英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

人類学者・岬久美子の殺人鑑定8

2019-06-30 17:39:55 | ドラマ・映画
「人類学者・岬久美子の殺人鑑定5 「光る白骨の美女!ピアニスト連続殺人…(以下略)」があまりの出来だったので、つい、“怖いもの見たさ”で観てしまいました。脚本に真部千晶氏が絡んでいるし…(真部氏についての詳しい評は上記の「人類学者・岬久美子の殺人鑑定5」の後半部分に記述)
 出演された深水三章さんは2017年の年の瀬に亡くなっている。登場人物もダウンコートで、冬桜もテーマの一つでこのドラマでは11月ごろに咲く品種という設定だった。



1.希薄な犯行動機
 娘・立花かおり(黒川芽以)が名門学校法人の副理事長とつき合っており、理事長夫人になる可能性もある。そうなれば、自分もおいしい汁が吸えるかもしれないと思っていたところに、消息不明だった理事長の息子・光留(金井勇太)が現れる。
 理事長夫人への障害となると考え、さらに「落ちこぼれの息子がやる気を出していること」に無性に腹が立って、殺害を計画したという。

 娘が1歳の時に、母子共に捨てておきながら、娘の玉の輿のおこぼれにあずかろうというムシの良さ。そのくせ、理事長の息子が立ち直ろうとしていたことは気に入らない。
 理事長の息子がおいしい汁への障害と考えたが、さもしい自分の存在の方が、かおりの結婚の障害になるだろう。それに、副理事長夫人でも十分で、殺人のリスクが大き過ぎ。



2.白骨の身元の特定の手段が不可解
 頭蓋骨のかなりの部分が欠損、歯の治療痕もないので歯形からも特定不可能というのはわかるが、飛び降り自殺未遂の時の骨折痕から特定できるように思うが
 理事長は「息子はアメリカに留学している」と突っぱねたが、渡航歴がないことが判明したので、その嘘から追及できそうだ。

3.なぜ、全部の頭蓋骨を持参しなかったのだろうか?
 岬久美子(大塚寧々)に骨の鑑定を頼もうとしたのなら、頭蓋骨の全部分は必須だと思うが……


4.あまりにも唐突な犯人の指名
 確かに、何回かは登場していたが、裏を感じさせるシーンは全くなし。犯人追及時に後付けで犯人の過去を語ったが、捜査線上に上がらず、≪あいつか?≫という推理シーンもなかったので、「犯人はあなたですね」と指名した時、かなり虚を突かれてしまった。
 絞殺時に光留が抵抗した際に、爪に食い込んだ肉片(指紋だったかも)で(通常、爪は腐敗して残らないが、傷バンに保護された)、犯人特定。犯人には前科があったので鑑識(科捜研?)がデータを照合しただけ。
 

【ストーリー】番組サイトより
 人骨を専門に研究している人類学者・岬久美子(大塚寧々)は、ある夜、「調べてほしい骨がある」という男性からの電話で、とある建設現場に呼び出される。ところが、待ち合わせ場所に赴いたところ、血だらけの男がリュックを抱きかかえるようにして死んでいるのを発見! 現場から慌てて走り去る謎の人影も目撃する。
 久美子の幼なじみでもある捜査一課刑事・二階堂達也(戸次重幸)らの調べで、遺体の身元は清掃会社職員・宮部保昭(深水三章)と判明。なんと彼が抱えていたリュックの中から、人骨が見つかった。久美子に電話をかけてきたのは、宮部だったのか…。そして、犯人はこの骨を奪うために被害者を襲ったものの、久美子がやって来たために目的を果たせずに逃げたのだろうか…。
 宮部が命を懸けて守ったであろう人骨を調べはじめた、久美子。骨は20代後半の男性のものとわかるが、首を絞められたことによる窒息死なのか、はたまた首を吊って自殺したのか、死因を断定することができなかった。また、この骨の人物は10年以上前、肩を複雑骨折し人工骨を移植したことがあるともわかる。
 事件が起きた建設現場は、名門学校法人“青嶋学園”の初等部の建設予定地で、殺された宮部は事件当日、青嶋学園の理事長・青嶋都和子(キムラ緑子)に「“彼”を殺したのはあなたですか」と、謎の言葉をかけていたという。しかも、都和子のひとり息子・光留(金井勇太)が現在行方知れずで、複雑骨折の末に人工骨治療を受けていたことがわかる。都和子を直撃したところ、息子はアメリカで暮らしていると主張するのだが…!? 久美子が鑑定しているのは光留の骨なのか。そしてもし宮部の言葉がそのとおりならば、母親の都和子が息子を殺害したのか…。戸惑う久美子たちに、学園の卒業生で光留と同級生だったという教師・立花かおり(黒川芽以)が声をかけてくるが…!?

脚本:真部千晶 伊藤洋子 
演出:藤岡浩二郎
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2019王位戦挑戦者決定戦 羽生九段ー木村九段 その4「辛抱の遁走」

2019-06-26 21:46:16 | 将棋
「その1」「その2」「その3」の続きです。


 第10図は▲8二飛に△6二桂と合駒をした局面。
 △6二桂では△4一玉の方が良く(詳しくは「その3」)、△6二桂としたため互角近い形勢に戻った。
 と言っても、素人目には先手玉は絶体絶命。いや、棋譜中継解説でも
先手玉は△5八銀成からの詰めろが掛かっており、現局面で
(1)▲3六歩は△2五桂がいかにもぴったり
(2)▲4六歩だと△4九飛の好手があって、先手玉が詰む
(3)▲2七銀には△5九飛が妙手だ

と、受けが難しそう。

 次の一手は▲6九金。この手に4分を消費して羽生九段は1分将棋となった。
 5八に利きを足して詰めろを防いだ手だが、それでも利きの数は2対2で、5八に先に駒を打たれると勢力負けになってしまうので、受けの機能は弱い。(ただし、△5八飛は▲3九玉△7八飛成▲2七玉△6九龍▲2八玉で後手難局。手順に金2枚得られるが、先手玉が片銀冠で2八に逃げ込み、後手の駒が攻め駒が重複している)

 ▲6九金△7八銀不成▲3九金△6九銀不成▲3八玉△6八飛▲2七玉(第11図)と進む。
 10図から11図の取り引きは先手の大損のように思える。
・▲6九金………詰みを回避しただけの手。数手後に取られる運命にあり、取られる位置としては6九よりも移動前の7九の方が良い
・△7八銀不成…9四の角道を通しながら金を取る。6九の金取りにもなっている
・▲3九金………玉の3八→2七への逃走路を開いただけ。同じ逃走路を作るのなら▲2七銀と上がって3九→2八の方が玉型も良いし、3八に逃げても玉の安全度はあまり高くならない。しかし、▲2七銀は△4九金(飛)の1手詰が待っている
・△6九銀不成…おいしく金を食べる。その銀が5八に利くという益もある
・▲3八玉………ようやく1歩目の逃走。しかも、まだ危険地帯。
・△6八飛………王手で飛車を打てる(手番が回ってくるプラスと玉を逃がすマイナスがある)
・▲2七玉………ようやく、やや安全圏に。しかし、△6六飛成と攻防に成り返らて、もう1手▲1八玉と逃げなければならない。

 先手の指し手には利が少なく、後手は角道を通しながら金を2枚得し、龍も出来る美味しい展開。
 とても、互角に近い形勢が保てるとは思えないが、不思議なことにまだ勝負将棋だった。
 これは、《玉がかなり安全になった》という先手の利が思いのほか大きいということなのだろう。(後手のマイナスとしては、攻め駒の銀2枚がやや置き去りになってしまったこと)


 さて、ここで「その3」で先送りした「第10図の△6二桂では△4一玉の方が良かった」理由を述べよう(偉そうな口ぶりだが完全には分かっていません)

 第10図の△6二桂ではなく△4一玉と玉をかわしたとして、本譜の順……つまり、▲6九金△7八銀不成▲3九金△6九銀不成▲3八玉△6八飛▲2七玉(変化図4-1)と進むと、
 変化図4-1で△4九角成と捨てる手があり先手玉が詰んでしまう。△4九角成▲同金と先手の金銀の連結を切るのが巧妙な事前工作で、以下△1五桂▲1八玉△2七金▲同馬△同桂成▲同玉に△2六銀(変化図4-2)が前工作を生かした巧手となる。

 以下▲同玉△2八飛成▲2七歩△4四角▲1六玉△2五銀▲1五玉△1四歩▲2四玉△2三銀(変化図4-3)までの詰み(最終手は△2三金や△1三銀でも可)

 変化図4-1の△4九角成に▲3八桂と抵抗しても、△3八同馬▲同金に①△1五桂▲3六玉△2五金▲4六玉△6六飛成でも、②△2六金▲同玉△2五金▲2七玉△1五桂▲1八玉△2六桂でも詰む。
 戻って、△4一玉と合駒せずに玉をかわした手に対し、素直に本譜の順を踏襲せずに一旦、▲6三馬△4一玉▲5三馬△3一玉▲5三馬と馬の利きを2六に利かすのは、今度は2七の馬の利きがなくなるので、やはり詰んでしまう。
 その他、▲6九金△7八銀不成▲3九金△6九銀不成▲3八玉△6八飛▲2七玉ではなく、▲2七銀や▲3六歩とする手も、馬の位置などのちょっとした違いで成立するかもしれないが、たぶん不成立(大丈夫だよね)

 というわけで、到底100%の断言はできないが、「第10図の△6二桂では△4一玉の方が良かった」理由は、「上記の馬捨てからの即詰みがあるから」とさせていただく。
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緊急取調室 3rd SEASON 第9話「私が救いました」、最終話「私がやりました」

2019-06-26 09:18:28 | ドラマ・映画
 元校長の染谷(吉田鋼太郎)……実直に生きていたが、ちょっとした気の迷いで元教え子を抱きしめてしまう。そのシーンを北山未亜(吉川愛)と藤井卓生(坂東龍汰)に目撃されてしまう。
 土砂崩れ寸前のロッジからひとりずつ脱出を試みたが、妻と教え子の救出は間に合わず、土砂崩れに巻き込まれてしまった。(助ける順番に迷いが生じた。抱きしめたシーンを目撃された二人に、自分の気持ちを見透かされたような気がした)
 大切な妻と教え子の命と引き換えに助かったふたりが真っ当に生きないのが許せなかったというが、教え子と不倫したと思われている状況が許せず、ふたりを闇に葬りたかった。

