もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

カタカナ単語末尾の長音符

2021年10月01日 | 社会・政治問題

 カタカナ単語の語尾に長音符「ー」を付けるか否かの歴史などを調べて見た。

 関連機関等が定めた表記法を列挙すると
・1991(平成3)年の「外来語の表記(内閣告示第2号)」は、「原則として長音符を用いて書き表すが、慣用に応じて長音符を省くことができる」としているものの、法令・官公庁の公文書・国会議事録などでは長音符を省略する場合が多いとされている。
・文化庁のHPでは、「外来語の表記は、英語表記で(er)・(or)・(ar)で終わる単語には,原則として長音符「ー」用いて書き表すが、慣用に応じて省くことができる」とされている。
・JIS規格では2008年版までは、「3音以上の場合には語尾に長音符を付けず、2音の場合は付ける」となっていたが、2019年版以降は内閣告示第2号によるとなっている。
・マイクロソフト社は2008年に「長音符を表記する」としたが、現在でもIME辞書での変換に際しては第2候補に長音符省略形が表示される。
 となっており、最も権威があるであろう内閣告示ですら、「どうでも良いので、好みに応じてどうぞ」が原則であるように思える。
 通信手段の発達した現在では不明ながら、かっての海上自衛隊では語尾に長音符を付けると烈火の如く叱られ、時として文書・電報起案の能力さえ疑われたものである。
 さらには、水中武器の代表格であるSONARも一般的な「ソナーやソーナー」ではなく「ソーナ」とされるように、読み方まで独自であることも多い。
 何故に、海上自衛隊で長音符が排除されるかと云えば、電報は全て句読点が無いカタカナ文で出力されるために、「ハイフン」と混同されやすい長音符は付けないことが絶対とすることに依っている。さらには、電文を全て電鍵のモールス信号で送受信していた名残から、電文を一文字でも少なくして、暗号化や送信時間を一秒でも短縮するという躾けの面も大きいと思っている。

 改めて、自分のこれまでのブログを読み返すと、語尾に長音符を付けた、付けないが混同し、甚だしくは同一の文書内の同一単語で混用している。ワードで書けば「揺らぎ表記」として警告してくれるのであろうが、そのままになっているのは校正・推敲不足以上に、海上自衛隊の躾が何時しか消え去ったか、はたまた完全に身に付いていなかったものと反省している。