「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

ミュンヒハウゼン症候群、 パーソナリティ障害と 刑事責任能力

2010年05月22日 21時01分22秒 | 凶悪犯罪と心の問題
 
(前の記事からの続き)

 2000年、 奈良でも 

 代理ミュンヒハウゼン症候群の被告の 事件が発覚しました。

 このときは、 同症候群に対してではなく、

 被告女性の家庭環境に対する 情状酌量によって、 減刑がされました。

 被告女性は 子供の頃より、 父親から近親姦を受け、

 複数の男からも 性的虐待を受けています。

 離婚後は 相次いで、 3人の子供のうち 二人が死亡、 一人が自殺未遂、

 両親が不審死を遂げました。

 こうした生育歴が、 同症候群に関わっているでしょうか。

 また、 他の 代理ミュンヒハウゼン症候群のケースでは、

 子供のときに 手術を経験して、 周りの同情を買った 記憶から、

 病気を作り出す行為を 繰り返す例も多いといいます。

 代理ミュンヒハウゼン症候群と パーソナリティ障害との関わりも

 指摘されているそうですが、

 どちらも生育歴や 幼少時の愛情不足が 関係しているのかもしれません。

 普段から充分な愛情を 与えられている子供なら、

 わざと病気になって 同情を引く必要はないでしょうから。

 BPDも、 本人が充分な愛情を 感じられなかった結果、

 愛情を得るため 死に物狂いになったり、

 思い通りにならないと 自分を抑えられないほど、

 激しい言動に 走ってしまうわけです。

 しかし、 パーソナリティ障害も 代理ミュンヒハウゼン症候群と同様、

 刑事責任能力はあるとされています。

 一方、 解離性同一性障害の被告では、

 多重人格を広く知らしめた ビリー・ミリガンをはじめ、

 強姦や殺人が 無罪になった例があります。

 犯罪を犯した人格が 主人格とは別で、 主人格には記憶がないからとされます。

 けれども、 解離症状を起こして、 自分の起こした言動に 記憶がなくなるのは、

 BPDも同じです。

 この点は BPDも解離性同一性障害も 類似したメカニズムで、

 ストレスの程度の 差によるのかもしれません。

(次の記事に続く)
 

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