朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

阿弖流為

2015-10-09 | 伝統芸能

大阪松竹座で歌舞伎NEXTを観劇しました。 「アテルイ」と読みます。

 

 

”伝説の舞台「アテルイ」ついに歌舞伎化!! 演劇界に旋風を巻き起こした・・・初演から13年の時を経て新たな「阿弖流為」がその姿を現す”

 

 

開場前から劇場の前の道路には多くの観客が集まっています。仕出し弁当屋も小さなスタンドを出して予約を受け付けています。

「シネコン」映画館は、自前の飲食物の持ち込みを禁じていて場内で販売するポップコーンやジュースを買わせようとしていますが、伝統的な観劇習慣から歌舞伎座では持ち込みもOKです。

 

 

主役の3人。

阿弖流為は市川染五郎。

坂上田村麻呂は中村勘九郎。

立烏帽子は中村七之助。・・・びっくりするような美女を演じていて、声もスタイルも正に女性でした。終盤で、蝦夷の神様に変身すると意外にも太い男声になり驚きました。

都(京都)と、蝦夷の地(東北)が舞台となります。

あらすじを読まずに見に行ったので、はらはらドキドキの連続でした。

脇役の蛮甲(片岡亀蔵)、御霊御前(市村萬次郎)、藤原稀継(坂東彌十郎)らの熱演もすばらしい。

現代歌舞伎らしく、時々、ジョークセリフが飛び出します。「一粒300メートル」・・・

 

 

幕間に、予約していた昼食をとりに行って、

 

 

休憩・売店ロビーにて、食事。

観客の9割が女性、それも年配の方が多数。平日昼間の公演なので当然か。

 

 

 鰻の釜飯でした。

思い出してみると、前回ここで食べた弁当も同じ鰻めしでした。笑

 

 

入場の時に、リストバンドについたLEDライトを渡されました。

どうやって発光させるのか、そのタイミングなどが不思議でした。

最後の場面になると、突然、お客のつけているリストバンドLEDが、同時に光りました。

その点滅も同期しています。・・・無線でコントロールしていることが分かりました。

最近のフェスなどでは、よく使われているデバイスなのかもしれませんが、初体験でした!

 

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伝統芸能の今2014

2014-05-13 | 伝統芸能
春秋座(京都造形芸術大学)で「伝統芸能の今」が開催されました。



歌舞伎や狂言の若手(市川猿之助、茂山逸平)、能楽・歌舞伎囃子方の三響會の人々と、津軽三味線の上妻宏光が共演しました。



チャリティ演奏会になっていて、6年前から毎年各地で開催しているとのこと。

長唄の三味線とはおおいに異なる津軽三味線のダイナミックな響きと狂言の踊りが組み合わされて興味深い舞台となりました。

出演者のトークなどがあり、最後は猿之助、逸平らの「石橋」でした。

獅子の毛振り、牡丹、蝶が舞って大変に華やかでした。



観客の9割くらいが女性だったと思います。



この機会に合わせて、春秋座のイメージキャラクターの学生コンテストの最終発表がありました。選ばれたのは、白キツネをモチーフにしたこの作品が選ばれました。

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スーパー歌舞伎Ⅱ 大阪松竹座

2014-04-22 | 伝統芸能
「空ヲ刻ム者」ー若き仏師の物語ーという題名で、市川猿之助が仏師を演じます。



道頓堀にある松竹座です。



とても評判がよく連日満員であったようです。(4月20日で千秋楽)



さて、題名の「空」はなんと読むのでしょうか。このタイトルからは、どんなストーリーなのか皆目想像がつきません。

「そら」、「くう」、「から」・・・?

