、宗介を置いてホームに向かいます。「誰かいる?」程度で、この異常時に宗介を置いていってしまうのは、ちょっとあり得ないと思いました。

⑤裏話では話題になりませんでしたが、嵐の後、舟でリサを探しに行くシーンで、水没した街が出てきます。道義的に公言しにくかったと想像するのですが、水没した街も描きたかったのではと感じました。
 ③でも書きましたが、現実的な街と現代的な老人ホームが関わっているので、大人の目で見ると、大惨事に見えてしまいます。古代の魚が回遊しているので、現実離れはしていますが、グロテスクなので悲劇的に思えてしまうのです。
 しかし、町の人からは全く悲壮感が感じられないので、すごく違和感を感じました。

⑥舞台設定(ポニョは何か、フジモトはどういう存在?、ポニョの暴走がどのように影響しているのか?など)がよくわからないので、モヤモヤ感が残る。

 面白いという感触と、釈然としないモヤモヤ、「ぽ~にょ、ぽにょ、ぽにょ♪」の唄声と、ポニョのかわいらしさが、混ざり合った複雑な気持ちが残る作品でした。
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王将戦第1局 先崎八段の解説など ④

2010-02-10 01:17:15 | 将棋


 第9図(前回記事ではB図)は、羽生マジックが炸裂した直後で、普通に進めた場合とは先手の銀の位置に違いが出ていて、△7六馬が飛車取りの先手になっている。
 飛車を逃げる▲6九飛に追い打ちをかけるように△5八銀と打ち込まれ、先手陣にも火の手が上がり、局面は一気に緊迫度が増した。
 これに対し、久保棋王も▲5六飛と切り返したのが第10図で、本局の分岐点になった局面だった。



 実戦では、羽生名人は△4九銀成▲同銀△同馬と切り込み、▲4九同飛に△6五金▲4六飛△5七銀(第11図)と絡みついていったが、



久保棋王は▲6三歩成△同歩▲5四歩△5八金▲5三歩成△同金▲3八銀(第12図)と冷静に応じ、



△6七桂成▲5四歩△5二金引▲3四銀(第13図)



以下、羽生名人の攻めを見切り、正確な指し手で第1局を制している。


 戻って10図、



 ここでは検討陣は△8七馬が有力と見ていて、「まだ先が見えない。先手がいいと思いますが、差は縮まっている」(中継解説)
 局後の検討でも △8七馬に▲5八飛なら△6九馬で、また△8七馬に▲7九飛△4九銀成▲同銀△6五馬で、後手有力だったようだ。



 今回記事を書くに当たって、改めて本局を並べて、本局の素晴らしさを感じました。なので、「あえて言及しなくてもいいか」とも思いましたが、副題を「先崎八段の解説など」していますし、そもそも、氏の解説がこの記事の動機の一つでもあるので、突っ込みを入れることにします。(副題は変更するかもしれません)

 さて、第10図の▲5六飛を、先崎八段は「この手が名手でしたね。盤上全体を制圧する非常にいい手でした。やっぱり(先手の)勝ちですね」と。△8七馬は全く眼中になかったようです。

 この後も、「△6七金は重たい手。ここはどうやってもダメ」「(△5七銀・第11図では)駒が足りないから差が付いています」
 ちなみに、第12図の▲3八銀まで進めたところで、▲6三歩成△同歩を抜かしてしまったことに上田女流が気づく。さらに、動揺した上田女流が△6七桂成を抜かして△4六銀成と動かそうとする。
 △2二角成以下の即詰みを「手数が長いんだけど、1秒あればプロは読める」と。


 客観的に先崎解説を検証しようとしたのですが、ダメです。
 本日分だけでなく1局を通じて、上面を眺めただけのようにしか思えません。断定的に語るので、紙一重の戦い、そのぎりぎりさが伝わってきません。と言うより、局面を常識や先入観で捉えるので、本局のぎりぎりの僅差での競り合い、しかも、形勢は揺れていたことに気づいていないようです。
 また「最高実力者が最高峰を懸けて全知全能を傾けた将棋を解読しよう」とか、「最高峰の将棋を全国の将棋ファンにその素晴らしさを伝えよう」という意志を感じません。
 しかも、こういった印象は本局だけでなく、常々感じています。

