英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

柔道 グランドスラム東京2017

2017-12-06 16:40:10 | スポーツ
柔道中継を観るたび、ストレスを感じてしまう。グランドスラム東京2017でも、不可解な判定や理不尽なルールに対する疑問が生じた。
今年の世界選手権でも、ルールや判定に対する疑問を記事にしている。
  「新ルールの功罪」
  「頻繁なルール改正と審判の未熟さ」
  「更なる理不尽な判定」

 今大会(グランドスラム東京)では、世界選手権と同じルールが適用されたが、2020東京五輪では「技ありの合わせ1本復活」「指導の差による勝敗の決定がなくなる(指導3回の反則負けはあり)」が主な改正点と発表されていたが、いつ切り替えるかは不明(私が知らないだけかも)。
 現行ルールについては、「新ルールの功罪」を参照していただきたいが、世界選手権を見た感じでは、ルール改正によってゴールデンスコアに突入することが増え、ゴールデンスコアでの指導による決着が増え、モヤモヤ感が増加した(疲労による技のキレの低下や動きの鈍化で「消極的」「偽装攻撃」などの指導を取られることが増えた)。この現象は、今大会でも同様だったように思う。
 さらに、世界選手権の時もそうだったが、審判の判定に疑問を感じることも多く、ルール自体にも理不尽さを感じた。

 というわけで、今回書く内容は、世界選手権の時とほぼ同様な主張の繰り返しになってしまい、読んでくださっても面白くないかもしれませんが、このままでは被害に遭われた?選手たちが気の毒なので、傷跡を残しておきたいと思った次第です。


(BSジャパンでのみ視聴。第1日目の準決勝までと、二日目終了後のハイライト番組しか観ていないので、間違った解釈をしているかもしれません)
女子48㎏級 準決勝 近藤亜美 × カン ユジョン
 不思議な判定が下された。近藤が巴投げを掛け、カンの身体が裏返った。引き続き近藤が押さえ込もうとしていた最中に、「一本」の宣告。
 直後、一本を取り消して技ありのジェスチャー。ところが、この“一本”または“技あり”はカンに付けた判定。……結局、“技あり”も取り消され、試合再開。主審は技を繰り出した選手を勘違いしていたのではないだろうか?それに、「一本」の声自体、かなり経過してから発していた。
 この後、今度はカンが巴投げ。近藤はこれを腹這いで耐えたが、“技あり”の判定。ルール改定前は“有効”があったが、“有効”にもならない技が“技あり”とは……大丈夫かこの主審!

 近藤はこれにもめげず、カンが不十分な巴投げを掛けたのに乗じて押さえ込みに入り、20秒の一本勝ち!

女子52㎏級 準々決勝 阿部詩 × 志々目愛
 準々決勝で激突するのは勿体ない顔合わせ。
 志々目が内股を掛けたが、それをかわされ前のめりで膝をついたところを、阿部が後ろから抱きかかえるように1回転させる。これが技ありと判定された。そのまま阿部が優勢勝ち。
 “内股透かし”のように、相手の内股を利用し、一連の動作の中で相手の背中をつけたというのではなく、単に、相手を抱えて横回転させただけ。内股透かしの拡大解釈と見なしてもいいのかもしれないが、柔道素人の私には、レスリングの“ローリング”にしか見えず、柔道の技には見えなかった。

女子52㎏級 決勝 近藤亜美 × ムンフバト
 ゴールデンスコアに突入。
 ムンフバトが膝を突きながら担ぎ技を掛けるが、近藤が手をついて堪え腹這いで防ぐ。投げ切れなかったムンフバトは、床からの反動で仰向けになる。これが“技あり”と認定され、勝負あり。しかし、近藤は技を防御しただけで、意図的に返したとは見えなかった。
 そのうえ不合理なのは、ゴールデンスコアなので決着がついているにもかかわらず、仰向けになったムンフバトを近藤が反射的に抑え込んだのをカウント、20秒で一本と認定した。一連の技と見なしたのかもしれないが、不合理に思える。

