「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

弁証法的行動療法 (2)

2014年02月21日 22時39分41秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
(前の記事からの続き)

o プログラム構成

 プログラムの中心は、 毎週2時間のグループスキル訓練と、

 毎週1時間の個人セッション、 必要なら 電話による危機対応も可能です。

 グループのセッションでは、

 苦悩耐性, 中核的マインドフルネス, 感情調節, 対人関係という、

 相互に関連したテーマが 取り上げられます。

・ 苦悩耐性

 惨めなときに、 それを悪化させることなく 乗り越えることです。

 DBTは、 自虐的な方法より、 注意をそらす 多くの方法を集めています。

・ 感情調節

 感情の激しさを 和らげることが目的です。

 BPDの人のなかには、 自分の感情を無視する人もいます。

 彼らは 自分がどう感じているかが分かりません。

・ 対人関係

 この訓練の目的は、 対人的混乱を減らし、 見捨てられ不安を軽減することです。

 前向きな見通しを学び、

 建設的なやり方で 自分の要求を満たすように 他者に頼むこと,

 自分の境界を主張すること, 関係をうまく維持することなどが 課題です。

・ 個人セッション

 週に一度、 まず話し合うのは、 その週の 自傷や自殺行動についてです。

 次に、 セラピーを妨げる行動についてです。

 (遅刻や、 セラピストに 不適切な時間に電話することなど)

 それから、 うつや物質乱用など、 生活の質を低下させる問題です。

 最後に、 スキル訓練で どれだけ進歩したかを話し合います。

o 弁証法的行動療法の限界

 多くの患者が、 弁証法的行動療法で 生活が著しく改善したと言います。

 とはいえ、 奇跡の治療法ではありません。

・ BPDで 自殺思考や自傷が減るのは明らかです。

 しかし、 うつを緩和したり、 幸福な気持ちにさせるわけではありません。

・ 自分の病気を認め、 学びたいと思い、 セラピーで努力する患者にのみ 適切です。

 高機能のBPDの人には 適切ではありません。

・ 多くの労力を必要とします。

 患者は 高いモチベーションを持っていなければなりません。

・ 経済的負担が大きい場合もあります。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
 〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕
 
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