 △2二角成以下の即詰みを「手数が長いんだけど、1秒あればプロは読める」という言葉ですが、羽生名人を相手に2日間頭脳を振り絞った後、タイトル戦第1局の重みを感じた上で、時間切迫の中で、この詰み筋を数手前から読み切って、この局面に導きだすのは容易ではないでしょう。
 この局面になれば1秒で見えるとは思いますが、簡単に「1秒で読める」と言えるのでしょうか。

 名局だったのに、残念な解説でした。
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あまりにもひどいシナリオ 土曜ワイド劇場『山形新幹線 つばさ111号の殺人!』

2010-02-07 16:02:44 | ドラマ・映画
 記事にする気はなかったのですが、あまりにひどかったので… 脚本は篠崎好氏

 まず、細かい状況を番組ホームページから引用しますが、ごちゃごちゃ分かりにくいと思いますので、引用の後、要約します。

【番組ホームページ あらすじ】====================

 十津川警部(高橋英樹)と亀井刑事(愛川欽也)は、宮田直人(佐伯新)が自殺したことを新聞記事で知った。宮田は、1年前に起った殺人事件の目撃証人だった。十津川は、宮田自殺の記事を見たとき、2週間ほど前に三浦半島の海岸で溺死した大石あずさ(黒澤はるか)のことを思い浮かべていた。
 1年前、中野にある喫茶店の主人・本間順一(久保酎吉)が白昼の店内で刺殺されるという事件が発生、刺したのはかねてから金銭トラブルのあったヤミ金融の社長・松木弘(中村譲)だった。そして、このとき店内にいたのが、ウエイトレスのあずさと4人の客で、その客の中の一人が宮田だった。
 松木は本間をナイフで刺したあと逃走を図ったが、まもなく逮捕され、懲役12年の判決を受けていた。この裁判で、証人として出廷した宮田たちに、松木は「お前たちを一人残らず殺してやる」と罵声を浴びせていた。だが、松木は収監されて間もなくクモ膜下出血で病死したのだった。あずさの溺死と宮田の自殺は果たして偶然なのか? 新聞記事によると、宮田はバスルームで手首をカミソリで切って死んだらしい。
 十津川と亀井はとりあえず三鷹にある宮田のアパートに向かった。所轄署員によると、死体が発見されたのは前夜9時過ぎのことで、宮田の下の部屋の住人から、天井から水が漏れているとの通報があり、駆けつけた管理人が上の階の宮田の部屋で彼の死体を発見したのだという。所轄署員は、現場の状況から他殺を疑わせるようなものは何もなかったと言い、ただ、部屋のカギは掛かっていなかったと付け足した。
 二人はその足で松木の恋人だった木村弥生(京野ことみ)のもとを訪ねる。弥生は、宮田が自殺ことなど知らないし、過去のことはもう忘れたいと二人に語った。だが、そう言う弥生の部屋には、宮田の死を伝える新聞が置かれてあった。なぜ、弥生はウソをつかなければならないのか、十津川と亀井は弥生に不審なものを感じる。
 そんな中、本間殺害事件の目撃者のうちの二人、店の常連だった小川長久(有川博)と当時大学生だった黒柳恵美(橋本愛実)が相前後して行方不明になってしまう。小川は旅行に出ると家族に言い残し、恵美は山形の実家に戻ると、念のため彼女を訪ねた亀井に語ったまま連絡が取れなくなってしまったのだ。
 恵美と小川の足取りを追ったところ、二人は同じ日の『やまびこ・つばさ111号』に乗り込んだことが判明する。この列車は、東北新幹線の『やまびこ111号』と山形新幹線の『つばさ111号』が連結されたもので、福島で分離されたあとやまびこは終着地・仙台に、つばさは新庄に向かう。二人が同じ列車に乗ったのは何らかの理由があったのか? 十津川と亀井は、恵美や小川の身を心配するが…。

