NHK以外の民放は殆どテレビ中継をしなかったので、今まであまりパラリンピック競技を観る機会は無かった。しかし最終日のマラソンは朝からジックリ観る事ができた。
パラリンピックのマラソンは男女別で車椅子、身体障害、視覚障害と細かくクラス分けされており、それぞれに見所があって観ていて中々面白かった。その中でも一番感動したのが、視覚障害女子で金メダルを獲った道下選手の活躍でした。
道下選手の走りは典型的なピッチ走法で、動きに殆ど無駄が無い。極めて効率的な省エネ走法が、最後までスピードが落ちなかった彼女の強さの源であったと言えるでしょう。30キロ過ぎから独走で、会心の笑顔で伴走者とゴールのテープを切った時は、思わずジーンと来て瞼が潤んでしまいました。
実を言うと私は過去に一度だけ、視覚障害者レースの伴走を務めた経験があります。障害者スキーツアーで知り合ったWさんという女性が、平成16年の体育の日に皇居外周を走る視覚障害者レースの10キロの部に参加すると聞いたので、伴走を買って出たのです。
走る前は安易に考えていたが、実際にやってみると伴走はけっこう大変でした。伴走者は一緒に走るだけでなく、ランナーの目となってコースの細かな状況を逐一伝えなけれななりません。それとタスキを持った手は固定したままなので、腕の振りが不規則になって、とても走り難かったのです。
レースの結果はWさんが超健脚だったので、見事にトップでゴールした。私は黒子役の伴走に過ぎなかったけれど、公の大会で優勝のゴールテープを切る経験何て、人生の後にも先にもこれっきりだったので、とても印象深い良い思い出のレースでした。
その後は伴走者の会にも所属したのですが、仕事が忙しくなって結局活動を止めてしまいました。もしあれを続けていたら、パラリンピックの伴走者になれたかもと思わないでないが、フルマラソン3時間を切るスピードの道下選手の伴走は、とてもじゃないが私が30歳若返っても、務める事はできなかったでしょう。