10月22日にアメリカと台湾外交部高官との電話協議が行われたことが報じられた。
協議のテーマは、国連や他の国際機関への台湾参加であるとされている。1,971年に台湾(中華民国)が国連を追われてから50年経過したが、先進国の中国疲れに伴って国連・国際機関に台湾を迎え入れようという空気が徐々に高まっている。
中国コロナ禍の教訓として、感染症のパンデミック対処に空白地帯があってはならないことが明らかとなったために、G7は既に台湾のWHOオブザーバ参加支持を共有しているが、気候変動などの場にも台湾参加を認めようとの空気が広まっている。
一方の中国は、25日に習主席が国連加盟50周年に際して「国際舞台への台湾招聘は重大な内政干渉で、国連機関への参加は国連総会の決議が必要である」と演説したとされている。
現在、台湾を国家として承認する国は少数であるので、国連総会決議となれば台湾の国連加盟や国連機関参加が否決されることは明白であるように思える。
総会決議に依ることなく台湾が国連・国連機関に名を連ねるには、どのような方法があるのかと調べて見たら、永世中立のために国連に加盟しないスイスが、1946年に事務総長から「総会のオブザーバとして参加するための恒久的な招待状」を得ていることを知った。この非加盟国に対する恒久的な常任オブザーバの地位は、国連の慣行として認識されてバチカンにも適用されている。しかしながら、パレスチナ自治政府が、国連加盟国イスラエルとの係争を抱えているために同様の処置を得られていないことを考えれば、台湾も加盟国中国との関連から国連・国連機関にオブザーバとして席を得ることは中々に困難であるように思える。
さらに条約加盟国であれば自動的に参加できる国際機関にあっても、前提として台湾が条約に参加できる国家と認められる必要があり、正式参加については国連と同様に困難であるように思える。
途上国に対して、経済援助と引き換えに台湾排除票を得ている中国であるが、債務と引き換えに空港・港湾施設を租借したり、地下資源の全てを収奪する新らしい植民地政策の危険性が知れ渡り、ひと頃のような無法が通りにくくなっている。反面、機密情報共有の枠組みファイブ・アイズの一角であるニュージランドが中国寄りに転舵するなど、新しいシンパシーを獲得しているように、中国を巡る情勢は複雑な様相を見せてもいる。
中台の武力衝突の危険性もさりながら、それ以外についても中台関係はアジアの火薬庫の状況を呈してきたように思える。