=================================

【要約】=============================
 借金の返済が滞っている喫茶店のマスターに業を煮やしたヤミ金融業社社長・松木がマスターを殺した。
 その時の目撃者が次々と変死(事故死や自殺と判断された)を遂げていく。目撃者に恨みの言葉を吐いていた松木はすでに病死していて、唯一、繋がりのある元恋人が復讐を遂げたのではないかという疑惑が起こる。
 実は、先の事件で殺されたマスターを恩人としていた占い師が、「店内に5人もいて、マスターを助けられなかった」と逆恨みして、殺していった(実際には、目撃者の一人の内海が同じく目撃者の大石を殺したのを目撃し、脅しと金で殺人を実行させた)。
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 例によって、問題点の羅列です。

①発端の殺人事件、5億円も隠し金を持っていた松木が、1件の借金取り立ての揚句、殺人を犯すのは何のメリットもなく、考えられない。

②殺人の後、逃走を図ったが逮捕された松木は、犯行を否認したが、5人もいる前で堂々と刺し、しかも、ご丁寧につば(証拠)を吐き捨てるなんて、理解不能の行動パターン。

③さらに、法廷で目撃者たちに「お前たちを殺してやる」と叫び、死ぬ直前も「あいつらに呪いをかけたから、全員死ぬ」という言葉を残す。呪いですかと苦笑いしてしまった。

④西村京太郎といえば時刻表トリックだがトリックと呼ぶのを憚(はばか)られる程のチャチなものだった。

⑤目撃者の一人の小川を見張っていたが、裏口から逃げられてしまうなんて、間抜けとしか言えない。

⑥5億円もの大金を単なる占い師に預けるものなのか?

⑦占い師が内海に命じて、1億5千万円入りの段ボール箱を松木の元恋人のマンションに置いてこさせたが、どうやって侵入したのか?

そして、これが一番許せない!
⑧占い師は中学時代、いじめられていたのを苦に自殺しようとしたのをマスター(夜回り先生みたいなことをしていた)に止められ、立ち直っていた。その恩人が殺されて、恨みを持つのは分かるが、事件に居合わせただけの目撃者を恨むのは、逆恨みもいいところだ。
 一方的にマスターに松木が迫りより、刺してしまうのを、普通誰も止められない。ナイフを持っているし。
 目撃者はたんに居合わせただけで、それぞれ、幸せな毎日を送っていたのに(そうでない人もいたが)、その人たちの幸せを奪ってしまうには、何というあさはかな犯行動機だ。
しかも、自分で実行しない(してはいけないけれど)。


 信じられないほどの、最低なシナリオです。
 原作もそうなのでしょうか?
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王将戦第1局 先崎八段の解説など ③

2010-02-05 21:28:27 | 将棋
 まず、下の2つの図を見比べてみてください。



 よく似ていますね。唯一の違いは、先手の銀の位置です。A図は5四、B図は4五にあります。
 手番は後手です。後手を持ったとして、あなたならA、Bどちらの図を選びますか?



 普通の人なら△5四歩と銀が取れるので、A図を選びますよね。見方を変えて、もしA図で先手番だったら、▲6五銀と逃げてB図に進める人が多いかもしれません。

 今日の譜は、この2つの図の違いと羽生名人の工夫(羽生マジック)が主題ですが、ひとまず先日の記事の続きです。



 第6図より羽生名人が△6二歩と辛抱したあと、▲7七桂△7六歩▲4五銀(第7図)と進む。



 第7図の▲4五銀では▲5五歩△4四飛▲6五桂△6六金▲5三桂成△同玉▲3六桂と進めるべきだったようだ(中継解説、週刊将棋)。しかし、対局中は久保棋王も検討陣も決め手に近い手と見ていて、「羽生マジック」が出なかったら「疑問手」の烙印を押されなかったかもしれない。
 ちなみに、先崎八段は「▲4六桂と桂打つ一手。桂打てば勝ちですけどね。▲4五銀は
絶対飛車を取るという手です」


 第7図より、△7七歩成▲同銀△7五桂▲6五飛と進む。いろいろ変化手順はあるが、検討陣の本命手順で進んでいる。そして……
 そして、飛び出した△5九飛成!(第8図)



