韓国通信社の「聯合ニュース」が、韓国の主要ポータルサイロから1か月間の「出禁」処分を受けたことが報じられた。
処分の理由は「一般記事を装って特定商品・企業を広告(記事型広告)するステルスマーケティング」を行ったもので、判明しているだけでも3月以降の4カ月間で649件に上っているとされている。聯合ニュースの取り分は1件当たり2万3千円と報じられているが、浅はかな行為とする以上に通信社・メディアの信頼性を大きく損なうものであろう。
初めて知ったことであるが、聯合ニュース社は法律で「国家基幹通信社」に指定されて年間30億円近い公費補助をも受けており、国営若しくは半官半民の通信社であるらしい。
聯合ニュースがステマによる小銭稼ぎに走った背景は、新聞離れ等によって本来業務である「報道機関への記事売却」だけでは食っていけない現実があるとされている。引かれ者の小唄的匂いもするが、聯合側が「20以上の媒体で我々と同じ記事が300件以上掲載されている」と述べ、さらにはこのニュースを主要紙の殆どが伝えていないことから、多くの韓国メディアが記事型広告によるステマに手を染めているようにも推測できる。
日本・韓国ともに、記事型広告自体は禁止されていないものの、ステルスマーケティングは禁止されており、記事型広告の場合には広告であることを明記しなければならないとされているらしい。
今回、表面化した大手メディアのステマは韓国であるが、自分も検索画面で面白そうな記事を見つけて開くと広告そのものである場合も多いので、日本でもメディアによるステマは深く静かに進行しているのかも知れない。
聯合ニュースが配信した記事は、日本のメディアでも良く耳目に触れる。日本メディアの支局・特派員では手にすることが困難な韓国政権内部の動向等については、同社の配信転載も止むを得ないと思っていたが、聯合ニュースが国営通信社であることを知り得たのは収穫であったと思う。共同通信社で明らかなように、通信社の耳目は無色透明では有り得ないが、聯合ニュースが国に忖度しなければならないという政権代弁者の性格を持つからには、同社が伝える世情や政権の動向も、政権への提灯、政府の観測気球の意味合いが大きいと割り引く必要が有るように思う。