(前の記事からの続き)
重要なのは、 本人の力を信じて、 希望を捨てないことです。
本人が簡単にできることより、
少し努力を要することに トライするよう励ますことが ポイントです。
本人は一生懸命やっているということを 理解するのが大切です。
「無理しなくていいよ」 という一言が、
分かってもらえているという 安心感になります。
「きみが思っているよりも、 進歩している」
といった 肯定的な言葉賭が基本です。
不充分な点は これからクリアしていけばいいのです。
〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
ボーダーの人が しばしばそうであるように、 心子も 大変な頑張り屋でした。
幼いころ、 父親に認めてもらいたい気持ちから きたものかもしれません。
大変な計画を 最後までやり遂げてしまうこともあれば、
現実離れした目標を打ち立てて 潰れてしまうこともありました。
心身打ちひしがれて 息も絶え絶えのようなときでも、 心子は仕事に行こうとしたり、
友人のカウンセラーに なろうとしてしまいます。
心子は 「休む」 ことができなかったのです。
僕はむしろ、 心子に休むように促しました。
「休むことも 『仕事』 なんだよ」
心子は 僕が諭したその言葉を 何度もつぶやきながら、
ようやく休むことを 覚えていったのです。