今朝のテレビ画面で、山本一太群馬県知事が「県民を愚弄するもので法的措置も辞さない」と怒っていた。
何事かと耳を澄ませば、都道府県魅力度ランキング2021で、群馬県が恒例の下位にランク付けされていることであるらしい。
都道府県魅力度ランキングについて調べて見ると、調査・格付けは「株式会社ブランド総合研究所」という民間企業が行っており、調査方法は、インターネットで20~70代の消費者31,734名から得た地域の認知度、魅力度など89項目の回答を基に、数学的手法で決定されるとなっていたが、魅力度というよりは有名度・認知度のランキングと観るべきものであるらしく思える。
魅力度ランキングは仲間内でのお国自慢に際して相手を「ディスる」には最適・最強のアイテムであるが、ランキングを真剣に捉えている人は少ないのではないだろうか。
群馬県と同様にランキング下位の常連である埼玉県では、二階堂ふみさんが「埼玉県人は草でも食っとけ」と怒鳴るTVスポットで知られた映画「翔んで埼玉」が、自虐的にヒットしたとされているし、最下位が定位置であった茨城県が昨年のランキングで最下位を脱した場合には、却って残念がる声が多く報じられた。
山本知事も、10日付のブログで「こんな根拠の不明確なランキングの順位に、振り回されるようなことはないが、今週中にも検証チームを招集し毅然とした対応を取らせてもらう」としているので、ランキング自体は人気投票であることは承知されているようである。
とは言え、魅力度ランキングが人気投票ではあっても「地方創生」の最前線指揮官である県知事にあっては見過ごせないものであるらしく、群馬県と同様にランキング下位常連の鳥取県知事は、名所・特産品の認知度を上げるために「砂県」「かに県」「梨県」・・・と矢継ぎ早にアピールした結果、県民でも「今や何県?」と戸惑う様がバラエティ番組で紹介されたほどである。
山本一太知事は、参議院議員時代には、メディア受けする容姿と明快な語り口で、外交・安全保障の若手論客としても活躍していた。
群馬県知事への転身の真意は謎であるが、山本氏の略歴を振り返れば、
1995年に参議院議員初当選、2008年福田康夫改造内閣で外務副大臣に就任、同年9月福田総理辞任に伴う総裁選立候補を表明するも推薦人が確保できずに断念、2012年第2次安倍内閣で初入閣(内閣府特命担当大臣として沖縄及び北方対策、科学技術政策、宇宙政策の3ポストを担当)、2014年9月内閣改造により退任、2016年参議院予算委員長に就任、2019年7月群馬県知事選への立候補届け出により失職・県知事に当選となっている。
このことから総裁・総理として一国の舵取りをする野望は持っていたのであろうが、そのためには衆院に転身して当選を重ねる必要があることから、手っ取り早く自分の主張(一部)が実現できる首長を選択したとするのは深読みだろうか。
山本県知事殿へ「児戯にも等しい魅力度ランキングに乗っかるパフォーマンスよりも所信に邁進されんことを」