英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2018年大晦日

2018-12-31 23:29:44 | 日記
 いろいろあった2018年(毎年いろいろありますが)も、あと1時間ちょっとです。
 という訳で、この記事も早く描き上げないと、時機を逸してしまいます。(文脈の乱れ、誤字の先回りの言い訳です)

 今年はいろいろ災害があり過ぎて、北陸の大雪なんて埋没してしまっているかもしれません(ただ、最近、“チェーン装着義務区間”や“年末寒波襲来”で、1500台立ち往生の映像が流されることが多く、≪ああ、大雪もあったなあ≫と記憶が掘り起こされた方もいらっしゃるかもしれません。
 他の災害に遭われた方と比べると、軽度な被害だと思います。でも、北陸の人間は、あの雪かきのひと月が“トラウマ”のように心に残っています。今冬は暖冬になって欲しいです。

 嫌なニュース、腹立たしいニュースはいっぱいありましたが、ここで考えると、来年になってしまいそうなので“パス1”(3回まではセーフと言うことで)。

 スポーツもいろいろありました。個人的に印象に残っているのは……
・ピョンチャン五輪……スノーボード(平野歩夢VSショーン・ホワイト)、スピードスケートの小平奈緒と高木美帆の活躍
・バスケット・ワールドカップ&バレーボール・世界選手権……女子チームの健闘
・テニス……ジョコビッチの復活、フェデラーも頑張った。若手の躍進
・アジア大会……池江璃花子の大車輪の活躍
・卓球……伊藤美誠、張本智和が大暴れの如くの活躍

 ドラマは印象に残ったものが少なかった。
『アンナチュラル』が一番だったかなぁ。あと、“最終回詐欺”はありましたが、『下町ロケット』。あとは、最終回が残念過ぎたけれど『シグナル 長期未解決事件捜査班』。

 そして、将棋
 将棋については、将棋については………あぅぅぅぅ…“パス2”です


 私の周辺は、家族もいちご(飼い猫)も元気です。ありがたいことです。
 いちごは手が掛かりますが、癒されています。
 あ、そうそう!(こんな表現をすると、叱られてしまいそうです・笑)……五年ぶりに東京に行きました。楽しかったです。ありがとう。


 本当に今年もあとわずかですが、皆さま、良いお年を。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウインターカップ2018 [女子決勝]岐阜女子-大阪薫英女学院

2018-12-31 13:16:12 | スポーツ
【大会経過】
 「“波乱”が多かった」印象はある。
 2017ウインターカップ覇者の大阪桐蔭は、大阪予選で大阪薫英女学院に敗れ、出場すらできなかった。昨年準優勝の安城学園(愛知)は県立津幡(石川)に2回戦で敗れ、昨年ベスト4で今年のインターハイ優勝の桜花学園(愛知)は準々決勝で昭和学院(千葉)に、同じく昨年ベスト4の八雲学園(東京)も準々決勝で大阪薫英に敗れており、昨年のベスト4の4校がベスト4に残れないという厳しさだった。(インターハイ優勝、準優勝チームには本大会の出場権が与えられるとは言え、女子の大阪府や愛知県、男子では福岡県(福岡第一と福岡大学付属大濠)などレベルの高い県は大変である)
 しかし、近年、レベルが上がってきて優勝に手が届く実力校が増えてきており、前年上位校、インターハイ上位校が敗れても、一概に“波乱”と言えない状況である。群雄割拠の中で、勝ち上がった決勝2チームは、その年その大会で実力の高い2校と考えてよい。
 今大会のベスト4は、岐阜女子大阪薫英昭和学院県立津幡の4校で、準決勝は、岐阜女子86-70県立津幡、大阪薫英64-61昭和学院

【決勝戦の感想】
 岐阜女子はポイントガード池田とセンターのダフェ、大阪薫英はポイントガード北川と得点力のある清水を軸にしたチーム。さらに、両チームとも他のメンバーもポテンシャルが高く、どこからでも多彩なオフェンスを駆使できるチームである。ただ、やはり、ペイントゾーンで優位に立てる岐阜女子に若干、分がありそうに思えた。

 結果は岐阜女子92-74大阪薫英
 岐阜女子が終始リードを保ち快勝したが、ゲーム内容は18点差以上に岐阜女子が上回っていた


 大阪薫英はPGの北川がポイントガードの役割をほとんど果たせなかった。相手ディフェンスを崩せず、有効なアシストパスを出せなかった。ボールを保持している選手がシュートを打とうとしているだけで、打てないときにパスを出す……チームオフェンスはほとんど見られなかった。
 それでも74点を上げられたのは、個人の能力によるもの。(森岡、福田、福島は頑張っていた)
 清水がチーム最多の23得点。非常にポテンシャルが高く、素晴らしいプレーで膠着状態を打開していた。ただ、ポテンシャルを過信するきらいがあり、無理なオフェンスや無駄なファールも多かった。

