もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

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新党「立憲共産党」?

2021年10月29日 | 野党

 選挙戦最終盤に来て、立憲共産党という新党名が各所で囁かれているらしい。

 最初は、野党統一候補である立民候補者を口撃する対立候補が使用していたとされるが、麻生太郎前財務相が応援演説で使用するに及んでトレンドワード上位にランキングされたり、立憲民主党が抗議したり、という展開と報じられている。さらに、地方の選挙区では選挙カーに野党統一候補や立憲民主党候補と書かないケースも数多いとされている。
 かって金権選挙全盛であった昭和50年代には投票先の選択について「党より人を」というキャッチフレーズが市民権を得ており、地盤・看板を持たない新人候補のみならず、マスメディアも挙って使用していたが、如何に清廉・有能であっても議員単独では一本の法律も創出できない民主主義の多数決原理が認知されるにつれて何時しか死語となって、現在では「候補者の所属政党」を中心に投票先を選択することが一般的であるように思える。更に比例投票では比例名簿はあるものの候補者の姿は希薄で、選挙公約や政権担任能力で投票政党を選択する。
 これらのことを考えると、候補者が所属政党を隠す若しくは積極的に広報しないことは、身元を曖昧にして高額商品や胡散臭い儲け話を売りつける詐欺まがい商法と同列で、選挙制度の根幹を蔑ろにするものと思える。

 それにしても「立憲共産党」という造語は秀逸であるように思う。
 立憲主義とは《単に憲法に基づいて統治がなされるべきであるとする以上に、政治権力が憲法によって実質的に制限される政治理念で、共産党綱領が憲法に優越する共産主義国の名目的憲法に基づく統治は立憲主義とは呼ばない》とされるように、立憲主義と共産主義は水と油の関係にある。
 世界史上誰も成し得なかった、「水と油を混ぜ合わせることが可能」とする枝野氏の見立てで始まった選挙協力や閣外限定的協力という枠組み、この混迷を表現するには「立憲共産党」以上の表現は見当たらないように思える。
 ネット上にも選挙協力を評価する意見も少なくないが、果して立憲政体と共産主義政体についてまで考察したものであるのだろうかと疑問に思っている。