自分の国は自分で守れ

Mikuのブログ

世界第2位の農産物輸出国オランダに学ぶ

2017-04-23 22:57:37 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

[HRPニュースファイル1810]http://hrp-newsfile.jp/2017/3155/

幸福実現党 宮城県本部代表 HS政経塾第5期卒塾生 油井哲史(ゆいてつし)

◆国際交渉の大きなテーマである「農業」

地方経済の核である「農業」は、国際交渉における大きなテーマとなっています。

米国が離脱した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関して政府は、米国抜きによる協定発効を模索する方向で舵を切りましたが、農産物の関税が争点の的となっていました。

一方、米国のトランプ大統領はTPPからの離脱を宣言し、二国間の自由貿易協定に向けた協議を加速しており、日本へ更なる市場開放を求めています。その際の注目する市場として、農業分野をあげています。

◆日本の農業分野に市場開放を迫る米国

米国は農産物輸出国であり、多くの農業関係者や団体はTPPによる日本の市場開放を期待していただけに、TPPからの離脱は大きな波紋を呼び、落胆や懸念を表明しました。

米国食肉輸出連合会は「TPPを完全に受け入れてきた。市場アクセス利益が実現しなければ、深刻な競争不利状況が残る」と表明。

米国小麦協会と全米小麦生産者協会は「競争相手にTPP地域の市場シェアを奪われる」と懸念を示し、他の農業関係団体も反対のコメントを発信しています。

これらの意見を受けて、トランプ大統領はTPP交渉以上に農産物輸出の拡大に向けた市場開放を求めることが予想されます。

米通商代表部(USTR)代表に指名されているライトハイザー氏は、米議会上院の公聴会で農業分野の市場開放について「日本が第一の標的になる」としています。よって、日本はそれに立ち向かうためにも、農業の国際力強化は必須事項であります。

◆世界第2位の農産物輸出国オランダに学ぶ

農業の国際競争力を強化するためにオランダから学ぶべきです。なぜなら、オランダは日本の九州とほぼ同じ国土と人口ですが、世界第2位の農産物輸出国です(日本の農産物輸出額第60位)。

このように世界を代表する農産物輸出国になった背景として国の農業政策における明確なビジョンがあったことと具体的な戦略を実践したことがあげられます。

オランダは1950年代に政府や産業が協力して土地の集約化に取り組みました。

農家1戸当たりの耕地面積は27ヘクタール(日本は2.3ヘクタール)となり、生産性は飛躍的に向上しました。

また、国家プロジェクトとして食品や農業に関連する企業や研究機関、食や農の関連組織の一大集積拠点(フードバレー)を整備し、産官学の連携で情報や人材交流を進め、新商品開発や新しい付加価値を生み出すことに成功しています。

世界の農業科学分野において大きな存在感を示すとともに高い競争力を保持し、高度専門人材の育成にも繋がっています。

さらに、1990年代に今後10年で「世界で競争力を有するべき産業」を選定し、その筆頭に「施設園芸」が掲げられています。

この中で、国家戦略作物として主要生産品目(トマト、パプリカ、キュウリ、ナス等)を選出し、研究開発を集中していきました。その結果、これらの商品競争力は世界トップレベルです。

◆農業の仕事はオフィスで経営管理すること

オランダの農業は最先端分野に位置づけられています。

経営コンサルタントの大前研一氏はオランダの農業は農業を経営することであり、農業の仕事はオフィスで経営管理していると分析しています。

その主な業務内容として従業員の指導、労務管理、コスト管理、生産管理、販売管理などであり、このようなスキルは一般的な企業経営と同じです。

パソコンで気温や湿度、生育状態、集荷状況やコストなどモニタリング、データ管理しているのです。

◆農業は最先端分野/スマート農業、農業×「カイゼン」

実際に今の農業は様々な最新技術が導入されています。これまでの匠の技が情報通信技術によって、「見える化」され、他の農業者や新規参入者に継承されています。

また、農業ロボットや農業用ドローン、自動運転の農機などロボット技術や情報通信技術を活用し、省力化や高品質生産を進める新しい農業としての「スマート農業」が注目を集めています。

産業との協業も進んでおり、長野県はトヨタ自動車と連携し、農業の効率化を図っています。

トヨタが自動車製造で培った「カイゼン」のノウハウを農業に転化して作業を効率化する事業が進行しており、すでに導入実績がある愛知県の農業法人では労働時間が15%、苗の作りすぎも3割も削減する成果をあげています。

このように農業は時代の流れに合わせて高度化し、変化しています。産業と農業の連携は進み、新しい付加価値を生みだしています。

日本の農業の「伸びしろ」は大きい。農政改革を推進させることで、さらに農業は魅力あふれる産業になり、地方経済も活性化していくのです。

政府が先導役となり農業の最先端化や産官学連携を強化させて、国際競争に負けない強い農業を作っていくことが求められています。

 


【参考】
野村アグリプランニング&アドバイザリー 佐藤光泰「地方創生に向けた『地域型農業輸出モデル』の構築」2015.10
大杉武博 「米農業団体は猛反発、新体制の本格始動は半年後・・・「トランプ流」通商政策の今後を読み解く3つのカギ」産経WEST2017.1.30
大前研一 大前研一の特別講義「『スマートアグリ』の最前線」「温室よりもPC操作。オランダ農業がスマートアグリである理由」 2016.9.7
朝日新聞2017.3.15 WEB版
日本経済新聞2017.4.5 WEB版


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オバマ政権、任期中のTPP議会承認を断念 安倍さんタフな外交力を・・

2016-11-16 21:45:11 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

環太平洋経済連携協定(TPP)について、アメリカのオバマ政権が、来年1月の任期中までに米議会の承認を得ることを断念したと、複数の米メディアが報じている。 

次期アメリカ大統領になるドナルド・トランプ氏がTPPに反対しているため、TPPの発効は難しい状況だ。 

それでもオバマ大統領は、今月ペルーで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議に合わせ、各国首脳にTPPの重要性を訴えたいとしている。 

ペルーのクチンスキー大統領は、「アメリカ抜きでもTPPと似た協定をつくることはもちろん可能で、そうした議論はすべきだ。アメリカがTPPから離脱する場合は、中国やロシア、それにほかの環太平洋の国々も含めた協定となるのが望ましい」と指摘している(12日付NHKニュース電子版)。 

 

「中国包囲網」という意味があったTPP

TPPは、表向きは経済協定だが、裏には、自由貿易のルールに入れない中国に対する「包囲網」の役割がある。TPP加盟国同士で関税を撤廃することで経済協力を強め、アジアインフラ投資銀行(AIIB)などを通じた経済協力によって覇権を拡大させようとする中国をけん制する狙いがあった。 

ただTPPには、ある意味で、「ブロック経済」の側面があることも否めない。国際社会が、自由な貿易を行うための過渡的な手段の一つという見方もできるだろう。 

次期大統領のトランプ氏はTPPに反対している。 

 

関税は「外交上の武器」

トランプ新大統領で世界はこう動く

トランプ新大統領で世界はこう動く

大川隆法著/幸福の科学出版


トランプ氏の真意について、大川隆法・幸福の科学総裁は、大統領選の翌日に行った法話の中で、次のように指摘している。

 

「ドナルド・トランプは、『関税制度すなわち輸入にかける税金は、外交上の武器の一つである』と考えているわけです。たとえば、中国がアジアの国を侵略しようとしたら、トランプは中国からの輸入品に対する関税率を変えるでしょう。これは"熱い戦争"を起こさず、銃弾もミサイルも第七艦隊も使わない"武器の一つ"です」

 

実際にトランプ氏は、中国への輸入関税として45%、メキシコには35%を課すという考えを示している。実業家であり、経済のプロとして、関税という武器を効果的に使いながら、中国に圧力をかける戦略を描いているのかもしれない。 

もちろん、国際社会で貿易における自由性が高まることは望ましいが、アメリカがTPPに参加しない代わりに、関税を武器に本気で中国に圧力をかけるのであれば、日本もTPPを絶対視することなく、柔軟に対応すべきだろう。 

安倍晋三首相はAPECに向かう途中の今月17日に、トランプ氏と会談を行う予定だ。この会談は、TPPに関するアメリカの行方を見極める絶好の機会となる。 

今後日本には、トランプ氏をはじめ、ロシアのプーチン大統領やフィリピンのドゥテルテ大統領といった一筋縄ではいかない元首たちと渡り合うだけの胆力と、タフな外交力が必要になってくる。

(山本泉)

 

【関連書籍】

幸福の科学出版 『トランプ新大統領で世界はこう動く』 大川隆法著https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1767 

【関連記事】

2016年12月号 国際連盟の二の舞 アメリカのTPP不参加は危険 - ニュースのミカタ 3http://the-liberty.com/article.php?item_id=12111

─ ─ ─ ─ ─

関税率が武器になるというのは、私の周りの誰かも言ってました。

実現党のTPP賛成論を他のブログで紹介した時のコメントです。

「TPPなんて入らず、日本は独自に中国に高い関税掛けりゃいいじゃないか」と言っている人がいました。

それは、確かにそうなんだけど、それだけじゃなくて、後で書きますが、TPPは日本の農業を変えるチャンスでもある。

なのに・・・・

>>日本もTPPを絶対視することなく、柔軟に対応すべきだろう。

ふぁ?