 ベンチワークも疑問。ダフェ31点、エスターチカンソ11点の計42点を上げられてしまった。確かに、ポストプレーを封じるのは難しいが、試合を通してダブルチームやパスを通させないという工夫はほとんど感じられなかった(仕方のない面もあり後述)。
 また、試合後半になって、「時間がないから、激しく動け」という旨の指示を出していたが、“時間がないから”という言葉は、選手に更なる焦りを生じさせてしまう。確実なディフェンスでプレッシャーを掛けてターンオーバーや不本意な形でオフェンスを終わらせるのが肝要で、その流れでオフェンスに持ち込んだ方が得点を上げやすいはずだ。
 
 岐阜女子良いバスケットを展開した。強かった
 PGの池田がパスにペネトレイトに縦横無尽に躍動し、ダフェ、エスターチカンソがペイントゾーンを支配した。
 何よりも、個人プレーでなく、チームとしてオフェンスを完遂させる意思が観られた。その意思の中で、池田やダフェ、更に安江、木下らがレベルの高いプレーを発揮し続けた。JXのような万能なオフェンスで、大阪薫英がそれに抗するのは難しかったのかもしれない。
(私は決勝戦しか観ていないので、上記には早計な部分が多いかもしれません)
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2018竜王戦第7局【追記】 ~そもそもの裏目の手~  ≪補足あり≫

2018-12-22 17:24:42 | 将棋
「2018竜王戦第7局 ~何だか、良くないような……~」
「また獲ればいい… (2018竜王戦第7局)」の追記です。

 「また獲ればいい… (2018竜王戦第7局)」で羽生竜王の指し手の“裏目振り”について書いた。しかし、棋譜中継のコメント欄で、感想戦の検討が補足されており、それを読むと、更なる裏目と言うか、“そもそもの裏目”と言えるような解説(羽生竜王のコメント)が載っていた。
 それが下図。

羽生は「突き捨てが余計だったですか。筋と思って突き捨てたんですが」と振り返った。この△8六歩を入れずに△2七角成は有力だった。本譜は突き捨てを入れたことで、先手にある手段が生じることになる。
 その“手段”とは……

 8筋を突き捨てたために、この桂打ちが生じた。「打たれてみると、応接が難しかった」と羽生。
 ▲8五桂△6三金に、▲7三歩と垂らされ、羽生竜王は△7一歩と辛抱したが、前日の記事でも書いたが、利かされ過ぎ。7筋に歩が立たなくなり、攻撃の幅が狭まり、飛車の横利きもなくなってしまった。
 藤井猛九段は「後手ちょいよし」との見解。ここから△2五馬▲3六歩△8二飛▲6五歩△7六歩▲同銀△4五歩▲6四歩△6二金▲7一角△9二飛▲9三桂成△6一金▲9二成桂△7一金▲6三歩成△4四角という進行を有力と見ている。最後の△4四角が急所のラインで、△9九角成と△6六桂の狙いがある。
 感想戦で羽生竜王も「なるほど……難しそうですね。これもあったかもしれません」とのこと。


 ここ数年、“筋と思って”の「突き捨て」や「歩の叩き」が損だったということが良くあるように思う。
 以前は「なぜ、突き捨てを入れないんだろう?」と思うことが多かった気がする


 実は、「羽生王座失冠に思う」が「その7」で中断、放置状態。
 そのシリーズと内容は少し異なるが、「最近の羽生将棋について感じること」(仮称)というような感じで書こうと思っていますが、いつになることやら……
 最近でも「2018将棋日本シリーズ JTプロ公式戦 準決勝 その2」「2018竜王戦第6局・その1」で放置状態で、まず、その続きを書かなければならないのですが…



【追記の補足】

 裏目図3で羽生竜王は△2二玉と馬筋を避けたが、これが敗着となったようだ。
 裏目図4と2三の地点を直撃されてみると、1手を掛けた価値がなかった。
 「△4三金▲2四歩△3四歩が調べられ、以下▲3四同銀△2四馬▲4三銀成△同銀▲3五金△4四歩▲2四金△4五歩▲3五桂△2四歩ははっきりしない」とのことだった。(棋譜中継、解説より)

 それにしても、3一⇒2二⇒1二⇒2二と動いた後手玉の動き、辺境で活躍できなかった後手の飛車と馬と成香、ぽろぽろ取られてしまった押さえ込みを図った金銀と、すべて裏目に出てしまった将棋だった。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

また獲ればいい… (2018竜王戦第7局)

2018-12-21 20:28:45 | 将棋
 表題(また獲ればいい)は他人だから言えることなのですが、私の正直な気持ちです。
 羽生さんにとっては非常に辛い状況で、喪失感、虚無感、脱力感、敗北感、無念さ、疲労などが渦巻いているのでは……時折、“心境を察するに余りある”という表現を耳にしますが、やはり、第三者には思い及ばないでしょう。
 、簡単に「また獲ればいい」とは声を掛けられないと思いますが、それでも、また、タイトルを奪取する日が来ると信じています。現に、タイトルを獲得する力を充分に有していると思います。