 北山未亜(吉川愛)……自分が助かり染谷の妻と染谷の教え子が亡くなったという事実に負担を感じていた。
 「折角、助かった(助けた)のだから、しっかり生きろ」と言う鬱陶しかった。口論となった染谷を弾みで突き飛ばし、崖に落ちかけた藤井に蹴り落とさせた。
 崖から落ちた染谷は足に深手を負ったが救出された。染谷を搬送する救急車を不安げに見送り、染谷に≪自分たちを警察に突き出したら大変なことになる≫という警告で、同窓会で同級生に毒物を飲ませた。
 何人かが腹をこわせば良いと考えたが、3人が命を落としてしまった。毒物はキョウチクトウより生成したが(藤井に作らせた)、≪キョウチクトウには毒があるから気をつけろ≫という染谷の注意から得た知識で、染谷に原因があるという意図だった。「殺意がなかったので、殺人罪ではなく“過失致死相当”で罰金50万円以下だ」勝ち誇る。(未亜は高校時代クラスメイト全員から無視され続けていた)

 藤井卓生(坂東龍汰)……未亜と一緒に染谷の不倫らしきシーンを目撃。未亜に言われるまま、染谷を崖から蹴り落とし、毒物を生成した。同級生・田山刺殺の被疑者となったが、藤井に腹を立て藤井のジャケットを肩に懸けて持ち去った田山が、藤井と間違えて染谷に殺害されたというのが真相。その時、藤井のジャケットに血が付き、疑われる証拠となってしまった。


 実直に生きてきた染谷が一瞬の浮気心で元教え子を抱きしめてしまったところを目撃されてしまった。妻と元教え子を亡くした不幸が、浮気と言う事実をかき消したいという気持ちに拍車をかけ殺人に及んでしまった。
 実直に生きてきただけに、ちょっとした汚点が気になってしまうという心理は理解できる(私が実直に生きてきたというわけではありません。それに、人生の汚点は数えきれないくらいあります)。未亜たちが浮気を口外するしないに関わらず、知られているということが耐えられなかったのだろう。
 その気持ちがどんどんエスカレートし、田山殺害。疑いを持った梶山(田中哲司)を崖から突き落とす行為にまで至った。
鋼太郎さん、熱演だった。

 でも…以下の4つの実害・心理の負担要素が考えられるが
①浮気現場を見られた
②キョウチクトウの毒性を利用した毒殺方法と言う知恵を授けた(毒殺の知恵と言うより、誤って口にしないようにという注意の呼びかけ)
③妻と元教え子を失った
④染谷を崖から突き落とした(足が不自由になった)

 普通に考えると、
①+②<<③+④で遥かに未亜側のやましさが大きいはず。
 キョウチクトウの毒性の注意による知識を勝手に悪用して他人に害を与える行為が、≪崖から突き落とした事を口外するな≫という警告になるとは思えない。小学生低学年レベルの幼稚な考え方だ。


 それにしても未亜は極悪な人間だった。両親には恵まれず、高校時代にはクラスメイトに無視され続けた不幸さは理解できる……でも、クラスメイトに苛められっぱなしで済ませる“タマ”とは到底思えないが…

 「どうしても知りたいんだったら、手をついて頭を下げろっ!」と土下座を要求。
 「刑事は“真実が知りたい”“事件を解決したい”…でも形だけ頭を下げて自供を引き出すようなことはしたくない」(有希子)
 「仕事だと割り切って相手に、誰も本当のことを打ち明けてくれない」(小石川)と説得


 「本当は汚いことしか考えてないくせに!私に自供をさせて、褒められたいだけのくせに!」
(憐れむような表情で見つめる有希子に対して)
 「そんな顔するな、汚い人間はもっと醜い顔をしろっ!」と激昂し暴れる
 「亡くなった同級生はもう痛みを感じることすらできない。傷を癒すこともできない。おとうさん、おとうさんに泣きつくこともできない」(有希子)
 「キミに向かって、“なぜ、私を殺したの?”かと責めることもできない」(小石川)
 「それが人の命を奪うことです。それがあなたのしたことなんです」(有希子)


 さすがに堪えたのか、
「死ぬなんて思わなかった。(元校長に)警告したかっただけ…」と話し出す。

 それにしても
「謝れ!死んだ人たちに謝れ!ここで手をついて頭を下げろっ!」(ああ、この染谷の台詞を有希子に浴びせたのか
(謝る藤井に)
「謝るな!」と制す。
「…情けない」(染谷)
「あんたにそんなことを言う権利あんのかよっ!」
「私には、キミたち二人を助けた責任があるんだよ」(染谷)
「勝手に助けたくせに、何言ってんだよ!」
と叫んで立ち去ろうとする未亜。引き留めようとする染谷を振り払う。大き目の木端につまづき崖から転落しかける染谷。
「罰当たりがっ。命を何だと思ってんだぁ!」(染谷)
「一生恩着せがましいこと言われて生きていくなんて嫌だろっ、早く踏めっ!」
藤井が木の根っこを掴んでいた染谷の手を踏みつけ、染谷は崖から落下。


 同窓会での状況、クラスメイトに無視され続けたこと、キャンプの時の心情(土砂崩れの恐怖に死にたくないと思ったことを語る未亜に)
「だったらどうして?…」(有希子)
「“毒なんて飲ませたの?”“助かったことに感謝して、いい子になりなさいよ”……結局、あなたもあのジジイと一緒だね。
 一応確認しとくね。私今言った通り、同級生を殺すつもりなんてありませんでした。だから、“殺意なし”
 “殺人罪”じゃなくって、“過失致死相当”です。罰金50万円以下……よろしく」
微笑む未亜に、唖然とする有希子



 ひねくれ過ぎ。こんな考え方しかできないなら、生きていても仕方がないだろう。
 でも、“腹をこわさせる”目的で毒を盛ったのだから、“過失致死”にはなるだろう。


 事件解決後、拘置所の未亜に
「取り調べが終わっても、あなた方の人生は続いてる」と語る有希子を神妙気味?な顔で観る未亜……反省したのか?
 もう少し未亜をへこませて欲しかったが、そんな簡単に改心するのも不自然かも。

