「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「境界に生きた心子」を読んでくれた女医さんのお話(2)

2005年11月11日 09時53分25秒 | 「境界に生きた心子」

 昨日書いた先生のお話の続きです。
 先生は、心子に対してはこんな声をかけてあげたいと言ってくださいました。

「よくここまで頑張ったね。死ぬのにどんなに勇気が要ったか知ってるよ。
 やり方はうまいとはいえないけど、自分なりに最大の勇気を振り絞って『自分を救えた』んだよね。
 自分を救える力が芽生えるまで自分を癒すことができただけでも、あなたにとってとてもすごい『人生の課題をクリアーした』ことになると私は評価しますよ。
 いい出会いのお蔭でここまで頑張れたんだね。
ほんとによく頑張ったね。
 お疲れさん。ゆっくり休んでね。
 次に生まれ変わってくるときは、もう少し簡単な人生を選んでくるんだよ」

 そして、魂が永遠ならばあまりにも辛すぎる人生の時には一度そこから離れて、適切な人生を選んでもう一回一から生き直すことも「あり」だとおっしゃっています。
 僕もそれには同感です。
(続く)

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「境界に生きた心子」を読んでくれた女医さんのお話(1)

2005年11月10日 22時58分24秒 | 「境界に生きた心子」

 「境界に生きた心子」が出版されて、知り合いの女医さんに読んでいただきました。
(以前、若きホスピス医としてマスコミにも登場した方です。)
 先生は境界例の患者さんとも深く関わり、文字通り命がけで治療していらっしゃいます。

 ある患者さんは言葉遣いや反応の仕方,生い立ちなど、拙著の心子と酷似していたそうで、びっくりしたということです。
 境界例の人は勿論一人一人みな異なりますが、とても共通する面を持っている場合もあるのでしょう。
 先生は医師としての知識や経験を総動員して、家族全員のカウンセリングもし、非常なご苦労の末、生きる道の入り口まで辿り着かせたそうです。

 そんな体験から拙著を読まれ、僕が心子とパートナーという難しい立場で交わったことに対して、「本当によくなさったなあ…の一言に尽きます」と言ってくださいました。
 彼女との付き合いは確かに大変でしたが、ありがたい言葉ではありました。

(続く)

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読売新聞に拙著の書評

2005年11月09日 22時03分31秒 | 「境界に生きた心子」
 拙著「境界に生きた心子」発刊後まもなく、読売新聞の「くらし健康」面に書評が載りました。
 以下に引用させていただきます。

「愛くるしくて、一緒にいるとすごく楽しい。ところが一度キレると、相手を徹底的にこき下ろし、激しく落ち込み、時に自殺未遂まで図ってしまう--。

 境界性人格障害の恋人との壮絶な日々を、シナリオライターの著者が克明につづった。
 結末は悲劇的ではあるが、その結果こそが、この障害の複雑さや、治療が確立されていない現実を浮き彫りにしている。
 本文中と巻末に、この障害の特徴や付き合い方についての解説もあり、読者の理解を助けてくれる。」


 実は一昨年、読売新聞「医療ルネサンス」に境界例の特集が連載されました。
 読者から大変な反響があり、続編まで連載されました。
 それだけ、人知れず境界例で苦しんでいる本人やその周囲の人が沢山いらっしゃるということです。

 連載時、僕は医療ルネサンスにメールを送り、担当の方からお返事をもらいました。
 「境界に生きた心子」ができ上がって献本したところ、とても良い本だと評価していただき、今回の書評を書いてくださった次第です。

 「この障害がどういうものか具体的に非常に分かりやすく描かれており、『男女の一つの愛の形を克明に描写した物語』としても読みごたえがあった」と、とても嬉しい個人的感想も聞かせてくださいました。(^^)

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「境界に生きた心子」(星和書店・刊)の紹介

2005年11月08日 15時25分11秒 | 「境界に生きた心子」
 
 境界性人格障害(境界例/ボーダー)という心の障害を抱えた女性・心子(しんこ)と過ごした日々。
 その波瀾万丈の実体験を描いたノンフィクションの本を上梓しました。
 心子と僕の軌跡が結実し、渾身の想いを込めた一作になりました。

