漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
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博士の愛した数式(映画)

2006-01-23 | 映画
こんなに淡々と美しく、心洗われ素直に涙が流れる映画は久しぶりです。

『とても潔い数字だ』なんていわれると、すごくほめられたみたいで不思議ですね。
『友愛数』なんて命名した数学者はなんとロマンティックなんでしょうか。
『なんにも役に立たない数学』に哲学や自然や宇宙を感じてしまいます。

そして『記憶』の問題。
『それは前に聞きました、って言わないことにしよう』とか、きめこまやかな思いやりがうれしいです。
『私の記憶は80分しか持たない』ことを思い知らされるとき、本人はどれほどの恐怖感、不安感に陥ることだろう。

しかしそれを乗り越え、『あるがままを自然に任せて、生きてみよう』と言わせる心境に到達する博士は、時の流れに流されるのではない『永遠の真実』に見事に到達したといえるのでしょう。

”-1”の心にそんな強い気持ちが”+1”として加わると『0すなわち無に受けとめられる』というセリフも、よくわからないけど、胸にぐさっと刺さり、みるみる救われる気持ちになりましたね。

言い訳がましい媚も一切感じさせることなく、母親(深津絵里)と博士(寺尾聰)とのエピソードと数学教師となったルート(吉岡秀隆)の教壇での解説が、心地よく染み入る。
憂いを漂わせた義姉役の浅岡ルリ子もすごくいい雰囲気でした。

監督は小泉堯史(雨あがる、阿弥陀堂より)

公式サイト

★★★★★