実は、最後に近い場面でおこる出来事の伏線になっていました。

才能に恵まれた二世仏師十和(猿之助)と、村長の息子で官吏をめざす幼なじみ一馬(佐々木蔵之介)の数々のトラブルとそれらを乗り越える成長物語です。

仏教が貧しい農民を救えない、仏像は支配者階級のアクセサリーだと十和は考えます。仏師の父が制作した仏像を受け取りに来た役人を誤って殺害してしまうところから波瀾万丈の物語が過激に展開していきました。

途中の幕間休憩が30分あるので、入場するときに玄関前で予約しておいたうなぎ丼、相方はカニ鶏そぼろドンブリとお茶を美味しくいただきました。やや割高ですが場所代でしょう。



さて終盤、貴族の注文で出来上がった仏像を十和が厨子を開けて披露する場面で、実は仏像は入っていなくて木くずが空を舞います。「から」の仏像です。仏は信ずる人の心にある。

その後、追手たちに追われる。歌舞伎独特の戸板を使った大立ち回りがあり、セリやスッポンを使って突然人物が現れます。巨大な不動明王が動いたり、真っ赤なライトがあたり火事を表現する舞台となりました。。

一馬は出世のために野心をもつ朝廷高官の部下になっていましたが、説得により改心して十和につく。

そして二人して、ソラを飛んで悪漢退治に向かいます。

スーパー歌舞伎では、このワイヤーに吊って劇場の高い場所をふわりふわりと飛び、空中で見得を切るのが定番になっているので、観客は大喜びでした。

ああ面白かった。

共演の佐々木蔵之介さんは、京都出身の俳優(歌舞伎役者ではなく)で実家は酒造会社「佐々木酒造」です。売店にはその清酒が並んでいました。



道頓堀の適度な雑多看板が気持ちを和ませてくれました。



このグリコの大看板は老朽化したので、この夏以降に作り変えると報道されています。名物の両手をあげて走るランナーの姿は変えないようですが。
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京都の平熱

2012-01-10 | 伝統芸能
京都市バス「206番」は、京都駅から出発して、東本願寺、三十三間堂、智積院、清水寺、八坂の塔、安井金比羅宮、祇園八坂神社、知恩院、熊野神社、知恩寺、大徳寺、建勲神社、千本釈迦堂、釘抜地蔵、出世稲荷、壬生寺、西本願寺と有名寺社の門前をぐるりと周回しています。



こんな市バス206系統が通過する町と人々を「まえがき」で紹介する鷲田清一先生のエッセイ集「京都の平熱」(講談社、2007年)を読み始めました。

モノクロの写真もとても興味深い。(写真撮影:鈴木理策)

京都で生まれ育って、京大に学んだ哲学者。哲学者らしい文章も時にはでてくるけれど、ちょっとインテリ好みで軽い文体、日々の京都ローカル文化の紹介です。

京都人が言う「先の大戦」とは「応仁の乱」のことだ、とはよく聞く話ですが、鷲田先生によれば、

「十何代か続かないと京都人とは言えないというのはまっかな嘘だ。(中略)そもそも京都の支配層は関東をはじめ他国から来たひとばかり。藤原、平、源、足利、豊臣、薩長、・・・と、京都を荒らしたのは、外のひとばかり。湯川秀樹はじめ代々のノーベル賞受賞者として、あるいは京大「名物」教授として鳴らしたひとも、京都出身者はほとんどいない。あってもせいぜい三代目くらいである」(同書、p.4)

 とのご宣託。

「「都」が東京に移っていったときも、「第二の奈良になるな」をかけ声に、内国勧業博覧会を開き、平安神宮を建て、疎水を開き、市電を通し...とつぎつぎに近代的な設備に手をつけた。都が移ってさびれるという不安がこんな侮辱的とのいえる合い言葉として流布したわけだが、そういうふうにこけにされた奈良人のその孫たちは、「うちらの近所、日本史の教科書の最初のほうにいっぱいでてくるもんねえ...」と、ちょっとうら悲しいというか、やけくその自慢話をする」(同書、p.136)

”うどん”とは決して言わず、”おうどん”となるとの説明に続けて、

「ここで、もう一言つけ加えさせていただきたい。それは、「おみおつけ」。味噌汁のことだが、「御御御付け」と書く、そうな。ここまで「お」をつければほとんど異常の域である。けれどもどこか慎みというものもたしかにあるようで、「おみおつけ」と言いながら、奈良漬けのことは「オナラ漬け」とはけっして言わない」(同書、p.155)


