「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

怒りが感謝に変わる (1)

2010年06月09日 20時04分29秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 境界性パーソナリティ障害が 回復に向かい始めたとき、

 刺激的なことより 日常的なことを大切にし、

 瞬間的より 持続的な喜びに 関心を注ぐようになります。

 大きな夢よりも、 地味なことに 地道な努力を続け、

 その努力自体を 楽しむようになります。

 そして、 激しい怒りが薄らいで 穏やかになると共に、

 周囲への感謝の思いが 兆してくることもあります。

 自分を生んでくれた親や、 この世に存在することへの 畏敬の念を覚え、

 感謝の言葉を 口にするようになります。

 最終的に、 本人に見合った 自立を成し遂げ、

 これまでの重荷が その人の生きる意味と価値を 与えてくれるものになるのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子は僕宛に こんな手紙を書いたことがあります。

 「マー君へ。

 いろいろありがとう。

 最近、 身と心の状態がひどく、  『生きてる』 ことさえ 信じられないくらい。

 まっ暗な部屋で 一日中ベッドの中で、 じっとしている毎日です。

 夜は長くて 、死にたいと いつも思っています。

 出来ることなら、 もう仕事は辞めて、 誰かと結婚でもして、

 しなくてもいいんだけど、 無言で、 静かに静かに、 暮らしたいの。

 もう、 人間とかと 関わりあわないで、 静かに、 静かに、 暮らしたいの。

 朝の美しい空を見たり、 夕焼けの美しさに 詩を書いたり、

 日曜日は散歩をしたり、 美しい花を見て 感動したり、

 優しい心で 静かに、 自然と、 神様と、 愛する人と、 もんちと、

 静かに…… 静かに……

             しんこ & もんち   2000. 11. 20 」

(次の記事に続く)
 

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