 とにかく、お疲れ様でした。広瀬新竜王、おめでとうございます。


 昼食休憩(第2図)後の指し手は△2二玉だった。羽生竜王らしい堂々とした一手で最善手かもしれないが、後の展開を見ると、“裏目”の第一歩だったような気がする。

 “玉が2二に移動すると▲4一角が生じる”のは羽生竜王も百の承知で、その対応も用意しての指し手であろう。羽生竜王は手順を尽くして金を入手し、その金を7五に打ち、先手の狙いである▲6三歩成を牽制した。▲6三歩成には△6七歩▲同飛△6五歩を用意)

 しかし、裏目図2では、6八の飛車が後手の成銀取りになっていて、△2七成香と後手を引かされるのが痛かった。この成香は先手の飛車を苛めるはずだったのに…しかも、2七に引いてもそれほど威力を発揮しない。

 その後、歩の叩きを駆使し、銀、歩を打って先手の飛車と馬を抑え込もうとしたが、裏目図3の▲3五銀が後手玉の死命を制した一着となった。

 後手は先の△2二玉の意を継いで△1二玉と垂らされた歩を払ったが、先手の馬と銀に急所を突かれる位置関係となる裏目。指し掛け図で威力を発揮しそうな馬が1四に居るだけとなっているのも皮肉(先手の馬とは対照的)。


 後手の玉頭をこじ開けておいての▲6六銀が決め手。
 只なのだが、金で取っても銀で取っても▲6六同飛と取られ、△同銀(同金)に取った金(銀)を2三に打ち込んで後手玉は詰み。裏目図1の▲4一角に対して△3一金と引いた為、2三が手薄になっているのも裏目…
 後手は△4四歩と先手の馬を攻めて抵抗するが、▲7五銀△4五歩▲6三飛成が決定的な一手。押さえ込みを図った金銀がぽろぽろ取られてしまった。先手の龍と後手の飛車の働きは雲泥の差。
 その後も、後手の駒はぽろぽろ取られていった……


 図の直前の▲7二金は歩頭の金打ち。しかし、これを△同歩は後手玉が詰む。△同飛なら▲同歩で受けなしなのだが、それにしても△1二銀は凄い。▲1二同成桂△同玉▲8二金と進み、桂1枚と飛車+銀の交換で大損。▲8二金と飛車を取られる手がなくても△1二銀は相当辛い手である。

……投了図。


 27年ぶりの無冠となってしまったが、名人位挑戦権争いのA級順位戦は5勝1敗で充分狙える位置。豊島二冠5勝0敗、広瀬竜王が4勝1敗と困難さを伴うが、名人位挑戦権を獲得し、佐藤天名人を破り、タイトル100期獲得すれば、これ以上ない復活のアピールとなる。
 この際、NHK杯と朝日杯で優勝し、名人復位に華を添えてほしいものである。
 
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2018竜王戦第7局 ~何だか、良くないような……~

2018-12-21 13:31:45 | 将棋
第7局は2日目の昼食休憩に入った。


 指し掛け図では先手の封じ手の候補手は▲3七金、▲4七金、▲5八金、▲2八歩など候補手が多く、どの手も難解な分かれが想定された。後手番の羽生竜王としてはまずまずの展開だったのではないだろうか。素人目には後手の馬と成香の存在が大きそうに見えた。


 数手進んだ第1図。先手の飛車が後手の馬と成香によって6筋に追い立てられたようだが、うまく手順に転回し、後手の成香が置いてきぼりになった感もある。
 ▲7三歩の垂らしに対して△7一歩と受けた手は、大きく利かされた感じ。7筋に歩が立たなくなり、攻撃の幅が狭まり、飛車の横利きもなくなり、縦も8五の桂で活用が狭められている。
 さらに、▲1二歩と嫌味な歩を垂らされ、悩ましい。
 ここで、羽生竜王は△3六馬と金取りに動いたが、普通に▲4七金と当て返され、△1四馬に▲3六歩と蓋をされてしまった。

 そのまま昼食休憩。
 図からは△2二玉と辛抱する手が考えられるが、2二に玉が上がると4一に角を打ち込まれる手が生じてしまう。また、開き直って△8四歩と先手の動きを催促する手も考えられるが、この瞬間、後手の飛車の活躍は当分望めそうにない状態。
 そこで、先に△3六馬とした意を継承して、△3五桂▲同歩△4六歩▲4八金△6九馬▲同玉△4九飛と勝負に出る手はないだろうか?