女子70㎏級 決勝 大野陽子 × 新井千鶴
 残り1分少々、互いに“指導2”状態。
 大野が技を仕掛ける動作が多く、新井はやや引き気味。
 残り50秒、組み際に大野が一本背負いを仕掛けるが、新井は身体を開いて難なくかわし、そのまま寝技(絞め技)に持ち込むが膠着、「待て」が掛かる。
 組み手争いに入るが、大野が手を出す素振りの後、パッと離れる。その行為を2回繰り返した後、組み際に一本背負い(残り18秒)。しかし、全く不十分でそのまま畳に突っ伏す。“偽装攻撃”(掛け逃げ)気味であるが、ここで「待て」が掛かり、新井に“消極的”の指導が出され、“指導3”により、新井の反則負けとなった。
 攻勢を取っていなかった新井にも原因はあるが、大野の“攻勢の振り”が奏功した(審判が欺かれた)。新井としては指導を取られる直前の大野の掛け逃げ気味の動作は不可避だった。

女子78㎏超級 決勝 朝比奈沙羅 × 素根輝
 残り2分7秒で両者に2つ目の指導が出される。
 お互いに引き付け合いながら技のチャンスをうかがう状態が続く。残り1分5秒で素根が背負い投げに入るが、不十分で片腕が離れ、朝比奈の身体が動くことなく素根の両膝が畳についた。これが“偽装攻撃”と見なされ指導。“指導3”で素根の反則負けとなった。
 確かに形的には“偽装”となってしまったが、素根は技を掛ける意思が充分見て取れた。

男子60㎏級 決勝 高藤直寿 × 永山竜樹
 “指導2”と押され気味の高藤、残り1分25秒、捨て身技気味で巻き込んで両者横倒しに。腹這い状態の永山に高藤が覆いかぶさり、更に、レスリングのローリング技のように永山の身体を横回転させる。これが“技あり”と判定。この際、高藤は≪技を掛けた≫と審判にアピールのジェスチャー。
 この後は、寝技に持ち込んで逃げ切った高藤の勝利。

男子60㎏級 決勝 高藤直寿 × ダシュダワ
 ゴールデンスコア、両者“指導2”状態。
 ダシュダワが裏投げ風の技を掛けたのに対し、高藤が身体を合わせ、そのまま浴びせ倒す。素早く、左腕で相手の背中を抱え込んでいたので、返し技と見えないこともないが、微妙。
 直後、高藤は大きく手を広げたり、指を差して技が決まったとアピール。技が認められて、高藤の勝利。この際、協議後判定を下す審判に対して、さらにアピール。勝利を告げられると、大きくガッツポーズ、勝利を誇示。……好きじゃないなあ。

男子73㎏級 決勝 立川新 × マルゲリドン
 ゴールデンスコアに突入。
 奥襟をつかまれたマルゲリドンがこれを嫌って首を抜く“首抜き”の指導を取られ、立川の勝ちとなった。
 一時期、他の組み手でも不利な組み手を嫌う行為に対して
指導を取っていた時期があったが、今はなぜか、この“首抜き”に対してだけ厳しい。
 いつも書くが、奥襟をつかまれたら、なかなか動きの自由が利かず、防御一方にならざるをえない。その状態が続くと“防御姿勢”の指導を取られるという泥沼。不思議なルールだ。



 やはり、ルール自体の不合理さや審判の未熟さ?を感じてしまう。
 あと、“払い巻き込み”も禁止にして欲しい。この技は、相手の腕をつかんで巻き込んで倒れ込むだけの技。腰や足腰を使うわけでなく、体重に任せての強引な技。掛けられると防ぐのは難しいという厄介な技である。


 それはともかく、阿部兄妹の技の切れ、一本を取る柔道は素晴らしい!
 その他、見事な一本勝ちのの試合も多々あり、面白かった。
 女子48㎏級準々決勝、「近藤亜美 × 渡名喜風南」戦は見応えがあった。52㎏級の「阿部 × 志々目」戦も高レベルで、準々決勝でぶつかるのは勿体なかった。
コメント
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