 
 チーム解散で危機感を煽るのは要らない。
 でも、磐城刑事部部長(大倉孝二)のツンデレ振りが観られたので良かったかも。 

 それと、普通、キョウチクトウを口にはしないと思う。
 以前、『ATARU』(主演: 中居正広)でキョウチクトウが焼却炉に混入し毒性のあるガスが発生し死に至った事件があったが…

【ストーリー】番組サイトより
 同窓会で同級生らを毒殺した罪で起訴された被告人・北山未亜(吉川愛)と、医大キャンパスで起こった同級生刺殺事件の被疑者・藤井卓生(坂東龍汰)――。2人が2カ月前、かつて山のキャンプ場を襲った土砂崩れから自分たちを救出してくれた地元中学の元校長・染谷巌(吉田鋼太郎)と会っていたことが判明した。3人の間に一体、何があったのか…。
 真壁有希子(天海祐希)ら「緊急事案対応取調班(通称・キントリ)」は真相を明らかにするため、未亜を徹底的に追及。やがて未亜は重い口を開き、同窓会の飲み物に毒物が混入した理由を話し始める。
 有希子らは、事件の謎の鍵を握ると思われる染谷の聴取を開始。足を怪我していた染谷はそのことについて、当初はあくまで「自ら発作的に身を投げた」と主張していた染谷だったが、やがて「本当のことを話す」と切り出し、未亜と藤井との面会を懇願し始める。一方、有希子はその際の何気ない会話の流れに鋭く反応し…!

 現構成メンバーの正式変更を目前に控えたキントリ・メンバーが、一丸となって挑む“最後の事件”。彼らは謎多き事件の真相を解き明かすことができるのか!? そして、キントリを待ち受ける運命とは…。

脚本:井上由美子 
演出:常廣丈太
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2019年4~6月期ドラマ雑感

2019-06-25 20:39:55 | ドラマ・映画

 観たのは、『緊急取調室 3rd SEASON』、『ストロベリーナイト・サーガ』、『特捜9 season2』、『科捜研の女 Season 19』、『インハンド』。
 面白かった順に『インハンド』、『科捜研の女 Season 19』(1年間継続)、『緊急取調室 3rd SEASON』、『ストロベリーナイト・サーガ』、『特捜9 season2』だが、1位と2位は僅差で、3位はかなり離れ、さらにずっと遅れて4位と5位という状態。

『緊急取調室 3rd SEASON』第1話第2話第5話
 取調室がメインになるのがこのシリーズの私的なマイナス点。
 大杉さんが抜けて塚地さんが加入したが、やはりこれも戦力ダウン(塚地さんは好きですが)。(ここまでは4月21日記事「2019年4月ドラマ雑感」の使い回し)
 “後出しジャンケン”感が強かった第5話や、事件の設定(背景)に無理があった第7話(大久保佳代子出演回)、最終話(後日レビュー予定)など不満の残る回が散見した反面、第2話、第6話、第8話など面白い回もあった。
 最近の刑事ドラマは、チーム存続の危機を押し出すことが多いが、必要ないと思う。田中哲司さんは好きな俳優だが、天海祐希さんの相方的役としては物足りない。

 
『ストロベリーナイト・サーガ』第1話
 キャストを一新したが、若返りすぎ。特に姫川役の二階堂ふみさんが違和感ありすぎ。
 “そばに居るだけ感”が強かった菊田(亀梨和也)が姫川(二階堂ふみ)が恋愛感情を抱くエピソードや描写がほとんどないのに、最終話付近で恋愛要素を絡めても共感できない。このように、もっと描き込まなければならない要素やシーンを描かず、どうでもいい要素に重点を置くことが多く、独りよがりな脚本・演出が目立ち、ストーリにも厚みが感じられなかった。
 犯人を説得(説教・糾弾)するシーンがあったが、説得力を感じなかった。
 「右では殴らない」のタイトルの意味の≪壁を右手で殴って拳を痛めてしまい、調書(始末書)を書くのに苦労した≫という経験則を省いたのは駄目だろう。



『特捜9 season2』スペシャル第1話第2話第3話第4話第6話
 ここ数シーズン、脚本・キャストともに消耗を感じる。(スペシャル第1話の脚本は酷かった)
 渡瀬さんの穴が大きく、「浅輪(井ノ原快彦)の活躍+宗方(寺尾聰)」がそれを埋めきれていない。
 若手刑事・新藤(山田裕貴)のウザさもマイナス材料。(ここまで「2019年4月ドラマ雑感」の使い回し)

 3組のコンビが別捜査を行うのがこのドラマの特徴で長所だったが、脚本としては難易度が高く、未昇華なのもが多くなってきている。
 長期継続キャラが多く、消耗感が強い。津田寛治さんの痩せ型が心配。
 渡瀬恒彦さんのドラマでの収束を逃してしまった…

 
『科捜研の女 Season 19』
 『テレビ朝日開局60周年記念』として1年間放送されるので、レビューは無理(笑)。
 第1話は事件の真相は無理がありすぎだったが、“科警研の女”こと科学警察研究所の主任研究員・橘(檀れい)とマリコ(沢口靖子)が鑑定を巡り、火花バチバチに散らす戦いが面白かった。
 科学捜査の技術(道具)のレベルが高くなり、万能になりすぎた感があるが、科学捜査の面白さが感じられる。
 マリコの信念、あくなき真相究明、暴走っぷりに、他のメンバーの絡まれ方も絶妙(科捜研の他のメンバーや風丘先生(若村麻由美)が気の毒)
 第2話のバンクシーもどきの話で、犯人が逃亡の際、絵に描かれたドアを出口と勘違いして激突したという真相は面白すぎ!
 


『インハンド』
 寄生虫学者・紐倉(山下智久)、内閣官房サイエンス・メディカル対策室員・牧野(菜々緒)、お人好し医師・高家(濱田岳)の三者のキャラが良く、3人の掛け合いも面白い。室長・網野(光石研)など他のメンバーも個性的。

 第3話(観月ありさ・アンチエージングエピソード)と第6話(清原翔・ドーピングエピソード)などは疑問が大きかったが、命の尊厳などについてを毎回、天才寄生虫学者が冷静に語るシーンは説得力があった
 主要人物3人の掛け合いが絶妙だったが、それにとらわれることのないストーリーのテンポの良さも見事だった。
 最終エピソードは、功を焦った科学者たちが新型ウイルスを開発した動機は今一つ納得できなかったが、面白かった。
コメント (3)
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2019王位戦挑戦者決定戦 羽生九段ー木村九段 その3「難解な遁走」

2019-06-11 16:31:18 | 将棋
「その1」「その2」の続きです。
(複雑で難解すぎて脳がパンクしそう。記事にしたことを後悔中…)

 第6図で▲8一馬と突っ張った為

 △6一飛(第7図)と打たれ、是非もなしの▲7一歩成に△6六飛と切られ▲同歩に△6七銀と打ち込まれた第8図。
 9四の角が先手玉を睨み、先手の2筋3筋の金銀の壁も痛く、先手玉の危険度は非常に高い。
 銀打ちに▲同玉と取るのは上記の要素(後手角の睨みと先手金銀の壁)が手を組んで、簡単に詰んでしまう。
 となると、玉をかわすしかないが、その場所は4八か、4九か……

 羽生九段は、ほぼノータイムで▲4八玉。
 読み切っているのかと思ったが、その前手の△6七銀打に木村九段が14分考えているので、その考慮中にどちらに逃げるかを考えたのだろう。この時点(▲4八玉)での残り時間は羽生15分、木村12分。
 木村九段の14分の考慮は、△6七銀打と△7七銀成の比較と思われる。△7七銀成は桂を取りながらの開き王手で有力だが、以下▲7六歩と中合し△同角とさせ、後手陣への角の利きを無くしておいて▲6七桂で難解。

 羽生九段の▲4八玉に木村九段はさらに考え、4分を消費して桂を取っての△7七銀成(第9図)。
 
【棋譜中継の解説】
桂を補充しつつ9四角の利きを通し、△5八銀成からの詰めろをかける。現局面で(1)▲3六歩は△2五桂がいかにもぴったりだし、(2)▲4六歩だと△4九飛の好手があって、先手玉が詰む。(3)▲2七銀には△5九飛が妙手だ。


 先手の玉にうまい受けはなさそうだ…絶体絶命!?
 羽生九段も考慮に沈む。やはり、受けはないのだろうか?
 10分考えて(苦しんで?)▲8二飛。これで残り時間は5分となった。
 いつ飛車を打つかは非常に難しいが、実戦的には良いタイミングだったのではないだろうか?玉をかわすか、桂合するか、実に悩ましい。
 木村九段は2分考えて(これで残り6分)、△6二桂(第10図)。
【棋譜中継の解説】
代えて△4一玉(変化図3)がまさったかもしれないようだ。例えば、以下▲6三馬△3一玉▲5三馬△4二桂の進行は後手がやれそう。
「(△4一玉は)ちょっと怖くて」(木村)


 上記の解説は、大雑把すぎるが、“ニコニコ生放送”だったか“AbemaTV”だったか、△4一玉で後手必勝の評価値が出ていたが、△6二桂でほぼ互角に戻った。
 私は“ニコニコ生放送”はほとんど観ない。画面を流れていくコメントが羽生ファンの私に突き刺さることが多いからだが、この日は流石に形勢が気になってしまい、禁断の中継に手を出してしまった。


 これだけ評価値が激変するのなら、はっきりとした原因があるはず。

 二つの指し手の大きな違いは後手の持駒の桂の有無。
 なので、「先手が▲3九金と開いた玉の逃走路を△2六桂で封鎖できる」のがその理由かと思った。しかし、仮に△4一玉▲3九金に△2六桂と進めた場合、以下▲6三馬△3一玉▲5三馬△2一玉に▲2六馬でせっかく打った桂を抜かれてしまう。それに、先手が▲3九金の前に棋譜中継の解説のように▲6三馬△3一玉▲5三馬△4二桂に進めると、2六に打つ桂がなくなってしまう……ともっともらしい理屈を考えていたが、全然違った(笑)
 そもそも、▲3九金には△5八飛と打たれて後手必勝!
 △5八飛を王手で打たれてしまうので、第8図の△6七銀打に対しては▲4八玉ではなく▲4九玉の方が良かったのだ(▲4九玉は後手の9四の角筋に入ったままなので、何かの拍子に開き王手で駒を取られる危険性があるので指しにくいが)。他にも▲4九玉の方が良い理由があると思うが、割愛させていただく。