 多少無理っぽいが、先手も嫌な展開なのではないだろうか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

相棒 season17 第9話「刑事一人」

2018-12-14 18:11:57 | ドラマ・映画
隠蔽された殺人事件にただ一人挑む伊丹!!(番組サイトの表現を借用)
……刑事としての信念により、議員の圧力に屈せず、犯人逮捕しようとする“熱い伊丹”は格好良かった。
 政情が不安定なサルウィンにいる亀山への思い、可愛らしい被害者の姉・マリアのためという味付けや、危険を顧みず自らを囮にした犯人グループとの対決など、伊丹の魅力満載の回であった。
 それに、暴行グループの主犯の議員の息子の自白内容と、遺体の負傷状況とのズレに気づき、真相に辿りつく右京たちの捜査も面白かった。

しかし、疑問に感じた点も多かった
1.外国人排斥の理由が弱い
父……支持層拡大のためのポーズという理由もあったが、息子の扱いに困惑していた時に、息子が偶発的に外国人の窃盗犯を捕まえたことが“取っ掛かり”となり、親子の距離が縮まった。
息子…外国人窃盗犯を捕まえたことを父に褒められ、父の排他的な政治信条に則り、外国人に暴行を加えていけば父に気に入られると思った。

 もともと人間的に未熟だったが、父に甘やかされたため、幼稚さが肥大し、人と人と思わず外国人を害虫と言い切る息子。議員の権力を利用して息子の犯罪隠ぺいしようとした父。
 まさに害虫のような親子だったが、伊丹の暴行に対する訴えを取り下げたのは少しは反省したからなのだろうか?

 議員の圧力に、“へいへい”と屈し、犯罪を見逃す篠崎署。こいつらが一番許せない。まず、こいつらを駆除するべきだ。

2.クーポン券の不備 
 クーポン券の使用時刻が限られていることを明記していないのは、明らかな不備。
 何度も諍いがあったようなのに、改善しないのはダメとしか言えない。

3.紛らわしい笑み
 クーポンが使えなかった腹立ちや恥ずかしさ相手に対して笑みを見せるのは、ちょっとまずいだろう(普通は申し訳なさそうな表情をする)。
 その上、あの笑みは、嘲笑と思われても仕方ない笑い方だった。
 外国人の勘違いマナーとしても、無理があった。

第1話「ボディ」第2話「ボディ ~二重の罠」第3話「辞書の神様」第4話「バクハン」第5話「計算違いな男」第6話「ブラックパールの女」第7話「うさぎとかめ」第8話「微笑みの研究」


【ストーリー】番組サイトより
隠蔽された殺人事件にただ一人挑む伊丹!!
彼の窮地を救うべく特命係が立ち上がるが…!


 サルウィン共和国から働きに来ていた外国人青年が変死体で発見される事件が発生。
 同じ飲食店で働いていた青年の姉によると、最近、外国人を狙った襲撃事件が相次いでいるという。しかし、なぜか警視庁は手を引き、捜査は所轄だけで行われることに。その方針に不満を持った伊丹(川原和久)は、単独で捜査を開始。それを心配した芹沢(山中崇史)の頼みで、右京(水谷豊)と亘(反町隆史)も動き始める。
 サルウィンといえば、かつて特命係に在籍した“初代相棒”の渡航先だが、政情は相変わらず不安定なようで、襲撃を受けた被害者の中には所在不明の者もいて、捜査は難航する。そんな中、右京は、圧力をかけたと思われる衆議院議員・敷島(井上肇)に注目し、その息子・純次(藤原季節)に疑いの目を向ける。
 いっぽう、単独捜査を続けていた伊丹は、人気のない深夜の路上で覆面姿の集団に取り囲まれて…!?

一人、卑劣な犯人を追う伊丹に迫る魔の手…
殺人の背景に現代日本が抱える社会問題が!?
外国人襲撃事件をめぐり警視庁に激震が走る!


ゲスト:井上肇 藤原季節

脚本:真野勝成
監督:権野元
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~羽生将棋と横歩取り戦法の現況~(2018竜王戦第6局・その1)

2018-12-13 21:42:01 | 将棋
いいところがなかったなあ……それにしても、午後0時7分の投了とは!

 後手の羽生竜王が横歩取りに誘導したのを見て、嫌な予感がした。
 かつて、横歩取り戦法は羽生竜王の得意戦法だったが、最近では佐藤天名人に敗れ去ってからは、いいイメージが浮かばない。
 それは佐藤天名人以外の相手にもかなり敗れている印象がある。

 2016年4月以降(佐藤天八段に名人位を奪取されたのが2016年)以降、横歩取り戦は17勝15敗。まあ、今年度の羽生竜王の成績は19勝19敗なので、戦型別の得意不得意を論じられる状況ではないが…(2016年4月以降の横歩取り戦での対佐藤天名人戦は2勝5敗、他の棋士に対しては15勝10敗)
 私が思うには、横歩取り戦は飛角桂が主で、駒交換も頻繁に行われ、一気に終盤に突入する激しい戦法だが、これはソフトを使っての検討・検証しやすい戦型と言える。
 その恩恵で、今までは見通しが悪くて薄暗い密林の中を進んでいた感覚だったものが、LEDの照明に照らされ、GPSによる地図を駆使してドライブするような感がある。
 羽生竜王の手を疑心暗鬼で考え、いろいろ迷いながら思慮することは少なく、≪その手に対しては、こう指せばこちらが良くなるはず≫と手順を手繰り寄せ、読みを入れる……そんな感じが多いのではないだろうか?
 とにかく、今までの人力の研究では、今での経験や大局観と自力の読みで、≪この手順で行けそうだ≫とか≪たぶん互角にはなるだろう≫というような結論と言うより目算を立てて対局に臨んでいたのだが、ソフトを使えば、この手に対してはこの手が有効(評価値が高い)と短時間で割り出すことができる。それに、人間の思い込みによる研究手順の“抜け”が生じていたが、PCソフトを使えばそういう研究の抜け穴も格段と減らすことができる。それどころか、ソフトは先入観を持たないので、人が思いつかないような手を提示してくれることも多い。
 