 普通、△5九飛成では△7七角成と銀を取る。それに対し▲5四銀と飛車を取った局面がA図。で、A図で△5四歩と銀を取ってどうかと読み進める。検討陣もそう予想し、△5四歩に▲5三歩が厳しく先手良しの結論を出しかけていた。
 つまり、▲5四銀と飛車を取られたときに△同歩と取ることができない(飛車のタダ取られ)なら、△5九飛成とタダで捨てようというのだ。わざわざ一手を費やして飛車を捨てるのは損なようだが、▲5九同金に△7七角成が金当たりとなり、▲4九金(B図)と戻さなければならないので、手損にはならない。
 というわけで、普通に進めるA図とは銀の位置だけが違うB図が実現した。



 羽生名人は2つの局面を比較して、「銀は取れるが▲5三歩と急所に打たれる」より、「銀は取れないが、△7六馬と引いたとき飛車取りになる(銀が4五にいるので飛車には銀のヒモがない)」ほうが優っていると判断したのだ。
 それにしても、取れる銀を取れないようになっているB図の方が、A図より良いとは!

 A図からB図を仮定し、両局面を比較し、飛車を捨てる手順(桂の打ち場所も5五では飛車のタダ捨てが実現しない)の妙でB図を実現させてしまう羽生名人。異次元の大局観だ。
(谷川九段が『異次元の大局観』という著書を出していると記憶しているが、敢えて「異次元の大局観」と呼ばせてほしい)



 「羽生マジック」という表現をするのは、安易な気もするが、使わざるを得ない今日の記事である。
 と言いつつ、わからないことがひとつ。



 この図は、A図で△7六馬と引いた局面。本譜は羽生マジックを駆使して、銀を4五に留めて△7六馬を飛車取りの先手にしたのですが、この疑問図では銀のヒモがついているので、先手を取れていません。なので本譜より良くないはずです。
 では、この局面で先手はどう指せばいいのでしょうか?
 図で先手の飛車と銀の両方が当たっていて、かなり急かされた状態になっています。しかし、下手に動くと、例えば、▲6三歩成△同歩▲同銀に△6五馬、また、、▲6三歩成△同歩▲同飛成には△5四歩、さらに▲5三銀成△同金▲6二馬なら△6五馬と、飛車か銀が取られてしまいます。
 この疑問図より、先手はどう指せばいいのでしょうか?どなたか、ご教授ください。
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王将戦第1局 先崎八段の解説など ②

2010-02-02 22:14:21 | 将棋
 第4図は、羽生名人が△7三桂と跳ねたところ。ここでの久保棋王の一手には驚いた。



 ▲6五歩!
 桂を使うぞと△7三桂と跳ねたところへ、跳ねてこいと▲6五歩。これに対し直ちに△6五同桂は▲6六歩で先手良しだが、わざわざ後手の桂を活用しやすくさせなくてもと思ってしまう。
 先崎解説も「ここは▲2八玉ととした方が手としては正しいと思うんだけど、久保さんの勢いを見る思いがします」
 実戦は△5四飛に▲5六歩。この手は▲6五歩の継続手だが、後手の駒を呼び込む上、玉のコビンを開けるので勇気のいる手だ。こういった手をタイトル戦で、しかも羽生名人を相手に指すのだから、久保棋王の充実ぶりがうかがえる。
 実際、▲5六歩に△同銀▲2二角成△同銀▲5五歩△同飛▲6四角△5四飛▲7三角成(第5図)と進むと、先手の桂得(正確には桂と歩2枚の交換)のうえ、後手の2二の銀の離れ駒プラス壁銀プラス後手玉が戦場に近い点などが大きそう。手番は後手、先手の歩切れという要素はあるが、先手がよいだろう。
 先崎解説はもっと断定的だった。「桂得で馬作ったんですから、はっきり先手が良いんですね。過激に言ったら『これで終わり』と。ただ、ここから羽生さんが妖しく迫るんで、なかなかのものでした」
 羽生名人は感想戦で「(第4図の)△7三桂では△3二玉だったか」と述べている。



