「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

二人目の脳死患者? …… 「生死命(いのち)の処方箋」 (47)

2010年11月24日 20時54分35秒 | 「生死命(いのち)の処方箋」
 
(前の記事からの続き)

○ 東央大病院・ 当直室(夜)

  仮眠中の美和子。
 

○ 同・ 外景(夜)

  救急車が サイレンを鳴らして走ってくる。

  

○ 同・ 当直室

  美和子、 サイレンの音に 目を覚ます。

  時計に目をやり、 部屋を出ていく。

  
○ 同・ 救急通用門

  川添と救急隊員たちが、 救急車から 患者

  を降ろしている。

  美和子が駆けつけてくる。

美和子 「川添先生 !」

川添 「(呼吸用のバルーンを動かしながら)

 佐伯先生、 手を貸してください !」

美和子 「はい !」

  川添たち、 ストレッチャーを押して 走っ

  ていく。

  
○ 同・ CT室

  川添と美和子、 断層撮影をする患者を

  観察している。

  患者の背中には 入れ墨があり、 左手の小

  指がない。

  世良が駆け込んでくる。

世良 「頭をやられた人が 運び込まれたって

 !?」

美和子 「(患者を示しながら) 酔って 喧嘩を

 したそうよ。 鈍器で頭を 殴られたらしい

 の」

川添 「頭蓋骨が陥没しています」

  患者の腕は外旋(がいせん)、 足は尖足(せんそく)

  の状態。

世良 「腕と足が あんなに突っ張って …… 。

 あれが 除脳硬直というやつですか?」

美和子 「ええ、 よく分かるのね」

川添 「(世良にモニターを示し) ここと ここが

 出血の部分です。 中脳をやられて 危篤で

 す」

世良 「(頷く) …… 」

  世良、 患者の所持品を調べる。

世良 「 …… 安達三郎 …… 45才 …… 。

 家族は ?」

美和子 「警察に届けたんだけど、 まだ」

世良 「何か 情報が入り次第、 連絡をくれるよう

 頼んでおこう」

(次の記事に続く)
 
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