 PCソフトを駆使した研究は恐るべきほど効率がよく、ある程度詳細なマッピング(定跡構築)が可能である。これが長い目で見ると棋力を高めることができるか疑問だが、目前の対局に勝つことに対しては非常に有効である。

 そんな状況下で、激しくてすぐ終盤になってしまう横歩取り戦法を指すのは、羽生竜王にとっては得策ではない。
 羽生竜王の優れた大局観と柔らかい思考や精密な地力の読みが必要な将棋に持ち込んだ方が勝ちやすいはずである。第5局のように、銀を中心に押し上げていく中盤の長い将棋、遠見の角を放ちそれを軸とするような構想力がモノを言う将棋……今期、羽生名人が勝った将棋は≪やはり羽生竜王は強いなあ≫と思わせる内容が多かった。



 将棋を振り返るのは気が進まないが、備忘録として残しておきたい。
 先手の広瀬八段が青野流を目指したのに対し、羽生竜王は△7六飛と横歩を取り、互いに飛車で横歩を取る相横歩取りとなった(以前からある相横歩取りとは違う)。実戦で指されたことは少ないらしいが……


 △7四飛の飛車のぶつけに対し▲同飛と応じ△同歩と進んだ第1図は、ある意味、注目の局面。

 【棋譜中継の解説から引用】
つい先日、Google傘下のDeepMind社が開発したプログラム「AlphaZero」の論文が発表された。第27回世界コンピュータ将棋選手権で優勝したコンピュータ将棋「elmo」に大きく勝ち越す強さだ。
AlphaZeroとelmoの棋譜がDeepMind社のサイトで100局公開され、その中から10局を羽生が注目局としてセレクトしている。100局の中には△7四同歩まで進んだ棋譜もあり、▲2四歩と垂らしていた。【引用・終】

 実戦の広瀬八段は▲2四歩ではなく▲3七桂。
 羽生竜王はこの手に対し、△7七角成▲同桂に△8六歩と垂らす。
 実は、この局面までは、今期B級2組順位戦の▲澤田六段-△永瀬七段戦と同一(永瀬七段が勝利)。
 ここで、澤田六段は▲2二歩△同銀を利かせてから▲6五桂と跳ねたが、本局の広瀬八段は単に▲6五桂と跳ねる(第2図)。


 羽生竜王は△8七歩成▲同金に△8九飛と金銀両取りに打ち込み、広瀬八段は▲8八角と両取りを防ぎ(すぐには動けないが、香取りになっている)、羽生竜王は△8六歩と叩いて対応を問う。


 ▲8六同金には△4四角と打って▲同角△同歩とし、再度の▲8八角に△6四角と打てば▲4五桂と跳ねる手がないので後手が良いらしい。
 そこで▲7七金と辛抱するが、これにより先手の8八の角の働きが低くなってしまい先手が面白くなさそうだが、後手の8九の飛も威張れる駒ではない(いつでも角と交換できるが、先手に飛車を渡すマイナスも考慮しなければならない。(先の▲澤田-△永瀬戦も▲2二歩△同銀の手の交換はあるものの、同様に進行)
 角の働きはともかく、先手は6五に桂を跳ねられたことが大きい。次に3七の桂も4五に跳ねることができ、後手玉の頭の5三の地点を強襲できる。後手が△6二銀(△4二銀)と足しても、いつでも▲5三桂成△同銀▲同桂成△同玉と攻めて、桂2枚と銀1枚の交換の駒損になるが、後手の玉が露出させることができる。
 ほぼ同様に進んだ▲澤田-△永瀬戦の永瀬七段は△6四歩と桂を攻め先手の玉頭殺到の順を避けたが、これも勇気のいる手で▲5三桂成△同玉▲8三飛を覚悟しなければならない(実戦は▲8二歩)。


