朝鮮半島有事における自衛隊の在韓邦人輸送計画が報じられた。
陸海空3自衛隊を統合運用する計画(非戦闘員退避活動(NEO))で、ソウル近郊を起点として釜山・対馬を経由して本土まで輸送する計画である。しかしながら本計画最大のネックは、韓国が半島内陸のみならず空港や港湾においても自衛隊の行動を認めていないことである。韓国国内には邦人保護のための日本帝国軍出兵・駐留が日清戦争に引き続く韓国併合に繋がったとのトラウマがあるため、早急には解決できないものと考えられている。更にはオーストラリアやカナダなども日本同様に自国軍隊による韓国内輸送について同意を得られていない。そのため、関係国は韓国との2国間合意に代わるものとして在韓国連軍を取り込んだ多国間有志連合を組織しての在韓外国人の輸送が模索されているが、米軍は軍人家族を含むアメリカ人を優先するだろうし、米軍を除く在韓国連軍は極めて弱体で10万人近い人員を短期間に輸送することは不可能視されている。韓国にも有事における混乱に加えて、防衛に寄与しない外国人のために他国軍が入り乱れて混乱を倍加させるであろう事態を防がなければならないという事情もあるであろう。韓国には朝鮮戦争においてソウルが瞬時に北に制圧された教訓から、首都をDMZから遠く離れた釜山に移転する動きも過去にはあったが、李朝景福宮を朝鮮統一のシンボルとしたいとの思惑からであろうか首都を移転することなく現在に至っていることも在韓外国人の移送を困難にしている原因ともなっており、戦訓や歴史を次代に生かすことの難しさを感じさせる事態でもある。
現状では、半島有事の際に在韓邦人が米軍の避難民輸送を利用して無事に帰国できることを願うものであるが、自衛隊の輸送計画に加えて民間機や民間船舶の活用も計画に加えて欲しものである。その際には、操縦士や乗員を公務員として徴用する、あるいは民間機や船舶を自衛隊員が運航できる予算措置や法整備も怠らないで貰いたいものである。