 彼女とは甘い蜜月と凄まじい修羅場が、目まぐるしく繰り広げられました。
 全てを焼き尽くすような、微塵の妥協も許さない強烈な彼女の愛情。
 壮烈ながらピュアでひたむきなラブストーリーです。

 そんな、限りなく純粋で千変万化の僕の彼女を紹介します。
 心子や境界性人格障害について皆さんと語り合っていきたいと思います。


  彼女をはじめ境界例の人は、感情の起伏が激しくて衝動をコントロールできず、本人も周囲も大変な葛藤に巻き込まれます。
 愛する人を過剰に理想化するかと思うと、一転して致命的にこき下ろします。
 恋人や家族に対して“完璧な愛情”を求め、それが得られないと僅かなことでキレたり、逆にうつ状態になったりしてしまいます。
 それは、幼少時不幸にして適切な愛情を得られなかった環境による、根源的な「愛情飢餓」から来るものなのです。

  その一方、境界例の人はこの上なく純粋で人を引き付ける魅力があり、色々な才能に恵まれていることも少なくありません。
 マリリン=モンロー,ダイアナ元妃,尾崎豊,太宰治もボーダーだったと言われています。

 境界例の人は元天使だったと言う人がいます。
 彼女との交際はすこぶる楽しくて魅惑的ですが、人間に転生してまだ間がないため人の不完全さを理解できず、理想像を要求されて甚だしい困難を強いられます。
 けれども、それで最も傷つき苦しんでいるのは本人自身に他なりません。
 彼女たちは何よりも愛情に飢えているのです。


 境界例はボーダーレスの現代を象徴する心の障害であり、若い世代を中心に増加し、今も苦しみ悩んでいる人やその家族・パートナーの人たちは沢山います。
 拙作によって、人間にとって愛情がいかに大切かということを伝えられたらと思います。
 児童虐待はじめ親子や家族の愛情が問われる現在、本作を世に訴えるのは意義あることだと愚考いたします。
 透徹した彼女の生きざまを目の当たりにした時、きっと何かを感じていただけるのではないかと思います。


 2001年の年明け、心子は自死にて旅立っていきました。(自殺行為も境界例の症状のひとつです。)
 その後、僕は彼女のことを書き記しはじめ、約3年半に渡り加筆を重ねてきました。
 念願の本が刷り上がって5日目の1月17日は、彼女の命日でした。
 生まれたばかりの本を彼女の墓前に報告してきました。
 彼女のお母さんが非常に喜んでくれたこの本を、心子もきっと祝福してくれたと思います。

 彼女はカウンセラーであり、心の病に苦しむ人を一人でも救えたら本望だと言っていました。
 人のために身を捧げることを少しも厭わなかった彼女ですが、拙著によって境界例の人たちが理解される一里塚となることができれば、それが何よりの供養になるでしょう。

 なお、奥付の発刊日2月21日は心子の誕生日です。
 「境界に生きた心子」は彼女の生まれ変わりであり、“我が娘”でもあります。
 拙著が少しでも皆さんの心に響くことを、心子と共に祈っています。


【海原純子さん推薦(心療内科医・医学博士)】
『愛しても愛しても、それでもまだ愛に飢えて手をのばす人がいる。
 そうした女性を恋人に持ち、正面から向かいあって生きた人の、魂の記録が胸にしみる。』


【ご注意】
 ボーダーの方ご本人が拙著を読まれた場合、非常に共感・感動し救われたという方と、フラッシュバックを起こしたり傷つき怒ったりする方の、両極端に分かれるようです。
 ボーダーの方の心の健康を守る必要があるので、その点をどうか予めご了解くださるようお願いいたします。


【追記】
 2008年の新風舎の倒産に伴い、「境界に生きた心子」は絶版扱いになりましたが、幸いなことに星和書店から再出版されました。
 また是非よろしくお願いいたします。


●Amazon 「境界に生きた心子」(星和書店)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4791106938/sr=1-3/qid

(新風舎版:http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797439130/ref=pd_rhf_p_1/) 
 

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