 まだ「△6二桂では△4一玉の方が良かった」理由の解明には至っていないが、それは実戦が進んだ少し後の局面で△4一玉の方が良かった一番の理由が浮かび上がる。
 それについては後述するとして、木村九段が△4一玉とかわさなかった理由を少し考えてみる
 △4一玉とかわすと▲6三馬△3一玉▲5三馬……といった具合に、後手はたくさん王手をかけられることを覚悟しなければならない。嫌な変化の一例として、△4一玉に▲6三馬△3一玉▲2四桂△2三玉に▲3六歩(変化図3-2)が先手玉の詰めろを解消しつつ、▲3二飛成△同玉▲2四桂△2三玉▲4一馬以下の後手玉への詰めろ、つまり“詰めろ逃れの詰めろ”になっている。

 タイミングを見て▲6七金と銀を補充する手もあるかもしれない。
 もちろん、変化図3-2では△2五桂と詰めろ逃れの詰めろがあり、大丈夫なようだが、残り時間が充分にあるのならともかく、△4一玉はいろいろ嫌な変化がちらついて、残り数分では踏み込めなかったのも無理はない。

「その4」へ続く
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2019王位戦挑戦者決定戦 羽生九段ー木村九段 その2「第6図の周辺(その1の補足)」

2019-06-09 21:22:26 | 将棋
前記事(その1)の補足です。

 
 第6図は、羽生九段が飛車を切って得た金を7八に打ち、木村九段も△5二玉と玉型の整備を強いられた局面。木村九段の強襲を羽生九段が巧みに受け止めた感がある。
 控室も「羽生九段良し」の雰囲気だったが、金打ちの補強をしたものの先手玉には嫌味が残っており、手駒も歩のみ、後手陣にいる馬と歩も後手玉との若干の距離があり、先手の指し手が非常に難しい。
 羽生九段の局後の感想も「△5二玉と上がられて、やっぱりちょっと苦しいのかなあ?」

 中継棋譜の解説では、(第6図から)
▲9一馬は、△6七銀成▲同金△5九飛▲同玉△6七角成(変化図1)と攻め込まれたときに先手の受けが難しいことが検討で確認された。(1)▲4八金は△8九飛(変化図1-A1)で、以下▲6八銀には△6九金(変化図1-A2)▲同玉△7九飛成▲同銀△6八歩▲同銀△7八金▲5九玉△6八金までで先手玉が詰む。(2)▲5八香にも△8九飛(変化図1-B1)が利き、以下▲6八銀(▲8九同金は△6八金から詰み)に△7八金(変化図1-B2)で後手勝ち。木村のほうはこれらの変化は対局中に読みきれていた様子だった」とある。


 
(1)変化図1で▲4八金の受けには、△8九飛(変化図1-A1)が鮮烈な一手!

 ▲6八銀と踏ん張って受けても△6九金(変化図1-A2)が巧手!
 以下▲6九同玉△7九飛成▲同銀△6八歩▲同銀△7八金▲5九玉△6八金で詰んでしまう。(▲6九同玉で▲6九同金は△同龍で簡単な詰み)

(2)変化図1で▲5八香の受けにも、△8九飛(変化図1-B1)が利く。

 以下▲6八銀(▲8九同金は△6八金~△5八金~△4九で詰み)に△7八金(変化図1-B2)で後手勝ち。△7八金では(1)と同様に△6九金と打っても良いようだが以下▲6九同玉△7九飛成▲同銀△6八歩に▲5九玉で失敗。

 では、第6図より▲9一馬は、△6七銀成▲同金△5九飛▲同玉△6七角成の変化図1は後手が勝ちなのかと言うと、▲4九銀(変化図1-C1)と受ける手があり、難解ながらも先手も指せるようだ。
(3)変化図1で▲4九銀の受け

 ▲4九銀(変化図1-C1)以下、△6六馬▲8一馬△7七馬が一例。


 さて、第6図では▲7一歩成が自然だ。
 この手に対しても、まず、本譜の▲8一馬に△6一飛としたのと同様な狙いの△6二飛(変化図2-A)の飛車打ちが考えられる

 しかし、この場合は▲5五馬(変化図2-A2)と引けるので先手が良いようだ。

 では、先程の変化図1の△6七銀成▲同金△5九飛▲同玉△6七角成(変化図2-B)は、どうだろうか?

 以下▲4八金の受けに対し、やはり同様に△8九飛を放つと……

 今度は後手陣にある先手の攻め駒の位置(状態)が違うので、▲6三銀(変化図2-B2)の切り返しが鮮烈!

 △6三同玉は▲7二馬以下の詰み。
 玉をかわす手には飛車で王手していくと、4一に金合いを強要でき、それから▲8九金と飛車を取れば先手の勝ちとなる。
 ただし、変化図2-Bの△6七角成に▲4八金と受けた時、△8九飛の一手ではなく、他の手段も考えられるが、後手の指し手に応じて▲6三銀や▲7二飛が有効になるので、▲7一歩成に対して△6七銀成~△5九飛~△6七角成と切り込む手は無理なようだ
ちなみに、先の変化▲9一馬の時は、▲6三銀は△同玉でうまくいかない。

 
 第6図から▲7一歩成とした局面に戻って、△8七銀成(変化図2-C)▲同金△8四飛(変化図2-C1)も考えられる。

 これに対しては、いろいろ対応が考えられるが、一例として▲8五歩と8二の馬を献上してしまう手が面白い。
 ▲8五歩以下△8二飛▲9五歩△8三角▲8四歩△9二角▲8三銀(変化図2-C2)△6二飛▲9二銀成△同香▲8一とでバランスは取れていると思う。



 という訳で、第6図では先手が若干有利だが、先手の方が何かと神経を使わないといけない局面(変化)が多く、勝つのは大変かもしれない。

「その3」へ続く
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2019王位戦挑戦者決定戦 羽生九段ー木村九段 その1