 ちなみに、現在の京大総長は奈良出身です。

「幼少の頃わたしは、「京女」(筆者注:きょうじょ)とは京都大学の女子校舎だと思いこんでいた。うちの家主さんのお嬢さんがここに通われ、「えらいかしこいひと」だという噂で、声をかけづらかった」(同書、p.31)

残りは、同書を購入されてお読みください。



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坂東流日本舞踊

2011-06-28 | 伝統芸能
坂東温子(ばんどうはるこ)さんの日本舞踊の実演と解説でした。(6月6日)



坂東流家元の歴史を現すパネルが3枚、舞台に飾られました。坂東流は歌舞伎の舞踊を源流としています。

坂東温子さんは、6歳のとき6月6日に入門。数字6が縁起が良いのでしょう。

鮮やかな色の着物を召した女性のお弟子さん数名が揃って実演を見せていただきました。帯は、お師匠さんが貸した流派伝統の模様でした。

公演中の写真撮影ができないので、その絵はなし。きれいでした。

最後には、会場の参加者に向かって、日本舞踊基本的な手の動き指導エクササイズのおまけ付きでした。

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琵琶

2011-05-29 | 伝統芸能
日本芸能史(前期第6回、2011-05-23)
講師は、上原まりさん

筑前琵琶の実演と、琵琶の由来のお話がありました。


(引用:上原まり公式ウェブサイト)

上原まりさんは、かつて宝塚の娘役トップスターで「ベルサイユのばら」のマリー・アントワネット役などで活躍し、退団後は筑前琵琶旭会の琵琶奏者となった方。もともと琵琶家元の生まれ。

2ヶ月前に大きな病気になり退院後初めての外での仕事だそうです。でも、とても1947年生まれには見えません。

演奏者はまりさんの体調回復が充分でないため、お仲間の大藪旭晶さんと村山旭勢さん。

最初は法服を着て般若心経を演奏。読経と琵琶の合奏でした。

琵琶は天台声明の伴奏として使用されたとのことです。天台の管長慈鎮和尚は「平家物語」を京都の盲僧如一検校に作曲させた。

琵琶は奈良時代に伝来し、イランを源流とする楽琵琶の系統と、インド系の盲僧琵琶の系統があり、この二つが融合したのが平家琵琶、後者に三味線を加味したのが筑前琵琶。それに、薩摩琵琶(イランとインドの両方を継承)が加わって、「筑前五弦琵琶」となった。イラン(ペルシャ)の伝統から、今の琵琶にも三日月が刻まれています。



お琴と同様、一面、二面と数えます。弦と柱の数は各種の琵琶によって異なります。上原さんのは筑前五弦琵琶です。

後半では、平家物語の一場面の演奏がありました。弾き語りになります。

来年のNHK大河ドラマは「平清盛」となったそうで、上原さんは平家物語そのものなので大変楽しみにしていますと話していました。


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京舞

2011-05-28 | 伝統芸能
日本芸能史(前期第4回、2011-05-09)
講師は、五世井上八千代さん

京舞の実演と井上流の歴史説明がありました。お嬢さんも和服で実演のお手伝いをしていましたが、田口章子先生によれば、昨年この造形大を卒業したばかりとの紹介がありました。女性が跡継ぎになる井上流も立派な後継者がいて結構なことです。

井上八千代造形大教授はトークも大変上手です。


(引用:京都造形芸術大学教員紹介web)

京舞は、祇園芸妓舞妓が踊る日本舞踊です。京都春の風物詩である「都をどり」は、明治5年に政治の中心が東京に移ってしまった京都に活力を取り戻す目的での内国博覧会を実施した時イベントとして、三世井上八千代によって創始されました。

祇園料亭できれいな帯と着物の舞妓さんの踊りではありますが、井上流京舞、実際は、能と同様にメリハリのきいた少し怖いとも感じる硬い踊りです。時には、どんと舞台の板を踏み大きな音を出すこともあります。表情はにこりともしません。

