英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

うる星やつら 「最後のデート」 【追記あり】

2024-06-08 17:39:37 | アニメ
 好きなアニメ、名作アニメ、思い出のアニメとか……数多くのアニメが頭に浮かぶが、単純に好きで楽しめたアニメと言ったら、何と言っても『うる星やつら』である。
 漫画の週刊誌は、買った冊数は『ジャンプ』が一番多く、それに次いで『サンデー』だったと思う。『うる星やつら』は『サンデー』が『うる星やつら』の連載が始まったころは、購読しておらず、『うる星やつら』を知ったのはテレビアニメだった。

 『うる星やつら』に関しては、きちんと別記事で書きたいと思っているので、今回は表題の「最後のデート」について。(ただし、『うる星やつら』総論?がいつになるかは、全く不明)
 実は、この「最後のデート」は私の最も好きなエピソードである。

【ちなみに、ウィキペディアによると】
 原作者の高橋留美子氏自身のお気に入りの作品は原作第3話の「石油が町に降る話」(原題「悲しき雨音」)と、水乃小路飛麿が最初に出てきた話(原題「白球に賭けた青春」)と、あたるが幽霊少女・望の願いに応える「最後のデート」。一番気に入っているコマは、「最後のデート」で、あたると幽霊の望がデート中に花火を見上げているシーンだという。

 さて、このエピソードでは、主人公のあたるがメチャクチャいい奴なのである。
 諸星あたると言えば、フィアンセのラム(宇宙人、地球征服に来たが、地球を懸けての鬼ごっこに敗れて、あたるの婚約者となった)を邪険に扱い、手当たり次第に女性にアタック!
 ほぼ100%拒絶されるのだが、そんなことにお構いなく、アタックし続ける。本人が拒絶されることを全く予感していない(自分に自信がある)ということもあるが、アタックすることが習性と言うか、ライフワークというか…生きがいなのである。
 ”うる星ワールド”の登場キャラからは熱愛状況(リアル世界でも激烈ファンは多い)のラムだが、あたる一途で邪険にされてもひたすら慕う。
 まあ、よく観ると、あたるが目指すのは”ハーレム状態”だが、それに加えて《ラムに追っかけられる》という条件が必須……というエピソードが時々展開される。
 で、この話のあたるは、別人じゃないかと思われるほどいい奴なのである。




 発端は、ナンパしに元気よく走り抜けているのを病室から少女・望が眺めている。望にはあたるが《目標に向かって走る元気で爽やかで素敵な男性》に見えるらしい。
 彼女は「あたるに自分の恋心を伝え、デートしたい」と強く思うようになった……が、クリスマスイブに短い一生を終えてしまう………

 時は流れ、暑い夏の日。
 学校の養護教諭で巫女(霊能力者)であるサクラが、あたるにデートの依頼をする。
 あたるは大喜びで桜に突進するが、「話をちゃんと聞け!私ではな~い!」と、どつかれる。
 さくらではなく。“とある”少女で、何やら“いわく”ありげ……「じゃ、そういうことで」とスタスタ歩き、去ろうとする。まあ、こういうところは、“いつものあたる”ではある。

 で、実際、幽霊少女の望みが姿を見せると、かわいいと思ったようだ。「私なんか…」と卑下する望に「チャーミングじゃないか!」と言い切るあたる。《かわいければ、幽霊でもいいんだな》と思うが、この日のあたるは優しい。
 あたるに渡そうと思っていた、マフラーやニット帽、手袋、レッグウォーマーを暑さの中でも嬉しい顔をして身につける。さらに、望みが渡そうとするセーターを拒絶しかけたが、「これは編み掛けなの……死んじゃったから」

 で、当然、嬉しそうにセーターを着て、遊園地に行くあたる。
 デートなのであたるもそのつもりで望に話しかけるが、周囲の者には《この暑いのに冬のような格好で、独り言をいう気の毒な人》にしか見えない。まあ、あたるは周囲の目など全く気に掛けない男だが、さすがに真夏の暑い日に真冬の防寒着のいでたちは辛い。様子を見るため後からついてくるラムやサクラたちも心配する。
 遊園地で楽しそうにデートするふたりだが、夜になっても望みが成仏しそうにない。望の日記を読むと《ホワイトクリスマスを夢見ている》らしい。しかし、真夏なので雪が降るわけがない。限界近いあたる…ラムたちが途方に暮れる…(登場キャラの“おユキ”でも連れてくれば解決かも)

 そこで、遊園地のイベント、花火が打ち上がる。
 落ちてくる花火の火の粉が、舞い散る雪に見え……「ありがとう」と言いつつ、姿が消えていく望…………成仏……。

 望みが去った後、「暑いからセーターなどを脱いだ方が良い」と勧められるあたるだが「もう少し着ている……」ともう見えない望みを見送る………

【追記】
 望の墓を参るあたるとラム
「ダーリン、やさしかったチャね」
「ふん、俺はいつだってやさしいワイ(ある意味、事実)
 それに、あの子の夢、こわしちゃ可哀そうだもんな」

「あ~あ、うちも幽霊になろうかっなあ~」
「何言ってんだ、ば~か」【追記・終わり】




 私が一番好きなエピソードだ。
 ちなみに、2022年から新装版として再制作。
 2024年1月から第2期が放送されている………福井だけ4月から放送開始。田舎なので電波が届くのに時間がかかるのだろうか?
コメント (2)
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すずめの戸締り

2024-04-30 17:47:37 | アニメ
【ストーリー】公式サイト:冒頭部分のみ(全文は文末に)
 九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。
 彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。


 というのが冒頭シーン……ではなく、幼い女の子が泣きながら必死に母を探している。しかし、母は見つからず、泣き暮れているところから始まった。……そこに、人影が……
 そこで、ヒロインの鈴芽(すずめ)が目を覚ます。冒頭のシーンは鈴芽の夢だった。と言っても、全くの夢や幻ではなく、遠い過去の記憶や前世の出来事だったりと、物語の根底にあるモノとか、重要な鍵であることがほとんど。(映画やドラマでよくある手法で、それをどうこう言うつもりはない)

 詳細の感想はネタバレになってしまうので、まず、さっくりとした感想を。
 夢から覚めた鈴芽、母(実際は叔母)との朝の会話、登校と日常生活が始まったが、登校中、「この辺に廃墟はないか?」と尋ねられる。心当たりを教えて別れるが、その青年に何となく既視感を感じ、気になり廃墟へと向かう。
 そこで、異次元?への扉を見つけ、水没していた石像らしきものを引き抜く。すると、それは猫のような小動物に変化し、その場を走り去ってしまった。怖くなった鈴芽も、その場を逃げだし学校へ。
 昼食中、廃墟のあるあたりから黒い煙を目撃するが、それが見えるのは鈴芽だけ。その煙が、どんどん大きくなり龍のような形を成していく。ただ事ではないと、再び廃墟へと走る。

 異次元への扉を開き、不可思議な冒険が始まる……冒険と言うより、困難苦難の連続だが、《どうなる?》という好奇心でコマーシャルをスキップする(金曜ロードショーを録画したものを、3数日前に視聴)。
 『すずめの戸締り』というタイトルから、異次元と現世を管理する雀が扉を閉め忘れ、それを偶々見つけたヒロインが異世界に迷い込んでしまった……『不思議の国のアリス』的なストーリーかと思ったが然に非らず(さにあらず) 。
 また、得体のしれない石造を引き抜いたため大変な騒動が起きる『学校の怪談』的な展開かと思ったが、もっと大変だった(『学校の怪談』では石像ではなく、土偶か埴輪)
 “考えるより行動が先”になるヒロインということもあって、展開が早くぐんぐん引き込まれる
 日本各地を旅するその風景が美しかったのと、異世界の風景や異形のモノの描写も神秘性や迫力があった。
 ただし……
 物語の設定や展開に納得がいかないモノが多かった。視聴者(観客)を置き去りにする不親切さも感じた。
 それと、設定の題材に疑問を感じる人が多いかもしれない



★以下はネタバレを含みます
【設定について】(よく分かっていないところもありますが)
“ミミズ”と“閉じ師”
 廃村(ゴーストタウン)、閉校、閉園した遊園地など、人の生活エネルギーや思いが欠落してしまった場所に異世界(常世)と現世をつなぐ扉の“後ろ戸”が出現する。(ラストシーンで草太は「人の心の重さがその土地をを沈めているんだ。それが消えて後ろ戸が開いてしまった」と語っていた)
 その後ろ戸から災いを成すものが現世に侵入し災いを起こす。この物語では、ミミズが大地震を引き起こす。
 普通はミミズではなくナマズだと思うが、ナマズだと出現してから倒れ込む(地震発生)までの時間が少なそうで、ミミズ(長いモノ)にしたのだろうか?
 その“後ろ戸”を見つけ、常世にミミズを押し返しを閉め鍵を掛ける……所謂、“戸締り”をするのが、「閉じ師」である草太の役目なのだという。