 第5図以下、△7五歩(取ると△6六角の王手飛車)▲7七飛(第6図)と進む。ここが問題の局面。
 羽生名人の指し手は△6七歩。
 中継解説記事「この手は見えませんでしたね。遊び駒の金銀にはたらきかける手ですから。正直申し上げて、常識外ですね。いきなりやってきたんですね。なんで(△6五銀と)引かなかったんだろう。驚きましたね。10人プロがいて、10人とも考えない手、『あれ?』と首をかしげる手だと思います。しかし羽生さんは、プロが想定外の手を指して勝ってきた人ですからね」(阿部八段) 
 先崎解説は「7八の金を手順に使わせる手ですから、うれしくないですが、そんなことは百も承知で紛れを求めたんです。はっきり(後手が)苦しいです。馬が大き過ぎます」
 というように、指したくない手のはず。

 控室の研究では△6五銀を予想していて、羽生名人の指し手を訝しがっていた。先崎八段も「△6七歩では、やはり△6五銀の方がよかった」と。
 第5図の局面、羽生名人は「△6五銀は▲9一馬△6六銀▲5九香△4四飛▲6五桂△3三銀▲2八玉で後手がよくはない」と。

 羽生名人は局面を「点で考える」という。将棋の流れを重視しない、つまり、1手前、あるいは数手前に指した手を生かすことにこだわらず、常に新しい目で最善手を求めると。この考え方を拡張した「常識(セオリー)にとらわれない。常識を疑う」という将棋観があるのではないか。

 さて、先崎八段の解説で、「△6七歩では△6五銀の方がいいが、▲4六桂△4四飛に▲5五馬(参考図)が厳しい」とあるが、



これには△6六角と切り返す手がある。
 ▲6六同角△同銀は馬が消えたうえに飛車取り。また、△6六角に▲5七飛も△5五角▲同飛△6六角がある。後手も玉型や飛車の位置が悪く容易ではないが、先手が選ぶ変化ではないだろう。


 第5図から△6七歩▲同金△同銀成▲同飛△8八角▲6四歩(第6図)と進む。



 ここで羽生名人は△6二歩。つらい辛抱で、誰もが△6六歩と勝負したくなるはずだ。
 しかし、△6六歩と打つと、
中継解説「▲5七飛△同飛成▲同銀△6七歩成▲6三歩成△5七と▲5二と△同金▲6四桂が進行の一例で、「これは明快に先手勝ちです」(阿部八段)。となれば、現局面はやはり、先手がはっきりよさそうだ」
先崎解説「▲5七飛△同飛成▲同銀△6七歩成▲6三歩成△5七とでは5七とが詰めろでないので、▲5二と△同金▲6四桂ではっきり1手負けです」

 なので、名人は辛抱したのだ。
 先崎八段は「はっきり言って負けじゃあしょうがないんで、こっち(△6二歩)受けて辛抱したんだけど、でも、これ勝負手として、ここ(△6六歩)に打たなきゃ形にならないから、これ(△6二歩)じゃダメ、負けなんです」と△6二歩を評価。

 (ここからは私の想像ですが)
 もし、感想戦で先崎八段が上の言葉を言ったら、羽生名人は「ええ…まあ、そうですねぇ。つらいですよねぇ。まあ…ええ…でも、しょうがないかと…」と苦笑しながら答えるのではないかと。
 将棋としてはそう指したいのだけど、第6図では△6二歩が最善手で形勢に差がつかない。これでまだまだ難しく、逆転の可能性が最も高い手と判断したはず。
 セオリーや常識と離れて、局面を点で捉える羽生名人らしい着手ではないだろうか。いや、羽生名人だけでなく、タイトルを争う棋士なら当然の判断といえるのではないだろうか。
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王将戦第1局 先崎八段の解説など ①

2010-02-01 01:18:43 | 将棋
 第二局もぎりぎりの将棋でした。二年前の王座戦と王将戦もスコアは開きましたが、内容は激戦で、この王将戦もそうなりそうです。
 先日、先崎八段について書いてしまいました。多少偏見があるのかもしれません。今回はそんな偏見を捨てて、第一局を振り返ってみようと思います。