近衛家に奉公に上がった井上サトがそこで舞を学び仙洞御所や近衛家の舞指南となった。近衛家より、井菱の紋を拝領し「玉椿八千代にかけて・・」と井上八千代の名乗る。以来、椿は井上家に大切な模様となっています。錦小路の魚屋に嫁いだが、実家に戻って島原の舞師匠を勤めました。(初世)

四世八千代は明治38年生れ。とても厳しい練習をする師匠さんとして知られていたと説明がありました。

踊りの振りは、楽譜のような決まった形式の記録はないので、すべて師匠の振りを見て練習によって憶えるそうです。

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壬生狂言

2011-05-25 | 伝統芸能
造形大の講座です。

壬生狂言が春秋座の舞台を会場にして、実演とその解説がありました。

700年前に京都で始まった無言劇。円覚上人が鎌倉時代に、仏教を大衆に広めるために、文章や説教ではなくて演劇で表現したと伝えられてきました。

現代では、壬生寺を拠点にして、この重要無形民族文化財を維持しているのは活動に賛同する数十人の人々です。



今回の演目は「土蜘蛛」
源頼光を蜘蛛の精が夜な夜な悩ませる。家来の渡辺綱ら命じて土蜘蛛の棲家を突き止めついにこれを退治する。

蜘蛛の糸が、ぱあーと舞台の上空に舞って、客席にまでそのいくつかは飛んできます。

蜘蛛の精の衣装や面も大変に派手です。



これが客席で拾った蜘蛛の糸。

すべてこの大念仏講の人たちの手作りだそうです。細い鉛の芯材に薄い和紙を巻きつけて、最後に包丁で輪切りにする。

鉛の芯が錘になって、かなり遠くまで飛んでいきます。1回の演技に、1,000粒くらいを蒔くそうで、100個くらいの包み(巻いたもの)を10個に切って作ると説明されました。

この蜘蛛の糸は縁起が良くて、財布に入れておくとお金がたまるといわれているそうです。

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能 片山九郎右衛門

2011-05-11 | 伝統芸能
「日本芸能史」、今年度は「芸能と芸道」がテーマです。(京都造形芸術大学)

4/11 「総論」が諏訪春雄教授、
4/18 「舞楽」(天王寺楽所雅亮会、木戸敏郎氏解説)[所要で欠席]、
4/25 「能」を、十世片山九郎右衛門(2011年片山清司改め)による実演・解説講演を拝聴しました。

演目は「三輪」

三輪明神に伝わる神婚説話と天岩戸神話を融合させて作られた作品。白式神神楽(はくしきかみかぐら)
「ぞう」能面をつけて舞う。

ご本人の実演の後で、場内から二人の希望者に本物の能装束をつけて見せて頂きました。



鬘の付け具合、面を頭に縛る紐の強さによっては失神するくらいに苦しいこともあるそうです。長時間、演奏するには多少強く締めておく必要がありますから。

能役者は、かならず自分で衣装を着ることと他の演者に着せることができるそうです。

鬘は、本物の女性の髪の場合と馬の毛があります。

片山家には、衣装1500点、小道具200点、面300点が保存されていると説明がありました。

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淡路人形浄瑠璃

2011-01-30 | 伝統芸能
この公演が春秋座(京都造形芸術大学)であり、見に行きました。



伝統的人形劇に文楽がありますが、この淡路の人形劇はまた一段と派手で楽しい趣向がふんだんに取り込まれていて驚きでした。

演目は「玉藻前曦袂」。4つ目の漢字なぞ、見たこともありません。

「たまものまえあさひのたもと」
  ・道春館の段
  ・神泉苑の段
  ・狐七化け

ストリー自体は奇想天外。鳥羽天皇の皇位を狙う皇子(薄雲)とその部下の武士、さらに金毛九尾の妖狐やお姫様が二人重要な役割をはたします。

場面も一幕と二幕は京都、清水寺や神泉苑の池も出てくる。
なんと、三幕目は那須野で演者自身の裃の服装まで早替わりして観客を驚かせます。その狐はワイヤーでつるされて空を飛んだりします。観客には数人の熱心なファンも来ていて、良いタイミング掛け声をかけていました。

劇場ウェブの最後に動画での紹介があります。

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