「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

犯人の命ください -- かえらぬ命 (3)

2009年04月25日 20時38分21秒 | 死刑制度と癒し
 
 2004年12月、 一人暮らしの奈々さん (当時18才) は

 帰宅途中、 公園に引きずり込まれて 絞殺されました。

 3ヶ月後、 土木作業員の鈴木泰徳 (39) が逮捕され、

 1ヶ月余りの間に 奈々さんら3人の女性を 殺害したと自供しました。

 幼い二人の子供がいながら、 パチンコや酒で 借金を重ね、

 ストレスを溜めた末、 乱暴目的で 一人歩きの女性を探していたのです。

 父・ 寿 (ひさし) さんは、 死刑は当然と 考えていました。

 が、 母・ 博子さんは そう思えなかったのです。

 奈々さんは 難病である膠原病を抱え、 養護学校に通っていました。

 博子さんが見舞いに 養護学校を訪ねると、

 懸命に車椅子を動かす 筋ジストロフィーや 心臓病の子供に出会います。

「 長く生きられないことが分かっていても、 懸命に生きている。

 そんな子供たちを見て、

 生きていける命を ほかからの力で奪うことに 抵抗を感じていました 」

 第8回公判で 博子さんは意見陳述に立ちました。

 死刑でなく 終身刑を求める気持ちで 話し始めましたが、

 途中から 感情が溢れだしてきました。

「 私たちは 成長した奈々に会えないのに、

 犯人は 大きくなった我が子に会える。

 それだけは許さない……。

 私の心は どこまで醜くなるのでしょう。

 やっぱり 犯人の命をください……」

 地裁、 高裁とも 死刑判決が下り、 鈴木被告は上告しています。

 博子さんは 声を震わせます。

「 罪のない(犯人の)子供が 親に会えないことを願うなんて、

 おかしいと自分でも思う。

 でも、 もし被告が 無期懲役になることを考えると…… 」

 寿さんは語りました。

「 命の大切さを 分かっている妻は、 犯人の死を望む 自分を責めてきました。

 こんな思いをする家族を もう出さないためにも、

 落ち度のない人を殺せば 死刑だということを 示すしかないと思います 」

〔読売新聞より〕
 

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2 コメント

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コメントどうもありがとうございました。 (イナモト)
2009-04-28 12:49:10
お返事がすっかり遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。m(_ _)m
僕は基本的に死刑制度廃止の立場なのですが、絶対的とは言えなくなっています。
しかしとにかく最も重要なのは、おっしゃるように被害者の心の救済であると、当初から強調しています。
日本ではまだ一部にしかありませんが。

同時に必要なのは、加害者の更生プログラムだと思います。
アメリカには「アミティ」がありますが、日本では依然として普及していません。

冤罪も思っている以上に多いかもしれません。

死刑制度に関する僕の記事は、下記のページから見ることができますので、ご覧いただければ幸いです。
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/folder/1487258.html?m=l

またよろしくお願いいたします。
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こんばんは。お邪魔します。 (作務)
2009-04-25 20:49:08
復讐からは何も生まれないという事は、人類の歴史が証明しています。
被害者遺族に必要なものは死刑ではなく「犯罪被害者医療」であると思いますね。
また、無実にして死刑判決を受けた人が、何人も処刑されている様です。http://blog.goo.ne.jp/taifu_mary
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