「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

更生の可能性、 少年法の理念

2010年11月27日 23時35分15秒 | 死刑制度と癒し
 
 石巻事件の裁判の論点は、 被告の更生の可能性でした。

 特に少年法では、 刑罰よりも教育が重要視されます。

 今回の判決文では、 「更生の可能性は 著しく低い」 とされましたが、

 それは更生の可能性が  「0」 ではないということでしょう。

 わずかでも 改悛の情が認められれば、

 矯正を図るべきというのが、 少年法の理念です。

 そして、 「疑わしきは被告人の利益に」。

 それが裁判の大原則です。

 被告の少年は、 涙を流して謝罪をしたといい、 判決を受け入れたいと述べています。

 それは確かに 改悟の念が芽生えている 現れではないでしょうか。

 更生の芽を 摘み取ってしまう死刑は、 正に 取り返しのつかない刑罰です。

 もし被告が 更生できると言えないとしても、 できないとも言えないのです。

 更生は不可能と 断定できない以上、

 被告の利益のため 極刑は回避するのが 原則だと思います。
 

 今回、 大変な重責を果たした 裁判員の人たちには、

 僕は心から 敬意を表しますし、

 被告の態度をその目で見た 裁判員の心証は尊重するべきです。

 けれども、 裁判員に 少年法の理念を 正しく理解してもらうための情報が、

 充分提供されていなかった恐れを 指摘する専門家たちもいます。

 児童心理学の専門家の証人申請が 認められなかったことも、 問題だといわれます。

 被告が少年である場合、

 職業裁判官では9割が 刑を軽くするほうに傾くと 答えています。

 ところが 一般の国民は、 50%が 「重くも軽くもしない」、

 25%が 「重くする」 と言い、  「軽くする」 は4分の1に過ぎませんでした。

 これは僕には 遺憾なことに思えます。

 特に 少年の方が重くするというのは、 どうにも理解に苦しみます。

 少年は大人に比べて、 明らかに変わるものではないでしょうか。

 改心や更生には 長い時間がかかり、 それを短時間の法廷で 見極めるのは困難です。

 迅速化が求められる裁判員裁判では、

 少年事件は対象外にすべきだ という意見もあります。

 或いはそれらも 考えていかなければならないのかもしれません。

〔 参考文献 : 読売新聞 〕
 

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