(前の記事からの続き)
目の前に生じたトラブルは 「きっかけ」 に過ぎず、
「本当の問題」 は、 それに対して 不適切な反応をしてしまうことです。
心子も きっかけに囚われて、 一挙に絶望して 生きる価値を失ってしまったり、
僕に対する 全面的な信頼が 最低の裏切りに 変わってしまったりしました。
それは 一面的な見方であり、 囚われないことを伝えるのが 必要だといいます。
あるとき 心子の症状が悪化して、 心子は全く悲観的になり、
もう別れようと 涙ながらに言い出したことがあります。
そのシーンを、 「境界に生きた心子」 から引用します。
「 『マーのためを思って 言ってるんだよ。
今はできることをやって、 どうしようもなくなったら 捨てるのは残酷だよ。
それだったら 今捨てて』
僕は かぶりを振った。
『どうして こんな大変なのに付き合うの?』
『大変だけじゃないからだよ。
いいことも悪いことも、 全部あって しんこだから……』
心子は 僕を見上げ、 強い視線で 見つめ続けた。
とても、 きれいに見えた。
髪をなでた。
キスをした……。」