朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

義太夫(2)

2008-10-29 | 伝統芸能
講演でのメモです。
 演目には、時代物と世話物がある。前者は重厚、後者は江戸時代の社会ネタで町人、百姓が主役となる。
 義太夫は、江戸浄瑠璃と言われるが、語り言葉は大阪弁になる。
 チャリ場とは、世話物でこっけいな人物の見せ場。チャリとは、あじゃり(僧侶)という言葉から変形した言葉。
 「切り場」「おくり」「さんじゅう」、武士の場面と町人のときとでは、演じ方が違う、三味線の演奏も違う。「心が違う」ということ。

 三味線演奏は、鶴澤清二郎さん。四十代くらいの方です。
 三味線が、こんなにも豊かでしっかりした演奏が出来ることを実感しました。
 
 講義が終わってからも、長い質疑応答がありました。特に鶴澤清二郎さんは、他の方が引っ込んだ後も、10分以上残って舞台の直ぐ下に集まった20人くらいの聴講生の質問に丁寧に答えてくれました。

Q1:楽譜はあるのか?
A1:大夫の語りは、「本」がある。印はつけているが、楽譜のようなものではない。口伝で。聞いて覚える。三味線は、本来は本も全くなかった(初期は盲人の職業であったので)。演奏時、舞台では本を見ない。全部暗記する、苦労する。伝承のために、本はできた。「いろは」と文字で記載してある。
Q2:三味線の楽器の素材は?
A2: 皮は猫、弦は絹、バチは象牙。弦は、巻き取り式になっていて、舞台での演奏の合間に少し巻き取っていき、切れないように気をつける。弦を切ると、大夫に迷惑が掛かるので、三味線引きの大きな恥とされている。
Q3:大夫、人形遣い、三味線で、演奏まえに打ち合わせや練習をするのか?
A3:しない。演奏時は、大夫が指揮をとる。それに人形も三味線も合わせる。即興的な要素も出てくるので、そこが面白い。三味線では、擬音(例、サルの鳴き声)や打楽器的にバチで叩く音も出す。
Q4:大夫さんが使っている台はどんなものか?
A4:螺鈿やらの細工がしっかりした由緒ある品物。昔、戦前は、義太夫を習うことが、商家の旦那芸としてはやった。その際、お金持ちの旦那衆が競って立派な台を注文して作らせた。跡継ぎは義太夫をやらなくなって、それが古道具屋に流れて、現代はそのような品物を探して入手することが多い。



(注:ネットで、上記関連の情報を調べていたら、「大夫」「太夫」の点の有無が解説してありました。近年は、点をつけないそうです。貰ったパンフレットと講義プリントを詳しく見てみると、ちゃんと使い分けていました。まあ、専門家が作れば当然ですね。

 
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
すごい (セントくん)
2008-10-28 22:32:01
ずいぶん有意義な楽しそうな講座ですね。おくりとか、さんじゅうとかむずかしい言葉がでてきてますが、何のことでしょうか?
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文楽の若手 (Hello from 福岡)
2008-10-29 10:33:11
文楽若手研究会を作っている男性と或る場所で
一緒になった時に諸々の苦労話を聞かされました。

家柄、伝承、後継、襲名などの話だったように
思いますが内容は忘れました。ただ、若手といっても40代だったので、こりゃ一体幾つから大人扱いになるのだと驚くと同時に彼のお給料を聞いて
「ひぇ~」とぶったまげました。
安い!
大変な世界のようですね。
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おくり、etc (geneve)
2008-10-29 21:43:15
セントくん、ありがとうございます。
 懸命に聞いていたのですが、イマイチ、本当の意味は捉えられていないかもしれません。「おくり」とは、主人公がその場面を去るときに、大夫の「せりふ」と三味線の伴奏だと思いますが。「さんじゅう」とは、多分、三重で、義太夫が唄い始める前の前奏、あるいは、(「うれい、さんじゅう」Goo辞書より)浄瑠璃で、愁嘆場の終わりに愁いを強調する義太夫の節、および三味線の手。特に親子・肉親の生き別れ、死に別れなどの悲劇をもって終わる場面に多い、とのことでしょうか。
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文楽の若手 (geneve)
2008-10-29 21:56:59
Helloさん、伝統芸能の後継者は苦労があるのでしょうね。今回も、三味線の鶴澤さんはその家元系の子孫だそうでしたが、大夫を目指す人で、関東などからの出身者は、その演奏は大阪弁でできるが、なんというか、本当の関西弁の味が出せない、ちっと違うと、言っていました。あと、収入の点は質問しませんでした。が、演奏する機会、場所が、うんと少ないので、恐らく厳しいのでしょうね。例えば、歴史は新しいけれど、浪花節などもうほとんど絶滅種RedListだとどこかで読みました。
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