オバマ政権のレームダックで行き詰まるTPP 日本は主導権を握り中国対策に取り組め
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7520
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉でこう着状態に陥っている日米両国は、11日から2日間の日程で実務者協議を行ったが、大きな進展はなかったようだ。日本がコメなどの農産品5品の関税全廃に反対する一方、アメリカは自動車輸入関税の即時撤廃に難色を示して対立。4月に控えるオバマ大統領の訪日を前に、TPP協議は難航している。
これまで日本は、アメリカとの関税交渉を優先してきたものの、アメリカ側の譲歩を引き出せないでいた。ここにきて日本は事態打開を目指し、オーストラリアやニュージーランドなどの国々との協議を加速させ、アメリカの軟化を狙う戦術に出ている。
アメリカが譲歩できない理由は、主に国内事情にある。オバマ大統領は、すでに秋の中間選挙を意識した選挙モードに突入しており、大幅な譲歩は党内や支持者からの反発を招きかねないからだ。民主党の支持基盤である全米自動車労働組合は、かねてから日本の参加に反対し、政府に圧力を加え続けている。
もし、民主党が中間選挙に勝利できなければ、議会の上下院ともに共和党が握ることになり、大統領の指導力は低下する。ただでさえ外交政策でリーダーシップを発揮できないなかで、米議会も野党側の手に移れば、オバマ政権のレームダック化が加速することは避けられない。
すでにその兆候は表れている。中間選挙の前哨戦となる11日の米下院補選では、民主党候補が敗北した。今月初旬に行われた調査によると、オバマ大統領の支持率は、過去最低の41%を記録している。
アメリカが譲歩する可能性が薄いとすれば、むしろ日本はアメリカ以外の国を説得し、TPPを主導しなければならない。TPPは中国の覇権主義の脅威を経済面から封じ込める意味も兼ねているが、オバマ大統領の中国への弱腰姿勢は、外交だけでなく、通商分野でも際立っている。レームダック状態のオバマ大統領を動かすためにも、日本はTPPでイニシアチブを取るべきだ。(慧)
【関連記事】
2014年1月9日付本欄 TPP参加で中国の機嫌を伺う台湾 "母国"はむしろ日本だ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7199
2013年12月1日付本欄 韓国がとうとうTPP参加に意欲 親中姿勢から大きく舵を切ったか!?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7019
TPP参加で中国の機嫌を伺う台湾 "母国"はむしろ日本だ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7199
台湾の馬英九総統が、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を本格的に検討し始めたと、8日付日経新聞電子版が報じた。馬総統は2012年、2期目の就任式でTPPについて「今後8年以内で参加準備を終えたい」としていたが、この計画を前倒しする。7月末までにTPPに参加した場合の問題点を整理し、参加表明の時期などの見通しを立てる予定だ。
台湾にとって、TPP参加には、現在落ち込んでいる輸出を増やすというメリットがあるが、これまでは中国が「アメリカ主導の中国包囲網」としてTPPを警戒していたため、中国に遠慮して参加の意思を明確にしていなかった。ここにきて台湾が前向きになったのは、中国がTPPに関心を示し始めたことが背景にある。最近、李克強首相を中心に中国指導部の一部からTPP加盟に対する前向きな発言が増えている。
馬総裁は2008年の就任以来、経済を軸に中国との結びつきを強める政策を取ってきた。台湾と中国の間で複数の直行便を開設し、観光客を誘致。また、中国への投資制限を解除し、相互に直接投資ができるようにした。その結果、台湾経済の中国への依存度は高まっているが、このままでは、台湾が経済的に中国に飲み込まれるのは時間の問題だ。
中国は中台関係の改善も踏まえ、台湾に政治対話の秋波を送っており、政治的にも台湾を手中に収めようとしている。一党独裁体制の中国に飲み込まれれば、台湾は自由や民主主義を失うことになる。中国をまるで「宗主国」であるかのように見て、顔色を伺う親中路線は改める必要がある。
そもそも、「中華人民共和国」の支配が台湾に及んだことは一度もなく、台湾を自国の一部とする中国の主張は正統性が薄い。また台湾にとっても、経済発展を遂げ、近代化する礎になったのは、日本統治時代のインフラ投資や教育であり、中国に恩はないのだ。台湾に“母国"があるとすれば、それは中国というよりむしろ日本である。台湾は中国よりも、自由や民主主義という価値観をともにする日本との結びつきを大事にすべきだ。
だが、日本側の親中姿勢にも問題はある。日本は、日中国交正常化のために台湾を見捨て、1970年代に外交関係を断ってしまった。その後は経済を中心に結びつきを強める日中関係の影で、日台関係は注目されてこなかった。2011年の東日本大震災の際にも、台湾は地震発生後すぐに救助隊の派遣を申し出たが、日本が入国を認めたのは2日後で、それも中国の救援隊が日本に到着した後だった。
台湾は親日的な国だが、こうした日本の姿勢が台湾の期待を裏切ってきたことも事実だ。日本と台湾は、日本統治時代の功績に正当な評価を与え、アジアの繁栄を築くために力を合わせていくべきである。(晴)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『台湾と沖縄に未来はあるか?』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=731
【関連記事】
2013年11月16日付本欄 2020年に中国が台湾侵攻? 台湾のSOSをアメリカは無視するな
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2013年9月4日付本欄 台湾のライフラインを掌握しようとする中国 中国ではなく日本に頼れ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6597
わが国の生き筋 ~TPP参加と減反廃止~
[HRPニュースファイル847]
◆「減反廃止」という誤報?が紙面を飾る
今秋、新聞主要紙が50年近く続けられてきた「減反廃止」、コメ政策の大転換と相次いで報道しました。生産調整(減反)は5年後の平成30年度(2018)をめどに廃止すると驚くべき内容でした。
しかし詳細に検証しますと「減反廃止」報道は間違いであり、「減反維持」が実情と思われます。
政府は11/26、農林水産業・地域の活力創造本部会合を開き、コメ政策見直しの全体像を決めました。
主なものとして、
(1)平成29年度までは、現行通り国が生産数量目標を配分する(生産調整=減反)。
平成30年度をめどに、行政による生産数量目標に頼らなくても、国の需給見通しなどを踏まえ、生産者や集荷業者・団体中心に需要に応じて生産する体制に移行する。
(2)現在10アールあたり1万5千円というコメ農家に対する戸別所得補償を5年後に廃止する。
(3)飼料用米への助成で補助金を導入拡充する。水田での主食用米以外の生産を誘導する。
これに対する補助金を、現行10アール一律8万円を収穫により変動させ最大10万5千円とする。
このように政府が生産目標数量の配分を行わないことと戸別所得補償を5年後に廃止することに目がいき、主要紙は減反廃止と報じたと思われます。
しかし、実際には減反面積への減反補助金は依然として交付され、これは維持であって減反廃止ではありません。
当会合を受けて翌日(11/27)の産経新聞は「減反廃止を政府決定〜コメ政策、大転換」と一面で「減反廃止」と報道していますが、日本農業新聞は「米政策見直し〜主食用以外に誘導」と減反廃止という表現は見られません。
◆実態は、民主党の減反政策から自民党の減反政策への転換
実情は、民主党の減反政策を廃止し、自民党の減反政策を実行するということであります。
キャノングローバル戦略研究所の山下一仁氏は、Webronza11/4,11/5の中で、次のように指摘しています。
「自民党は、主食用のコメの作付けが増えないようにするために、非主食用の作付けを増やす補助金を増額し、「水田フル活用政策※」をさらに拡充しようとしていることに他ならない、減反廃止どころか強化ではないか」
農水省は非主食用(飼料用)に450万トンの需要が見込めるとしています。
現在、米価の維持のための減反政策に投入している税金は5000億円を超えると言われていますが、飼料用450万トンを生産するために補助金が7000億円に増えるという試算もあります。
同時に高い米を買っていることで消費者が負担している金額も5000億円と言われています。
本来、減反廃止の効能とは、米価が下がるということにあるはずです。非主食用への「転作」により主食用コメの生産はさらに減少するかもしれません。
事実上の減反強化で、米価は下がらないことになります。コメ政策の見直しにより、さらに財政負担と消費者負担が増えるのです。
◆TPP交渉で守るべき聖域とは、衰退の一途をたどるコメ市場?
