超党派で作る日韓議員連盟が、韓国議連との合同総会を終えて共同声明を発表した。
そこには、現在の日韓関係を損なっている日韓合意履行の文言はなかった。総会の中では日韓合意に関する日本側議員の発言もなされたが、共同声明作成の際に韓国側に配慮したようである。日本の政治家は、国際的な交渉・会談・協議の際には何らかの成果を盛り込んだ共同声明を出すことを成果の一つと考えているようであるが、相手側に大きく譲歩した共同声明は百害を後世に残すものであると思う。極論すれば共同声明を出せないのも成果の一つと考えるべきである。今回の共同声明を例にすれば、日韓関係最大のネックである「日韓合意の履行」を盛り込めなかったのは明らかに韓国の勝利であり、「日本の国会議員は、日韓合意履行に熱心ではない」というシグナルを送ったに他ならない。今後は日韓合意に関する総ての交渉のベースとして、今回の共同声明が使用されることは間違いのないところであると思う。連盟会長の額賀福四郎議員は、防衛庁長官や自民党3役を歴任した老練な政治家と思っていたが、永田町という井戸の中での腹芸のみで栄進し、外に向かっては物も言えない政治家と認識を改めざるを得ない。防衛庁長官や経済政策担当大臣として情報や交渉の重要性等の官僚的勉強はされたのだろうが、党人として持つべき迫力は身に着けておられないようで、不退転の意志を要する場では腰が引けるお方と感じた次第である。
昨今の政治家には、田中角栄的な迫力ある政治家が見当たらない。気配十分であった石破茂氏も何やら優等生に変身してしまった。