朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

カンブリア爆発

2008-09-07 | もろもろの事
持参した本の一つは、このテーマです。アンドリュー パーカー著「眼の誕生」。
 543ミリオン年前(5億4300万)から538ミリオン年前までの(わずか)5ミリオン年間に、それ以前にはわずか3種類の「動物門」(動物の大分類、生物の基本構造で区別)が、一挙に38種に増加したことを「カンブリア紀の大爆発」と呼んでいます。現在生存しているほとんどすべての動物はこのときの古生物を起源とする。なお、地球の起源は4600ミリオン年前(46億)。
 ※人類が、猿の系譜から分岐したのは約4ミリオン年前(400万)と推定されている。
 ※※「生命」の起源(その仮説例は下記※※※)は、約40億年前(4000ミリオン)が現在の定説。ただ「化石」による物理的証拠はまだない。 
 ※※※「コモノート」:古細菌と真正細菌(バクテリア)の共通の祖先が「生命」の始祖であるとの仮説。異説もある。(コモノート説は日本の学者の提案>>証明されればノーベル賞か?)

 なぜ、この時期に爆発的な「進化」が発生したのか。
 気候大変動や彗星衝突、太陽光変化、宇宙線などが原因か。
 科学調査の基本は、化石を発見して精密に調べること。
 カナダBC州(ヨーホー国立公園)フィールドの町から入るロッキー山脈の山中で、特殊な化石群を1909年米国人学者が発見した。バージェス頁岩(けつがん)と呼ばれている。
 その化石は、約5億年前の生物を驚異的なことに軟体構造もほぼ完全に保存していた。この生物が生きていたのがカンブリア紀。
 「アノマロカリス」など、現在は絶滅した「奇妙奇天烈動物」が多数発見された。その後、中国雲南省の澄江(チェンジャン)でもカンブリア紀のさらに古い同種類の化石が発見された。
←体長は最大2メートル。(wikipedia著作権自由画像より)
 「アノマロカリス」は他の動物を捕食して生きる、当時最強のハンターであった。20ミリオン年ほどして絶滅した。その理由は謎。
 奇妙奇天烈動物群には、このほかにも硬い甲殻、モノを噛み切る歯、捕まえる脚、眼など、機能が相当に高度化している。
 カンブリア以前に関しては、その後、オーストラリアで「エディアカラ動物群」の化石が発見された。570ミリオン年前と推定。こちらはクラゲ」のような軟体動物だけで高度な機能は持っていない。(そもそも軟体構造が数億年も保存されたことは、極めて特殊な土砂と圧力温度の組み合わせが発生した奇跡的な出来事だ)
 このエディアカラと、澄江の年代の間に何が起こったのか?
 
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 この本にも説明はあるが、進化を促す力として「淘汰圧」なる概念が出てくる。
 適者生存、弱肉強食の進化の世界では、DNAの突然変異で生まれた新機能の内、生存に意味あることだけが生き残る。生存競争が激しい環境を「淘汰圧が高い」すなわち、進化速度が加速されるとしている。
 まあそうかな、とは思う。しかし、突然変異、すなわちサイコロを投げるような偶然の操作だけで、有意な機能が創造できるものなのだろうか。
 サルにタイプライタと餌を与えておいて、何年たてば、「ハムレット」が完成するのだろうか。
 この本で、スウェーデンの大学の研究者が、DNA突然変異の発生確率を仮定して、原始の光受容細胞から(カンブリア動物の)眼に進化するまでの年数を計算した論文を紹介している。それによると、50万年あれば可能との結論である。
 しかし、これも多くの変数を仮定しているので、その数字が外れると結論が異なる。なんとなく、逆算して計算モデルを造っているような感じがする。
 淘汰圧が低い時代、前カンブリア紀でも突然変異は発生しただろう。この時期は視覚を持つ捕食者がまだいない時代なので、DNA失敗作の生物ももっともっと生存できたのではないか。つまり、カンブリア紀の直前には、もっと多様な「超奇妙奇天烈動物群」がいたのではないだろうか。
 淘汰圧なる概念自体が、なにかマスタープラン、最終設計への「見えざる手」として働くことを前提にしているのではないのでしょうか。
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