総務省内にサイバー防衛局を新設する計画が見送られることになりそうである。
見送りが国家行政組織法に基づいて定められている局数(97局)の上限に近づいていることに起因するらしいが、なんとも役人的・矮小な理由である。ロシア・中国・北朝鮮は数万人以上のサイバー攻撃部隊を保有しているともいわれ、それらの国によるサイバー攻撃の実例も伝えられている。欧米諸国もまた同様に、サイバー空間への攻撃と防御の組織を保有しているであろう。かって通常兵器以外による攻撃や兵器の分類が、NBC(N(核)B(細菌生物)C(科学))とされていた。生物(B兵器)・化学(C)兵器は安価に製造できることから「貧者の核兵器」と呼ばれていたが、保管や運搬手段に制約を受けるとともに攻撃もピンポイント目標に対する小規模なものに留まらずを得なかった。しかしながらサイバー兵器は、保管はディスク1枚、運搬は既存の通信網を利用と、極めて安価であるにも拘らず相手国の政治・経済・防衛をマヒさせて致命的な打撃を瞬時かつ広範囲に与えることが可能であり、直接的な人的被害は生じさせないものの無差別爆撃以上に一般人を攻撃するという「極貧者の核兵器」若しくは「核兵器をも凌ぐ最強兵器」と呼ばざるを得ないものと思う。今回、総務省が局数制限という些細な理由から新設を見送った背景には、まだサイバー空間に漂う悪意を「犯罪レベル」と捉えており「既に国防レベルに達している」との危機感が欠如しているに他ならないと思う。
あまり活動が活発でなく存続意義を失った感ある【林野庁】をつぶすとか、陸海空自衛隊に加えて第4の電脳自衛隊を作るなどの省庁再編すら視野に入れた抜本的な制度改革にまでサイバー危機対処を考えて欲しいものである。