10年前に設計した工場ですが、竣工して8年が経ちました。その間、古い既存工場の改修をしたりと、クライアント様とは良好な関係が続いています。この度、中長期リニューアル計画を策定してほしいとの依頼を受けて、早速現地調査を実施しました。実家の近所だし、通っていた小中学校はすぐそこだし、親父の墓は道を挟んだ向かい側にあるし、ずっと見続けてきた建物ですが、改めてじっくり眺めてみると、なかなかカッコイイ工場ではないかと思いました(笑)。まあ、少なくとも自分の好きなデザインが、きちんと形になっていることは確かです。全てを自分でやり遂げたという達成感と充実感、そして何より自分の仕事に対して自信がついたような気がしました。そんな気持ちを忘れないように、エビさんが撮影してくれたモノクロの竣工写真は、今でも部屋に額装されて飾られています。
この工場が完成した時、特に見学会は開催しませんでしたが、ぜひ見たいと言ってくれた人が二人だけいました。一人はパースを描いてくれたケンタロウさんで、もう一人はキクケンさんです。二人とも駅からバスに乗って、遠路遥々見に来てくれました。物好きな人がいるものだと感心する一方で、なんかとても嬉しかったことを覚えています。時は流れて、今回は今一緒に工場の設計をしている後輩に見てもらいました。彼は自分より100倍くらい優秀なので、あまり参考にならなかったかも知れませんが、当時の私がどんな気持ちで設計をしていたのか、それを伝えられたらいいなあと思ったからです。そして今設計している工場が完成した時、自分と同じように達成感と充実感、そして自信を得られるといいなあと思います。まあ、彼は余裕でもっとカッコイイ工場を創っちゃうんだろうけどね。