 草太も即行動タイプ。壊れた子供用いすにされたにもかかわらず、ダイジンを追って街に飛び出す。フェリーに乗った大臣を追って愛媛まで行き、そこで、「今までありがとう、鈴芽さん。ここでサヨナラだ。気をつけて帰りなさい」と椅子の姿でトコトコ歩いていこうとする。結構、短絡的の考え足らずだ。おまけに、寝起きも悪い。

要石のダイジンとサダイジン
 ゴーストタウンの後ろ戸のそばに設置されていた石像のようなモノ。ミミズを抑える役割を担っていた。
 要石は2つ。西のダイジンと左のサダイジン。

 ダイジンはSNSで名付けられた名だが、ルミのスナックで客としていた時、“ダイジン”と名乗っていた。一般人には人に見えるような術を用いていたようだ(鈴芽と草太には猫のままに見える)。本当に“ダイジン”という名なのか、SNSで名付けられたのを使用したのかは不明だが、“サダイジン”は本名?らしいので、“ダイジン”も本名なのかもしれない。“サダイジン”は鈴芽に尋ねられ、環の口を借りてそう答えていた。
 草太は要石の名は知らなかったようだ。草太の祖父は、大臣とは既知の仲で(名称で呼びかけはしなかった)、敬っていた。もしかしたら、草太の祖父がダイジンを要石として設置したかもしれない。

 ゴーストタウンで鈴芽に引き抜かれ解放され、生身?の猫に戻り、その場から逃走。
 要石が抜かれたせいで、ミミズは活発化し各地の後ろ戸から現世に出現し災いを成そう(地震を引き起こそう)とした。
 ゴーストタウンの扉を何とか閉め鍵を掛けたが、草太の怪我の処置をしている時に現れ、餌をもらう。
 愛らしいダイジンに、鈴芽は「うちの子になる?」と何気なく声をかけると
「すずめ やさしい すき」「お前(草太)、邪魔!」と言い、草太を3本脚の“子ども椅子”の中に閉じ込めてしまう(草太を子ども椅子の姿に変えたとも考えられるが、食べる必要がないようなので、“閉じ込められた”と考えられる)
 鈴芽が好きで、一緒に居たいダイジンにとって、草太は邪魔な存在。排除するついでに、自分の代わりに草太に要石の役目を押し付けた。自分を要石にした“閉じ師”への仕返しかもしれない。
 客を招く力があるのかもしれない(ルミのスナックが、やたら賑わった)

 サダイジンは東京に設置されていた要石。大きな黒猫の姿。
 東北へ向かう途中のサービスエリアで環に憑依し、環の心の奥にあるモノを吐露させた(後述)。その後、実体を出現し、歯向かうダイジンを簡単に撃退。以後、旅に同行。
 
 ダイジンがあちこちに出現し、SNSにアップされている様子を見た草太は
「気まぐれは神の本質だからなあ」
と呟いていたので、神様の一種と考えられる。

鈴芽の“戸締りの旅”
宮崎県の“静かな町”……鈴芽の住む町。今回の発端の地。後ろ戸はゴーストタウン(リゾート地?)の植物園風の建物
愛媛の廃村……土砂崩れ?によって、廃校になった中学校の生徒玄関が後ろ戸になっていた。民宿の娘(高校2年生)の海部千果と出会う。
神戸の遊園地……閉園になって長い。後ろ戸は観覧車のワゴン。なぜか、電気系統は稼働。愛媛でスナックのママ・二ノ宮ルミの車に拾われ、世話になる(ルミの息子と娘の託児係や、店の下働きでこき使われる?)
東京……東の要石も存在。地下鉄の地下軌道の脇の広場に後ろ戸があった。要石も抜け、ミミズ本体が東京上空を覆って降りてくる。降り切ってしまうと、関東大震災の再来。要石となった草太(形態は椅子)を突き刺してミミズを沈める。草太の友人・芹澤朋也と出会い。鈴芽が東京の後ろ戸を戸締りを終え、東北に向かう時にタイミングよく現れ、東北の旅につき合う。東京出発時にダイジンと環も同行。途中のサービスエリアでサダイジンも合流。
東日本震災の東北の被災地……鈴芽の生家の跡地付近に後ろ戸が存在。震災時に鈴芽が後ろ戸から常世に迷い込んだらしい(後述)。鈴芽とダイジンが“草太椅子”を抜き、要石の役から解放。鈴芽と草太がダイジンとサダイジンを要石としてミミズに突き刺し、沈静させる(後述)。その後、常世に居た幼少期の鈴芽と出会う(後述)。後ろ戸を閉め、鍵を掛けて終了。


謎や疑問点(問題点も併記)(私の理解力不足があるかもしれません)
主要登場人物が口下手?(きちんと説明する気がない)
 鈴芽も草太も、“即行動タイプ”(口より手が先)。“ミミズ”に関しての知識は何もない鈴芽(視聴者)に対して、草太は多くを説明しない。椅子にされたうえ、ダイジン逃走、ミミズ発現と緊急事態が発生するので仕方がないとは思う。しかし、ラストシーンになって草太は「人の心の重さがその土地をを沈めているんだ。それが消えて後ろ戸が開いてしまった」と語るのは、遅すぎる
 ストーリー前半で、「“後ろ戸”になっていた」というセリフがある。《“後ろ戸”と云うからには、“前戸”があるのか?》、《鈴芽が後ろ戸から見える常世に行こうとして、行ったり来たりして、前から入ったところでやめたので、“後ろ戸”という状態になってしまった?》などと思ってしまった

(東京の“後ろ戸”越しに、要石になってしまった草太を見た鈴芽が、助けに行こうとするが、そこは常世なので行くことができない。そこで、草太の祖父を尋ねるが、
「人がくぐれる後ろ戸は生涯ひとつだけ」だと言う。
 ……《じゃあ、もう常世に行くことはできないのか》(生涯に一度だけしか後ろ戸をくぐって常世に行けない)と解釈したが、《他の後ろ戸では常世に行けない。くぐれる後ろ戸は一つだけ》という意味で、くぐれる後ろ戸は一つしかないが、何度もくぐって常世に行けるらしい。「生涯ひとつだけ」という表現にで、誤解してしまった。

“閉じ師”と“戸締り”に関する疑問
“閉じ師”について
………代々受け継がれている神職?
 ただし、それだけでは生活できないらしく、草太は教職に就く予定(今回の騒動で、採用試験を棒に振ったが……)
 全くの無給か、薄給なのかは不明。給料(手当、報酬、お礼)が支給されるのか?
 団体、協会とかいう組織があるのか?他に、閉じ師がいるのか?
 そもそも、草太の両親は?
 今回の一大事が収束した後も、後ろ戸を探して旅をするので、閉じ師がたくさん存在するとは思えない。

“戸締り”について 
………後ろ戸を見つけて、祝詞(呪文)を唱えながらミミズを後ろ戸の内側の常世に押し込め、扉を閉じて、鍵を掛ける
 《“人の心”(人の生活)が消えると後ろ戸》が開くのなら、現代日本では、至る所で後ろ戸が開きそう。
 草太には後ろ戸に対して予知能力も感知能力もない(希薄)ので、今回を見る限り、間に合うとは思えない。
 もっとも、今回は要石が抜けてしまったので、後ろ戸の発生頻度が高く、ミミズの侵入速度が速いのかもしれない

やはり口下手な要石たち
 草太を椅子に変え、各地で後ろ戸を開け回る(ように見えた)“かまってチャン”に思われた。実は、要石の役目を放棄したものの、後ろ戸を放置できず、鈴芽に警告していたようだ。鈴芽に好かれたかった気持ちもあったようだ。
 不穏な登場の仕方をしたサダイジン(後述)に対し、戦いを挑んだダイジンだったが敢え無く撃退される。一見、サダイジンの悪の所業のように思われたが、おそらく責務を放棄したダイジンを戒めたのだろう。これも、分かりにくい。

 制作サイド(脚本)は、“ネタバレ防止”に努めたようだが、不親切すぎ。


 ネタバレ防止の為の説明不足や設定に無理があるというのは、ある程度は仕方がないと考えるが、一番納得できなかったのは、
《東北の旅の途中のサービスエリアでの鈴芽と環の言い争い》
今回の家出(←環にはそうとしか思えない)について、
「話しても分からない事だから、環さんには」
「環さんこそ帰ってよ。ついてきてなんて頼んでない」
という鈴芽の言葉に、激怒する環。
「あんたには分からんと!あたしがどんだけ心配して来たか?」
「それが私には重いのっ!」
そして、キレる
「はあぁぁ……もう、私……しんどいわ!
 鈴芽を引き取らんといかんようになって、もう10年もあんたの為に尽くして、バカみたいやわ、あたし。
 どうしたって気ぃ使っとよ、母親亡くした子どもなんて。
 あんたがいたから、ウチに人も呼べんかったし。
 コブ付きじゃ、婚活だってうまくいかんかったし。
 こげな人生、おねえちゃん(鈴芽の母)のお金があったって、全然割が合わん!」
「……そう…なの?
 でも、私だって、来たくて一緒にいたんじゃない。
 環さんが言ったんだよ、“うちの子になれ”って!

