もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

世界の犬食事情

2021年10月03日 | 韓国

 文大統領が「犬の食用禁止」の意向を表明し、法制化が検討されていると報じられた。

 欧米諸国から非難される鯨肉食を、「日本独特の食文化で何が悪い」としていたことに加え、ソウル・北京五輪で犬食大手の両国が犬食を禁止したものと思っていたので、文大統領の提言に驚いてウィキペディアで犬食を調べて見たら、現在でも犬食文化は世界で公に・密かに行われているらしい。
 現在でも食用にされる犬は、1年間で約2,000万~3,000万頭と云われ、うち1,000万頭が中国、200万頭が韓国であるとされていた。
 韓国の犬食事情は、1988年のソウル五輪に際して欧米諸国の批判をかわすため犬食に対する取締りが行われたが、店舗名を変更したり大通りから裏通りへ移動することで黙認され、2002年のFIFAワールドカップでも「犬食禁止」のFIFA要請を韓国人のFIFA副会長が拒否、2008年の調査ではソウル市内だけで530店の食堂が犬食を扱っているとなっていた。また、2008年には、ソウル特別市当局が「正式に犬を嫌悪食品とする禁止令を撤廃して食用家畜に分類する発表を行った」とあることから、何らかの禁令はあったと推測されるが、犬肉の流通・販売は違法でも適法でもない不明瞭な状態であるのが現実らしい。
 世界各国を観ても、緊急避難的な場合を除いて犬食の歴史を持たないのは、犬を遊牧のための益獣とする中央アジア・モンゴル地域、宗教上の教義で犬食をタブーとしているイスラム・ユダヤ教徒くらいであるらしく、フランスでも20世紀初頭までは犬食屋が存在していたらしい。
 日本では、縄文・弥生遺跡から解体痕のある犬(狼かも)の骨が出土し、「日本書紀」には《天武天皇5(675)年に、4月1日から9月30日までの間、稚魚の保護と五畜(ウシ・ウマ・イヌ・サル・ニワトリ)食が禁止》されたとあるので、犬食は一般的であったようである。その後、仏教の肉食禁止の教義が浸透したものの、犬食は廃れることなく15世紀に記された文書では「犬追物の後に、殺した犬を食べた」とあったり、江戸時代でも町中に野良犬を見かけない(食べられて)状況であったらしく「生類憐みの令」の背景になったのかも知れない。
 明治以降でも忠犬ハチ公の子孫が盗まれて鍋物の具になったとの新聞報道が残されているように、犬食は罰当たりの悪業とまでは看做されなかったようである。

 IWCを根城にする反捕鯨国は「知能の高いクジラ類を殺して食べる日本」を痛烈に批判しているが、鯨以上に知能の高い「お犬様」のと犬食については国際機関が無いために、このような状態が続いているのだろう。
 2008年の輸入畜産物食肉検疫データでは、中国から5トン輸入されており、主に中国・朝鮮系の在留者を中心に需要があり、新大久保などのコリアン・タウン、池袋などのチャイナ・タウン、アジア料理店で犬料理が提供されており、日本でも食べることが出来るとなっていたが、「民族の食文化は尊重すべき」を持論とする自分でも、犬食については些かの抵抗・二の足を踏むものである。