 ▲7七金に羽生竜王は△5四角。
 この手も6五の桂を攻めた手で、▲5三桂成△同玉▲8三飛と強襲される心配もない。さらに▲4五桂も防いでいるうえ、将来の△8七歩成も見据えている。羽生竜王の研究手かもしれない。
 しかし、先手陣への直接の響きが弱く、さらに5二の玉と5四の角と先手の6五桂との位置関係が悪かった。△5四角では△4四角と玉当をカバーしつつ、△7七角を見せて先手の攻めを牽制した方が良かったかもしれない。
 たとえば、いきなり▲5三桂成△同玉▲5六飛と強襲されても後手は神経を使う将棋になってしまう。
 実戦は、少し含みを持たせて▲5五飛だが、これも相当威力を発揮しそうだ。
 羽生竜王は△6二銀と補強したが、▲4五桂と加勢されて危険度は変わらない。

 何だか縁台将棋で出てきそうな単刀直入の素人攻めのようだが、これをきっちり受けきるのは難しそうだ。
 実戦は、羽生竜王は△4二銀と更なる補強をしたが、構わず▲5三桂右成△同銀右▲同桂成△同銀に▲7八銀と飛車を捕獲する手があった。


 “捕獲された”と言っても、△8八飛成▲同銀で飛角交換にはなり、駒割は▲飛銀歩歩歩対△角桂桂でほぼ互角(やや後手の得かも)。
 しかし、後手陣は飛車の打ち込む地点があり、先手の持ち歩が5枚もある事が大きい。
 そこで、羽生竜王は△3七角と飛車香両取り(間接的に8二にも利かす)と角を打ち込む。

 ここで一日目終了となったが、読めば読むほど先手が良さそう。良さそうな手の中で、▲8五飛が一番よく、しかも自然な手で、2日目は苦しい将棋になりそうだなあと、『シン・ゴジラ』観賞(現実逃避)に走った。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『シン・ゴジラ』(2016年公開)

2018-12-13 12:28:54 | ドラマ・映画
 竜王戦第6局が1日目終了の段階で、“羽生竜王不利”の色が濃く、現実逃避の為、昨年11月に放映され、録画して放置していた『シン・ゴジラ』を観ました。

 面白かったです。
 未確認不確定の現象に対応する際の政治判断や、行政(業務)執行するための手続きや担当機関(省庁)のややこしさ、拠り所にする法律の選択など、真面目に描写すればするほど、コント要素が強かった序盤。特撮が精巧・精密だったことが、それを際立たせていた。
 さらに、重大事態に陥りそうなのに、他人事のように考えているかのような内閣の描写など、風刺的な色合いも感じた。

 16日(日)に放映されるので、詳しくは書きませんが、圧倒的な力を見せるゴジラに国家存亡の危機を迎える日本。
 これを考えると、「竜王戦第6局の羽生竜王の不利は、まだまだ希望が持てるぞ!」と書いていたら、『羽生竜王、投了』の報が……(午後0時7分……負けるの早すぎ!)

 それはともかく、圧倒的な力に、政治家、官僚、自衛官など英知を結集して対抗する様(さま)が魅力的。そして、やはり、特撮が凄かった。
 それに、ゴジラの進化過程も秀逸で、ラストシーンが示していた最終形態は恐ろしさを感じた。


 大杉漣さんが総理大臣を演じていました。
 大杉さんの急死が残念で堪りません。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

相棒 season17 第8話「微笑みの研究」

2018-12-08 19:08:13 | ドラマ・映画
ドラマ冒頭で、大木刑事(志水正義)が特命係3人のやりとりを窓越しにかなりの間、凝視していました

大学教授が死亡に纏わる多重構造
1.心臓麻痺と見られたが、毒殺だった。犯人は准教授の高野鞠子(冨樫真)
2.その犯行を誘導したのは、助教の川村里美(佐津川愛美)
3.さらに、それを仕組んだのは准教授の猪瀬(オクイシュージ)


………いくつかの疑問点を一掃するかのような、ドラマ終盤にこの多重構造が浮かび上がる見事な構成であった。
ドラマ序盤から中盤にかけて川村里美の不可解な言動が真相解明への伏線となっていたが、気づくことができなかった。……不覚!(でも、私は粘着質なので、疑問点などはしっかり後述します)

事件関係者の人物像や思惑
宇佐美教授(被害者)……研究の為なら被験者の心や命などはどうでも良い
高野准教授……このまま研究を続けたら、現被験者の少女が第2の犠牲者になってしまうと危惧し、教授に殺意を抱く
川村助教……エンパス(周囲の感情を過敏に察知し共感してしまう)で、高野が抱く殺意に苦しみ、その苦しみから解放されるためには高野の殺意を成就させることだと考え、高野を犯行に誘導した
猪瀬准教授……“エンパスを強い憎悪のそばに置いたらどうなるか”を観察。今回の殺人の真の誘導者

キーポイントはエンパス
 ………周囲の感情を感知し、影響を受けてしまう。憎悪や怒りなどの強い負の感情ほど、苦痛は大きくなる。「NIGHT HEAD」の霧原直也(テレビドラマでは武田真治が演じた)を思い出す。
 川村里美のエンパスの症状?として
・研究室での「死ね」と呟いた(高野の感情に反応)
・「教授の死について捜査陣は不審に思っていない」という説明に笑みを浮かべた(高野の感情に反応)
・元彼の証言「いきなり感情が不安定になる」(周囲の感情に反応)
・農学部の薬品棚に施錠したという女子学生の嘘を見抜いた

盛りだくさんな右京の推理
毒殺に至る(物理的検証)
1研究室に残されていたレシートから、近くで購入したコーヒーを毎日飲んでいた
2そのコーヒーに毒を混入した可能性
3農学部から毒物を入手
4その検証、事件関係者の関与を確認
5毒薬を盗む際のゴム手袋使用の可能性

 尺の関係もあり、迅速で鮮やかな推理と検証だったが、1⇒2が唐突


高野准教授が犯行に至るまでの推移とその証拠
・過去の被験者の天才少女の自殺や現被験者の自傷跡から宇佐美教授に対する高野の感情を推察
・高野准教授の実験の延期から高野の心理状況の推察
・殺害時のコップの唯一性の立証

 紙コップに販売者が書き込むという行為はよくある事なのだろうか?
 さらに教授のトッピング(注文)は、その日唯一のパターンだったというのは都合がよい展開

川村里美と猪瀬准教授との関係を推察
 里美の研究室転籍の経緯(面接したのは猪瀬)
 里美は猪瀬によく相談していた


コールドリーディング(人間観察)とバーナム効果(誰にでもあてはまることを言う)
 自称霊能力者は冒頭のお祓いシーンによる導入(掴み)効果だけかと思われたが、冠城がそれを学習して農学部の女子学生に尋問
 ただ、普段の冠城の機転の利く様子から考えると、霊能力者の芸に冠城が引っかかるのには無理を感じる


【その他、些細な疑問点など】
①「研究者を名乗る資格などありませんよっ!」という右京の糾弾
その後の「人を名乗る資格すらない」という言葉を含めて同意だが、「今回の実験結果を公表できない(社会的制裁を受ける)」と指摘していたが、探究心から非人道的な実験を行い、公表できなくても、その結果(成果)に満足する研究者は存在しそうだ
②天才少女を実験の被害(自殺)から守りたいという思いが、強い憎悪(殺意)に転化するものなのか?(右京が里美に諭していたように“他の方法はなかったのか?”)
③毒殺した現場にマウスがいたからと言って、予定していたマウスを使った実験を中止するものなのだろうか(生体実験ではなく、行動実験だったようだし)?


第1話「ボディ」第2話「ボディ ~二重の罠」第3話「辞書の神様」第4話「バクハン」第5話「計算違いな男」第6話「ブラックパールの女」第7話「うさぎとかめ」


【ストーリー】番組サイトより
大学教授を死に追いやったのは呪いの科学!?
特命係が常識では解明不可能な事件に挑む!


 人間の心のメカニズムを総合的に研究する認知科学の権威である大学教授が心臓麻痺で死亡した。一部の学生が、『呪い殺された』とSNSで騒いでいるという噂を聞きつけた右京(水谷豊)は興味を抱き、亘(反町隆史)と共に調べ始める。
 学生が“呪い殺した張本人”と名指ししているのは、半年前に転籍してきた助教の川村里美(佐津川愛美)。学生によると、教授が死亡する前日、彼をにらみながら「死ね」とつぶやいていたらしく、さらに「人を呪い殺せる」と公言している霊能力者と会っているところを目撃したという。
 その里美と、同研究室の准教授である高野鞠子(冨樫真)、猪瀬(オクイシュージ)に事情聴取した右京は、「事件性はない」と聞いた時になぜか里美だけが密かに微笑んだことを不審に思う。しかし、事件当時の里美には完璧なアリバイが存在していて…!?

教授を呪い殺したと噂される助教の鉄壁のアリバイ…
科学と呪いが交錯する事件の背景に複雑な人間関係が…
右京と亘が、罪深き人間心理の深淵に迷い込む!


ゲスト:佐津川愛美 冨樫真 オクイシュージ

脚本:金井寛
監督:権野元
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

SUITS/スーツ 第6話~第9話

2018-12-07 19:46:07 | ドラマ・映画
(視聴したのは、第4話、第6話、第7話、第8話、第9話で、最初の2話を観ていないので、設定や人物関係がよく分かっていません。
 各話ごとの詳細なレビューをする根性はないので、第6話~第9話の各話の簡単な感想と、ドラマ全体の大まかな感想を述べさせていただきます)


第6話……壮大で幼稚な父娘の喧嘩と、投資詐欺との対決
 蟹江が厳しい口調で責め立てた相手が体調を崩し、そのまま急死。その死の責任の主因が蟹江にあるかは不明だが、、ほとんど罪の意識を感じていないのはいかがなものか?
 一応、主役の甲斐(織田裕二)ライバルらしいが、蟹江が一方的にライバル視しているだけで、自己評価とプライドが高く、甲斐の足を引っ張る存在のようだ(たまに役に立つらしい)。
 大貴(中島裕翔)が対処した父娘の喧嘩のハッカー娘が、甲斐の担当した投資詐欺案件に協力して情報を入手して解決方向に進展。

 甲斐と大貴の担当案件が並行するため、それぞれの内容が薄い。
 ハッカーが万能すぎるのもどうかと思う(最後の学歴詐称隠蔽の工作も含む)



第7話……ホテル合併がらみの陰謀阻止と、替え玉受験に関する大貴(中島裕翔)と真琴(新木優子)の思惑
 甲斐は合併を有利に進めようとしたが、合併話をする中で得た情報を利用して株の買い占めての則り計画に気づくことができなかった。
 そこで、依頼者側のホテルを相手のライバルホテルに売り渡すというハッタリで逆転。

 本当にハッタリのみで勝利。相手が「売却してもかまわない」と強気に出たらどうするつもりだったのだろう?
 大貴は過去に多数の替え玉受験を引き受けていたらしいが、あの身長で女性の替え玉は難しいだろう。
 替え玉受験が横行する司法試験て…
 (替え玉受験発覚後の大貴と真琴については第7話で)


第8話……有害性塗料による健康被害の訴訟と、情報漏えい事件
 裁判相手を陥れたり、恐喝まがいの懐柔など、勝つために手段を択ばない甲斐の後輩弁護士美智瑠(山本未來)。彼女は甲斐の手法を見習ったと言う。
 そんなあくどい事をして、対決気分やビリヤード勝負を気取るというのは面の皮が厚すぎ。
 情報漏えいは健斗(岩井拳士朗)が犯人。健斗の立場でログを改変できるのか疑問だが、「今回の失態は表にでないから仕事で挽回しろ」と告げられ、おとがめなし。
 “失態”ではなく、“悪事”だろう。有耶無耶にしていいのだろうか?


 甲斐の手法をコピーしている悪徳弁護士に甲斐の打つ手を予見されてしまい苦戦する甲斐に、「だったら、自分が絶対しないことをしてみては(たとえば、フラダンス)」と大貴は助言。
 “普段しないこと”=“正義感を前面に出した大演説”をしたらしいが、原告団代表の水原美咲(矢田亜希子)には何も仕掛けてこなかったことを疑問に感じ、訴訟相手の弱点を掴む。
 この一連の逆転劇は爽快だった


 前話から引き継いだ“替え玉受験”だが、替え玉受験を依頼した真琴が怒っていて、どちらかというと大貴が弁明していた。
 確かに、大貴は騙していた形なので後ろめたい気持ちはあるかもしれないが、真琴には後悔や懺悔の念をほとんど感じられなかった。
 真琴の論理では「過去に不正を働いた事実がある大貴に対し、自分は不正を行おうと思っただけで、大貴の方が罪が重い」らしい。
 弁護士(志望)らしい論理だが、人間としてはどうかと思う



第9話……無資格会計士の解雇に自分を重ね暴走する大貴と、解雇の裏に潜む真相
 経歴を詐称している大輔が無資格会計士解雇に自分を重ね、先走り、勇み足で解雇話を拗れさす。
 拗れたが、解雇の裏に何かありそうだと感じた甲斐と大貴が真相を解明し、クライアントがペーパーカンパニーを利用し、上乗せしたコンサル料をせしめていたという不正に辿りつく。
 話の筋としては面白いが、他人の入館証で入り込み情報を入手するのは、犯罪である。しかも、不法侵入された法律事務所もその事実を把握しているというピンチだが、直接の対戦相手のクライアントの不正を暴いたことで有耶無耶になってしまったのはご都合主義
 デジタルカメラ並みの読み取り記憶能力で、書類を再現し、証拠として提出。それを、同等の記憶力を持つ無資格会計士が本物の書類だと認定し、証拠としての価値を保証してしまった。
 ああいう書類に押印はないのか?も疑問だが、機械並の記憶力者が2人もいるのもかなりのご都合主義
 さらに、侵入先の法律事務所の弁護士が、偶然にも接触してきたというのも都合良過ぎ


 そもそも、水増し請求という不正を隠したいのなら、弁護士を頼らず、無資格を指摘した上、これまでの功績に感謝して退職金をはずんでおけばよかったのに…


ドラマ全体の感想
・大輔周辺の案件や出来事と甲斐が担当する案件が並行して話を進めるので、甲斐の案件の展開が薄っぺらくなってしまっている。全話を見ていないので断言はできないが、ハッタリによる一発逆転ばかり(7話を除く)。こき使われている大貴の功績による成果が多い。
・「幸村・上杉法律事務所」の代表弁護士を務める幸村チカ(鈴木保奈美)。有能かつ人格者らしいが、難題を押し付けるだけで、あとはあれこれ口を出すだけ。
・いかにも大貴の足を引っ張りそうな悪友・谷元遊星(磯村勇斗)だったが、ついに第9話で大貴の経歴詐称を密告。しかし、個人的には大貴周辺の事項より、案件そのものを深く掘り下げて展開して欲しい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする