日本海沿岸に北朝鮮の木造船漂着が相次いでいる。
漂着戦の船籍が北朝鮮軍の所属と表示されているため、当然のことながら乗員は軍人と思われる。軍人たる乗員は事情聴取の後に北京経由で北朝鮮に送還されるとのことであるが如何なものであろうか。今回の軍人による敵対行動は、戦時下(宣戦布告等の国際法が定める手続きを踏んだ戦闘行為)ならばジュネーヴ条約によって捕虜として取り扱われるべき行動であるが、今回の違反行為はどう解釈してよいのか分からない。国内法では捕虜の規定と取り扱いについてはどのようになっているかというと、「武力攻撃事態及び存立危機事態における捕虜等の取扱いに関する法律(平成26年法律第70号)の総則に《出動自衛官は、武力攻撃が発生した事態又は存立危機事態において、服装、所持品の形状、周囲の状況その他の事情に照らし、抑留対象者に該当すると疑うに足りる相当の理由がある者があるときは、これを拘束することができる。》と規定されている。要は、出動を命じられた自衛官が身柄を拘束した相手に限り捕虜とできるのである。過去にも金正男を取調べもなく国外退去させた事案、巡視船に体当たりした中国船を無罪放免した事案等、国益に反する不法行為に毅然として対処できない弱腰は払拭すべき時期に来ていると思う。
今回の事象では、北朝鮮の軍人を捕虜として抑留することは国際法に悖るとは思うが、少なくとも漁業法等の違反容疑で立件・審理して相応のペナルティを科すべきではないだろうか。