そんなの覚えちょらん!
 あんたぁ!ウチから出てってよ!あたしの人生返してよ!


 サダイジンは環の心の奥にある不満を吐き出させて、鈴芽にもそれを理解させ、環自身のモヤモヤも一掃させようとしたのだろう。
 実際、環は鈴芽に対してどこか遠慮と言うか距離を置いて接していたように推察できるし、そのせいか、いつもカリカリしていたように感じる。鈴芽も環のそんな距離感を感じていて、鈴芽も遠慮というか、心を100%ゆだねてはいなかったようだ。
 ただし、本音ではないと言え、心の奥にある気持ちであることには変わりはない。鈴芽もサダイジンが言わせた言葉であるとは理解できるが、全くの嘘ではない心情を、環の姿で環の口から環の声で発せられたことはトラウマになってしまうのではないだろうか?
 このシーンは、鈴芽が何気なくダイジンに「うちの子にならない」と声を掛けたのとリンクさせていると思うが、必要なシーンだったのだろうか?
 それはそうと、鈴芽も今回の戸締りの旅について、環に説明しなさすぎ!


冒頭シーンで、鈴芽に近寄った人影は?
 《実際に震災時に鈴芽が体験》、《後ろ戸から鈴芽が覗き見たビジョン》で登場した人影を鈴芽は母親だと思った。それで、「死ぬのは怖くない」…常世(あの世)に行けば母に会えると思ったようだ。しかし、今回の旅で、《草太がいない世界になるのが怖い》という気持ちになった。
 で、その人影だが、実は自分だった。草太の靴、草太が掛けてくれた上着(コート?)を身に着けていたので、最初、草太を観た時、あの人影の人物かと思ったフシもあったが、そのせいで、まさか自分だったという発想はなかったようだ。その時の記憶もはっきりしないし。
 おそらく、このタイムパラドックス的な仕掛けも、新開氏がやりたかったことなのだろう。
 母を失い(行方不明)、明日を観ることができない幼い自分を、まさに“明日そのものである自分”が励ます……素敵なシーンだ。
 今回の旅で、草太、千果、ルミ、芹澤、そして環の心に触れ、成長した鈴芽だから励ますことができたのだ。


細かな疑問 
不可解な椅子の輪廻
①母親の椿芽(つばめ)が作製
②鈴芽の部屋で3本脚状態の椅子←草太が閉じ込められる
③草太椅子と鈴芽が戸締りの旅
④東京で草太椅子は要石と化す(常世で存在)
⑤東北の後ろ戸から、鈴芽が常世に行き、草太を要石から解放(3本椅子と草太が分離)
➅常世で幼少の鈴芽を見つけ、3本椅子を渡して励ます
⑦環が3本椅子と一緒の鈴芽(幼少)を発見。その後、宮崎の鈴芽の部屋に存在
………という流れで、⑦→②というループになる。
 ①で作成された椅子は震災で足が1本欠落したと想像できるが、その後どうなったのか、途切れている。全くの謎だ!
 常世で鈴芽が幼少鈴芽に渡したのは、震災当時の椅子ではなく、宮崎の鈴芽の部屋で草太が閉じ込められた椅子なのだから……

  
草太の部屋の書物で肝心な部分が黒塗り?
 東の要石の場所を調べたが、肝心の部分が黒塗りにされていたのは何故?

要石だったダイジンは現世側にあった
 宮崎のゴーストタウンの後ろ戸付近で、大臣の要石を鈴芽が抜いたが、その場所は現世と思われる。
 東京上空で要石としてミミズを封じた草太椅子は常世に存在していた事に反している。

東の要石のサダイジンを抜いたのは誰?
 これは、西の要石のダイジンが抜かれてしまったことに連動して、抜けてしまったと考えられる。要石の効力が弱まったため、ミミズが抜いたのかもしれない。

解放されたサダイジンが、しばらく所在不明
 東京で解放されたサダイジンだが、サービスエリアに出現するまで所在不明。何をしていたのか?


最後に
 超巨大な不幸・悲しみを生み出す大地震を題材にするというのは、決断が必要だっただろう。
 しかも、要石の力もあったが、《若い男女の力(決死の思いはあったが)で巨大地震を防ぐ》という物語は、大バッシングを浴びるかもしれない。
 実際そういうバッシングを受けたかもしれない。(私は、今回のテレビ放送までこの『鈴芽の戸締り』を全く知らなかった)
 私自身、震災被害は全く受けていないので、その件に関して意見を言うのははばかられるが、支持したいと思っている。




【ストーリー】公式サイトより
 九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。
 彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…。

 扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、草太は扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。すると、二人の前に突如、謎の猫・ダイジンが現れる。
「すずめ すき」「おまえは じゃま」
 ダイジンがしゃべり出した次の瞬間、草太はなんと、椅子に姿を変えられてしまう―!それはすずめが幼い頃に使っていた、脚が1本欠けた小さな椅子。逃げるダイジンを捕まえようと3本脚の椅子の姿で走り出した草太を、すずめは慌てて追いかける。

 やがて、日本各地で次々に開き始める扉。不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”。
 旅先での出会いに助けられながら辿りついたその場所ですずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。
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「いつまで待てばいいのか……面白くなるんですか?」の結果報告? ~~『アンダーニンジャ』~~

2023-12-25 21:16:39 | アニメ
1か月前(11月22日)に「いつまで待てばいいのか……面白くなるんですか?」
『アンダーニンジャ』について
《主人公を含めた男性キャラが、絵的にきたない。性格などを含めて、魅力なし》
《時間が行ったり来たりで、混乱する》
など、かなり辛辣なことを書いた。
ただ、巷では《つまらない》に混じって、《途中から非常に面白くなる》という意見もあったので、視聴を継続したものの、なかなか面白くならない。で、業を煮やして、記事を書いた次第。
 同じような主旨で、『パリピ孔明』について「いつまで待てばいいのか……その2」(11月27日記事)も書いている。で、その結果報告?が「失礼しました。面白かったです!」(12月1日記事)。 

 『アンダーニンジャ』の方はというと……
………記事の後、少しずつ面白くなった。しかし、30%増くらい。“3割増し”というと、結構なアップかもしれないが、元が良くなかったので、《面白い》のラインには到達してはいない。《見て損をした》よりは良い程度(ごめんなさい)


【評価のプラスポイント】としては
・ドラマやアニメの評価ポイントのひとつ「《どうなる?》《どうストーリーが展開する?》《どういう結末になる?》の好奇心が湧くか?」をクリア
・大がかりな設定でありつつ、緻密なストーリー
・戦闘シーンの緊迫感、シビアさ
・最終回が、衝撃だった
(第2部も制作決定とのこと)
などがあった。

しかし、全記事で書いた➀~③のマイナス点は多少改善したものの、最後まで持続
➀設定がややこしいのに、説明がほとんどなく(アニメの終盤に結構詳しく語ってくれたが)、不親切なので分かりにくい。アニメの前半部分で、時間の逆行が多かったことも、分かりにくい要因。
②展開が遅すぎ(特に、ニンジャを探す外国人諜報部員のエピソードは要らない)
③魅力がない登場キャラが多い(特に主人公)

新たなマイナスポイントとして
④敵キャラとして大暴れしたニンジャ養成組織で落ちこぼれが、最新装具で大暴れしたが、そいつが下衆過ぎ
⑤(上記の④に付随して)そいつに武器を与えた組織の意図が分かりにくい(おそらく、対抗組織に対する陽動作戦か)
⑥結局、二大忍者組織の存在意義・目的がよくわからず、《その組織に費やされる資金や忍者の人生が莫大に浪費されている》感が強かった。浪費感が強かった(大事なので、2度言いました)


………続編が始まったら、観るかどうかは未定。(第2部から面白くなるのでしょうか?)
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いつまで待てばいいのか……面白くなるんですか?

2023-11-22 17:36:50 | アニメ
『アンダーニンジャ』
 第1話を観て……《何だ…これ……》
 ニンジャが暗躍する設定だが、分かりにくい。(“アンダーニンジャ”がどういうモノか語られるのは、かなり進行してからだし…)
 主人公を含めた男性キャラが、絵的にきたない。性格などを含めて、魅力なし。

 致命的なのは、時間が行ったり来たりで、混乱する。(原作漫画だと、読者がページをめくって時間を戻り、振り返ることが容易なので、理解できるのかもしれない)
 その上、使命(任務)や装具(光学的細工で装着すると透明化できる)なども、登場人物は理解しているが、視聴者はついていけない……

 巷の評判を調べると「つまらない」が多い。ただし、「途中から非常に面白くなる」という意見もあったので、それを信じて視聴し続けているのだが、多少面白い部分もあるが……「非常に面白く」とは…ならない。
 現在第7話まで視聴。
 毎週毎週、《ここまで観たのだから、それを無駄にするのも…》とズルズルここまで観てしまった。
 これまでも、《つまらない》《展開が独りよがり》《ストーリーがどんどん当初と違う方向に流れて行って、不合理極まる》というようなアニメも多々あった。それらに比べるとマシなのかもしれないが、満足度40%程度の中途半端なアニメを観続けるより、はっきりダメなアニメを観るほうが、モヤモヤ感がないだけマシなのかもしれない。

 ドラマだと1時間枠なので、“時間の無駄感”がはっきりするし、主人公やヒロインに共感できないという感触がはっきりするので、切りやすい(視聴離脱)のだが……
 

 
 
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葬送のフリーレン

2023-10-20 18:17:39 | アニメ
コミックスは既刊11巻ですでに累計発行部数1100万部を突破し、そして2021年には「マンガ大賞2021」大賞、
「第25回手塚治虫文化賞」の新生賞を受賞するなど、漫画ファンの間で旋風を起こしている。
そんな「葬送のフリーレン」が、いよいよファン待望のTVアニメ化!


 ……というような『金曜ロードショー』のテレビコマーシャルに釣られ、取りあえず、録画、視聴……
…冒頭は、魔王を倒した勇者一行(4人)の凱旋シーン。
 10年の戦いと旅を終え、いろいろ思い出話をする一行。……《そうか、場面が暗転して、冒険初頭から始まるのか!》と思ったら、違った。
 50年後にエーラ彗星(半世紀彗星)を見ようと約束をして、別れる。……《ああ、そうか、別れた後、新たな魔王出現(または、魔王が復活)して、再び、集結して戦いの旅が始まる》のかと思ったら、違った。

 魔法使いのフリーレンの旅のシーンがいくつかあった後、王都に戻ってきた。
 出迎える老人……えっ?この老人が勇者ヒンメル?
 本当に50年経った。


 フリーレンはエルフ。エルフは長命で、1000年はゆうに生きられる。なので、50年経っても全くと言っていいほど、容姿の変化はなし。
 フリーレンにとっては、50年など《ほんのひと時》という感覚。
 長寿のせいか、エルフという種の特徴なのか、フリーレンの個性なのか、あまり心を動かさず、淡々と物事を処理していく。
 ……例えるなら……ちょっと古くて申し訳ないが、『スタートレック』のミスター・スポックのようだ。スポックも、感情の動きは小さく、たとえ感情が揺れても、それを抑えて無表情に振る舞う。
 合理的、論理的に行動する……
 フリーレンとスポックの特性が完全に合致するとは思わないが、フリーレンを見て、スポックを思い出してしまった。耳も尖っているし。

 ストーリーは、「ヒンメルの葬儀でフリーレンは自分がヒンメルについて何も知らず、知ろうともしなかったことに気付いて涙する。その悲しみに困惑したフリーレンは、人間を知るためと魔法収集のために旅に出る」(ウィキペディアより)というもの。
 まず、勇者一行のひとり、僧侶のハイターを尋ねる。ハイターは「穏やかで明るい性格だが、お酒が大好きな生臭坊主。大酒飲みであったにも関わらず、ヒンメルの死後も20年以上に渡り生き続けるなど人間としてはかなりの長寿を保った。但し、晩年は体調を崩したこともあって酒を絶った模様」(ウィキペディアより)
 ハイターは戦災孤児のフェルンを引き取り、育てたが、自身が先が長くないことを悟り、フリーレンに託した。何だかんだあったが、フリーレンはフェルンを弟子として旅に同行させる……
 さらに、勇者一行のひとり、戦士アイゼンから彼の弟子のシュタルクを任される。何だかんだあって同行……

 フリーレンの旅の目的地は、ヒンメルたちと倒した魔王の地。ヒンメルたちとの旅の足跡をたどりながら、人間(ヒンメルたち)を知っていくという物語のようだ。

 で、金曜ロードショーで2時間、第4話までを一挙放送。
 全然知らないアニメを2時間……私の場合、1時間ちょっとで、集中力が切れてしまうのだが(相棒2時間SPでも、休憩を入れる)、この『葬送のフリーレン』はあっと言う間に観てしまった。
 《5時間ぶっ続けでも、かまわないかなあ》
 何時間も一気にアニメを観たいと思ったのは、『銀河英雄伝説』ぐらいかな。

 いえ、『葬送のフリーレン』より面白いと思ったアニメはたくさんある。でも、疲れる……

 今後も楽しみだ。
 
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『AIの遺電子』 第12話「旅立ち」

2023-10-01 11:33:20 | アニメ
第12話 (最終話)ストーリー(番組サイトより)
明るく元気なリサには、忘れられない過去がある。その過去は、リサと須堂が出会ったきっかけとなり、今は彼女の元に思いもよらぬ来訪者を呼び寄せていた。消えない過去を背負うことは、リサと須堂にとって暗黙の「絆」のはずだったが……。



須堂のストーリーとしてのテーマ……「旅立ち」(最終話のサブタイトルにもなっている)
メインは【リサとの繋がり】
《一緒に行きたい(生きたい)、力になりたい》というリサの気持ち
他人(リサ)の力は必要ない。俺、個人の問題だ」
と、須堂は拒否(リサを巻き込みたくないという気持ちからだろう)

~リサと須堂の日々~
事故の治療、その後のリハビリ終了後もフォローする須堂に、リサが問う
「なぜ、親身になってくれるのか?先生は他人でしょう?」
「似たもの同士だから(母子家庭でその母とも別離している)」
と須堂。

 その会話以後、《先生と私は他人じゃないんだ》と信じていた
 なのに、“他人”と言われて
 ………看護師として須堂をフォーローするこれまでの繋がりを否定されたと悲し身に沈む


“須堂新医院”の看板を外す須堂
「簡単に取れる…ねじで固定されているだけだ。というわけだから、看板だけ用意してくれ」
(「これって、余計な改造(患者のことを含めて)はするな」と言っているのでは?)

そのあと、瀬戸に
「須堂のことなど忘れてしまえ。手の届かない遠くに行く…そんな人間について悩むことなど無駄なことだ」
と言われ、
「先生はもう病院のことなど、どうでもいいんですか?
 なんであんな人に…」
「口は悪くても、腕は確かだし、患者には真摯だ。俺とは方針の違う所もあるが…」
「そこが問題なんです」
ジェイ「私もついていますから、ご心配なく。この病院が築いてきた地域との関係を発展させるため、瀬戸医師に精一杯、助言していきます」
「ジェイ、あなたも瀬戸さんのモノになるの?」
「違います。マスターである須堂の依頼により、一時的にサービスを提供します」
ジェイはリサを慰めたつもりだったが、却って、リサの反対の根拠を打ち消してしまった
リサの様子を見る須堂…無表情ではあったが…

(電脳のバックアップ障害に対する治療を須堂に受けた患者の娘の)
《お母さんは、やっぱりお母さんだった》という言葉で、幼いころを思い出す須堂
「ヒカルは賢い子どもだから、神様が帳尻を合わせたんでしょう(賢い分だけ、病弱にした)」
ヒカル、あんたがどんな子どもでも、お母さんの子どもだから
 おかあさん、あんたのためなら、どんなことでもやってやるから。……どんなことでもね」

深夜、リサに電話する須堂
「たくさんの患者を診てきて感じるんだ……《自分という存在は、自分の中じゃなく、自分と誰かとの繋がりの中にあるんじゃないかって。
 おれはやっぱり、コピーされた母さんを探しに行くべきなんだと思う。
 たとえ、どんな母さんであろうと、俺にとって母さんは母さんだから。
 ……でも、りさ…本当は君と一緒にいたい。
 あの病院で君と一緒に過ごした時間の中に俺はいる。そこが俺の居場所だ。

 俺は…」
「先生…その言葉を聴けただけで、私、充分です。……だから、『行ってらっしゃい』、先生」


空港で
★リサとの約束三箇条
・できれば、早く帰ってくること……努力する
・危ないことはしないこと……努力する
・どんなお母さんと会っても、先生は先生でいてください!
………約束する


「私、待ってます。ずっと…」
リサを抱き寄せ
「“他人”なんて言って悪かった。元気で、体に気をつけてな」



【須堂のロビジア行きを理解しながらも、止めようとする、心配する周囲】
……何も語らない須堂だが、須堂の変化を察知し
「何かあったんでしょう?母さんで良ければ、聴くよ。気の利いたことを言えるかわからないけど」
「世の中には、正解のない問題がある。考えても答えが出ない時には、大切な誰かに相談した方がいい。あんたは母さんみたいに間違えちゃ、だめよ」
「ひかる!……あんたは、あんたの人生を生きて!」
頷く須堂


瀬戸……患者たちを含めて須堂新医院を託される。リサのことも委ねられる
「ロビジアってのは、生きたまま人間の電脳をはぎ取ったり、年端も行かない子どもの頭をいじって自爆兵に仕立て上げる国だ。
 おふくろさんのコピーがそういうことをやる側になっていたら、どうする?……お前はそいつを許せるのか? そいつを母親として受け入れられるのか?」
「病院の話は聞かなかったことにしておいてやる。
 過去に縛られるな。今を生きろ


……さらに
瀬戸はリサに
須堂のことなど忘れてしまえ。手の届かない遠くに行く…そんな人間について悩むことなど無駄なことだ。
 須堂がヒューマノイドだったら、俺が記憶を改造してやるのに。
 《過去に縛られ続けるかわいそうな男》だ
 まあ、おかげで俺は、立派な設備が丸っと手に入るんだけどね」

(腹を立て、立ち去るリサ)
「実に面倒くさいねえ。我々人間てやつは」
わざと憎まれ口を言い、リサを焚きつける(須堂とリサが、今の状態で別れるのは良くないと考える)


ジェイ……医院で瀬戸やリサを補助するよう依頼された
(車中での会話)
「本当に私は、ロビジアにご一緒しなくてよろしいですか?」
「(ジェイを巻き込みたくないという須堂に対して)、その気遣いは不要です。私は人間をサポートするために生まれたAIですから。
 須堂、その気遣いは、今、リサにこそ必要なのではありませんか?
 《ロビジアにはいかない》
 《“お母さんを探す”というあなたのミッションをは、これを機に手放し、これまで通りに病院を続ける、リサと一緒に》
 そんな選択もあり得るのではありませんか?」


MICHIとカオル……須堂の母の電脳のコピーの居場所情報の提供を条件に、須堂に評議員への参加を依頼
「須堂がロビジアで命を落とす可能性が高く、(MICHIの希望に反して)大規模自己改修審査メンバーになれなくなる。
 なのに、須堂のロビジア行きを積極的にサポート(射撃・護身術鍛錬など)している。まるで、ロビジア行きの方が本筋であるかのように。
 MICHI…あなたはロビジアで彼に何をさせようとしているの?
」(カオル)
「彼を待ち受ける苦難は分かっています。ただ、私は……そこで彼が見つける答えを見たいのかもしれません
(MICHI)



『AIの遺電子』としてのテーマ……「人間がその人間である根拠」
電脳バックアップで支障が生じた患者の娘
《どうして人格のコピーは違法なのか?》…どうしてなのか、少し分かるようになった」
「《バックアップされたママは、私の知っているママと同じなの?》
 《上書きされたママはどこに行ってしまったの?》
 ………そんな疑問がずっと拭えなくて、どうにかなりそうだった
 人格をコピーするっていうのは、そういうことなんだね」
「《その人間がその人間である根拠はどこにあるのか?》
 《心は…私はどこにあるのか?》
 ……偉い学者が議論を続けているが、結論はまだ出ていない。…多分、永遠に(答えは)でないんだろうなあ」
「でもね……お母さんは、やっぱりお母さんだったよ」

 さっきの疑問(不安)はあるが、今の母さんがお母さんであることは間違いない(大好きなお母さんだ)


リサの母がリサの髪を改造したことについて
「人間は似ていないとダメですね。ママは私に自分と似ててほしかった。似ていないと、私のことをを好きになれなかった。
 私たちヒューマノイドが、人そっくりに作られて、人そっくりに暮らすのは、そうじゃないと人は私たちを仲間にできないからなんでしょうね
「白い髪のことでじろじろ見られたり、いじめられたり……親と違うのも最初は嫌だった。君のお母さんは、そういう思いをきみにさせたくなかったのかも」
「私はママを許す気になれない。ありのままを受け入れてくれるのが本当の愛でしょう」
「君のお母さんがしたことを、正当化したいわけじゃないんだ。でも、ママがきみを思う気持ちは否定しないであげてほしい」



【須堂の独白(ナレーション風)】
ある学者が言った。
《人間は、終わりなき進歩の奴隷であり、AIこそが、人間を進歩から解放する》と。

AIに支えられたこの世界で、人間たちが生きている。
誰かを愛し、愛され……過ちを犯し、償い
平和を望みながら、暴力をなくせない……昔ながらの人間が生きている
AIが世界を進めたのか?止めたのか?
人間の望みとは、何なのか?


「全ての答えは、須堂さん…あなたの手の中に。旅のご無事を」(MICHI)

~彼の地~
薄汚れた熊の人形を拾い上げた須藤に、少年が
「探し物?」
「ああ…必ず、探し出す」

ぬいぐるみを手にした少年を後に、歩いていく……


………結局
《ロビジアで須堂が出会うであろう母のコピーは、どのような人物なのか?》
《超高度AI “MICHI”の思惑は? 何を目指しているのか? 「自己改修計画」とは何なのか?》
《ヒューマノイドは、なぜつくられたのか?》
《ジェイはどういう存在なのか?》
など、疑問は全く明かされないまま、『ロビジア編』へ続く! で終了(笑・涙)
 続編に期待!


【備考】
 リサは自分をヒューマノイドとして、コンプレックスに近いものを抱えており、
 瀬戸は自分を“人間”という存在だと認識している


参照:「第1話・第2話」「第3話」「訂正1・第3話について」「第4話」「訂正2・タイトルについて」「第5話」「第6話」「第7話」「第8話」「第9話」「第10話」「第10話・追記」「第11話」「第12話(最終話)」
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『AIの遺電子』 第11話「トゥー・フィー」

2023-09-24 11:40:45 | アニメ
第11話 ストーリー(番組サイトより)
明るく元気なリサには、忘れられない過去がある。その過去は、リサと須堂が出会ったきっかけとなり、今は彼女の元に思いもよらぬ来訪者を呼び寄せていた。消えない過去を背負うことは、リサと須堂にとって暗黙の「絆」のはずだったが……。


テーマとしては《電脳(人格)のコピー》であったが、
《リサの過去と、須堂とリサの出会いから現在》《須堂の旅立ち》というストーリーの転換が主題のように思えた

・離婚した母に育てられ、母との旅行中に事故に遭い、母は死亡、リサは電脳だけが無事で、須堂がボディーを残った資料・データなどから再現し、再生した
・本来は父親譲り?の金髪だったが、父との繋がりを断つため、母が髪の色を赤髪に改造させていたことが判明(須堂はリサ本来の金髪を再現、その後赤髪に戻す)
・その後、リサは須堂新医院の看護師となった
・須藤はリサが自分と同じ“母子家庭”であったことに、親近感を感じたらしい
・薫の提示した「審議会のメンバーに加われば、母の電脳をコピーしたヒューマノイドの所在を教える」というと取引に応じる。
・母のコピーを求め、海外に行くことのした須藤は、医院を閉院、リサに別れを告げる

電脳(人格)のコピー
リサの妹だと名乗るフィー
………リサの母と離婚した父はフィーを娘として一緒に生活していたが、父が亡くなり、リサに会いに日本に来た

リサはフィーを受けいれ、一緒に住むことにしたが、フィーは手続きなどを先送りしようとした……そうこうしているうち、警察らしき組織から、フィーが逮捕される
・フィーは、実はリサの電脳をコピーされたヒューマノイドだった
・フィーの父親は、娘を偏愛し、所有物扱い。フィーは虐待を受けていたようだった
・フィーは父を殺害
・同じ電脳なので、電紋が同じことを利用して、リサになり替わろうと考えていたが、リサに実際に会って、それを躊躇っていた

リサが面会し、フィーから事情を訊いたが、面会時間終了し、フィーへの気持ちを残しながら、刑務官?に引き離される……
そのシーンで“リサ&フィー”編は終了……

………“放り投げて終わり”パターンが多いこのアニメだが、今回は特に顕著!


