(前の記事からの続き)
○ 東央大病院・ 当直室(夜)
仮眠中の美和子。
○ 同・ 外景(夜)
救急車が サイレンを鳴らして走ってくる。
○ 同・ 当直室
美和子、 サイレンの音に 目を覚ます。
時計に目をやり、 部屋を出ていく。
○ 同・ 救急通用門
川添と救急隊員たちが、 救急車から 患者
を降ろしている。
美和子が駆けつけてくる。
美和子 「川添先生 !」
川添 「(呼吸用のバルーンを動かしながら)
佐伯先生、 手を貸してください !」
美和子 「はい !」
川添たち、 ストレッチャーを押して 走っ
ていく。
○ 同・ CT室
川添と美和子、 断層撮影をする患者を
観察している。
患者の背中には 入れ墨があり、 左手の小
指がない。
世良が駆け込んでくる。
世良 「頭をやられた人が 運び込まれたって
!?」
美和子 「(患者を示しながら) 酔って 喧嘩を
したそうよ。 鈍器で頭を 殴られたらしい
の」
川添 「頭蓋骨が陥没しています」
患者の腕は外旋(がいせん)、 足は尖足(せんそく)
の状態。
世良 「腕と足が あんなに突っ張って …… 。
あれが 除脳硬直というやつですか?」
美和子 「ええ、 よく分かるのね」
川添 「(世良にモニターを示し) ここと ここが
出血の部分です。 中脳をやられて 危篤で
す」
世良 「(頷く) …… 」
世良、 患者の所持品を調べる。
世良 「 …… 安達三郎 …… 45才 …… 。
家族は ?」
美和子 「警察に届けたんだけど、 まだ」
世良 「何か 情報が入り次第、 連絡をくれるよう
頼んでおこう」
(次の記事に続く)