もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

共産党の限定的閣外協力

2021年10月02日 | 野党

 立憲民主政権下では、限定的ながら共産党の閣外協力を得ると発表した。

 枝野氏は結党時には「保守リベラリスト」を標榜していたが、2019年に「大きな政府構想」を打ち出した頃から左傾の度を強め、以後、反新自由主義~共産との選挙協力~市民連合仲介の野党4党政策合意と徐々に変化していたが、一貫して共産党とは「選挙協力のみで政権では連携しない」ことを明言していた。
 本ブログではこれまで、「共産党とは選挙協力のみ」とする枝野氏の主張に対して、《,議院内閣制の総選挙は政権選択選挙であることから、有り得ない論理で有権者を愚弄するもの》と書いてきたが、果せるかな枝野立民は「論理上の必然の帰結」として「鎧を覆う衣を脱ぎ捨てる」ことを表明してしまった、若しくは表明せざるを得なくなったと思っている。
 産経抄は、一線を越えた枝野氏を禁を破って軍団を率いたままルビコン川を渡ったカエサルになぞらえて「賽は投げられた」と評し、民主党政権を支えた松井孝治慶大教授は「残念ながら立憲民主党は私の中で終了です」と決別宣言を綴ったとされているが、唯一の救いは、発表が総選挙前になされたことで、選挙後や政権獲得後に行われるよりは、まだ混乱は小さいように思える。
 「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」と野党4党の政策合意を冷静に眺めると、社民党と令和しんせん組は来年にも政党要件を失うことは確実であることから、政策合意は実質的には立憲民主党と共産党の2党間合意に他ならない。
 曲がりなりにも立憲君主制と日米同盟を維持する立憲民主党と、共和制(天皇制廃止)と日米同盟破棄を綱領に謳う共産党の国政協力など有り得ないもので、とても「小異を捨てて大同につく」レベルの話ではない。さらには、現行憲法に対しても、一切の変更を拒否する立民に対して、彼等の主張に反する変更は「改悪」として反対するものの主張に合致する「改正」を目指す共産党との共同歩調はあってはならないものであると考える。
 1919年に反ユダヤ・労働者および中産階級の救済を目的として結成されたドイツ労働者党は、党勢拡大のために熱狂的支持者を持つヒットラーを入党させたが、結果的にはドイツの暴走と崩壊を招いた。目先の実利に目が眩んで「軒を貸して母屋を取られる」好例であるが、枝野氏の選択にも同様の危惧を抱くもので、共産主義者に一歩の地歩を与えることは、数十歩もしくは数百歩の地歩を与えることは、中国共産党の長期戦略を観ても明らかである。

 枝野氏は選挙公約の第1弾として「初閣議で直ちに決定する7項目」を既に発表しているが、この展開から考えると「破防法の監視対象団体から共産党を除外する」という項目も追加されるだろう。
 枝野政権待望論の多くは新自由主義反対の立場からで、それが共産主義にまで拡大されることを希望するものであるかどうかは判らないが、枝野氏が共産主義者に軒を貸すという危険な一歩を踏み出したことは間違いないようで、最も利を得るのは共産党に他ならないと思っている。