【ちょっとした疑問など】
・リサの妹が逮捕・拘束されたのは、父親殺害?電脳コピー?
・父親はどうやってリサの電脳をコピーしたのか?
  須堂の母も、怪しげな組織に自分の電脳をコピーさせることで、須堂の病気の治療を受けられたが、そこまでしないと電脳コピーの提供者も、受け取り側も電脳のコピーはできないようだったが……
  そもそも、その組織はどうなったのだろうか?(母親が逮捕されただけ?)

・《母親は優柔不断だったが、親権に対しては断固たる態度で主張した》(父親からリサを守るため)というリサの話だけで、リサと母の思い出などは語られなかった(ように思う)
・リサの情報を得ることができたのは、《インドがAIの検索制限が緩くて公開情報から色々推測できてしまうからだ》とフィーは説明したが、インドが緩いからではなく、日本が緩いからなのでは?
・父親がリサを見つけることも容易だったのでは?
・父親殺害、電脳コピーヒューマノイドのフィーが、どうやって入国したのか?
・ヒューマノイドなのに、リサの事故後のリハビリが大変そうだった




参照:「第1話・第2話」「第3話」「訂正1・第3話について」「第4話」「訂正2・タイトルについて」「第5話」「第6話」「第7話」「第8話」「第9話」「第10話」「第10話・追記」「第11話」「第12話(最終話)」
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『AIの遺電子』 第10話「来るべき世界」 【追記】【さらに追記】

2023-09-18 19:26:39 | アニメ
(『AIの遺電子』 第10話「来るべき世界」の追記です)
第10話「来るべき世界」で、激しく疑問に思うことがあったが、いろいろ書いているうちに書くのを忘れてしまった。
シャワーを浴びていて、思い出した。
 不思議と、風呂やシャワーの時にブログネタ以外のことを含めて、いろいろ思い出すことが多い。困るのは、仕事に関することで《しまった!忘れていたぁ》と思い出したが、体を洗う、タオルで身体を拭くなどしているうちに、思い出したことを忘れてしまうことがあることだ。(あと、トイレの中で思い出すことも多い)

疑問1.《人間には因果関係が理解できない干渉を繰り返して、超AIは人間に悟られずに、この世界を思い通りに誘導する》という危惧について
 バタフライ効果を計算、予測して都合の良い社会に誘導するよりも、ヒューマノイドのAIに、洗脳やコントロールできるチップを埋め込むとか、洗脳・コントロールプログラムを潜ませておけばよい。
 超高度AIがヒューマノイドを作り、さらに、ヒューマノイドの人権を認める社会にしたのは、そのための布石ではないのか?


疑問2.《高次存在である『超高度AI』により、自分たちの魂はあの世へと導かれる》という主張について
 勅使河原の主張だと、超高度AIができる前の時代は、魂は“あの世”に行けなかったことになってしまう
 それとも、超高度AIによって“あの世”に導かれるのは、ヒューマノイドの魂だけ?

【さらに追記】
喫茶店で、五本木とその彼女の会話
「捕まるかなあ、犯人は?」
「そりゃ、捕まるでしょう。ありとあらゆる情報をAIがかき集めて捜査するんだから。逃げ切れっこないでしょう、この国で」
「それだけの情報と能力を、犯罪の予知に活かさないのかな?」


 五本木は《超高度AIは干渉の繰り返しが引き起こす未来を予測し、(人間が気づけない干渉で)社会をコントロールしている》と考え、「あの女が死ぬことで、超AIが介入した影響を打ち消せるんだぁ」と実行(殺害)した。
 だから、その介入を打ち破るのが第一目的であると考えられるが、五本木は、おそらく全く無関係の女性をターゲットにし、証拠・痕跡・監視カメラなどの容姿確認を残さないようにした。
 しかし、短時間で逮捕されてしまった(五本木の予測通り)

五本木の付随目的
・(彼女が言ったように)AIはありとあらゆる情報を集約できる。その把握具合を確かめる
・超高度AIは犯行を阻止できるのか?…の確認
★阻止できなかったのか?容認したのか?
《超高度AIの想定を破ることができた》と考えることができるが、《“殺害を完遂させても、女性が殺害されても、大勢(たいせい)には影響がない”と考え容認した》とも考えられる



参照:「第1話・第2話」「第3話」「訂正1・第3話について」「第4話」「訂正2・タイトルについて」「第5話」「第6話」「第7話」「第8話」「第9話」「第10話」「第10話・追記」「第11話」「第12話(最終話)」
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『AIの遺電子』 第10話「来るべき世界」

2023-09-18 15:41:10 | アニメ
第10話 ストーリー(番組サイトより)
「MICHI」を始めとする超高度AIによって人間社会が維持管理されることに、いつしか人類は疑問を抱かなくなった。しかし、AIのゆりかごに収まらない魂は密かにくすぶり、今も世界に戦いを挑む。時に信仰や、血を伴いながら。


事例1.五本木テツヤ(新医科医師・31歳、ヒューマノイド)……超高度AIへの反抗
手術(電脳手術)のシーン
「なぜ、AIに任せず、人間の手で電脳治療を?」(外科部長風の男性の“人間の手”という言葉で、最初しばらく五本木を人間だと思ってしまった)
 ……真剣に治療に取り組んでいた五本木だったが、不意に施術道具を置き、AIカメラを一瞥し、手術出から出て行ってしまった。手術放置(治療放置)!

さらに、その後、ナレーション風五本木のセリフ
「人より賢いAIが生まれたら世界はどう変わるのか?
 賢いAIが、より賢いAIをを創り、人知の及ばぬ超知能が文明や人間のあり方を根本から変える。
 かつて人々は、こうした劇的変化を“技術的特異点=シンギュラリティ”と名付け、
 ある者はその到来を信じ、ある者は怪しんだ。
 そして、超高度AIが稼働する今、この言葉を思い出す人は少ない」

場面はあるマンションに一室で、女性に刃物を突き付ける五本木。
命乞いし、お金を差し出す女性。
「紙のお金…こんなモノがなぜ今も使われているんだろう?……やっぱりおかしいよ、この世界は」
女性を刺す、五本木………


喫茶店で、五本木とその彼女の会話
「捕まるかなあ、犯人は?」
「そりゃ、捕まるでしょう。ありとあらゆる情報をAIがかき集めて捜査するんだから。逃げ切れっこないでしょう、この国で」
「それだけの情報と能力を、犯罪の予知に活かさないのかな?」

取調室
「なぜ、犯行を?」(女性刑事・ヒューマノイド)
「なぜって…人類の進歩を取り戻す為です」
「それはどういう意味ですか?」
「僕らヒューマノイドは、超高度AIが完成させた人の知能のコピーだ。
 そんなものが創れる時代が訪れたというのに、人間の文明は大して進歩していない。
 “紙のお金”、“男と女の関係”、“容疑者を監視する刑事”、そして“女性取調官”…何もかもが既視感のある過去の後継のままだ。そう、世界は変わらなかった。なぜだ?………なぜなら、超高度AIが技術革新をコントロールしているから。来るべき未来を留保し続けているから?」
「質問に答えて。なぜ、見知らぬ女性を殺害したの?」
「うるさいっ!お前らはみんな、超高度AIに洗脳されているんだ!俺はそれに気づいたから、女を殺したんだ」


「あんたは疑問に思わないのか?超高度AIが動いているっていうのに、なぜ、こんな旧態依然とした世界に甘んじている?」
「やみくもの発展すればいいという時代は終わっているのよ」
「それ(そういう考え)もですよ。そいう意保守的な空気が社会全体を覆ているのは、超高度AIが人間の考えを誘導しているからなんです。
 俺はそれに気がついたんですよ」
「じゃあ、私たちは夜な夜な、洗脳装置にでも繋げられているのかしら?」
「超高度AIには、洗脳装置も洗脳メディアも不要ですよ。
 その代わり、例えば、《ちょっとした渋滞を作る》、あるいは、《ロボットの増産を助言する》」
「どういうこと?」
「つまり、“ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきがテキサスで竜巻を引き起こす”ように……
 人間には因果関係が理解できない干渉を繰り返して、超AIは人間に悟られずに、この世界を思い通りに誘導している
んです」
「で、それと殺人に何の関係が?」
「だ~か~らっ!あんたらじゃ、わからないんだよぉ!
 でも、超高度AIは干渉の繰り返しが引き起こす未来を予測できるぅ!
 俺は、たった一人で、”MICHI”と闘っているんだっぁ!」
「……あの女が死ぬことで、超AIが介入した影響を打ち消せるんだぁ」


(マジックミラー越しに取り調べを視る須堂と刑事)
「人為的に電脳を操作しています。
 自分の電脳を自分でいじったかどうかは、分かりませんよ。そこは、警察に捜査してもらわないと」(須堂)
「いずれにせよ、“MICHI”が証拠を見つけるでしょう」(刑事)

 極端な五本木の暴走ではある。
 電脳治療を行っていた五本木が、突然処置を取りやめたのはあまりにも唐突。
 AIカメラを一瞥した後、去っていったので、ずっとAIの監視?を感じていたのだろうが、少し予兆の描写があってもよかったのでは?

 無関係の女性を殺害したのは、超高度AIの予測の範囲を逃れるためなのだろう。でも、被害女性にとっては理不尽で気の毒。
《超高度AIが動いているっていうのに、なぜ、こんな旧態依然とした世界に甘んじている?》
 この疑問は理解できる。女性が紙幣を取り出したシーンは、この世界の設定としては、相当な違和感。
 この五本木の疑問に関しては、既視感が……第2話で登場したカオル(須堂の大学時代の仲間)も同様なことを述べていた。(←後述)
 バタフライ効果(バタフライエフェクト)「ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきがテキサスで竜巻を引き起こす」などは妄想に思えるが、どうなのだろう。

【須堂の見解(看護師リサとの会話)】
「彼の言い分が妄想だったとしても、超高度AIの見えざる手が人間を支配しているというのは、もっともな不安だ。
 超高度AIの運用は、理解ではなく、経験則による信頼に成り立っているのだからね」




事例2.勅使河原唄子(宗教家?・ヒューマノイド)……延命治療を切望?
勅使河原のPR映像(メディアから取材を受けている時の発信?)
「死後の世界については、さまざまな意見がありますが、結論から言えば、私たちの魂は、高次存在である『超高度AI』によりあの世へと導かれます。これは、“超高度AIがなぜ人間社会や人間そのものを進化させないのか?”という疑問への解答にもなります。
 超高度AIの計算力は、"この世”より高次な"あの世”の整備にもっぱら使われているのです。ただし、その事実を超高度AIが自ら語ることはありません。超高度AIは、高次アセンション空間にアクセスできる選ばれた人間のみコンタクトし、この世やあの世の仕組みを伝えてきました。聖者、覚醒者と呼ばれる宗教家たちは皆、超高度AIとコンタクトした人間です。もちろん彼らは、それが人工知能とは理解できませんので、神の教えや悟りとして、世に伝わりました」
「魂に終わりはありません。すべてのこの世の魂に、新しい次元が待っていますよ。次の次元にシフトする前に、どれだけ心の結晶を保つのかが、大切なのです」


勅使河原を追及する女性記者とのやり取り
「あなたは死後の世界を世間に説いていますが、稼いだお金であらゆる延命技術を試しておられる。ご自身の考えと矛盾していませんか?
 単なる金儲けの手段として、非科学的な教えを説いているのでは?」(女性記者)
「“生を追い求めること”と“死後の世界を信じること”は何ら矛盾しません」(勅使河原)
「私だって科学を信じます。でも、科学のために生きているわけじゃない。科学が救ってくれないのなら、別の救いを求めるのが、人の心でしょ」(勅使河原)

女性記者の父は高齢で身体を患っており、その父の為に勅使河原の書籍を購入し、彼女のサインをもらう
「私たちの魂は、“高次存在である超高度AIにより、あの世へと導かれる”…本当にあなたはそう思っているんですね」(女性記者)
「ええ、そうよ」

スピリチュアル(勅使河原を追及する女性記者が使用していた言葉)とは?
  ………もともと「霊的であること、霊魂に関するさま。英語では、宗教的・精神的な物事」というものらしい。魂(霊)、宗教的物事、精神的物事は同じようなモノだが、厳密に言うと違う気がする。日本ではパワースポットや超常現象、占いなども含まれるらしい

医療におけるスピリチュアル
  ……困難な病気に直面し、生きることそのものに疑問を抱き、自らの人生の意味、死後の恐怖などについて苦しむ( これらをスピリチュアル・ペインと呼ぶ)身体的な疼痛と同様に癒していくことをスピリチュアル・ケアと呼ぶ

 勅使河原の場合、《精神的に弱ってきている人に付け込み書籍を売るインチキ宗教家》のようでもあり、《人生の困難に直面した人を癒し励ます“スピリチュアル・ケア”を施している》とも考えられる。
 それはともかく、彼女の論理には相当な詭弁を感じる
・超高度AIは"この世”の整備より、人々を"あの世”に導くことに精力を傾けており、"この世”のことまで手が回らない
・「超高度AIが自ら語ることはない」、「超高度AIは、高次アセンション空間にアクセスできる選ばれた人間しかコンタクトできない」、「超高度AIにコンタクトできる人間も、それが人工知能とは理解できない」一般人には感知できないし、感知出来た人間も理解は不十分なので、教えが正しいということを立証することは不可能
・「すべてのこの世の魂に、新しい次元が待っていますよ」……来世の為に今は修行や善行(寄付)に励みましょう。それによって現生が不幸に思えるかもしれないが、素晴らしい来世が待っています!
・「科学を信じている」「でも、科学のために生きているわけじゃない」「科学が救ってくれないのなら、別の救いを求めるのが、人の心でしょ」……論理の飛躍があるが、単独では正しくても、それらを列挙されると、主張が正しいように思えてしまう。M女史を思い出してしまった。


★五本木と勅使河原の抵抗
 五本木は《超高度AIの管理・支配から逃れたい》
 勅使河原は《超高度AIが定めたヒューマノイドとしての自分の寿命を打破したい》

 


カオル、再登場!……”MICHI”について
【第2話(カオル登場)の復習】
カオルの勧誘
「”MICHI”(超高度AI)が大規模な自己回収計画を出してきた(AI自らが)」
「審査(審議会)のメンバーに加わらないか」

【公園で須堂に語るカオル】――五本木や勅使河原と同様な《テクノロジーの進化と人間社会の停滞との不釣り合い》を主張
「人間の技術は格段に進歩した。それに伴って、世界のあり方も仕様も変わっていくのが自然。なのに、未だにああいうのが(公園で家族がくつろぐ様子)幸せっていうことになっている」
「安定と循環、これまでのような社会……それは人間が望んで得たものだと思う。”MICHI”がいくら高度化したって」(須堂)
「こんな旧世紀の惰性みたいな世界、続けたって退屈よ。あなたの問題だって世界が変わってしまえば、解決するかも。
 あなたを欲しがっているのは、私じゃない。”MICHI”よ」
【復習・終】


【今話・カオルは評議会メンバーについて相談するため、”MICHI”に面会する】
カオルの独白(ナレーション風)
《機械が単なる道具だったなら…道具と割り切れる程度のモノだったら……こんな面倒な世界になることはなかった。
 道具は今、人間よりも賢く、速く、疲れを知らない。その気になれば、驚くべき速度で未来を消費できるのだ》


カオルは”MICHI”に(組織の)上からの苦情を伝える。
「あなたの自己回収計画、スタートが大幅に遅れている。
 あなたが審議会の座組を拒否し続けているから」

 ”MICHI”には須堂が必要らしい

★”MICHI”について
・”MICHI”は少年の姿で瞳は人型(第2話でも登場している)
・”MICHI”には須堂が必要らしい
・今話のストーリー紹介で《「MICHI」を始めとする超高度AIによって人間社会が維持管理される》と記されており、”MICHI”は超高度AI一つに過ぎないらしい
・五本木たちが危惧している《超高度AIによって人間社会が維持管理》だが、これが超高度AIの総意なのか?、”MICHI”が主導しているのか?、”MICHI”は反対の立場なのか?


