(前の記事からの続き)
o プログラム構成
プログラムの中心は、 毎週2時間のグループスキル訓練と、
毎週1時間の個人セッション、 必要なら 電話による危機対応も可能です。
グループのセッションでは、
苦悩耐性, 中核的マインドフルネス, 感情調節, 対人関係という、
相互に関連したテーマが 取り上げられます。
・ 苦悩耐性
惨めなときに、 それを悪化させることなく 乗り越えることです。
DBTは、 自虐的な方法より、 注意をそらす 多くの方法を集めています。
・ 感情調節
感情の激しさを 和らげることが目的です。
BPDの人のなかには、 自分の感情を無視する人もいます。
彼らは 自分がどう感じているかが分かりません。
・ 対人関係
この訓練の目的は、 対人的混乱を減らし、 見捨てられ不安を軽減することです。
前向きな見通しを学び、
建設的なやり方で 自分の要求を満たすように 他者に頼むこと,
自分の境界を主張すること, 関係をうまく維持することなどが 課題です。
・ 個人セッション
週に一度、 まず話し合うのは、 その週の 自傷や自殺行動についてです。
次に、 セラピーを妨げる行動についてです。
(遅刻や、 セラピストに 不適切な時間に電話することなど)
それから、 うつや物質乱用など、 生活の質を低下させる問題です。
最後に、 スキル訓練で どれだけ進歩したかを話し合います。
o 弁証法的行動療法の限界
多くの患者が、 弁証法的行動療法で 生活が著しく改善したと言います。
とはいえ、 奇跡の治療法ではありません。
・ BPDで 自殺思考や自傷が減るのは明らかです。
しかし、 うつを緩和したり、 幸福な気持ちにさせるわけではありません。
・ 自分の病気を認め、 学びたいと思い、 セラピーで努力する患者にのみ 適切です。
高機能のBPDの人には 適切ではありません。
・ 多くの労力を必要とします。
患者は 高いモチベーションを持っていなければなりません。
・ 経済的負担が大きい場合もあります。
〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