(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/61315411.html からの続き)
○ 東央大病院・ 正門
○ 同・ 消化器外科
交換輸血をしている淳一。
○ 同・ 食堂
世良が 丼飯をかき込みながら、 本やノート
を見ている。
淳一が来る。
淳一 「世良さん」
世良 「やあ、 こんちは。 元気?」
淳一 「まあね (作り笑い)」
淳一、 世良の隣に座る。
淳一 「よく 勉強してるんだね」
世良 「大事なことだからね」
淳一 「(世良のノートを覗き込む) 生体肝移
植 …… ? 何、 これ ?」
世良 「うん …… 生きた人の 肝臓の一部を切って
移植する方法なんだ。 肝臓は 強い再生能
力を 持っているから、 切ってもすぐ 元の大
きさに戻る。 これなら 脳死の人から 提供し
てもらわなくてもすむんだよ」
淳一 「ふーん …… 」
世良 「淳一くん、 それだったら 受ける気はあ
るかい? …… 例えば、 肉親のお姉さんから
…… ?」
淳一 「え ?」
世良 「どうかな ?」
淳一 「 …… 姉キにはその話、 したの?」
世良 「いや」
淳一 「 …… 姉キには 言わないでおいて …… 」
世良 「でも 医者なんだから、 知らないはずは
ないだろう」
淳一 「 …… (下を向く)」
世良 「それなのに美和子は 脳死にこだわって
る …… (自問するように)」
淳一 「 …… 姉キが、 自分の肝臓切るのが いや
だって言いたいの ?」
世良 「いや …… 」
淳一 「姉キを そんなふうに言うな …… ! (目
に涙がにじむ)」
世良 「そ、 そんなつもりは …… 」
淳一 「(声を震わせて) …… 頼むから、 姉キ
には そんなこと言わないで …… !」
世良 「 ……… 」
(次の記事に続く)