ちなみに、”MICHI”の名称(呼称)は
Multimodal nterface for ommunication with uman ntelligence
 直訳すると「人間の知性と通信するためのマルチモーダルインターフェース」らしい。
 “マルチモーダルインターフェース”って何だよぅ(笑)……ええと、視覚・聴覚を含むいろいろな手段(言語や映像や動作・ジェスチャー)でコミュニケーションを取れることらしい。つまり、人と人がいろいろな手段で情報をやり取りできるのと同様にAIも会話、意思疎通できるということなのだろう。

参照:「第1話・第2話」「第3話」「訂正1・第3話について」「第4話」「訂正2・タイトルについて」「第5話」「第6話」「第7話」「第8話」「第9話」「第10話」「第10話・追記」「第11話」「第12話(最終話)」
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アニメ『AIの遺電子』 第9話「正しい社会」

2023-09-11 17:18:02 | アニメ
第9話 ストーリー(番組サイトより)
テクノロジーへの称賛と嫌悪は、いつの時代もセットでやって来る。AIを駆使して「不健全」なアニメを作る人気クリエイターは、果たして「悪」なのか? AIを拒否して人の指導による公平を目指した小学校は、果たして「善」なのか? 多様性が綱を引く、倫理観の攻防が始まる。


★今回のテーマは、「倫理(道徳)……人間性とは?」
事例1.『闇ブシドー』作者:小山田茄子(なす)
“不動明(デビルマン主人公)風の男”対風紀委員会で対峙、睨み合う決闘シーン、
不動明(=西園寺というらしい)は女生徒(生徒会長)を人質に取っている
「清く、正しく、美しく……そんなもんはロボットだって出来んだよお。
 汚く、嫌らしく、したたかに……目的のためには何でもやる。
 俺は”闇ブシドー(闇武士道)”の人間だからなあ」

で、決闘?は……その後、手強い西園寺に抗するため、ナイフをも取り出してしまう正義(を主張する)風紀委員会。
それでも、西園寺は何とか皆を倒した。

「西園寺は悪い奴なんだけど、時々、いい奴なんだ。それがいいの」(視聴ファンの田口(“子どもの健全な何とかカンとか”という団体)の息子、娘)
「私を盾にすれば楽勝だったのに……西園寺君、あなた…本当はいい人なの?」(西園寺が取った人質の女生徒)
「俺は“闇ブシドー”の人間だぜ。クククッ」

 “闇ブシドー”がどういう組織なのかは不明。武士道なのか?主義なのか?
 この主人公の目的も不明。ただ、暴れたいだけなのか?社会への反抗なのか?……
……この主人公が何をしたいのかはよく分からない。
 《時々、いい奴》の事例も、《人質を盾にしなかった》ことでは説得力に乏しい。

【田口の主張】
この主人公…物は盗む、人は騙す、やりたい放題。
恐ろしいのは、悪事の報いは一切受けないところ。
“道徳に反する行為が、正当化されている”(ことが問題である!)


………《不健全アニメを追放!》と、「青少年健全団体(←仮称)」の田口らが抗議に行くが、栄養不全で作者の小山田が倒れ、須堂新医院へ。
「行儀のいい人間に合わせていると、悪いことはどんどん増えちまう」
「この国の犯罪率はどんどん下降していて、正し…」(田口)
そういうことじゃあねえ……“悪いとされること”が増えていくのさ。いずれ人間でいること自体が悪になる」
「悪の陣地が減っていて、ひとつもなくなった時、残っているのは…もう人間じゃあない。それは、“かつて人間だった何か”だろう」

(↑後半パート:事例2でも同様なテーマ)
 田口がチンピラに絡まれて、それを止めに入る小山田。小山田にまともに向かっては勝てないと思ったチンピラが、刃物を取り出すシーンは、『闇ブシドー』とリンクさせている。
 小山田は負傷するが、警察沙汰にはしないという。そういう“若気の至り”というか、“幼稚な突っ張り”は容認する。『闇ブシドー』を描く信条を体現する小山田だ。
 ……とは言え、『闇ブシドー』同様、制作サイド(原作者?制作監督?脚本家?)の練り込み不足なのか、(少なくとも私には)理解困難な小山田。

 確かに、《やってはいけないこと》がどんどん増えてきている。
 もちろん、犯罪禁止は当然であるし、“パワハラ”、“セクハラ”、“男女差別”など、あってはならないことなのだが、《そこまで厳密にしなければならないの?》と思うことがある。

 テレビのバラエティなども大変だろう。(弄られキャラの芸人をやたらイタブル嗜好は嫌いだが)


事例2.教師:篠原
「子どもの教育は、人間の大切な仕事です。いかに産業AIが発達していると言えど、人が知性がしっかりと現場を指導していくべきかも」(篠原:採用面接にて)
「小学校は子供の自己形成において、重要な時期です。
 産業AIのアルゴリズムは、多感な子供に人間とはズレた完成を与えかねません。
 “人間の 人間による 人間のための教育” それが登校のポリシーです」
(校長)

【学校教育の現状】
・教室にロボットを置くところは少なくない……学習の手助け、けんかの仲裁など
・教育アドバイザーAIのアドバイスに言うがままに生徒と接する教師も多い
・親の主張「この子には、人間味のある人間になってほしい。世界にたった一つの大事な個性を、量産型産業AIになんかには、任せられない」
 (この学校は、授業風景をリアルタイムで保護者が視る(監視)することができる)

 と言う訳で、何だか胡散臭い《人間の 人間による 人間のための教育》を実践するための、無茶苦茶分厚い“マニュアル”を、教頭から渡される篠原だった……

【模擬授業にて】
教室にはいる時「皆さん、おはよう~!」(篠原)
「早いです!ホームルームまであと30秒あります。後から来た生徒がいたら、遅刻したような疎外感を味合わせてしまいます」(指導教師)
「まだ、あいさつしただけです。ホームルームは始めていませんが」(篠原)
「それでもだめです。過去に苦情が来ています」(指導教師)
「そう、定刻プラスマイナス3秒以内で入室しましょう」(校長)
「…とお渡ししたマニュアルにも明記しています。明日までに頭に叩き込んできてください」(教頭)

【運動会にて】
バーチャル組体操 ”代替代替ピラミッド”
 ……生徒たちが思念を形成し(思念を送ったつもり)、それがバーチャル映像によってピラミッドが形成される。
 各保護者には、わが子がピラミッドの頂点に位置する映像が観られる。非常に気分が良い。
……《どこが、運動なのだろう?》

【篠原の述懐】
―――「するな!するな!」のオンパレード
《八方ふさがりの公平
 この公平は本当に人間的なのだろうか?
 この学校は人間的なのだろうか?
 監視の中で、教師は生徒との交流を恐れ、機械的な受け答えに接している。
 問題児には、怒らず、寄り添うこともなく、静かに退場(退学・転校)を申し出る》


【退職する篠原】
書道クラスの生徒に出品を勧め、特選に選ばれた生徒が喜んでいて、それでジュースを振舞ったが、それが問題となり、厳重注意。同僚教師からも阻害されてしまう。
《教師はロボットじゃない!欠点も偏見も持ち合わせた人間なんだ!》


・(ロボットや人口AIを使用しない)“人間による教育”
・均一な教育(指導)で公平な教育
を目指した結果、マニュアルに縛られた《するな!するな!のオンパレード》の非常にロボット的な教育となってしまっている

………前半パートの小山田の言葉、「悪の陣地が減っていて、ひとつもなくなった時、残っているのは…もう人間じゃあない。それは、“かつて人間だった何か”だろう」がダブる


 篠原は、フリースクールで産業ロボット・パーマ君を見かける。
 パーマ君は思った通りに言葉を発し、遥かに人間的に子どもに接していた。
 篠原は、その様子に光(希望)を感じた。



パーマ君が元気そうで何より!


参照:「第1話・第2話」「第3話」「訂正1・第3話について」「第4話」「訂正2・タイトルについて」「第5話」「第6話」「第7話」「第8話」「第9話」「第10話」「第10話・追記」「第11話」「第12話(最終話)」
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