農業従業者はピーク時の1/6に減少しました。( 昭和35年、1340万人の従事者が平成24年、240万人)しかも平均年齢は66歳です。50歳以下の従事者は一割未満です。
米の生産量もピーク時1500万トンから1994年1200万トン、現在800万トンに減少。
農地の面積は、1960年代初頭714万ヘクタール、現在459万ヘクタールまで減少。250万ヘクタール減少しました。半分が転用、半分が耕作放棄となっています。
多額の税金を投入して一番保護してきたコメ市場が、一番衰退しているのです。TPP交渉で聖域を守れという聖域とは、衰退の一途をたどる国内市場に他なりません。安楽死を迎えさせてくれということなのでしょうか。
◆日本のコメの品質は世界最高峰
しかし、日本のコメの品質、味は世界最高峰です。世界の食市場は、平成21年340兆円から平成32年には680兆円まで拡大すると予想されています。
中国では、富裕層になればなるほどインディカ米からジャポニカ米に嗜好が変わるといいます。
日本の米価はここ10年で3〜4割安くなっています。中国米、カリフォルニア米等と3割程度まで価格差が縮小しています。
日本のコメを世界に輸出することこそ、生き筋であります。米価を下げることは、内外価格差を解消し、国際競争力を増すことに他なりません。
TPP参加、減反政策の廃止等、規制撤廃こそ日本の農業が強くなる生き筋であると考えます。
(文責:幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦)
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農水省が減反政策廃止案を提示 政府は真の農業改革から逃げるな
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6871
農林水産省が、減反政策の廃止案を自民党に提示したことを、1日付朝日新聞が報じた。廃止案では、各農家がコメの生産量を決められるようになる上、減反に協力する農家への補助金も数年内に廃止する。悪しき農政の象徴とも言える「減反」の廃止が進むことは歓迎するが、安倍政権が成長戦略の一貫として掲げてきた農業規制の改革が、根本から解消されたわけではない。
減反政策とは、コメの生産量を絞って価格を維持する仕組みのこと。これまでは農水省が、生産量の目標を定めてきた。だが、政府は10月23日に、農水省が定めているコメの生産目標を、自治体に任せる案を提示。今回の農水省の案では、生産目標そのものを廃止し、減反に協力する農家への補助金も廃止する予定という。
減反政策によるコメの価格維持の仕組みがあるため、コメのコスト削減は進まず、競争力も高まって来なかった。また、生産性の低い零細農家にも補助金が支給されるため、農地の集約は進まず、その結果、膨大な耕作放棄地が増えた。その意味で、減反の廃止は、農業問題を解消するための一歩になる。
ただ、減反の廃止と引き換えに、新たな補助金が導入されようとしている。
主食用のコメを家畜の餌用のコメに作り変えることを推奨し、補助金を出すというのだ。収穫量の多い農家は、これまでよりも多額の補助金を受け取れるようになる。だがこれでは、補助金の支出先を変えたにすぎず、政府がコメ農家に介入するという前提が大きく変わったわけではない。
そもそも安倍政権は、成長戦略の柱として、株式会社も含め、農業経営への参入の自由化を目指していた。しかし実際には、参入自由化には既存の農業団体などの反発が強く、議論は次第に、周辺の政策へと拡散しつつある。減反の廃止についても、別の補助金を作り出すのであれば、問題が解決したとは言えない。
日本の農業の生産性を上げるには、一刻も早く、政府に依存する体質から抜け出し、大胆な自由化を進める必要がある。大規模化を進めて国際競争力を高め、「稼ぐ農業」を目指すべきである。(晴)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『政治の理想について』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=112
【関連記事】
2013年10月23日付本欄 今度こそ減反政策の見直しを いまだに残る「社会主義政策」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6836
TPP参加は「減反」を廃止し、農業を変革するチャンス!
[HRPニュースファイル801]
◆「減反」導入までの農政の流れ
自給率向上を謳いながら「減反」政策に固執する農政に矛盾を感じる方は数多くいます。大正初期までの農政は、農業と工業は均衡していて、バランスが取れていました。
しかし、大正中期頃から人口の増加と工業への労働集中で、米の自給率が低下し、米の値段が高騰し、「米騒動」(1918年)が起きました。
その後も、第一次世界大戦後の好景気、シベリア出兵等で地主や商人が米を投機と考えるようになると、売り惜しみや買いだめをしたため、米の値段が高騰していきました。
米を庶民が買えなくなったことで、全国で「値下げ強要」運動から打ち壊しが行われ、「米騒動」は大きな社会問題となりました。
戦時下では、食糧が足りない状態で、1942年に「食糧管理法」が制定されると、政府による集荷と配給の「直接統制」となります。
それ以前は、米は自由な市場として、米の低価格のときに政府が買い、米の高騰時に売る「間接統制」でした。
戦後GHQの指導もあり、農地改革、その結果として零細な農地所有者がたくさん作られました。
1961年に制定された「農業基本法」は、零細農業を改善し、農業所得の向上を目指すものです。しかし、実際には逆の政策が取られました。「食管制度」が生産者の米価引き上げに使われたのです。
農協が米価闘争として政府与党を激しく突き上げ、農家所得の向上のために米価を引き上げさせました。
当然農協(JA)は、農家と密接にかかわっていますので、農家の所得が増えれば、農協(JA)が潤う構造ができています。
この「食糧管理法」は、はじめは消費者保護のためでしたが、それが生産者保護=米高価格維持に変わっていきました。その結果、食糧自給率の低下と60年代以降の高米価政策につながりました。
農政は高度成長によりインフレとなり物価が上がる中、需要と供給の市場原理を無視して、物価上昇や生産費上昇に合わせて米価格も上げる流れになったのです。
農家としては、お米を作れば儲かる為、高度成長以降の高米価格により、米の生産は1967年に1445万トンとなり、過剰となりました。しかも日本人の食生活が洋風化し、農業生産額の半分を占めていた米の消費が減少してきました。
国民一人の米の消費量は118kgから61kgに減少し、国民の米総消費量も874万トンに減少、農政は63年からは米は供給過剰との戦いになります。米価の価格の下支え、過剰米が売れ残り在庫管理のための経費が積み上がることになりました。
このような流れで70年に「減反」が実施されることになりました。「減反」とは、米価格低落防止のための供給制限カルテルです。
「減反」に農家を参加させ、政府の買い入れを減少させるためです。強制的に作付け面積を減らし、供給を減らすことで、高米価格維持を行いました。
1995年の「食管制度」が廃止されてからも、米の価格は「減反」によって維持されてきました。「減反」により、60kg当り9000円前後で買える米が、15000円前後の価格になっています。
◆「減反」維持による弊害
「減反」を維持するために、各年2000億円、累計で7兆円の減反補助を生産者に税金から支出しています。
また70年までは日本の水田耕作面積は増え続け344万ヘクタールから現在は250万ヘクタールとなり、水田の4割に相当する110万ヘクタールが「減反」され、その多くが不耕作地になっています。
さらには、ウルグアイラウンド交渉で、778%の高関税をコメに掛けても、日本の農業は衰退してきました。
いまや日本の農業生産額は、GDPの1.5%、就業人口は3%、そのうち65歳以上が6割以上です。このままでは、日本の農業はTPPに参加するしないにかかわらず、衰退していきます。
◆TPP参加は「減反」を廃止し農業を立て直すチャンス
米は日本が唯一自給できた穀物です。自給率向上のためには「減反」政策を止め、米を自由に作らせるべきです。自由競争にすべきです。
これからの時代は、本当に農業をメインにしている農家を支援・発展させることです。米の生産量も増え、コストダウンにより海外米と対抗できます。現在でも大規模農家は利益を出し、海外に輸出している農家もいます。
当然「減反」を廃止すると、米の価格は下がり、農家の収入が減ります。コスト削減の難しい中山間地など零細農業は「戸別所得補償制度」の「直接支払い」で維持・保護していく必要があります。
農業の可能性や変革の最大のチャンスが今です。政府はTPP参加に向け、「攻めの農業」も謳っているなら、国内の農業の矛盾を徹底的に変革して、農業の未来を積極的に切り開くべきです。その第一歩が「減反」廃止です。
(文責・宮崎県本部副代表 河野一郎)
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TPP交渉の方向性
[HRPニュースファイル787]
◆なぜ聖域の関税撤廃論が出てきたのか
インドネシアバリ島のヌサドゥアで行われていたTPP(環太平洋経済連携協定)の閣僚会合が閉幕しました。
10月8日から首脳会合が始まり、参加12カ国による本格的な交渉が継続しています。
今回、最も注目するべきは、自民党のTPP対策委員長の西川公也氏が党内で「聖域」と呼ばれているコメや麦などの重要5品目の関税撤廃の可能性をほのめかしたことです。
当然の如く、JAなどの農業団体からは反発が起きています。
全国農業共同組合(JA全中)は、「586品目すべてが聖域だ。一歩も譲れない」と強固な姿勢を示しています(サンケイビジネスアイ10月9日)。
その意味では、農業団体を支持母体に持つ自民党議員としては勇気ある発言でした。理由は次の通りです。
WTO(世界貿易機構)のルールであるGATT第24条によれば、実質的にすべての貿易について関税を撤廃することが明記されています。
例えば、アメリカ、カナダ、メキシコの間で締結されているNAFTA(北米自由貿易協定)では、98%以上の関税撤廃を実現しました。
EU内の自由貿易協定でも97%と高い達成率を誇っており、ある意味国際的な「相場」になっているとも言われています(渡邊頼純著『TPP参加という決断』参照)。
これに対して、日本がこれまで結んだ経済連携協定(EPA)は12件ですが、達成率は最大でも88%と、90%を下回っています。
最大の理由は農産物の関税撤廃が進まず、「聖域」を多く抱えているからです。
つまり、西川TPP対策委員長の発言は、WTOの精神と国際的な流れからみても極めて常識的です。
また、内閣府の西村康稔副大臣も「(ほかの参加国から達成率が)低いと言われているのは事実だ」と言及し、いよいよ日本最大の既得権益とも呼ばれるJAにメスが入る可能性が出てきたわけです。
東京大学の著名な農業学者である本間正義氏は、「WTOがそうであるように、出来るだけ農業も他分野と同等の扱いの下に置こうとすることが望ましい」とし、消費者の犠牲のもとに成り立つ農業政策の見直しを主張しています(馬田啓一ほか著『日本通商政策論』第10章の本間教授の論文参照)。
結局、JAなどのTPP大反対をしている団体は、既得権益を守るための圧力団体となっており、消費者の利益に対する配慮が少ないと言えます。
幸福実現党も主張している通り、TPP参加によってメスが入ることで、農業分野にも一定の競争力が持ち込まれ、安くて良質な農産物が供給されるか輸出商品となる道もあり得るのです。
もし、それでも保護を必要とするならば、WTOでも認められているセーフガードを適用するか、政府からの「直接支払制度」と呼ばれる財政補償でリスクを緩和する方法があります。
◆見過ごされている論点
実は、TPPやFTAで見過ごされている論点があります。
それは、交渉期間の猶予が認められているということです。
GATT24条では、関税の撤廃に対して10年間の猶予が認められています。米豪FTAの牛肉関税削減では18年の歳月がかかりました。
チリやニュージーランドでは、小麦や繊維などの関税は10年かけて段階的に撤廃しています。
言い換えれば、TPPの交渉妥結によって関税撤廃が決定されても、すぐに相手国から集中豪雨のように輸入品が入ってくるわけではないのです。
その間に構造改革もできれば、補償措置についての議論も深めることができるのです。
◆TPP交渉は農業だけではない
実際、日本では議論の的になるのは農業ですが、TPPは衛生植物検疫(食の安全に関わることや動植物の病気に関するルール)、政府調達、原産地規制など合わせて21分野と広範囲に渡っています。
サービス分野にも広がっていることを考慮すれば、農業問題だけを取り上げることは公平性を欠きます。
上述のように、経済連携協定を12件締結している日本にとって、投資家が守られるISDSと呼ばれる投資家対国家の紛争解決手段が存在することは極めてありがたいものです。
海外ビジネスには、相手国の政変や経済状況の悪化、突然の資産の凍結や没収というリスクがつきまといます。
そうである以上、法律によって守られるということは企業の海外展開のリスクを最小限に抑えるメリットもあるのです。
◆TPP交渉と同時に進めたい国内の構造改革
TPP交渉を通じて、日本が自由、公平性、透明性を順守することとが一層定着したならば、貿易と投資による成長は加速するでしょう。
そして、国内産業にもダイナミックな構造調整が起きてくれば、競争力を通じて効率性が高まり、日本がもう一段発展する可能性が高まります。
「聖域」をいつまでも固定化してはいけません。その意味で、TPP交渉団にはぜひとも頑張って欲しいと思います。(文責・幸福実現党静岡県本部 幹事長 中野雄太)
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これがホントの攻めの農業だ!(2)――「農業先進国・日本」へ
[HRPニュースファイル756]
前回は、日本のコメの国際競争力の確認と、生産数量目標制度を廃止するべきと述べました。
今回は、コメの価格設定、農地集約とコメの品種改良により、コメの国際競争力をつけることを提言致します。
◆市場主導のコメの価格設定を!
市場主導のコメの価格設定に向けて、今月初旬にコメ先物の試験上場の2年延長が決まりました。
従来、農協はコメの値決めに絶対的な影響力を持ってきましたが、先物取引市場を通じ、コメ市場に信頼できる価格指標を置くことで、コメ離れを防ぐことが狙いです。(8/29 日経「コメ卸、全農価格に『ノー』先物に期待」)
今までコメ卸業者は全農による高く、一律的な卸向け価格によって、仕入れ高・販売安の厳しい経営環境に置かれて来ました。
先物取引市場の導入成果は一目瞭然で、今年の6月時点で、全農が示した相対価格は横ばいの16,500円/60kgだったのに対し、先物価格は13,500円/60kgとなりました。
新米入荷直前で、昨年のコメの小売価格が下がる今の時期は、先物取引の指標が大いに役立つといいます。
また、生産コスト削減の目標としても先物取引を活用することができます。
春にコストを見込んで15,000円/60kgで取引し、豊作やコスト削減に成功して12,000円/60kgで出荷できたとしても、春時点の15,000円/60kgで買ってもらえるので、秋の時点で契約するより3,000円の収入増になります。
当然、先物取引にはリスクは伴います。個人が参加するには心細いところがありますが、ここに知識と経験のある経営力、企業の力が求められます。
国内コメ市場に「自由の風」を吹かせることが、コメの国際競争力の向上に繋がるでしょう。
◆農地集約に向けた構造改革を!
日本において、コスト削減の鍵である農地集約が今まで成功しなかった理由は4点あります。
1点目はゾーニング(土地利用計画)政策の甘さです。
簡単に農地を(地価の高い)宅地に転用できるので、資産保有の意味合いで農地を手放さない農家が多く、日本では、意欲のある農業の担い手に対する土地の集積は進んで来ませんでした。その結果、膨大な耕作放棄地が生まれたのです。
2点目は、減反政策をして米価を高く維持し、所得保障を行なっているため、生産コストの高い農家も農業を続けていることが原因です。
3点目は、株式会社の農地取得を阻んでいる「農地法」です。
現場の農家の中にも、「土地を集約し、コストを削減したい」という声はあるものの、法人でも企業でも良いので、誰かに来て取りまとめてもらいたいという声があります。現場も経営力を求めているのです。
4点目は農業収益の向上です。ゾーニングが行われた農地で耕作放棄地が出るのは、収益が上がらないからです。
一定規模以上の主業農家に耕作面積に応じた直接支払い(生産者に直接支払われる補助金)を行い、集約して借りている土地代の支払能力を補強すれば、農地は耕作放棄されずに主業農家に集まり、規模は拡大し、コストが下がります。
直接支払いのメリットは、起業家的な主業農家にターゲットを絞って、補助金政策を実施できることです。
しかし、政治家にとっては、広範な「バラマキ」ができなくなるため、実施されて来ませんでした。ここも安倍政権に攻めて頂きたいところです。
なお、「集約して大規模農業」と聞くと、地平線まで広がる農地と超大型の農業機械を想像しますが、日本の場合、10ha規模の運営が「最も経済的」と言われています。
地域で3〜5人集まり、法人化して共同作業し、農業機械も共有することで、大幅なコストダウンを図ることができます。
共同出資により、最新の農業機械を購入する負担も減らせます。しいては、農業機械メーカーにも経済効果が波及します。
◆日本の農業技術でコメの品種改良を!
収穫量を上げるための品種改良を行うべきです。日本のコメはなんと13,000種類以上もあります。
美味しい、寒さに強い、病気に強い、収穫時期が早い、風などで倒れにくく育てやすい、炊いた時の見た目が美しい等の改良は行われましたが、減反制度以降、収穫量を増やすための品種改良は行われて来ませんでした。
品質はそのままで収穫量を増やす品種改良を産官学で進め、品種改良を行った稲は「知的財産」として登録します。
「農業技術先進国・日本」として様々な気候でも育てられる稲を作り出し、土木、灌漑、治水、上下水道、発電技術等のインフラ技術と共に農業技術を輸出することで、発展途上国に自国で食糧を生産する力をつけて頂きたいと思います。
人口増加率と世界のコメの消費量増加率は一致しています。「世界人口100億人時代」の食糧危機が引き起こす、飢餓や貧困による無用な争いを少しでも減らす方向に進めることが必要です。
◆「努力が必ず報われる農業」を!
私は農政を考える上で、「美味しいものを食べて頂きたい」という生産者の方々の思いを自由経済に乗せ、「努力が必ず報われる農業」に向けた環境をつくっていきたいと考えています。
また、コストを削減し、コメが安くなったからと言って、茶碗にご飯粒を残すようなことは絶対にしません。
一粒への感謝の心を子や孫の代へと伝えるのも、「農業先進国・日本」が世界に発信すべき精神文化であると思います。【祈豊穣】(HS政経塾第3期生 横井 基至)
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これがホントの攻めの農業だ!(1)――日本のコメに国際競争力はあるか?
[HRPニュースファイル755]
◆コメの関税引き下げ・撤廃に備えよ
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で焦点となっている農産品等の関税について、政府・与党内では自由化率(10年以内の関税撤廃率)90%超を軸に調整を進めています。(9/5 日経「関税撤廃9割超で調整 TPP、政府・与党が本格協議」)
現在の米の関税率は778%。この関税を撤廃するのは、自由化率99.4%以上になった時とあります。
これこそが、日本農政がどうしても崩されたくない「聖域」、すなわち「最後の砦」です。
しかし、TPP交渉において関税撤廃率100%を掲げる国が出て来たことからも、日本は更に高い関税撤廃率を求められることを念頭に置かねばならないでしょう。
米の関税も撤廃された時のことを考えて対策を取るべきです。これこそが安倍政権の掲げる「攻めの農業」の本質であるべきではないでしょうか。
しかも、関税は品目ごとに一気に撤廃する必要はありません。例えばコメも10年かけて段階的に関税をゼロにする計画を立て、その間に国際競争力をつけることの方が現実的です。
関税の交渉は秘密裏に行われておりますが、「聖域」に関するオール・オア・ナッシングの報道姿勢(「聖域なければTPPに参加せず」等)にも疑問と恣意的なものを感じざるを得ません。
◆日本のコメに国際競争力はあるのか?
コメの自由化の段階に入った場合、重要になってくるのは、日本米の価格と品質を比べての国際競争力です。
コメには大きく分けて3種類ありますが、ここでは日本や中国、アメリカで栽培され消費されている短粒種について取り上げます。これは世界の米の生産量の2割にあたります。
以下に掲げる価格は、現地での日本人が食べても美味しいとされる高級米の値段です。現地米の該当国での国内販売価格1kg(平成21年)を挙げます。
・香港259円(12.3円=1HKドル)[日本米1,300kg、中国米2,400kg、タイ米1,700kg、アメリカ米500kg]
・アメリカ471円〜740円(100円=1ドル)[日本米1トン、アメリカ米406トン]
・日本236円〜455円
※[]内は現地のある店での年間販売数量を示す
狙うは富裕層や高級食材扱いですので、日本国内での価格400円(参考:魚沼産以外の新潟コシヒカリ)の米を輸出したとして、関税(香港はナシ、アメリカは1.4セント/1kg)、諸経費、30%の小売店の儲けを入れて、香港では780円、アメリカでは795円で商品棚に並びます。(農水省『日本産米輸出ハンドブック』平成21年度版より)
味の差別化については、カリフォルニア米の最高品種と新潟コシヒカリを日本人が食べ比べた場合、全員が正解したという結果も出ています。
香港では現地米と3倍の価格差がありますが、他の輸入米同様、高い売れ行きを示しています。
日本の絶対的な品質の優位と現地で売り込む努力をすれば、十分に原地米と勝負が可能です。
更に、生産数量目標(減反)をやめれば、コメの価格はさらに下がり、国際競争力が向上します。
◆コメの価格を高止めしている生産数量目標(減反)を廃止せよ!
平成24年度は、国の示した米生産目標は793万トン/150万haに対し、収穫量が852万トン/158万haありました。
ちなみに、日本全国の田の面積は246.9万haであるので、田の面積の46%は生産調整地、耕作放棄地、転作か他の利用をしていることになります。(耕作放棄地は平成22年には39.6万ha農水省統計)
既に他に利用されている農地を除き、耕作放棄地を含め、残り全てで米を作ったとすると、220万haの田で1,188万トン(24年収穫量より5.4トン/haで計算)の収穫が見込まれます。(参考:山下一仁著『フードセキュリティ―コメづくりが日本を救う!』日本評論社)
日本国内で食べる米は790万トンですので、残りの398万トンは輸出が可能となります。
輸出量398万トンと言えば、アメリカの米輸出量325万トンよりも多く、3位ベトナムの640万トンに次ぎ、日本は世界第4位の米の輸出国となります(2012年試算ベース)。
生産調整廃止により、日本米の卸価格は9,500円/60kgまで下がることが見込まれています。(※6月の国内卸値12,500円〜16,500円)
国内に安い米が多く出回り、国内の米の消費量が増大すれば、価格は下げ止まる方向に働きます。
また今後、中国の米価格が人件費の高騰によって卸価格10,000円/60kgまで上がって来ますので、市場原理が働いて価格が下げ止まり、米価の暴落は起こらないでしょう。(参考:同上著)
それと共に、輸出先における日本米の価格競争力も格段に向上していきます。
今回は、日本のコメの国際競争力を確認すると共に、生産数量目標制度(減反)を廃止すべきことをお伝え致しました。
次回は、コメの価格設定、農地集約とコメの品種改良により国際競争力をつけることにいてお伝え致します。【祈豊穣】 (HS政経塾第3期生 横井 基至)
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TPPで農業「聖域」に踏み込みか ピンチをチャンスに変えよう
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6574
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉の関税削減・撤廃をめぐり、政府は関税撤廃品目を全貿易品の90%前後に上げる方針を固めた。29日付各紙が報じた。
シンガポールなどが100%に近い関税撤廃を提示したことに対応した形だ。今後も更なる自由化を迫られ、最終的に98%前後が自由化されるとの見方が強い。そうなると、政府が「聖域」扱いしてきた重要5品目も関税撤廃を免れない。
重要5品目とは「米、豚牛肉、麦、乳製品、砂糖など」。これらの分野は国際競争力が低く、関税撤廃に耐えられないと言われている。今回、これらの「聖域」が関税撤廃の対象となれば、農協を中心に反対意見が噴出することは目に見えている。
しかし、長期的には農業の脅威はTPPではなく、農業の古い体質そのものである。
日本の農業は生産性が上がらず、農業自体の魅力も下がっている。後継者不足で農業人口も先細りしつつある。農業従事者の平均年齢は66歳であり、このままでは本当に「絶滅」が近い。騙し騙しで現状維持を続けても、世界の自由貿易化への趨勢は止まらない。TPPを機に農業改革を進めるべきだ。
ありがたいことに、他の産業に比べても、農業政策の改善ポイントは明快だ。それだけ現制度が「ひどい」ということでもあるが、悪名高い減反政策や個別所得保障制度、農地売買の規制や農地集約化を阻む規制などを撤廃することで、いくらでも日本の農業は伸びるはずだ。
さらに、日本の農業を輸出産業化できる可能性は充分ある。世界の人口は増え続け今世紀中に100億人を突破すると言われている。世界の食料需要は飛躍的に伸び、食糧不足の深刻化が予想される。土地も人も限られるなか、技術力でどれだけ生産性を上げるかが鍵となる。狭い国土に苦しみながらも圧倒的な農業技術力がある日本にとって、大きなチャンスだ。
TPPに反対する人たちは「農業が危ない」と言うが、逆にピンチをチャンスに変え、一気に日本の農業を「未来産業」に転換することを目指すべきだろう。(光)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『もしドラッカーが日本の総理ならどうするか?』 大川隆法著
http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=46
【関連記事】
2013年7月24日付本欄 日本がTPP交渉に合流 自民党は利益誘導型の政治から脱却すべき
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6387
2013年7月23日付本欄 成長戦略でこれから農業・医療の規制改革に踏み込むとは、自民の詐欺か?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6383
日本は大きなビジョンを持ってTPP交渉に臨むべし!
[HRPニュースファイル739]
◆TPPの本格的交渉が始まる
日本やアメリカなど12カ国が参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の閣僚会合が23日、ブルネイで閉幕し、「年内妥結に向け、交渉を加速する」という共同声明が出されました。
ここから月末まで事務レベルでの協議が本格化しますが、各国の利害が一致しない知的財産や農産品、工業製品に関する関税撤廃など、3分野における協議を前進させられるかが焦点となります。
7月のマレーシア会合から途中参加した日本にとって、初めて全日程に加わる本格的な交渉となります。
交渉参加が遅れた日本に対する風当たりは強く、日本にとって厳しい交渉が待っていることは間違いありません。
◆自民党内で揺れるTPPへの思惑
安倍政権はTPP参加を推進していますが、そもそも政権与党である自民党の中には未だにTPP参加に対して慎重派や反対派の議員が多いのも事実です。
ブルネイでの交渉が始まる前の20日、自民党本部で開かれた「TPP交渉における国益を守り抜く会」の会合には約50名の自民党議員が出席し、交渉内容が開示されないTPPに対して、「情報がない中で議論しろというのか」(上杉光弘元自治相)などといった怒りや嘆きの声、批判が相次いだそうです。
この「国益を守る会」は、もともと「TPP参加の即時撤回を求める会」が前身で、安倍首相の交渉参加表明を受け、3月に名称変更した経緯があります。
今月6日の会合では、会員が240人から参院選を経て256人になったと報告され、衆参党所属議員410人の約6割に上り、「監視役」として影響力を強めるため、さらに会員を増やす方針にあるとのことです。
◆TPP慎重派が多い理由(1)―選挙対策と実際の政権運営の乖離
野党はともかくとして、なぜ与党内にもこれほどまでにTPPへの慎重派、反対派が多いのか。
一つには既得権益の「聖域」を守ろうとする政治家が多すぎる点が挙げられます。
代表的な事例としては、TPP参加で国内農業が崩壊するという農業界を中心とした主張に迎合する農村地域選出の政治家の姿であります。
現に農水省が2010年11月に公表した試算では、TPP参加によって現在10兆円の農林水産業の生産額が4兆5000億円まで半減し、現在40%の食料自給率は13%まで低下するという悲観的な試算が出されており、それを真に受けた農協を中心に「TPP断固反対」の旗を掲げています。
そうした農協からの選挙で応援を得るために、昨年の衆院選で「聖域なき関税撤廃を前提にする交渉参加に反対」と訴え、参院選でも「守るべきものは守る」と公約に盛り込み、農村票を納得させてきた経緯があります。
このように、情報開示もなくTPP交渉が政府主導で進んでいく実際の政権運営と、「このままでは地元に説明がつかない」という選挙対策の狭間に立たされているポピュリズム政党の矛盾が垣間見れます。
◆TPP慎重派が多い理由(2)―根強いアメリカ陰謀論
また、TPPを通じてアメリカがアジア太平洋地域で好き勝手にやろうとしているというような「アメリカ陰謀論」がTPP慎重派の議員らの中で根強いことも挙げられます。
確かにアメリカがTPPを通じてアジアへの輸出拡大を目指しており、その背景にはオバマ政権は来年秋の中間選挙を控え、オバマ政権の公約である輸出倍増計画の達成に向けた実績としてアピールしたい思惑があることも事実です。
こうした「アメリカ陰謀論」を唱える人は1989年〜90年の日米構造協議などで日本に高圧的な要求を突きつけたアメリカの姿勢が記憶に残っている人も多く、特に国防強化や正しい歴史認識の重要性を訴える保守系の言論人が非常に多いことも特筆すべき点です。
以上のように、TPPを取り巻く環境はまだ不安定であり、今後の交渉次第で、野党のみならず政権与党内からも反発が強まり、TPP交渉自体がとん挫する危険性があることを知らねばなりません。
◆「経済成長」+「国防強化」を一挙に推し進めるTPP
一方、幸福実現党は経済的観点、更に安全保障的観点という両面から見てTPPへの参加は必要不可欠であると一貫して訴えてきました。
経済成長の観点で見ても、関税撤廃の効果のみで10年後のGDPを2.7兆円押し上げる効果があると言われておりますが、それ以外の効果も含めれば、その試算を遥かに超えた経済効果が短期的に現れてくるはずです。
反対意見の強い農業においても、TPP参加による農業崩壊はあり得ません。
関税はすぐに撤廃されるわけではなく、その移行期間に日本が持つ世界トップクラスの農業技術力を活かして、農業を本格的に成長産業に変え、「金のなる木」に変えていくことだってできます。
また、日本の歴史認識を巡って米中が接近するような構図も出来ていますが、TPPに関しては「中国覇権主義に対する包囲網」であるという意味合いは原則変わっておらず、日本の国益に大きく資する点を忘れてはなりません。
更に「アメリカ陰謀論」への反駁として付け加えれば、二国間であると国力の差が交渉力の差に繋がってしまいますが、逆にTPPのような多国間交渉になれば、日本にとって交渉余地が大きくなります。
なぜなら、アメリカ以外の参加国と利害が一致すれば、対アメリカで連携して交渉に臨むことが可能となるからです。
アメリカの要求を抑制するためにも、多国間の枠組みが有効なのです。
◆TPPは日本が世界のリーダー国家となるための登竜門
最後に、日本政府には「聖域を守ること」をもって「国益」と呼ぶのかという点を今一度考えて頂きたいと思います。
「聖域を守れるかどうか」という小さな目的達成のためではなく、「TPPへの参加を通じて、日本の新しい未来を創る」という大きなビジョンで交渉に臨んで頂きたいと思います。
TPPに参加する他のアジアやオセアニア諸国と自由貿易という枠組みで良好なパートナーシップを育み、相手国を成長させながら、共に発展していくという理想を描くことこそ、日本が将来世界のリーダー国家への道を歩むために必要なことだからです。(文責・幸福実現党山形県本部 城取良太)
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日本がTPP交渉に合流 自民党は利益誘導型の政治から脱却すべき
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6387
日本は23日、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉会合に正式に参加した。マレーシアで開催中の同会合では、24日から25日にかけて、すでに交渉に参加している11カ国と日本との集中討議が行われる。
今後、政府は、これまでのTPP交渉会合における文書を解析し、農産品保護を目指す国内の反対派とも調整を行うとみられる。そのなかで、TPP参加を推進したい安倍晋三首相ら政府側が、いかに自民党内の反対派を説得するかは大きな課題となるだろう。
参院選で自民党は圧勝したが、TPPに関して公約では「守るべきものは守り、攻めるべきものは攻め、国益にかなう最善の道を追求する」と書くにとどまった。その背景には、党内のTPP反対派を抑えきれていない現状がある。
例えば、参院選で比例第二位で当選した山田俊男氏は全国農業協同組合中央会(JA全中)出身。TPP交渉に関しては「納得できない交渉結果なら脱退を求める」と、産経新聞のインタビューで述べている(23日付MSN産経ニュース)。自民党は、TPP反対を主張する農業関係の団体からの支援を受けているため、TPP参加を明確に打ち出せないでいるのだ。
TPP交渉参加をめぐっては農業分野のマイナスばかりが議論されがちだが、日本がTPPに参加することによる国益も大きい。
たとえば、TPP参加で日本のGDPは3兆2000億円増えると試算されている。加盟国全体で世界のGDPの4割を占めており、今後の成長が期待できる国も多いため、日本にとっても、さらなる成長のチャンスになることが期待できる。また、TPP参加を通して日本がアメリカや環太平洋・アジア各国との経済的なつながりを深めると、中国に対する牽制にもなる。安全保障の面でも、TPP参加には重要な意味があるのだ。
結局、自民党内の反対勢力は、利益誘導を主眼に置く旧来型の自民党政治を続けているように見える。しかし、彼らがTPP参加を妨害すれば、実は「経済成長の可能性」や「安全保障の強化」といった、大きな国益を失わせかねないのだ。
民主党をはじめ、野党が壊滅状態になった今、安倍自民党が戦うべき相手は野党ではなく、党内の反対勢力となっている。TPP参加に限らず国防問題なども同様だが、国際的な視野に立って国益を守ることができる本当の保守政党に変われなければ、参院選の圧勝も自民党の「終わりの始まり」となりかねない。(晴)
【関連記事】
2013年7月23日付本欄 成長戦略でこれから農業・医療の規制改革に踏み込むとは、自民の詐欺か?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6383
2013年6月21日付本欄 自民の参院選公約は安全運転 言うべきことを言う正々堂々の政治を
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6202
TPPに向け、日本農業の大胆な構造改革を!
[HRPニュースファイル622]
◆「聖域」議論に終始するTPP議論
政府は「『聖域なき関税撤廃』という環太平洋連携協定(TPP)の理念が、交渉次第では『聖域ありき(例外ありき)』である」ということをTPP交渉参加の大義名分としています。
昨年末の総選挙で当選した295人の自民党議員の内、約70%の205人が選挙公約で「TPP参加反対」を表明していた以上、「聖域を守ること」は彼らの政治生命を確保するためにも至上命題であるのでしょう。
実際、政府のTPP参加表明後、日本のマスコミの関心の的はもっぱら、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の原料作物5項目の聖域を守れるかどうかの一点に絞られています。
しかし、これら5項目だけで500品目を超えており、TPPが従来の貿易協定を超えた高度な自由化を目指している以上、5項目全ての聖域化が困難であることは言わずもがなです。
米通商代表部高官は26日、共同通信のインタビューに応じ、TPP交渉合流をめぐり「日本には高水準の貿易自由化を耐え抜く決意があると確信している」と述べ、コメなど農産物の重要5品目を関税撤廃の例外とする「聖域化」を貫こうとする日本側をけん制しています。
日本は7月下旬に開催する方向の交渉会合から合流する構えですが、高官の一連の発言で、日本が重要農産品を関税撤廃の例外とする主張を通すのは容易でないことが浮き彫りとなっています。(4/27 河北新報社)
林芳正農水大臣は「聖域が認められないなら交渉から離脱覚悟だ」と発言するなど、交渉国向け、国内向けに二枚舌よろしく閣内バラバラな発言を行っていますが、今後の交渉は、まさしく綱渡りだと言えましょう。
◆構造改革で農業を強化したニュージーランド
世界最大の乳製品輸出国であるニュージーランドは、そもそも、いかにして今日の地位を築いたのでしょうか?
ニュージーランドの酪農・乳業の今日の発展は、1980年代初めの「経済、農業の自由化」と、2001年の大規模酪農・乳業組合「フォンテラ」誕生の「二つの構造改革」によってもたらされたと言われています。
1940年以降、政府は酪農を中心とした農業部門に手厚い補助金をつけ、その額は農産物販売額の30%に及びました。
しかし、72年の英国のEC加盟を機にニュージーランドは農産物輸出の中心市場を失い、その後のオイルショックによる国内のインフレ、財政赤字の拡大等、経済状況の悪化に悩むこととなりました。
1984年に政権についた労働党は「ロジャーノミクス」と呼ばれる自由主義と財政緊縮による大胆な改革を実施しました。
これにより、農業部門は補助金が全廃されるなど、これまでの様々な政府支援が無くなりました。
その後、農家の中には補助金に頼らず、コストの削減や、市場に対応した製品づくり、環境を重視した農業への取組みが生まれ、その取組みは徐々に拡大し、酪農を含め、農業のあらゆる分野に広がっていきました。
こうした取組みは「農家の意識変化と経営努力を促がし、競争力が強化され、農家はさらに強くなっていった」と言われています。(2010/3 「農中総研調査と情報」第17号)
◆日本農業の大胆な構造改革を断行せよ
日本とニュージーランドでは酪農を取り巻く環境、諸条件の違いがありますが、補助金を全廃し、自由競争を促すことで、農家が自立し、国際競争力が高まったという事実に学ぶべきところが多いのではないでしょうか。
そもそも、TPPにおいては「関税の撤廃・削減」は一過程に過ぎず、TPPの目指すところは、世界共通のルールを作り、グローバルな国際市場において自由競争を活性化していくことにあり、政府は農業の国際競争力向上にこそ注力すべきです。
今年1月、農林水産省が「攻めの農林水産業推進本部」を設置。「担い手への農地集積や耕作放棄地の解消を加速化し、法人経営、大規模家族経営、集落営農、企業等の多様な担い手による農地のフル活用を目指す」など、大胆な農業改革が掲げられました。(4/23 農林水産省 第7回産業競争力会議)
今こそ、政府は「聖域化」の議論に終始することなく、農業に関わる国内の規制を撤廃すると共に、大胆に保護農政を見直し、農業の自由化・大規模化を促し、農業の真なる自立、競争力強化を目指した構造改革を断行すべきです。(文責・岐阜県参議院選挙区代表加納有輝彦)
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東日本大震災の教訓を無駄にするな!──明確になった日米の危機意識の差
[HRPニュースファイル558]
◆日米首脳会談を受け、TPP交渉参加へ
安倍首相は22日午後(日本時間23日未明)、オバマ米大統領とホワイトハウスで会談しました。
首脳会談ではTPPについて「日米ともに2国間貿易上のセンシティビティー(慎重な検討を要する重要品目)が存在する」との認識で一致、米側から例外品目の可能性を引き出しました。
安倍首相は首脳会談を受け、衆院選公約で聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加に反対としたTPPに関し、「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」と説明。TPPへの交渉参加を近く表明する運びです。(2/23 産経「日本、TPP交渉参加へ 首相近く表明『例外』言及の日米声明受け」)
幸福実現党はTPPこそが成長戦略の鍵であり、同時に日米同盟強化、中国包囲網戦略の要であると主張し続けて参りましたが、安倍首相は国内の既得権益勢力の猛反発を乗り越え、毅然としてTPP参加に突き進むべきです。
◆北朝鮮の脅威に強く反応する米国政府
また、両首脳は日米同盟の重要性を再確認し、核実験を行った北朝鮮に対し、追加制裁を含む国連安全保障理事会決議の早期採択を目指すことで一致しました。
北朝鮮は、1万キロを射程とする「長距離弾道ミサイルの発射実験」と「3度目の核実験」を成功させたことにより、米国本土を核攻撃できる能力を手にしました。
北朝鮮・国防委員会は「われわれが継続して発射する衛星や長距離ロケット」が「米国を狙うことになる」と軍事利用を明言し、まさに「事実上の宣戦布告」とでも言うべき状態です。
北朝鮮が核実験を強行した2月12日、オバマ大統領は「北朝鮮の核兵器と弾道ミサイル計画は、アメリカの安全保障上の脅威だ」と激しく非難し、パネッタ国防長官にいたっては「北朝鮮の脅威に対処する準備をしなければならない」と一歩踏み込んだ発言をしています。
これは、米国防総省が「アメリカによる先制攻撃」を検討に入れた可能性が高いと見られています。(2/20 週プレNEWS「北朝鮮の『宣戦布告』にアメリカが先制攻撃を仕掛ける可能性」)
北朝鮮がアメリカ本土を射程範囲とする核攻撃力を持ったニュースを受けて、アメリカでは危機管理のフェーズが変わって来ています。
◆北朝鮮の脅威に鈍感な日本
しかし、日本においては、日本全土が射程となるノドンミサイル300基がすでに配備されているにも拘わらず、政治家をはじめ、日本人の多くは対岸の火事のように危機感を感じていないかのようです。
ここで、東日本大震災での教訓が思い返されます。
それは、津波警報や避難の呼びかけに対して、「自分は大丈夫だ」と認識して、危機感を感じずにいたことが、多くの犠牲者を出した原因になったと言われています。
災害心理学に「正常性バイアス」という言葉があります。「バイアス」とは「先入観」や「思い込み」という意味です。
何か非常事態に遭っても、人はそれを正常の範囲内のことと思い込み、逃げ遅れがちになると言います。
もともと人の心は安定した日常を送るために、外界のささいな変化に過敏に反応せぬように出来ています。
しかし、災害時にはその日常の心の惰性があだとなって、身に迫る危険が認識できなくなるのです。
さらに、この「正常性バイアス」は周りの人への「同調」によって一層強まります。
他人が危険がないかのように振る舞っていると、自分もそれに合わせてしまう「同調性バイアス」です。(2011/3/31毎日)
例えば、レストランで食事をしていて、急に非常ベルが鳴っても、「非常ベルが壊れたんじゃない」とすぐに逃げ出さずに食事を続けて、必死に逃げる人を白けた目で嘲笑うような空気が、日本中に満ちているように思います。
「日常」から「非常」への意識の切り換えが出来るかどうかが、生死を大きく分けたことが報告されています。
このことは、震災だけの事ではなく、危機管理全般に言えることです。
この「正常性バイアス」「同調性バイアス」を打破する方法は、「強く危機感を実感するこ」とが必要です。
誰かが強く声をあげること、実感を伴う所まで突きつけることが必要です。
◆日本は「有事」の最中にあるという認識を!
幸福実現党は、2009年より、北朝鮮からの「飛翔体」を曖昧にせず、「ミサイル攻撃」と認識して警鐘を鳴らして来ました。
日本本土で多数の犠牲者が出る前に、「敵基地先制攻撃」を行なう「抑止力」の必要性を訴え、自主防衛強化の推進を提言して、過激と言われて来ましたが、4年の月日が流れ、事態が深刻化した今、ようやく自民党においても検討されることになりました。(2/20 産経「敵基地攻撃能力保有へ北朝鮮の核ミサイルに対抗政府・自民が本格検討開始」)
「非常ベル」は鳴り続けています。
中国フリケード艦から火器射撃レーザーを照射されても、何も出来ずに回避行動をしている現状。日本はすでに尖閣周辺の領土・領海の実効支配が出来なくなりつつあります。
日本を取り巻く危機的な状況を示しており、「宣戦布告無き開戦」に突入していると言えます。
日本はどうすべきでしょうか?本当に今のままで大丈夫なのでしょうか?
「正常性バイアス」「同調性バイアス」を打ち破る必要があります。
今、日本は「有事の中にある」と自覚すべきです。
健全な危機感があれば、今国会においても、自衛隊法の改正、集団的自衛権の行使、憲法9条解釈改憲、防衛軍の創設など、自主防衛強化を真摯に審議して、毅然とした判断を降すことが当然のことであるはずです。
「安全運転」という逃げ腰では国民を守ることは出来ません。
正々堂々と議論して、独立国としての国家主権を守り抜く責務があります。それが出来ない国会議員には、国政を託すことはできません。 (文責・幸福実現党 三重県参議院選挙区代表 小川俊介)
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日米がTPP交渉について共同声明を発表 日本がTPPに参加すべき理由
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5666
日米両国政府は日本時間23日、安倍晋三首相とオバマ大統領の会談を受けて、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に関する共同宣言を発表した。
共同宣言では、アメリカがかねてから主張していたとおり、「TPP交渉の例外品目をつくらない」ことになった。一方、日本政府が求めていた通り、「聖域なき関税撤廃」は交渉参加の前提とならないことでも合意。「日本には農業分野、アメリカには工業分野でセンシティビティ(重要品目)がある。最終結論は、交渉のなかで決定される」という内容も盛り込まれた。
自民党内ではTPP参加による日本国内の農業や医療への打撃を懸念し、反対派も多い。しかし安倍首相は同日、TPP交渉参加の決定について「政府の専権事項であり、政府に一任していただく」と発言。あくまで「国益を守る」ことを前提とした上で、参加表明するとみられる。
しかし、日本がTPP交渉に参加する本質的な意義は別にある。ブルームバーグ電子版(21日付)は、こう指摘する。 「TPPは中国包囲網になりうるし、そうなるべきである」「TPP交渉においては、同じ価値観を共有する限り、新しいメンバーを喜んで受け入れてきた。これは、新しい世界の貿易システムのモデルになりうる」
中国はこれまで、アジアの国と経済的なつながりを強めながら、じわじわ覇権を拡大してきた。ところが TPPに加盟した国は、著作権の保護や人権重視などで共通のルールを守ることになる。 現在の中国には、言論の自由も著作権保護も事実上存在しないため、TPPによって出来る巨大な自由貿易圏に入ることはできない。
日本の経済規模は、アメリカ以外の交渉参加国10カ国を合わせたよりも大きい。だからこそ、日本はTPP加盟国との経済的つながりを強めることで、「自由」や「人権」を守る砦の役割を果たすことができる。こうした状況を作ることが、中国に自由化・民主化を迫ることにもなることを認識しておきたい。(晴)
【関連記事】
2013年2月14日付本欄 「アジア回帰」を素通りのオバマ TPPが唯一の中国対策
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5605
2013年1月号記事 幸福実現党の防衛力&GDP倍増プラン
http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=5189
TPP参加を「成長戦略」の柱に!――訪米中の安倍首相はTPP交渉参加を決断せよ!
[HRPニュースファイル557]
◆安倍首相訪米の焦点となるTPP
安倍首相が2月21日に訪米。22日(日本時間23日未明)に行われる安倍首相とオバマ大統領の日米首脳会談に注目が集まっています。
安倍首相はTPP(環太平洋連携協定)交渉参加に意欲を示しており、その前提として関税撤廃の例外品目が容認されるとの感触を大統領から得られるかが焦点となっています。(2/22 時事「TPP、同盟強化を議論=日米首脳が初会談」)
日本のコメなど農業分野の重要品目を関税撤廃の例外として認める「感触」を米国から得られれば、安倍首相はTPP交渉への参加を判断する見通しです。(2/22 J-CAST「日米首脳会談がTPPのヤマ場 オバマ大統領の発言に注目」)
外務省と経済産業省は米国が関税撤廃の例外品目を認める可能性があり、TPP交渉に早期に参加すべきだとする立場ですが、農林水産省は米国がコメなどを例外品目として認める可能性は低いとみており、オバマ大統領の発言が注目されます。(同上)
◆今回がTPP交渉参加のラストチャンス――
2013年のTPP交渉は3月、5月、9月の開催が予定されていますが、TPP交渉に入るには全ての交渉参加国による承認が必要になります。
特に米国では議会の了承を得る必要があり、手続きに90日超かかります。(2/18 日経ビジネス「安倍首相、TPP交渉参加決断へ」)
そのため、仮に3月に参加表明した場合としても、日本が正式にTPP交渉の席に着けるのは9月からになります。
TPP交渉に参加する11カ国は2013年中の交渉妥結を目指しています。
交渉妥結後に参加表明してもTPPのルールづくりに参画できないため、日本にとっては、今が交渉参加を表明するラストチャンスだと言えます。
安倍首相はTPP交渉に参加する意向を固めているとも言われていますが、TPP交渉参加に反対する自民党議員で作る「TPP参加の即時撤回を求める会」(会員236人)は、日米首脳会談で交渉参加を表明しないよう求める決議を行っており、予断を許さない状況にあります。
◆TPP参加を「成長戦略」の柱に!
オリックスの宮内義彦会長は、日本が国際的に他国と同等の競争環境に身を置くことが日本の成長戦略に欠かせず、TPPに参加しない場合はアベノミクスの構想は崩れると指摘しています。(2/22 ロイター「TPP不参加ではアベノミクスは崩れる」)
実際、宮内会長が指摘しているように、今は金融緩和を行なっても、お金が日銀、銀行、国債の中でぐるぐる回っているだけで、
株価は上がれども、インフレ効果、景気回復効果が出づらい経済環境にあるのは事実です。
日本経済がデフレ脱却、景気回復軌道に乗るためには、金融緩和だけでは足りず、金融緩和と同時に、安倍首相の言う「三本目の矢」、すなわち、「成長戦略」の実施が不可欠です。
TPPによって、世界成長の中核を担うアジアに、日本との自由貿易圏が誕生することは、輸出立国・日本にとっては市場が拡大することを意味し、工業製品、輸出産業の投資が拡大することは間違いありません。
「TPPによって、日本の農業が危機に追い込まれる」という不安も聞かれますが、TPP参加を機会に、日本の農業は腰を据えた「構造改革」に取り組むことで、むしろ飛躍のチャンスとなります。
農業の規制緩和、自由化を図ることで、意欲と能力の高い個人や企業が農業の担い手となり、農業分野に企業家精神を導入すれば、日本の農業は価格面においても、品質面においても国際競争力が高まり、日本の農業を輸出産業に転換することも可能です。
実際、1991年から牛肉の輸入自由化で海外から安い牛肉が入ってくると、牛肉の消費量は上がりましたが、経営努力と高い品質によって国内牛肉の生産量は横ばいです。
オレンジ、リンゴ、サクランボなど自由化された農産品の国内生産量も、卓越した経営努力によって大きくは減っていません。野菜も関税はたった3%ですが、競争に生き残っています。
日本の農産品の美味しさ、安全性は国際的にも高く評価されており、TPP参加を機に、農業の国際競争力の強化、農業の輸出産業化を図れば、農業を成長戦略の柱の一つにしていくことも可能です。
◆安倍首相は、幸福実現党の複合政策から学べ!
いずれにしても、大胆な金融緩和や財政政策は景気回復の刺激策、突破口にはなりますが、本質的には、民間企業の投資拡大や、GDPの約6割を占める個人消費が本格的に回復・増大しなければ、景気は回復しません。
そのためには、TPP参加、大胆な規制緩和(規制撤廃)、法人税半減、未来産業の創出等により企業の投資意欲を増大させると共に、消費増税を中止し、消費の拡大を図るべきです。
幸福実現党にはポリシー・ミックス(金融政策+財政政策+減税+未来産業創出)に基づく革新的な経済政策があります。安倍首相はTPP参加を決断すると共に、幸福実現党の経済政策を真摯に学ぶべきです。 (文責・黒川白雲)
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