ま、ジャーナルで言うのはいいのですが、まさか実現党までそんなこと言わないですよね?

だって、TPPは中国の包囲網という大きな目的もありましたけど、一方、日本の農業を強くするチャンスだと捉えていたはず。

関税を撤廃するのだから、この際、国内の農業の規制も緩和して、減反制度をなくしたり企業が参入しやすして、そうすれば無駄な補助金を出す必要もなくなり、税金の無駄遣いを防げるし、農業産業を盛んにできるチャンスだと。

日本の農業は、持ち前の「ものづくり」で、海外に売りまくれるだけのポテンシャルがあると実現党は言っていましたからね。

リンゴの話は耳にタコができるくらい聞きました。

「海外のリンゴは酸っぱくて小さいけど、日本のリンゴは大きくて甘い。一個が高値で売れている。」

マスメディア全社挙げてTPP反対の嵐の中、実現党とザ・リバティは「TPP参加しろー!!」と連日ネットの中だけど、言ってました。

それを、アメリカが参加しないからって、やめてもいいんじゃないか(どうもそう聞こえる)とは・・・どんだけトランプリスペクトなんだか・・(呆)・・・・ん?

>>アメリカがTPPから離脱する場合は、中国やロシア、それにほかの環太平洋の国々も含めた協定となるのが望ましい」と指摘

ペルーは中国から支援されてる(お金もらってる)のか?

アメリカが抜けるなら、日本が主導で中国を入れないようにすればいいじゃないですか。

日本がイニシアチブとれるチャンスですよ。

トランプという人はそういうこと文句言う人じゃないと思いますよ。ここ最近のアメリカ大統領の中で最もおおらかな人物だと思います。

或いは、アメリカ式にこういうやり方はどうでしょう、中国が入り込めないよう、何らかの“策”を講じるという手もあります。アメリカ式っていっても陰謀・・・じゃないですよwwww。策を仕掛けるだけですって。

それくらいシタタカじゃなきゃ、やってけないでしょ。

・・・・・と考えてみたけど、安倍さんにはできんわ!他のTPP参加国たちが中国も入れようとなったら、絶対反対できないわあの人。

もし、トランプ氏の意思が固いのであれば・・・。安倍さんにイニシアチブは取れない・・・・

そうなれば、返って危険・・TPP引き返すしかなかろう・・・

あ~安倍ちん・・・チ~ン・・オワタ

 

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安全保障上からの、米国TPP反対論について

2016-08-22 17:45:15 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

[HRPニュースファイル1680]http://hrp-newsfile.jp/2016/2872/

幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人

◆米国次期大統領候補は、いずれも「TPP反対」

去る8月11日、米国民主党のヒラリー・クリントン大統領候補は、ミシガン州で行われた経済演説の中で「もし自分が大統領になっても、TPPに反対する」との意志表示を行いました。

もう一方の共和党大統領候補である、トランプ氏もすでにTPP反対の演説を行っていたため、オバマ政権後、いずれの大統領が当選しても、米国がTPPから離脱する可能性が高まってきました。

◆TPPの本質は「中国包囲網」

米国は、元々国是として「自由貿易」「門戸開放」を掲げておりましたが、特に2008年のリーマンショック以降の経済危機の打開策の一つとしてオバマ政権は、TPPの推進に取り組んできました。

一方、日本では、2009年に民主党政権が誕生、当時の鳩山政権は日米同盟の危機を招きかねない幾つかの重大な判断を行いました。

まず、沖縄の普天間基地の返還問題で、決まりかけていた辺野古への移転を白紙に戻そうとしました。さらに、日中韓三国間の「FTA」協議を進め、中国との連携を深めようとしました。

「FTA」とは条約締結国の間での関税などの経済的な障壁をなくすための取り決めであり、米国から見ると日本が中国との関係強化を推進したことが、自国への挑戦として受け止め、経済上及び安全保障上の危機感を強めたのかもしれません。

この間、日米間でどのような話合いがあったのかは不明ですが、結果として日本は民主党菅政権の元で2010年に突如、TPP参加表明を行いました。この判断は、安全保障上、日本にとっては是とされるものであります。

我が幸福実現党の大川隆法総裁はTPPについて、その本質を以下のように述べています。(『ジョーズに勝った尖閣男』より)

『TPPとは、実は、「アメリカとアジアを経済的に結び、中国を外す作戦」です。つまり、TPPの本質は「中国包囲網」なのです。TPPの条項のなかには、中国がどうしてものめないものが入っています。

そこには、知的財産権の保護や人権重視、あるいは、環境保護などの概念が入っているのですよ。したがって、このTPPに、日本と他のアジアの国々が入り、さらにアメリカが入れば、実は、これで中国包囲網をつくれてしまうのです。』

『ジョーズに勝った尖閣男』幸福の科学出版/大川隆法著 
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=838

結果として、一旦は日中間の関係強化に向いつつあった日本は、本来の日米同盟強化へと戻る事になったのです。

◆なぜ米国はTPP反対に変わったのか

オバマ政権は、中国包囲網でもあり、経済成長戦略の柱でもあるTPPを推進してきましたが、来年就任する予定の次期米国大統領は「TPP推進反対」との立場を取る可能性が高まってきました。この大きな変化の原因は、何が考えられるでしょうか。

米国は2013年、オバマ大統領の演説で「世界の警察官としての役割を返上」することを明言し、世界各国に駐留している米軍を撤退させる可能性を示唆しました。

その結果、中東の混乱はさらに拍車がかかる結果となったものの、その方向性が変わるとは思えません。

現在の米国の予算の中で、オバマケア等の社会保障費を充実される代償として、軍事費削減を行う流れが止まらない事と同時に、米国民の中でも、「なぜ自分と関係のない国の為に生命を懸けなければならないのか」、という正義の観点がなくなってしまったのではないでしょうか。

現在行われている米国大統領選挙でも共和党候補のトランプ氏は、経済人としての立場から、まずは米国内の雇用が悪化しないことを優先し、特に不法移民に対して厳しい態度で対応し、TPPだけでなくNAFTA等の自由貿易圏の推進に、反対の立場を取っています。   

先 ほどお伝えしましたとおり、TPPは単なる自由経済圏ではなく、中国に対抗するための安全保障上の観点からも重要なのですが、トランプ氏はこの点に関連し ても在日米軍の引き上げに言及するなど、東アジアの安全保障には日本に対しても自主防衛を求めることが予想されています。

オバマ政権で国務長官を務めた民主党のヒラリー氏の見解も元々は、TPP推進の立場をとるものと見られていましたが、結果として国内の雇用確保を優先し、TPP反対を表明することとなりました。

こうした米国が内向きの方向が出てきた事について、「TPPは、中国包囲網」という視点から見ると、日本にとっては危険な方向であると認識しなければならないと思います。

◆日本は主導的な立場に立ってTPP推進すべし

さて、日中間の動きでは、来週の23日~24日にかけて、習近平政権では初めて中国外相が訪日し、日中韓3国外相会談が都内で開催される見通しになりました。

しかし6月9日に尖閣周辺の接続水域に中国軍艦が初めて航行、8月に入ってからも尖閣周辺の領海に漁船や公船が連日航行するなど、中国側の挑発はエスカレートし、将来には軍事的な衝突の可能性が高まっています。

本来はこうした時こそ日米同盟の強化を進めるべきであるにも関わらず、次期米国大統領のTPP反対という意思表明は、日米同盟が弱体しかねない危険性を持っています。

そうした意味でも日本は米国に代わって主導的な立場に立ってTPPを推進し、また日米同盟の懸案となっている普天間基地の辺野古移設問題についても、政府として速やかにその実現を図り日米同盟を強化することが今後の東アジア情勢の安定には重要であります。

 

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TPP政策大綱が決定 「攻めの農業」の体現者である農業経営者の後押しを

2015-11-27 08:59:13 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

画像:http://asamatsuushin.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-0d79.html(浅間通信員)


http://the-liberty.com/article.php?item_id=10548

政府は、環太平洋経済連携協定(TPP)の国内対策をまとめた政策大綱を25日、決定した。中小企業の海外進出の促進や農産物の輸出強化を掲げ、「攻め」の 姿勢を強調するが、実際は関税の削減や撤廃で打撃を受ける農家への保護策も目立ち、「守り」が厚い内容となっている。注目の集まっていたコメは、政府備蓄米の買い取り量を増やし、価格を安定させる方針の継続で、"聖域"を護った。

今回、コメ農家保護策が多かった背景には、来年夏の参院選をにらみ、農家の不安を払拭したいという政権の思惑がある。25日付の産経新聞でも「参院選『守り』目立つ」と見出しを立てて指摘している。

実際、一定の耕地面積または販売金額の基準を満たす農家の64%がコメを作っており、約115万戸と圧倒的に多い。いわば大票田であるため、安倍政権として もここからの反発は避けたい。一方、コメよりも"集票力"に欠ける野菜類や果樹類の保護策はそれほど手厚い内容とはなっていない。


◎コメ農家保護を続けることは農業の弱体化を招く

これまで、政府は「減反」「農地法」「農協」などによって、コメ農家を長期的に保護し、補助金を投入してきた。日本のコメ農家を管理し、永続的に守り続ける ことは、さらなる日本農業の弱体化を招く。安倍政権の「攻めの農業」にも逆行するはずだが、今回の大綱からは改善の兆しは見えてこない。

しかし、そんな中でも、農業をビジネスとして捉えて発展を続けるコメ農家が活躍している。

例えば、秋田県の藤岡農産は「あいかわこまち」という独自ブランド米を生産・販売している。田んぼにアイガモを放って無農薬・低農薬栽培を実現し、商品の差別化を図るとともに、東京都内に営業スタッフを常駐させ、直接販売で販路を拡大している。

また、茨城県の横田農場は収穫時期の異なる多品種栽培によって効率的な栽培を推進。ITを総合的に活用し、田んぼの特性や気温、作業の進捗を管理する他、大 規模化によって平均的な生産コストを半分にしている。コメのスイーツ作りにも挑戦するなど幅広いビジネス展開も特徴的だ。

安倍首相は「攻めの農業」で、農業の成長産業化、地域経済の活性化をねらいとしている。「守り」に追われることなく、農業をビジネスとして捉え、自助努力の精神で挑戦する積極的な農家の後押しを期待したい。(HS政経塾 油井哲史)


【関連記事】
2015年12月号記事 日本は「世界の買い手」としての役割を果たすべき - TPP交渉が大筋合意 - The Liberty Opinion 4
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10365
2015年10月5日付本欄 TPPが大筋合意 日本は世界経済をリードする大国の自覚を
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10270
2015年3月2日付本欄 トヨタ・JA愛知と農業事業で連携 「攻めの農業」の先駆けとなるか
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9288

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APEC首脳宣言「TPPを軸に経済連携」 中国は包囲されつつある?

2015-11-21 10:08:39 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

http://the-liberty.com/article.php?item_id=10481

アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が18日から19日にかけて、フィリピンのマニラで開かれた。19日に発表されたAPEC首脳宣言では、フラ ンスでの同時テロやロシア旅客機の墜落などを例示しつつ、「あらゆるテロ行為を非難する」とし、テロと戦うために国際協力や連帯が不可欠だと強調した。

今回、話題の中心になったのが「自由貿易圏構想」のあり方をめぐる米中の激突だ。


◎自由貿易圏構想をめぐる米中の激突

両国は、各々が主張するアジア地域での「自由貿易圏構想」をアピールし合った。

アメリカは、TPPこそがアジア地域の経済協力モデルだと訴えた。オバマ米大統領は18日、TPP参加各国の首脳会議で「TPPはこれまで締結された貿易協定の中で最も基準が高く、最も先進的なものだ」と主張している(19日付ウォール・ストリート・ジャーナル電子版)。

一 方、中国は、TPPに対抗してアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)を提唱。習近平国家主席は同日、「さまざまな地域自由貿易協定構想が出現しており、分 散化への懸念が生じている」とTPPを批判しつつ、「我々はFTAAPの実現を加速させ、地域経済の統合を進める必要がある」と呼びかけた。


◎中国は追い込まれつつある?

今回のアピール合戦からは、中国の経済面での焦りが伺えた。APECに参加した21カ国・地域のうち、日米など12カ国がTPP交渉に大筋合意し、インドネ シアやフィリピン、韓国などもTPP参加に関心を示しているためだ。アジア地域の自由貿易圏構想も、TPPに基づいて進められる可能性が高い。

TPPは、関税撤廃や経済ルールの自由化だけでなく、強制労働の禁止や環境保護の徹底などの人権を守るための規定があり、知的財産権にも高い基準が設けられている。これらに対する意識の低い中国は、今のままではTPPに参加できない。

中国は、軍事面でも各国の批判を集めている。APEC首脳会議で中国は、南シナ海の人工島埋立てが議題に上がらないよう躍起になっていた。しかし、日米首脳 会談では、南シナ海での中国の軍事拡張が話題に上り、安倍晋三首相は「南シナ海への自衛隊派遣についても検討する」と話した。

中国は、 徐々に包囲されつつあるようだ。TPPを通じて、中国を人権や知的所有権を守る国に変革させることが望ましい。また日米は、南シナ海への自衛隊派遣も視野 に連携を強め、中国のアジア地域での軍拡を押し止めるべきだ。さまざまな方面からアプローチをかけ、中国に民主主義国家への変革を促す必要がある。(泉)

 


【関連書籍】
幸福の科学出版 『真の平和に向けて』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1464

【関連記事】
2015年12月号記事 日本は「世界の買い手」としての役割を果たすべき - TPP交渉が大筋合意 - The Liberty Opinion 4
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10365
2015年10月5日付本欄 TPPが大筋合意 日本は世界経済をリードする大国の自覚を
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10270

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TPPが大筋合意 日本は世界経済をリードする大国の自覚を

2015-10-06 19:47:10 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP


http://the-liberty.com/article.php?item_id=10270

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が大筋で合意を見た。予想以上に長い交渉となったが、合意は喜ばしい。今回の交渉で合意できなければ、アメリカ大統領選の予備選などが始まり、年単位で先送りされてしまうところだった。

TPP 合意には2つの大きな意味がある。ひとつは、安全保障上のメリットだ。かねてから本誌でも指摘してきたように、TPPには経済における「中国包囲網」の意 味がある。中国がアジアインフラ投資銀行(AIIB)などを主導しようとしている時、日米が中心となって、自由貿易や知的財産保護のルール構築など、中国 が参加できない経済の枠組みが作れたことは大きい。

中国は、市場経済のルールに反して株価の乱高下を引き起こしたり、中国で経済活動を行 う外国企業に適用するルールをコロコロ変えたりしている。こうした自由主義に反するやり方にあきれ果てた外資や外国企業が中国を避け始めている。また、諸外国に対してインフラ投資を持ちかけているが、中国人労働者を送り込むなどして現地の経済は活性化しない。
力ずくで経済的にも覇権を強める中国に対して、日米を中心とするTPP加盟国は、「法の下の自由」において最も経済は発展するということを示すべきだろう。

もう一つは、経済的なメリットだ。関税が撤廃されれば、輸入品は安くなり、消費者にとっても大きなメリットがある。また、日本の強みである工業製品、自動車等の分野では輸出が伸びることが期待される。たとえば、自動車部品の業界においては、米国の関税2.5%が撤廃されれば、企業の負担は年間500億円ほど 軽くなるという。TPP域内での諸手続きが簡素化されることも大きい。「モノ・カネ」の回転スピードがあがることで、経済繁栄をもたらす条件のひとつが整う。

逆に農作物は、今まで高い関税で「守られて」いたが、これが異常な状態だった。日本政府は、コメについては高関税を維持しつつ、無関税で輸入する特別枠を設ける形で合意を見たが、これは先進国として恥ずかしい。日本の農業技術をもってすれば、世界中の人が欲しがる安全でおいしい農産物を作れるはずなのに、コメ農家だけ関税で守るのは、「日本のコメは世界の競争に負けてしまうほど弱い」という途上国意識そのもの。安全でおいしい高付加価値のコメをつくってきた農家にとっては屈辱以外の何物でもないだろう。

今回のTPPによって、日本は途上国の商品やサービスを安く購入し、内需を喚起して途上国を富ませると共に、日本にしかつくれない高付加価値のものを生み出していくという、大国としての経済にシフトする覚悟を持たねばならない。(佳)

 


【関連記事】
Web限定記事 TPPの本質は「安全保障」 安倍首相は対中国包囲網の形成を急げ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7752
2015年6月25日付本欄 TPA法案が可決 「中国包囲網」であるTPPの早期締結を目指せ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9830

─ ─ ─ ─

とある登録制ブログサイトで、ぶっちゃけニコッとです。

そこで知り合った農業に従事される20代のパパさんはTPPに反対されていました。兼業はされておらず、今のような状態で関税を撤廃し、補助金が無くなれば、天候に左右されやすい農家はやっていかれない。また、技術も世界のトップレベルでこれ以上イノベーションはできず成長産業にはなれない。アメリカは農家に補助金を出し放題だし、EUはEU以外の国に関税ブロックしている。そんな中で、日本だけ関税撤廃、補助金無しで世界に放り出したら潰されるのは目に見えている。今、成功して話題になっている農家は中国人を家族との連絡も絶たせほとんど監禁状態で安くこき使っていた。こんなの人権侵害だ。

まだ農業経験の日も浅く、若くして家族を養いながら農業経営をされている中で、今、手探りで小さな成功を積み重ねながら彼なりの将来の見通しは立てていたと思います。

TPPはそんな彼にとっては脅威にしか映らないのかもしれません。

私は農業の経験はないのですが、農業は成長産業になる!日本は勝つ!と偉そうに豪語してしまいました。

彼には妄想にしか思えかったようです。

でも、そりゃそうでしょう。まだ始まったばかりの新しい局面の中、農家が新しい局面を作り出していかなくてはならない。その作り手でもない人間が農業の将来を語っても、何の説得力も無かったのです。

しかも私は「確かに負けてしまう農家もあるかもしれないけど、その中で潰れない農家が強くなっていくという事ではないか。まだ若いのだから悲観論に流されることはない」とこれまた偉そうにぶちまけてしまったのです。

幸福の科学の講師の方に、この彼の声を伝え、日本が成長産業になる具体策はあるのかを聞いてみました。その講師は政治系の方ではなく、幸福の科学大学で未来産業コースの講師をされている方ですが、幸福の科学の職員の方でもあるので、(大学では職員ではない一般の方の講師もいます)講師をされるような職員や支部長クラスだと、ジャンルが違ってもある程度の知識の共有性があると私は見ているので質問してみました。

その方は答える自信はあまりありませんがといいつつ、流通にポイントがあると教えてくれました。世界中を結ぶ流通経路ができれば、日本の農業がぐんと発展する。その流通経路がTPPのことかと聞くと、TPPほど難しくない、また別の経路だと言っていました。ただそれはまだ世界中で誰も発見してはいないそうです。そして、農地の売買にかかる規制の取っ払い。もっと自由に売買できるようにすれば農業参画者も増える。

つまりもっと自由に売り買いできる経路ということのようですが、関税撤廃でそうなっていくのでしょうかね~。クール宅急便みたいに早く新鮮にお届けできる流通経路。交通運搬網のことかな?そうなると、リニアのようなものや、もっと別のエネルギーで瞬時に移動するような乗り物の開発という事になります。今何かトヨタがそれに近いようなもの出してましたね。

講師の方の話では「日本の農産物や食品は外国には無いほど素晴らしい。技術は超一流。だからこそ、例えアメリカの農家が補助金漬けでもEUの関税の障壁あっても、それでも日本の農産物が勝っていく。それくらいの差があります。」

中国の入る隙が無いということですから、自由化が進んで活発な輸出入がこれまで以上にある。

そんな中で、世界中の人たちは日本の食品の素晴らしさを知り、その技術までも売ってくれと言うに違いありません。特許という概念のあるTPPでは、そうした技術を売ることも可能です。

だから、人の技術をかすめ取り自分たちが開発したかのように振舞う中国は除け者なのです。中国だけではなく、今後そのような愚かな国が出現したとしても弾かせることができます。

だから、日本は早く、この彼のような思い込みから目を覚まし、そして勝ちに行くべきなんですね。

もったいないことです。宝の持ち腐れなんて。



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日米TPP協議、決着持ち越し 早期妥結を目指し、AIIBに対抗せよ!!

2015-04-23 09:53:40 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

http://the-liberty.com/article.php?item_id=9501

日米両政府は21日、環太平洋経済連携協定(TPP)に関する閣僚協議を終了した。米国産牛・豚肉については、大幅に関税を引き下げることで合意に向かうなど、一定の進展はあったものの、主な争点であったコメや自動車分野の合意には至らなかった。

無関税か低関税の米国産コメの輸入量を、日本は5万トンにとどめたいのに対し、米国は約20万トンを求めていた。また、日本製自動車部品の関税も、日本は即時撤廃を求めたのに対し、米国は先送りを主張した。

ただ安倍晋三首相は20日、ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに応じ、「TPPに関する日米合意は近い」との認識を示した。また、来週28日 に予定されている日米首脳会談については、「TPPが両国にとって極めて有益だという認識を一致させたい」と述べた。

TPP交渉には12カ国が参加しており、日米間の大筋合意がなければ、12カ国全体の合意はさらに遠のく。来年秋の米大統領選を控え、交渉が漂流する事態を避けるためにも、早期妥結を目指したい。


◎TPPの本質は「中国包囲網」

TPPは、貿易や投資の関税撤廃やルールの共通化を行うことで、アジア太平洋地域に自由貿易圏を構築する構想だ。TPPの対象は関税撤廃だけでなく、サービス、競争政策、知的財産権など広範囲に及ぶ。

実際のところ、TPPの本質は「中国包囲網」だ。TPPは、自由市場の国の間で結ばれる自由度の高い協定であり、中国のような政府主導の統制経済とは相いれない。

ただ、TPP交渉が停滞している間に、中国はアジア地域に対して着々と手を打っている。中国の主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創立メンバーは 57カ国となり、東アジア・東南アジアで参加を見送ったのは日本と北朝鮮だけで、台湾は除外された。しかし、AIIBは組織運営や融資審査が不透明な上、 「中国経済への集金機関」との指摘もある。


◎日米は、国内問題に終始するな

もしTPP交渉が決裂すれば、日米は中国の影響力拡大を抑えることができなくなる。だが、日本では、農業や漁業分野、医療分野への打撃を懸念して、反対の動きがある。また、米国でも、TPPが国内経済に悪影響を与えるという意見は強い。

日米のような先進国は、国内問題ばかりに関心を向けていてはならない。日米両国のTPPの合意は、外交上、安全保障上の危機を防ぐために必須だ。TPPを早期に妥結し、日米がリーダーシップを取って中国の脅威を封じ込めるべきだ。(泉)


【関連書籍】
幸福の科学出版 『日本の誇りを取り戻す』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=964

【関連記事】
Web限定記事 TPPの本質は「安全保障」 安倍首相は対中国包囲網の形成を急げ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7752
2014年12月6日付本欄 TPP交渉参加で農業はむしろ発展する 一貫して参加を訴える幸福実現党の先見力 【衆院選】
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8865

ザ・リバティ http://the-liberty.com/

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TPPと畜産業の発展について――牛肉編

2015-02-17 15:31:59 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

TPPと畜産業の発展について――牛肉編

[HRPニュースファイル1280]

http://hrp-newsfile.jp/2015/2035/

文/HS政経塾4期生・鹿児島県本部 副代表 松澤 力

◆TPP交渉 最終局面へ

2月12日、甘利経済再生担当相は衆参両院本会議の経済演説で、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に関して「交渉の終局が明確になりつつある」とし、TPP交渉が最終局面に入ったとの認識を示しました。

日本の畜産品関税を巡るTPP交渉は、牛肉の関税を10年以上かけて現在の38.5%から9%程度に下げる方向になりつつあります。

また豚肉は、最も安い価格帯にかける1キロ当たり482円の関税を50円程度にする調整が続いています。いずれも、輸入が急増した際には、一定水準まで関税を戻す「緊急輸入制限(セーフガード)」を導入する方針です。(2/4 毎日新聞)

政府は、輸入制限を発動する基準となる輸入量について、米国などの国別ではなく、参加国全体で定める案を検討しています。

牛肉は近年、年間50万トン程度を輸入しており、そのうちオーストラリアからは約30万トン、米国からは約10万トンなど、ほとんどの牛肉の輸入をTPP交渉参加国が占めています。

輸入制限の基準輸入量は、近年の輸入実績を一定程度上回る、全体で50万トン程度が目安となる見込みです。

TPPについて、日本政府は様々な交渉を進めてきました。また今年1月15日には、日本とオーストラリアでEPA(経済連携協定)が発効され、オーストラリア産牛肉を輸入するときの関税が下がるなど、牛肉の貿易自由化の流れが前進している状況です。

◆冷静に考えるべき、国産牛肉へのTPP影響

農林水産省の試算では、関税撤廃により輸入牛肉と国産牛肉の価格競争で、国産牛肉の生産減少額は、肉質3等級以下が約3,700億円、品質の高い肉質4等・5等級が約800億円で、国産牛肉減少額を合計約4,500億円と試算しています。

国産牛肉生産額の約4,600億円のほとんどが、非常に大きな影響を受ける試算です。

ただ、キャノングローバル戦略研究所の山下研究主幹は、異なる試算をしています。

注 目しているのは、1991年に輸入牛肉関税を70%から、ほぼ半分の38.5%に削減したときのデータです。実は、輸入牛肉の関税削減後も、和牛生産量は 拡大しています。(2003年度 137千トン⇒ 2012年度 171千トン)牛肉を自由化して以降も、日本の牛肉業界の方々は肉質を良くする努力・工夫を続けてこられました。

そのため、品質の高い和牛や交雑種は、輸入牛肉とは競合しないとみられています。品質の低い国産牛肉の一部は影響があるとみられていますが、TPP影響は限定的に考えられています。

山下研究主幹は、TPPによる国産牛肉の減少額を約500億円と試算しています。また、混合飼料関連の関税撤廃が実現すれば、国産牛肉の飼料コストが10%ほど削減される見込みです。

TPPの影響については非常に感情的な議論となるケースもありますが、やはり冷静に考え、過去のデータやTPPのメリットについても、しっかりと目を向ける必要があると考えます。

◆極上和牛の大量生産に成功「農業生産法人のざき」

国産牛肉へのTPP影響額の試算に大小はありますが、牛肉の貿易自由化の流れの中で、やはり畜産業へ高い国際競争力が求められていく方向は避けられない状況です。

そのような状況の中で、極上和牛の大量生産に成功している企業があります。その企業とは、先日のカンブリア宮殿(テレビ東京)でも紹介された「農業生産法人のざき」という会社です。私の地元、鹿児島県薩摩川内市にある企業です。

この企業では、日本で初めて「のざき牛」という個人の名前をブランド名にした牛肉を売り出し、東京・恵比寿の外資系高級ホテル・ウェスティンの最上階にある鉄板焼店で絶大な人気を得るなど、国内外の小売店や飲食店で幅広い支持を得ています。

東京食肉市場 牛肉コンテストでも、最高賞を史上初の3回受賞しています。それだけ品質の高い牛肉を、「のざき」では、わずか15人で一般的な肥育会社の100倍近い4,800頭もの和牛を生産しています。

この企業の非常に優れた取り組みは、大きく3点あります。

1点目は、徹底的に効率化された肥育法です。牛の飼料作りや糞の清掃など、日々の負担の重い作業には、専門業者を積極的に導入して従業員の負担を軽減しています。また、牛舎を工夫し、飼料を牛舎内で運ぶ必要の無いつくりにしています。

2点目は、牛にストレスを与えない肥育法です。従業員は、飼料や清掃などの作業が軽減した分、担当の牛の変化を見逃さない仕事に力を入れています。

体調の悪い牛を早期発見したり、他の牛に攻撃されて餌を十分に食べれていない牛を発見して牛舎を入れ替えるなど、できる限り牛のストレスを軽減して品質の高い牛を育てています。

3点目は人材育成です。社員の平均年齢が25歳と、大変若い社員が多い会社です。それにも関わらず「のざき」では、社員一人当たりに牛400頭(3億円相当)の肥育を任せています。

任せられた社員は、担当の牛を立派に育て上げるため、互いに日々切磋琢磨して育て方の工夫を続けています。その日々の仕事の中で人材育成が着実に進み、品質の高い牛肉生産の体制が維持されています。

このような取り組みにより「のざき」では、高品質の牛肉を安く生産し、海外への輸出も加速させています。香港への輸出量は年間約100トンに上り、和牛の販売量は「のざき牛」が1位となっています。

今後は、輸出のさらなる拡大に向けた世界戦略を検討しています。

◆日本の畜産業 さらなる発展へ

日本の牛肉生産は、後継者不足とも言われていますが、まだまだ可能性は眠っていると思います。御紹介した「農業生産法人のざき」のように、企業・組織の創意工夫で大きな発展が可能な産業です。

これからの日本の畜産業が、国際競争を勝ち抜いていくには、やはり企業参入や経営規模の拡大推進は避けて通れない部分であると考えます。

畜産業に携わっていらっしゃる方の収入の不足分を、補助金で補填する発想だけではなく、政治と民間の方々との知恵を結集し、強い輸出産業として、畜産業に従事される方々の収入を上げていく方向で政策を進化させていくことが強く求められます。

 

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TPPの本質は「中国包囲網」 目先の利益で年内妥結困難に

2014-10-29 08:46:37 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

TPPの本質は「中国包囲網」 目先の利益で年内妥結困難に
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8656

環太平洋経済連携協定(TPP)の妥結を目指す各国の閣僚会合が、オーストラリアのシドニーでこのほど行われ、大きな成果がなく閉幕した。いまだに日米の対立の溝は深く、年内の交渉妥結は厳しい情勢になった。

これまでの交渉では、日本側が農業分野を守りたい一方、米側は自動車産業を守りたい思惑があり、両国の妥協点が見出せなくなっている。日米が硬直化する中、マレーシアのムスタパ貿易産業相が、「農産品市場をもっと開放してほしい」と日本側に持ちかけるなど、他の交渉国の対応にも影響を及ぼし始めている。

日米が妥協できない背景には、厳しい国内事情が関係する。日本では、輸出産業や企業の賃上げが思うように伸びず、4~6月期GDPが7.1%(前期比年率換算)のマイナス成長を記録するなど、アベノミクス効果が限定的であったことが判明。TPP交渉で譲歩すれば、経済へのさらなる打撃や、農業団体の票が失われることが懸念される。オバマ米大統領も、外交の失敗が相次ぎ、11月4日に行われる中間選挙で敗北する公算が高い。

しかし、TPPはもともと、安倍晋三首相が4月12日に、「安全保障上の大きな意義がある」と語ったように、その本質は、「中国包囲網」の構築であったはず。だが、現実の交渉では、安全保障のメッセージ性は後退し、貿易面ばかり強調され過ぎている。両国の首脳が、国内事情を打破するために、目先の利益に固執すれば、中国に対する安保体制の強化が遅れることになる。

TPP交渉が難航する裏では、中国が、自国を中心にした経済圏をつくろうと画策。先週、中国の北京で開かれた国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の設立をめぐる会合では、東南アジア諸国を含む21カ国の代表が集まった。日本が参加を表明している、2015年末の妥結を目指す東アジア包括的経済連携(RCEP)でも、中国は、交渉の主導権を握ろうと狙っていると言われている。

経済的利益に左右されている日米両国は、「中国包囲網」というTPPの原点に立ち返るべきだ。その点、日本が多少の譲歩をしたとしても、得られる安全保障上の利益は大きい。(山本慧)

 


【関連記事】
2014年10月23日付本欄 イスラム国の裏で南シナ海の支配を強める中国 日本は東南アジアに武器を輸出せよ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8634
2014年10月20日付本欄 中国主導の「アジアインフラ投資銀行」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8585
2014年6月号記事 自民党が選挙後 幸福実現党を後追いする理由
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7727
Web限定記事 TPPの本質は「安全保障」 安倍首相は対中国包囲網の形成を急げ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7752

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これからの農政に必要な2つの踏み込み――日本の農業を成長産業にするために

2014-06-11 09:24:25 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

これからの農政に必要な2つの踏み込み――日本の農業を成長産業にするために

[HRPニュースファイル1029]

http://hrp-newsfile.jp/2014/1506/

文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太

◆農業改革に本格的に動き出した自民党

安倍政権が農業改革に本腰を入れ、動き始めました。

具体的に、全国農業協同組合中央会(JA全中)の廃止・縮小や、農地の所有に関する審査を行う農業委員会の公選制、企業の農業生産法人への出資比率の大幅緩和など、政府の規制改革会議が5月にまとめていた改革案を大筋で容認し、農協法などの関連法の改正案を来年の通常国会に提出する方針となっております。

安倍政権は昨年、農業改革の手始めとして、2019年を目処にコメの減反政策の廃止を決定しましたが、今回は、農家の役に立っていないと批判されている農協の改革を中心に据え、農業における岩盤規制の本丸へメスを入れようとしています。

◆踏み込みが足りない自民党の改革案

しかしながら、規制改革会議の素案に比べて、自民党の改革案の「踏み込み不足」は否めません。

一つ目は、「農協改革への踏み込み不足」です。

改革会議においては、JAグループの代表機能を持つJA全中や都道府県の中央会の「廃止」を打ち出していたにもかかわらず、自民党案では「現行の制度から自律的な新たな制度に移行する」とし、自己変革を促すという名目の玉虫色の文言に差し替わってしまいました。

JA全農の株式会社化については、改革会議での提言は「株式会社へ強制転換」でしたが、独占禁止法の適用除外がなくなる問題を精査する必要があるとし、前向きに検討するとはいえ、明言を避けています。

二つ目は、「企業の農地所有に関する踏み込み不足」が挙げられます。

確かに改革会議の提言通り、企業が農業生産法人に出資する際の比率を原則25%以下から50%未満に引き上げることを容認し、今までの厳しすぎる基準が大幅に緩和されました。

一方で事業を長期間続ける企業に対し、全額出資を認め、企業の農地所有を解禁するとした改革会議の案に関しては、5年後の検討課題として見送っています。

確かに2009年の農地法改正によって、農地貸し出しを自由化し、多くの法人が参入した実績はありますが、企業の農業への100%自由な参入に対しては、まだまだ壁が厚いことが示されたと言えます。

◆「農家のための農協」という原点に戻れ

戦後GHQ主導による農地解放によって、地主制に代わり、戦後の農業・農村を主導したのは農協制でした。

確かに、農協の存在根拠となる農協法に定められた「農業生産力の増進」という立法趣旨は、食糧増産が必須だった終戦直後においては、短期的には守られたと言えます。

しかしそれ以降、「農業生産力の増進」や「農業従事者の経済的地位の向上」という当初の趣旨よりも、農協自体の発展が主眼に置かれてきました。

例えば、高米価を維持するために、減反政策を行ったことで、多くの兼業農家を誕生させ、農業だけで生きていこうとする農家ほど報われない不公平な仕組みを創り、逆に農業生産力を衰退させてしまった事例もあります。

そして今回、議論に上がっているJA全中は、全国の農協の頂点に立つ組織で、各農協への一律的な経営指導や監査を行う一方で、農協組織を集票マシーンと変え、戦後農政の発展を削いできた張本人と言えるでしょう。

改革会議案通り、JA全中の廃止を前提に、全国の農協組織をいったん株式会社化することで、農家が本当の意味で便益を得ることができる、農協の本来あるべき姿にまずは立ち返ることができるはずです。

◆「農村の企業化」こそ、地方再生の切り札

また、日本の農業がホンモノの成長産業になるかどうかは、新しい担い手の登場が急務になっております。

それは、自由に農地を取得できる企業の出現をおいて他にありません。

日本のバイオ分野における技術力は世界的に見ても非常に高く、そうした智慧をマネジメントできるような企業を農業に参入させることで、世界的な農業企業を数多く生み出すことも期待されます。

農村の現場では、後継者問題や過疎化が深刻化されておりますが、本当にそうした問題を解決したいのならば、企業と対決してはいけません。

「農村の企業化」を促進していくことこそ、地域の雇用を創出し、若者を地方に呼び戻す力になるのです。

*YoutubeでWebチャンネル「中東熱風録」を配信中!中東の最新情報を分かりやすくお届けします!是非ブックマークにご登録ください!
https://www.youtube.com/watch?v=tyO_ZupjhJg

「『中東熱風録・エジプト編(2)』 ~かつての親米国・エジプトは今・・・~」


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国際競争力を高める農協改革を! JA全中の廃止容認へ

2014-06-10 09:56:13 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

国際競争力を高める農協改革を! JA全中の廃止容認へ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7967

安倍政権の「成長戦略」の一つの柱である、農業分野の規制緩和が前進しようとしている。政府・与党は、農業協同組合法に基づき、全国農協協同組合中央会(JA全中)が地域の農協を指導・監査する権限について、5年後をめどに廃止する方向で最終調整に入った。政府は、早ければ今秋の臨時国会にも農協法の改正案を提出する見通しで、JA全中の廃止を容認することになる。

安倍晋三首相は5月に開かれた産業競争力会議で、農業の国際競争力強化に向けて「農業委員会の見直しと農地を所有できる法人の要件見直しの具体化を図りたい。農業協同組合(JA、※文末に解説)のあり方についても抜本的に見直し、3点の改革をセットとして断行する」と述べ、改革への決意を表明した。また、規制改革会議も報告書の中で、JA全中の画一的指導が農業を弱体化させていると指摘している。

JA全中が指導権限などを失えば、農協法に基づき、地域農協などから賦課金を集めて運営する現状の体制を持続できなくなる可能性がある。その場合、JA全中は存廃も含む組織見直しに迫られることになる。

そもそもJAは、農家がまとまって活動することで、農産品の価格を維持し、農機具や肥料を安く仕入れて農家に供給するための組織だが、「十分に役割を果たしていない」との不満は根強い。農水省が昨年、農家を対象に行った調査では、JAの資材供給について「満足していない」が最多の44%で、その理由の74%は「資材価格が高い」だった。

また、国内の農産物の約半分はJAグループを通し集荷販売されるが、集荷量が多いほどJAの利益になるため、付加価値の高い農産物を生み出すより、規模を追いがちになるという指摘もある。競争がなく、農機具などを安く仕入れるコストマインドなども薄い現状もあり、一般企業のような効率化や企業家精神が発揮されにくい状態が問題視されてきた。

政府の規制改革会議は、JA全中を頂点とした中央会制度の廃止のほか、農産物の集荷販売を担う全国農業協同組合連合会(JA連合)の株式会社化、農協の金融事業の農林中央金庫への移管などを提案し、農業の競争力強化を目指している。

これら政府の農協改革案に対して、JA全中の万歳章会長は6月5日の記者会見で、「組織そのものを壊す提言がなされたことに、かつてない危機感を覚える。改革ではなく組織の分断を図る内容」と批判した。

確かに、JAグループが農業従事者や農業を営む法人にとって必要な面があることは事実だが、「新生・農協」が農業の国際競争力を飛躍的に高めることに貢献することがより期待される。各都道府県の農協が主体的に地域の農業振興に取り組む環境を整え、地域の特性に合わせた自由で新しい発想が生み出されていくことにより、日本の農業のさらなる発展が実現されることになる。(HS政経塾 松澤力)

 


※解説:農業協同組合(JA)は、農業従事者や農業を営む法人によって組織された協同組合であり、各都道府県に本部や支店がある。各支店や市町村の農協では、営農指導や融資・貯金などの窓口業務も行っている。基本的には各地にある個別の農協組織の集合体だが、これらを取りまとめる全国組織がいくつかある。全国組織の中で、全国農業協同組合中央会(JA全中)は、グループ全体の方針決定や地域農協の指導を行うための組織。その他に、農産物の集荷や販売を一手に担い、資材販売なども行っている全国農業協同組合連合会(JA全農)、生命保険や損害保険のサービスを提供する全国共済農業協同組合連合会(JA共済)、融資や貯金などのサービスを提供する農林中央金庫などの全国組織がある。

 


【関連記事】
2014年4月26日付本欄 東南アジアを囲い込む中国資本 日本はTPP早期妥結を目指せ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7758
2013年10月23日付本欄 今度こそ減反政策の見直しを いまだに残る「社会主義政策」
http://the-liberty.com/article.php?item_id=6836


自民の票田だったのでね~

なかなか手が出せなかったと思うんですが

ま、いつかはね~

なるべく、早いほうがいいからこういうのは

病気みたいなものなんで

手術は早いほうがいい。

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高級和牛を世界へ 日本は市場開放を恐れるな

2014-05-11 11:13:15 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

高級和牛を世界へ 日本は市場開放を恐れるな
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7817

日本の牛肉の欧州への輸出が開始される見通しとなった。日本からEUへの牛肉輸出をめぐっては、2005年に交渉が開始されたが、「口蹄疫」問題で交渉が滞っていた。昨年3月に交渉が再開され、今年4月に、国内2カ所の食肉処理施設が、輸出に必要なEUの衛生基準を満たし、輸出環境が整った。

日本の牛肉は、霜降りのやわらかい肉質に人気があり、東アジアや米国にはすでに多くの輸出実績がある。以前は、欧州での「和牛」の需要が見込みにくいことから、輸出へ向けた動きは乏しかった。しかし、近年では欧州で和牛の関心が高まりつつあるという。

昨年、「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことも影響しているだろう。海外における「日本食レストラン」も増加しており、欧州での店舗数も、06年には約2500店だったが、13年3月には約5500店と倍以上になった(農林水産省推計)。日本政府も、安倍晋三首相とオランド仏大統領とのワーキングランチをはじめ、世界各地でイベントを開催して、日本食や日本の食文化の普及促進を行っている。

一方で、日本の牛肉の価格は、国際的な平均価格の2倍以上と高めだ。日本は、大筋で合意したオーストラリアとの経済連携協定(EPA)や、環太平洋経済連携協定(TPP)など、自由貿易協定を結ぼうとしているが、これによって輸入関税が引き下がり、「価格競争では勝てない国内畜産業は大打撃を受けるのではないか」と危惧する意見もある。

しかし、値段は高くても味が格別な霜降り肉をはじめとする日本の牛肉は、「価格競争の外」にあると言える。日本の食に対する関心が世界的に高まっていることも、輸出の追い風となるだろう。国際市場にさらされたとしても、十分に勝算はある。

また、世界の食の市場規模が、現在の340兆円から、20年には680兆円に倍増するという予想もある(ATカーニー社推計)。そのうえ、日本の一人当たりの国民所得はOECD諸国中17位(2010年度)で、所得水準が日本と同規模以上の国が十数カ国もある。つまり、世界には日本の高級和牛の潜在的な買い手が多くいるということだ。

EPAやTPPなど自由貿易の推進によって、日本は畜産において「輸出大国」となりうる。市場開放を恐れず、むしろチャンスと捉えるべきだ。
(HS政経塾 西邑拓真)

【関連記事】
2014年5月号記事 確実に売れるマイクロヒット戦略- 消費税8%を迎え撃て! -超実践編
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7567
Web記事 TPPの本質は「安全保障」 安倍首相は対中国包囲網の形成を急げ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7752
2014年6月号記事 記事自民党が選挙後 幸福実現党を後追いする理由
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7727
2013年3月3日付本欄【そもそも解説】TPPに参加で日本はどうなるの?
http://the-liberty.com/article.php?item_id=5694


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東南アジアを囲い込む中国資本 日本はTPP早期妥結を目指せ

2014-04-27 11:27:33 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

東南アジアを囲い込む中国資本 日本はTPP早期妥結を目指せ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7758

中国の覇権拡張に対して、日本はアジア諸国と経済面での結びつきを強めていくことが急務になっている。

政府はこのほど、インドネシアに進出する日系企業が、現地通貨ルピアで投資に必要な資金を調達できる新たな制度をつくる。4月26日付、読売新聞が報じている。

日系企業はこれまでルピア建ての長期融資を現地の邦銀から受けることができず、一旦、円やドルで借りた後、国際協力銀行などでルピアに換えて投資を行っていた。そのため、返済する際にも、配当や事業収入を再び円やドルに戻す必要があり、通貨を交換するたびに、為替レートの変動による損失が発生する恐れがあった。

だが、本制度により、日系企業は邦銀の現地支店で、直接ルピア建てで融資を受けられるようになり、道路や発電所の建設などのインフラ整備が進めやすくなる。今回のような経済連携強化の取組みは、アジア諸国との間で進めていくべきだ。

一方、中国政府は先月、アジア諸国のインフラ建設を支援する「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の設立準備に着手したと発表した。この銀行の設立構想は、習近平国家主席と李克強首相が昨年の東南アジア歴訪時に提唱したものであり、アジアにおける投資を拡大する意思を具体的に示したものだ。
中国は他にも、ベトナムの重要な交通インフラである3つの高速道路を、共同で着工することに合意を取り付けている。また、インドネシアでは、両国政府で総額282億ドルに上る21の投資・融資プロジェクトの覚書を取り交わしているなど、中国は経済的支援によって急速に東南アジア諸国を囲いこもうとしている。

このような事態に対し、日本はASEAN諸国をはじめとするアジア諸国と連携を強化し、対中国包囲網の確立を急がなくてはならない。そのためには、やはり、アメリカを始めとする12カ国との自由貿易協定であるTPPを早期に妥結すべきだ。24日にも、日米両首脳が「自由、民主主義、法の支配など普遍的価値を共有する国々と新たなルールを作り上げる」と表明したように、TPPは中国への抑止力となる。
中国からの脅威に対してASEAN諸国は日本がアジアをリードすることを望んでいる。日本は勇断するべき時だ。(HS政経塾 壹岐愛子)


【関連記事】
Web記事 TPPの本質は「安全保障」 安倍首相は対中国包囲網の形成を急げ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7752
2014年5月号記事 「新たな冷戦」ではない 日本は中国包囲網に向けロシアと新たな関係構築を
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7557
2014年4月6日本欄 安倍政権の農業改革は、農協にメスを入れられるか
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7647

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ウクライナ問題と日米首脳会談TPP合意見送り――日本の新・世界戦略の提言!

2014-04-27 10:59:57 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

ウクライナ問題と日米首脳会談TPP合意見送り――日本の新・世界戦略の提言!