2019-06-06 23:07:20 | 将棋
一昨日、何とか王位戦白組リーグ・プレーオフ(1位決定戦)で永瀬王位を破り、王位戦挑戦者決定戦に進出した羽生九段でしたが……
木村九段に敗れて、無冠返上の機会は遠のいてしまいました。木村九段には竜王戦に続いての敗局。A級順位戦でお礼をするのが礼儀というものでしょう。


木村九段とはこれまでまで32勝16敗、つまり3局指せば2勝するという対戦成績だが、直近10局では5勝5敗の互角。2016年の王位戦でも4勝3敗の激闘を繰り広げている。
「形勢はともかく、いつも中盤では羽生九段が勝つのが大変な将棋に誘導されている」というイメージがある。羽生九段が軽視していた仕掛けを踏み込まれ、主導権を握られてしまうのである。
それでも何とか踏みとどまり、終盤、羽生九段が競り勝つことも多いが、木村九段の強気の受けを喫し、受け潰されてしまうことも多い。



 将棋は横歩取り戦。2010年ごろ流行し、その後は細々と年に数局指される程度で、いちばん新しい前例は2017年8月の▲羽生善治三冠-△松尾歩八段戦(肩書は対局当時)【中継サイトの棋譜解説の情報】


 第1図の7手前の△8二歩で前例を離れ、未知の局面になっている。
 素人目には、△7四銀から▲7六飛に△9四角と打たれ、飛車が逃げると桂頭に△7六歩と打たれる手がちらつくが、解説には「▲9六歩でその筋を牽制している」とある。
 しかし、やはり桂頭の弱点、飛車の不安定さ、自玉の2、3筋の壁形など先手の苦労が多そうな気がして仕方がなかった……


 第1図以下、△8四飛▲9五角△7四飛▲同飛△同銀と理解が難しい手順の後、▲7二歩の手裏剣を飛ばし6一の金を動かし▲5一飛を狙い、△7三歩を強要し、△7六歩の筋を消して、局面の均衡を保ったのは流石。


 しかし、数手進んで第3図。△6六歩が嫌味な嫌味な絡みの歩。▲6六同歩は角で王手されて困る。
 どうするのかと思ったが、▲5五角と一旦6六の地点をカバーしておき、△7五銀の援軍に対し、▲6五飛の返し技(第4図)。


 木村九段は△6七歩成▲同銀を決めた後、△7四歩と銀に紐をつけ、力を貯める。
 いったん緩め、さらに“角を成ってきても構わない”という強気な手だ。
 先手も角を成り込むと6六の角の利きが消えて自玉の危険度が増すので、躊躇が働くが、羽生九段も強気に▲8二角成を決行。
 先手も△6六歩で危険だが、後手玉も8二の馬、7二の歩、6五の飛に後手玉のこめかみ付近に狙いを定められ、危険度が増している。
 ▲8二角成以下、△7六銀、▲6七歩で第5図。
 

 ▲6七歩は飛車より6七の地点の死守を優先させた手。
 木村九段も“飛車よりも6七の地点が急所”と△9四角と角の狙撃手を配置。(△6五銀と飛車を取ると▲6五同桂が後手玉頭の脅威となる)
 羽生九段、▲6一飛成と切り飛ばして得た金を惜しみなく▲7八金打(▲6八金打もあるかも)と投入。飛車を2枚手持ちにさせても、敵駒を侵入させなければ▲7一歩成からぼちぼち攻めれば良いというのだろう。
 そこで、ともかく、△5二玉と危険地帯から後手玉を遠ざけたのが第6図。


 おそらく、第6図は先手の羽生九段に少し利のある局面であろう。
 しかし、手駒を加えた▲8一馬が強気過ぎた
 △6一飛が8一の馬取りと先手玉の6筋に狙いを付けた絶好の一着となった。


 もちろん、飛車打ちは羽生九段も織り込み済みだったとは思われ、△6一飛に▲7一歩成△6六飛に堂々と▲6六同歩と取り、後手玉に迫るべく飛車を手にする。 
 しかし、ドカーンと△6七銀打と銀をぶち込まれてしまう……大丈夫なのか?
 (△6七銀打では△7七銀成りと桂を取りながらの開き王手も怖い。以下▲7六歩と中合し△同角とさせ、後手陣への角の利きを無くしておき▲6七桂で勝負)


 (第6図での先手の最善手については「その2」で補足する予定です)
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羽生九段、歴代単独1位 1434勝達成!

2019-06-05 21:24:47 | 将棋
 既にテレビ・新聞・ネットなどで報じられた通り(非常にありがたく、嬉しい)、
昨日(6月4日)、第60期王位戦挑戦者決定リーグ白組プレーオフで永瀬拓矢叡王に勝利し、通算勝数1434勝を達成。大山康晴十五世名人の持つ最多勝数記録を更新し、歴代単独1位となった。

 昨日は棋聖戦第1局も行われていたが、まったく見る余裕がなかった(精神的に)
 ちなみに、豊島棋聖(名人・王位)は、前年度成績は35勝20敗(0.636)、今期は7勝0敗(7連勝中、直近10局は9勝1敗で、1敗は渡辺二冠に喫したもの)。
 対する挑戦者の渡辺棋王・王将は、前年度成績は40勝10敗(0.800)、今期も6勝0敗(10連勝中)

 まさに、“現・最強者”決定戦であり、第1局は好レベルの白熱の攻防だった……らしい(本日確認)


 それはともかく、この通算最多勝利記録は長年の積み重ねによる記録で当然、一朝一夕では達成できない大記録ではあるが、負けたら御和算になってしまう性質ではないので、昨日敗れても、近いうちに達成はできるはずである。
 しかし、先日の竜王戦1組3位決定戦で木村九段に敗れ(今期の竜王位復位がなくなったのは残念)、昨日敗れれば2度続けて大勢の報道陣に空振りをさせることになってしまう。
 そうなると、その次の対局では更に重圧が掛かり……もし敗れると、更に……
 それでも、数局後には大記録達成することは出来ると思うが、これでは、世間的にイメージが悪いし、棋士の羽生九段に対する信用度も低くなってしまう。

 最悪に近いシナリオを描いてしまうのは私の悪い癖だが、昨日の対局相手は永瀬叡王。
 3年前の棋聖戦では、永瀬六段(当時)の挑戦を退けてはいるものの、対戦成績は3勝7敗。これは初対局から4連敗が響いており、その後は3勝3敗ではあるが、直前の王位リーグ戦では完敗を喫しており、“羽生キラー”というイメージは払拭できていない。
 竜王戦の対木村戦の内容も良くなかったので、昨日は気が気でなかった。


 昨日の将棋は、永瀬叡王の攻めを見切って、きっちり受け切りの勝利。
 まるで“羽生善治”のように強かった(笑)!



 明日は、王位戦挑戦者決定戦。
 王位挑戦の視点で捉えると、明日敗れると昨日の勝利も無駄になってしまう。
 対戦相手は木村九段。竜王戦で敗れているという意味も合わせて、是非、勝ちたいところだ。

 

参考までに、
【日本将棋連盟サイトより】
通算勝数ベスト10(2019年6月4日対局分まで)
No. 棋士名      対局数    勝敗       勝率  持将棋
1 羽生善治九段    2027対局   1434勝 591敗    0.708   2
2 大山康晴十五世名人 2216対局   1433勝 781敗    0.647   2
3 加藤一二三九段   2505対局   1324勝1180敗    0.529   1
4 谷川浩司九段※   2167対局   1318勝 846敗    0.609   3
5 中原誠十六世名人  2093対局   1308勝 782敗    0.626   3
6 内藤國雄九段    2132対局   1132勝1000敗    0.531   0
7 米長邦雄永世棋聖  1904対局   1103勝 800敗    0.580   1
8 有吉道夫九段    2090対局   1088勝1002敗    0.521   0
9 佐藤康光九段※   1660対局   1032勝 628敗    0.622   0
10桐山清澄九段※   1926対局    993勝 933敗    0.516   0
※谷川浩司九段、佐藤康光九段、桐山清澄九段の成績は、未公開の対局を除く

コメント (2)
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棋士雑感 その2 佐藤天彦九段

2019-06-03 15:55:14 | 将棋
ここ1年の将棋界を振り返り、思い浮かぶ棋士について、気ままに書き連ねてみます。
(本来ならば、『棋士活躍度ランキング』を集計しなければならないのですが……)
    「その1 羽生善治九段」

今回は昨年度の名人戦で羽生竜王・棋聖(当時)の挑戦を退けた佐藤天彦九段
 奇しくも、前回の羽生九段と同様に肩書きが「九段」となってしまったが、例年同様、名人戦を戦いながら調子を上げていった前年度前半。14連勝、2連敗、6連勝と5月19日~11月9日の期間は20勝2敗と無双の強さ。
 しかし、その後、失速し(これも例年通り?)、年度末までは6勝10敗。調子を落とし始めた頃に、最強メンバーが揃った王将戦挑戦者決定リーグ戦に巻き込まれた?のも要因か。
 王将リーグのメンバーは佐藤名人の他に豊島王位・棋聖、郷田九段、糸谷八段、渡辺棋王、中村太七段(王座を失冠)、広瀬八段(その後竜王)で、佐藤名人は3勝3敗、順位の差でリーグ陥落。リーグ終盤の対豊島、対糸谷戦で連敗したのが痛かった。
 この王将リーグで消耗したのか、季節的に相性が悪いのか、12月17日以降は2勝6敗とさらに失速。2018年度の佐藤九段の成績は27勝15敗、.643。

 そして迎えた今期の名人戦。挑戦者は豊島王位・棋聖。羽生、菅井を破って、棋聖、王位を奪取、A級順位戦を8勝1敗で勝ち抜いた最強の挑戦者。
 「年度後半は成績は振るわなくても名人戦を戦いながら調子を上げていくのが佐藤天彦」……勘ぐりすぎかもしれないが、「名人戦用に戦型を選択し、研究を試し、奥の手を用意する」気配もある。
 「序盤・中盤・終盤、隙がない豊島二冠」が、羽生九段を屈服させた強さを発揮する名人戦での佐藤天彦将棋を凌駕するか、興味深かった。

 結果は豊島二冠の四連勝。
 研究でも豊島二冠にやや上回られ、指し手においても深いはずの懐を突き破られてしまった感がある。
 テニスに例えると、佐藤名人は緩急を駆使し、コースもコーナーを突いたが、豊島二冠が対応し強い打球を打ち返し、徐々に追い詰めていったという印象がある。
 それにしても、0-4とは!

 正直、今期の佐藤-豊島戦で、佐藤天名人の強さの構造と弱点が見いだせるのではないかと期待していたが、豊島名人に勝つのはさらに難しいような気も……(笑)

 今期のA級順位戦、佐藤天九段の初戦は羽生九段。
 正直、もう少し後で当たってほしかったが……。ともかく、注目の対局である。
 
 
 
 
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