19日の告示を待たずに、各政党と立候補予定者は事前運動にいそしんでいる。
投開票日までは大音量の狂騒曲に辟易の毎日を強制されると思うので、バランスを保つ意味を込めて美術ネタで過ごすこととした。
本日のお題は、エルミタージュ美術館所蔵の2作品である。
1枚目は「野原の少女(50×61cm)」で、ルートヴィヒ・クナウスの代表作とされている。クナウス(1829(文政12)年~1910(明治43)年)は、ドイツの風俗画家とされているが、この作品にはメッセージ性が希薄で無心に花を摘む少女の日常がさりげなく描かれているように思う。クナウスに関してはネット上にも情報が少なく、付け焼刃の愛好家である自分には未知に等しい画家である。 野原の少女(クナウス)
2枚目は、ルイ・ガレの「漁師の家族」である。ルイ・ガレについてはクナウス以上に情報が無く、絵をDLした当時の美術館HPにも単にロシアの画家としか説明されていなかったと記憶しており、現在のHPにはそれすらも無いようである。さらに、彼の作品は他の美術館のコレクション紹介にも見当たらないことから、作品数も少ないのではないかと思っている。「漁師の家族」については、海を見つめる男の視線と頑固そうな表情に比し、抱かれて無心に眠る子供とそれを見つめる少し寂しげな母の対比が素晴らしく思える。気になるのは、母が節くれた裸足で描かれていることである。おそらく家族は裕福ではないのだろうし、夫には船上作業に必要な長靴を与えているものの自分は靴も惜しんで家計を支えている健気さが伝わってくる。小声で言わしてもらえれば、「嫁しても自分に従え」をモットーとする昨今の女性に、ぜひ見て貰いたい1枚である。 漁師の家族(ルイ・ガレ)