「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

裁判員による 境界性パーソナリティ障害の責任能力の判断 (1)

2010年06月15日 22時28分20秒 | 凶悪犯罪と心の問題
 
 今年3月の裁判員裁判で、

 境界性パーソナリティ障害の 可能性がある被告の 公判がありました。

 その責任能力が 焦点となった審理です。

 自宅に放火した女性 (27才) は 被告席で、

 「なんでこんな所に 来ないといけないの」 と、

 祈るように 両手をすり合わせました。

 裁判員は 緊迫した法廷に 息をのんだといいます。

 弁護側は、 被告は統合失調症で 心神喪失状態だったとして、 無罪を主張。

 それに対し 検察側は、

 境界型パーソナリティ障害よるもので、 完全責任能力があるとしました。

 統合失調症なら無罪、 パーソナリティ障害なら有罪 という構図になります。

 公判では、 精神鑑定医が 検察側の証人として出廷しました。

 しかし 専門用語が飛び交い、 裁判員には 全く理解できない人も 少なくなく、

 質問することすら 諦めてしまった人もいました。

 被告は 統合失調症なのか、 境界性パーソナリティ障害なのか。

 判断が付きそうにないと思った ある裁判員は、

 別の視点から 責任能力を考えることにしました。

 「医学的な判断ではなく、 自分が これまでの人生で培った 常識を頼りに、

 犯行前後の 被告の精神状況や行動が、 理解できるものかどうか」

 「細かい用語にとらわれず、 火をつけたことを認識し、

 悪いことと分かっていたかどうかを 中心に考えよう」

 被告は放火後に、 外に出て 震えていたということです。

 裁判員は、 行動の意味を議論しようと 思いました。

 そして、 判決は 懲役3年、 執行猶予4年。

 うつ状態にはあったとしましたが、 完全責任能力を認めました。

〔 参考・ 引用文献 : 読売新聞, 毎日新聞 〕

(次の記事に続く)
 

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