衆議院の解散・総選挙が国会会期末の14日解散、19日公示、31日投開票の日程で推移することがほぼ確定した。
立民等の主要野党は、「予算委員会も開催せずに解散するのは暴挙」と反発しているが、有権者の投票行動を必要とする国家的な一大イベントを、武漢コロナが小康状態の時期に前倒しすることは、主催者としては妥当なところに思える。
自分のような素人でも、首班指名国会の会期を14日までの11日間と与野党が合意した時点で会期末解散は予想できたので、プロである野党議員が青天の霹靂とするのは面妖である。11日間という会期を考えれば、最短でも首班指名に1日、組閣に1日、施政方針等演説に1日、代表質問には準備を含め2日、休日等3日と考えれば、委員会を開催するにしても3日しか残されていないことになる。さらに、大臣の交代に伴う行政手続きなどを差し引けば、この3日すら怪しくなる。こう考えれば、野党は、会期合意の時点から予算委員会の開催を真剣に求めていたとは考えられない。果せるかな、立民の枝野代表は「暴挙コメント」の翌日には「印刷物を含めて選挙準備は既に終わっている」と明かし、将に語るに落ちた恒例の猿芝居を見せつけられた思いがする。コロナ猖獗の時期にあっても、折に触れて「早期に国民の信を問う」ことを求め続けたこれまでを思えば、立民の一貫性の無さが殊更に際立つように見える。
メディアでも、会期終了後にも「国会閉会中の委員会開催」で議論を続け、任期切れ総選挙とすべきとの意見も少なくないが、その場合の選挙日程は11月となる。一方で、年末にかけてコロナ第6波の確実な到来やインフルエンザとのブルパンチを予測する識者も多い。投開票日が緊急事態宣言下のコロナ蔓延・医療逼迫の事態であったとしても、憲法45条で国会議員の任期延長は否定されているために、総選挙は行わざるを得ない。緊急事態宣言で外出自粛を要請する一方で有権者が投票所に出向くことを促すという二律背反を防ぐためにも、10月中に総選挙を行う意義はあるように思える。
昨日、結構な時間をかけて「14日解散の是非」に関するネット上の意見を拾ってみたが、反自民政権者と見受けられる人の多くが、「委員会で議論しない解散は暴挙」としていた。更には、予算委員会での議論についても一様に挙げているのは「コロナ対策」であり、中長期的にはコロナ対策以上に重要かつ喫緊と思える対中・対米の外交政策に触れた意見を発見することは出来なかった。
このことは、論者の多くが枝野大本営発表を信じることで思考停止して、総選挙が行えない事態、更に野望を露わにした中国、混迷して陰りが目立つ米国、などの諸情勢にまでは視野には入っていないかの危うさを感じさせられるものであった。