[HRPニュースファイル984]

http://hrp-newsfile.jp/2014/1418/

文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩

◆ウクライナ問題の本質はなにか

4月26日、日米欧とカナダの先進7カ国(G7)は、ロシアがウクライナでの暴力自制などを求めたジュネーブ合意を順守していないとして、ロシアに追加制裁を科すことで合意しました。

こうして世界の世論とマスコミのほとんどの論調は、「ロシア制裁」の方向に進んでいます。その理由は、ロシアのウクライナのクリミア併合が「東西冷戦の復活」につながるというものです。

しかし世界やマスコミが見落としている重要な視点が二つあることを指摘しておきましょう。

一つ目は、ウクライナ問題の本質は何かというと、「東西冷戦の復活」ではなく、あくまでも「ウクライナの経済がうまくいっていない」という点にあります。ウクライナの経済は、ソ連崩壊後から、独立してもほとんど成長していないのです。

そもそもウクライナのデモのきっかけは、親ロシア派のヤヌコービッチ政権がEU加盟を見送ったことにあります。またヤヌコービッチ政権はロシアでもないEUでもない第三の選択として、中国に経済支援を求めようとしていました。

EUは、経済がうまくいっていない諸国が多く、さらに経済が低迷しているウクライナが加盟すれば、EU自体がますます苦しくなります。

見方を変えれば、経済低迷で苦しむウクライナにロシアが手を差し伸べたと見ることもできます。それがプーチンのクリミア併合です。クリミアでは、ロシア軍を歓迎しG7が指摘するような暴力行使はありませんでした。

二つ目は、ウクライナ問題に中国が沈黙しているという点を見逃してはなりません。

中国にとって、ロシアのクリミア併合を批判すれば、チベット、ウイグル、南モンゴルへ行ってきた侵略行為に対する矛先が、今度は自分の国に向けられる可能性があります。ですから中国は沈黙しているのです。

つまり、今回のウクライナ問題の対応如何では、これまでの世界秩序を覆すような力学が働く可能性を秘めています。

◆ロシアを仲間に入れた日本の国家戦略

もし、G7がロシアへの経済制裁を行うことになればどうなるでしょう。ロシアと中国が接近し手を組む可能性が生まれます。それがさらに中国の覇権主義を勢いづかせるきっかけにもなります。

また、ロシアへの経済制裁は、今後ミサイル発射やさらなる核実験をほのめかす北朝鮮への制裁を行う場合、ロシアの協力が得られなくなるでしょう。

ウクライナ問題を日本は「冷戦の復活」と捉えるのではなく、「ウクライナの経済問題」として捉えるべきです。ウクライナは、2008年のリーマン・ショックの際にも欧米の外資がさっさと引き揚げたことで経済苦境に立たされました。

したがって今回はそれとは逆に、日本はアメリカをも説得し、ロシアと共に、ウクライナの経済救済に協力すればよいのです。

これは、ロシアを日米と共に中国包囲網の枠組みに組み込み、また北朝鮮の暴走を牽制する大きな力にすることができます。こうした国家戦略を日本はつくり上げるべきなのです。

◆TPPを国防から考える

ひるがえって今回の日米首脳会談でオバマ大統領が、「尖閣諸島も含め、日本の施政下にある領土はすべて、日米安保条約第5条の適用対象となる」と共同記者会見で発言しました。これは一定の評価ができます。

しかし一方で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉では、安倍政権が、農産品重要5項目について関税撤廃の例外扱いを求めていることから、交渉は難航し日米合意は得られませんでした。

選挙目当てに高い関税で小規模兼業農家などを保護し続けても、今後は従事者の高齢化で日本の農業は先細りとなるばかりです。

TPP合意をするとすれば、たとえば、関税撤廃をするにしても段階的に引き下げ時間的な余裕を作り出します。そして必要な範囲で農家に補助金を出しながら、企業の農業進出を後押しして生産から加工・流通販売までを手掛ける第六次産業化を図れば、農業は輸出産業に成長します。

国防面から考えてもTPPは、中国包囲網を形成する重要なカギです。日本は、こうした大局的な立場からTPP交渉の決着を急ぐべきです。

なぜなら優柔不断なオバマ大統領が、国内事情を優先し大量の米国債を中国が保有していることなどを鑑みて日本との関係を見限り対中融和へと傾く可能性も否定できません。

以上、述べてきたように、日本は「ウクライナ問題」をチャンスと捉え、また「日米首脳会談」の教訓を冷静に分析して、新たな国家戦略の構築を急がねばなりません。そして中国・北朝鮮包囲網を築くための一手を早急に打つべきです。

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TPP交渉「戦術」と関税撤廃に向けた輸出「戦略」

2014-04-18 15:30:08 | 貿易輸出入/国際交渉/TPP

TPP交渉「戦術」と関税撤廃に向けた輸出「戦略」

[HRPニュースファイル975]

http://hrp-newsfile.jp/2014/1402/

文/HS政経塾1期生 伊藤のぞみ

◆TPP日米協議、コメ、麦、砂糖で関税撤廃回避へ

環太平洋経済協定(TPP)について、日米の実務者協議が15日から再開しています。

甘利明経済財政・再生相が「相当な距離が残っている」と発言したように、日米の交渉は膠着状態が続いていました。

自動車に関しては、日本が関税の早期撤廃を求めているのに対しアメリカが反対し、農産物に関してはアメリカが関税撤廃を求めているのに対し、日本が反対しているためです。

特に日本は、「重要5項目」としてコメ、麦、砂糖、牛・豚肉の関税撤廃に強く反対してきました。

しかし、今回、アメリカ側は「主要5項目」のうちコメ、麦、砂糖について、関税をかけてもいいと認めたのです。

日本は、現在、アメリカから輸入しているコメに778%、小麦に252%、砂糖に328%の関税を課しています。

コメと小麦に関しては、大幅な関税引下げを棚上げする代わりに、輸入量を増やす方針です。

砂糖に関しては、アメリカも日本と同様に国内の産業を維持するため、関税撤廃の例外にしたい考えです。

◆アメリカ側は11月の中間選挙を見据えてのTPP交渉

アメリカでは11月に中間選挙が控えており、オバマ政権は業界団体の顔色をうかがいながら、TPP交渉を進めています。

今回、アメリカは「重要5項目」のうち、牛・豚肉にかぎっては関税撤廃を認めませんでした。牛・豚肉業界は政府に対し、大きな影響力をもっているといわれています。

また、自動車の関税撤廃をなるべく先延ばしするように求めている全米自動車労働組合は民主党の支持基盤であります。

豚・牛肉と自動車は、日米の間で厳しい交渉が予想されます。

◆日豪EPAはTPP交渉に影響

アメリカとの交渉にあたって、日本はオーストラリアと経済連携協定(日豪EPA)で、大筋合意したことが交渉材料となりました。オーストラリアは日本への牛肉の輸出で、アメリカと競争関係にあります。

今回、日豪のEPAを結んだことによって、オーストラリアはアメリカよりも有利な条件で日本に牛肉を輸出することができるようになっています。

現在、日本は牛肉の輸入に38.5%の関税をかけていますが、オーストラリアの牛肉に関しては、冷凍牛肉は18年かけて19.5%に、冷蔵牛肉は15年かけて23.5%に引下げることになったからです。

TPP交渉が停滞し、妥結が先延ばしされれば、アメリカはオーストラリアよりも不利な条件で日本に牛肉を輸出することになります。

また、アメリカが自動車の関税撤廃を先延ばししようとしているのに対し、オーストラリアは乗用車の関税を即時撤廃する予定です。

◆有利な条件を引き出しながら、関税撤廃に向けた準備を

今回、日豪EPAの合意により、日米交渉を少しでも前進させることができました。多国間の交渉を通じて、自国に有利な条件を引き出してゆくことは大切です。

しかし、同時に関税撤廃に向けた準備をしていくことは、それ以上に重要です。

アメリカは世界第三位の牛肉「輸出」大国であると同時に、世界第一位の牛肉「輸入」大国でもあります。アメリカは、品質の高い牛肉を輸出しながら、同時に価格の安いオーストラリア産の牛肉を輸入しています。

日本の牛肉においても、同じ戦略をとることは十分にできます。コメに関しても同様です。日本の農産物は高品質でありながら、マーケティング力やブランディング戦略が不足しているといわれてきました。

また、語学力の低さが原因で現地のバイヤーと交渉ができないといった問題もあるそうです。

これからの農林水産省に求められることは、農業の保護ではなく、海外市場に農産品を売り込む戦略を考え、実際に売り込んでいくことです。

食品に関しては国ごとに様々な規制が存在するため、その対応だけでも大変です。

それに対して、TPP加盟国のなかでは、食品に対する規制もある程度統一されるので、「輸出をする」側の立場になった場合、とても有利です。

残念ながら、「攻めの農業」というスローガンに対して、安倍政権の政策を見ますと、「守りの農業」という印象を強く受けます。

商社やJICAなど、政府以外の組織と連携しながら各国の市場を調査し、日本の農作物を売り込んでいく体制を構築するべきです。

輸出力をつけることで、関税撤廃は恐ろしいものでなくなります。むしろ、関税撤廃を契機に輸出をさらに増やすことができます。

TPP交渉を進めると同時に、関税が撤廃されたときに向けて、輸出力を強化することが重要なのです。


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