 ▲7六歩△3四歩▲7五歩に△4二玉と進みました。この手は▲7八飛を牽制しています(▲7八飛△8八角成▲同銀△4五角▲7六角の時、あらかじめ4三の地点を受けている)。それで、本局は▲6六歩と持久戦調石田流に進みました。これはある意味、羽生名人が久保流を含む早石田戦法を避けたとも考えられます。



 ▲7六飛(17手目)の第1図は大きなポイントの局面。この2手前の▲6八銀が妥協しない指し手だった。
 つまり、6八銀型は8八の角に紐が付いていないので、第1図より△6五歩の仕掛けの可能性が生じており、実戦も羽生名人は仕掛けている。中継の解説によると、「▲6八銀に代えて▲5八金左だったら無難だが、△7二飛の揺さぶりが生じている。次に△7四歩▲同歩△同銀とまともに逆襲されてはいけないので▲8六歩ぐらいだが、そこでまた△8二飛と戻られて▲8五歩△同飛と進んだ局面は振り飛車失敗。そこで戻って金が5八ではなく6九のままならば、逆に▲7八金と上がって振り飛車の模様がよくなる」と。
 後手の羽生名人は3二玉の一手を省いて、△7二飛や△6五歩を見せているが、久保棋王としては△7二飛を警戒し、△6五歩なら大丈夫で「くるならどうぞ」と言っているのだ。
 この辺について、先崎解説は「▲6八銀は挑発的で、▲2八玉や▲5八金右が手堅い。やってこいという手で、この戦法に命を懸けている久保棋王は△6五歩なら研究し自信を持っているはず」と。
 「▲2八玉や▲5八金右が手堅い」というのは、やや疑問を感じる。
 

 挑発に乗ったのかどうかは分からないが、羽生名人は△6五歩を決行。私見では羽生名人はある程度研究をしていて、仕掛けはあり得る(成否は半々)。「指してみたかった」というところではないだろうか。



 第2図の△5四銀。この手は「石田流に対しての急所の7四の地点を薄くしてやや危険。△6五歩▲7七銀と愚形にしておいて△3二玉と指しておけば穏やかだった。さらに△5四銀▲7八金のところでも△6五歩▲7七銀と引かせておけば激しいことにはならない」と先崎解説。
 これに対し中継解説では「▲7七銀は愚形だが後に▲7八金、▲2八玉、▲6八銀と手を進めれば逆に理想形となる」と。



 第3図は△6二飛に▲6七歩と受けた局面。「△6二飛と回ったことにより▲7四歩△同歩▲同飛△7三歩▲8四飛が生じていて、羽生名人の△6二飛は自らを追い詰めた手」と評している。
 中継解説では「羽生名人は第3図の前に△8六歩▲同歩を入れておいて△6五銀▲同銀△8八角成▲同金△6五飛▲7八金△6九角という順も考えた」と。しかし、本局はじっと△6四飛と▲7四歩を受ける。
 (ここで聞き手の上田女流が△6五歩を利かせてから△6四飛と進めかける間違いを)

 △6四飛は「見るからに危ない形」と先崎解説。確かに飛車は安定感がなく、攻めても当たり(跳ね返り)が強い。さらに、玉形も未完成。「後手は腰高の感」とうまい表現。
 ここで先崎解説は「私が先手なら一回▲2八玉として△3二玉に『それから何か考えよう』というところ」と。
 これは解説用の言葉で、▲2八玉と△3二玉の手の交換は後手の得で、当事者(先手)だったら絶対ここで動きたいはずで、▲7四歩は当然の動きではないだろうか。久保棋王の機敏さを讃えたといったところだろう。

 第3図以下△6四飛▲7四歩に△同歩▲9六歩(次に△9七角を見せる)△6五歩▲7七銀△5五銀(▲9七角に△5四飛を用意)▲6八銀△6六歩▲同歩△7三桂(第4図)と進む。



 さて、ここでの久保棋王の次の一手には驚いた。「本局1番の驚き」と書きたいが、この後もっとびっくりする手が飛び出すので「2番」か。あ、でも、改めて冷静に考えると「1番」かも。
 「次の一手」で出題したら、まず当たらないのではないだろうか。
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