「その1」、「その2」、「その3」、「その4」
藤井王位の攻めも息切れし、△6一歩と自玉に手を戻した局面。
3七に銀を捨て玉を呼び込んで、△3六歩から先手玉への寄せの形を作ったのだが、銀を捨てておいてから自陣に手を戻すのでは変調。
藤井王位の予定は△3七銀と捨てるところでは、△6一歩と打ち▲同角成と呼び込んでから先手玉に迫るつもりだったという。《8三の角がいなくなれば、先手玉に詰みがある》と読んでいたらしい。(詳しくは、後日に後述)
さて、第11図の△6一歩に▲同角成は△3八銀の一手詰み。
先手としては、詰めろを掛けたいが、
①8三の角を3八に利かせておく
②歩以外の駒を渡してはいけない
の条件がある。(①②の禁を破って、相手に手番を渡すと詰まされる)
まず、渡辺九段は▲5二銀と打つ。これを△同金は後手玉が簡単に詰む。この時の渡辺九段の着手は、銀を6二から滑らすように打ち込んだ。勝利を確信した落ち着きが感じられた。
△3一玉と躱す手に▲5一銀不成。これも△同銀とすると、▲3二龍で簡単に詰む。玉を先逃げしても▲4二銀成で受けなし。
なので、△3八銀と打ち▲同角成△同銀成▲同玉△4七角打と強引に王手龍取りを掛けて、龍を排除することで自玉を詰みにくくしつつ、先手玉への詰めろを掛ける。
ただし、この過程で9二の龍は消えたものの、先手の持ち駒が増えたので、後手玉は詰んでしまう。この王手龍取りは“形作り”である。
実戦も△4七角打以下、▲2七玉△3七歩成▲同玉△9二角成と形作りの流れに沿って進む………
………しかし、上記手順の△4七角打に対しては▲2七玉と逃げた手は、危険要素を大きく含んだ一着だった。▲2七玉では▲3九玉と逃げるべきだった……
この㋑▲2七と、㋺▲3九玉はどちらを指しても“先手勝ち”。今、流行りの勝利確率は99%、また、評価値も31111点(ソフトにより数値は違うかも)と同じ。
それは、どちらも後手玉に詰みがあるからだが、㋑▲2七玉△3七歩成▲同玉△9二角成と進んだ局面と㋺▲3九玉△9二角成と進んだ局面とでは、詰みの難易度が大きく異なるのである。
この両者の違いは、△3七歩成と成り捨てが利いたため、6九の馬の利きが2五や1四に通ってしまったこと。解説の鈴木九段もこの点を危惧していた。
説明の都合上、実戦の進行ではなく、㋺の▲3九玉△9二角成の局面を先に見てみよう。
△9二角成から▲4二銀成△同金に▲2二銀と打っても詰むが、▲6一飛成とするのが普通だろう。王手に△4一銀と合駒を打って変化図0。
ここでも複数の詰みがあるが、▲2一金(変化図1)が分かりやすいし格好いい。
以下△2一同玉▲4一龍△同金▲2二銀(変化図2)△同玉▲3三銀以下簡単に詰む。
△1二玉なら(変化図3)、平凡に▲2二金△1三玉▲2五桂で詰むし、▲2一銀(△同玉なら▲2二金)△1三玉▲2五桂でも詰むし、▲1三銀と気前よく捨てても△同玉▲2五桂△1二玉▲2二金で詰む(なぜ、この変化図3に拘ったかは、後述)
……と、変化図0はかなり簡単に詰む。
ところが、実戦の㋑▲2七玉△3七歩成▲同玉△9二角成▲4二銀成△同金の第12図は……
詰ますのは非常に難しい。
中継の評価値(勝利確率)は99%なのだが……(続く)
藤井王位の攻めも息切れし、△6一歩と自玉に手を戻した局面。
3七に銀を捨て玉を呼び込んで、△3六歩から先手玉への寄せの形を作ったのだが、銀を捨てておいてから自陣に手を戻すのでは変調。
藤井王位の予定は△3七銀と捨てるところでは、△6一歩と打ち▲同角成と呼び込んでから先手玉に迫るつもりだったという。《8三の角がいなくなれば、先手玉に詰みがある》と読んでいたらしい。(詳しくは、後日に後述)
さて、第11図の△6一歩に▲同角成は△3八銀の一手詰み。
先手としては、詰めろを掛けたいが、
①8三の角を3八に利かせておく
②歩以外の駒を渡してはいけない
の条件がある。(①②の禁を破って、相手に手番を渡すと詰まされる)
まず、渡辺九段は▲5二銀と打つ。これを△同金は後手玉が簡単に詰む。この時の渡辺九段の着手は、銀を6二から滑らすように打ち込んだ。勝利を確信した落ち着きが感じられた。
△3一玉と躱す手に▲5一銀不成。これも△同銀とすると、▲3二龍で簡単に詰む。玉を先逃げしても▲4二銀成で受けなし。
なので、△3八銀と打ち▲同角成△同銀成▲同玉△4七角打と強引に王手龍取りを掛けて、龍を排除することで自玉を詰みにくくしつつ、先手玉への詰めろを掛ける。
ただし、この過程で9二の龍は消えたものの、先手の持ち駒が増えたので、後手玉は詰んでしまう。この王手龍取りは“形作り”である。
実戦も△4七角打以下、▲2七玉△3七歩成▲同玉△9二角成と形作りの流れに沿って進む………
………しかし、上記手順の△4七角打に対しては▲2七玉と逃げた手は、危険要素を大きく含んだ一着だった。▲2七玉では▲3九玉と逃げるべきだった……
この㋑▲2七と、㋺▲3九玉はどちらを指しても“先手勝ち”。今、流行りの勝利確率は99%、また、評価値も31111点(ソフトにより数値は違うかも)と同じ。
それは、どちらも後手玉に詰みがあるからだが、㋑▲2七玉△3七歩成▲同玉△9二角成と進んだ局面と㋺▲3九玉△9二角成と進んだ局面とでは、詰みの難易度が大きく異なるのである。
この両者の違いは、△3七歩成と成り捨てが利いたため、6九の馬の利きが2五や1四に通ってしまったこと。解説の鈴木九段もこの点を危惧していた。
説明の都合上、実戦の進行ではなく、㋺の▲3九玉△9二角成の局面を先に見てみよう。
△9二角成から▲4二銀成△同金に▲2二銀と打っても詰むが、▲6一飛成とするのが普通だろう。王手に△4一銀と合駒を打って変化図0。
ここでも複数の詰みがあるが、▲2一金(変化図1)が分かりやすいし格好いい。
以下△2一同玉▲4一龍△同金▲2二銀(変化図2)△同玉▲3三銀以下簡単に詰む。
△1二玉なら(変化図3)、平凡に▲2二金△1三玉▲2五桂で詰むし、▲2一銀(△同玉なら▲2二金)△1三玉▲2五桂でも詰むし、▲1三銀と気前よく捨てても△同玉▲2五桂△1二玉▲2二金で詰む(なぜ、この変化図3に拘ったかは、後述)
……と、変化図0はかなり簡単に詰む。
ところが、実戦の㋑▲2七玉△3七歩成▲同玉△9二角成▲4二銀成△同金の第12図は……
詰ますのは非常に難しい。
中継の評価値(勝利確率)は99%なのだが……(続く)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます